MMA
レポート

【Road to ONE】青木真也が無観客試合で絶叫「クソみたいな世の中、生きていく」宮田vs田中はドロー=ABEMAが中継

2020/04/17 19:04
2020年4月17日(金)ABEMAで「Road to ONE:2nd」が生中継された。無観客の収録会場はケージ周りが暗幕で覆われ、新型コロナウイルスの感染予防のために、ケージサイドの全員が防護服・ゴーグル等を着用して大会を実施。また、放送席も実況と解説を離すなど徹底した対策が取られた。 ▼Road to ONE グラップリング ライト級(※77.1kg) 10分1R(判定無し)△青木真也(元ONE 世界ライト級王者/EVOLVE MMA)[時間切れ ドロー]△世羅智茂(2017年 IBJJFアジア選手権黒帯フェザー級準優勝/CARPE DIEM)  青木真也は、2019年10月のONE両国大会でのホノリオ・バナリオ戦以来の試合。MMAルールでダースチョークで一本勝ちしている。グラップリングは、2017年5月のONEでのゲイリー・トノン戦以来。そのときはノーギ世界王者にヒールフックで敗れている。  青木は、ロータス世田谷でのMMAグラップリングに加え、IGLOO柔術では岩本健汰やイゴール田辺らと純粋グラップリングの練習も積んでおり、今回のケージでの試合でそのリーチも活かし、どんなグラップリングを見せるか。  世羅智茂は、2017年IBJJFアジア選手権黒帯フェザー級準優勝。ノーギでも数々のタイトルを獲得。2019年11月の「QUITET」では出花崇太郎をヒザ十字、鈴木和宏を跳び十字に極めている。特にその腕十字は、その技だけでDVDが販売されるなど、様々なバリエーションを誇る。今回の試合オファーに即答しており、ケージレスリングの展開に持ち込まず、得意のシッティングガードからの展開も見ものだ。  ケージでのグラップリングルール。ケージレスリングで金網に押し込んでのテイクダウンや、金網際でのバックテイク、あるいは金網を支点としてのエスケープなど、ピュアグラップリングとは異なる攻防にも注目だ。  マット中央でシッティングガードで下を選択する世羅。ニーシールドからハーフガードで片足を手繰る世羅。しかし胸を合わせ正対する青木は金網まで押し込む。クローズドガードの世羅だが頭が金網に詰まる。  両手首をつかむ青木。世羅はヒップスローを仕掛けるが、青木もしっかり防御。中腰から攻めて組み手争い。右手で脇下に入れる世羅。しかし青木は押し込んで肩で世羅の首を固める。  クローズドガードのままの世羅。それを割ることが困難な青木。世羅も金網に押し込まれ息苦しい展開のなか、右腕を狙いにいくが、青木は正対し両手首をつかむ。いったん足を開いてハーフになる世羅。青木の動きの際でクローズドに戻す世羅。再びガードを開き、ハーフから足を手繰り、ベリンボロ狙い。 サドルロック狙いからヒザ十字、さらに腕十字に行く世羅! そこをしっかり外す青木。世羅は足関節からリバース・ベリンボロのキス・オブ・ザ・ドラゴンへ。 再び足関節を狙う世羅だが、青木も許さず。世羅は跳びつきギロチンチョークへ。落とした青木に世羅は再びクローズドガードになり、タイムアップ。  試合後、「嘘だろ?」とつぶやく青木。今回の試合はケージでのグラップリングルール。金網際でのバックテイクを得意とする青木に、金網際で無理に立つ必要のない世羅はたとえ顔を曝け出したとしても立たずに下から仕掛けた。MMAファイターとグラップラー、互いの哲学がぶつかった緊張感ある試合は10分時間切れ、ドローに。  ケージのなかでマイクを持った青木は、「OK、OK、もうね、いつ死んだっていいんだよ。俺、いつ死んだっていいよ。いつ辞めたっていいんだ、格闘技。いつ死んだっていいんだろ、いつ死んだっていいんだ、いつ死んだっていいんだ。なあ、おい、死にたくねえ、負けたくねえ、死にたくねえ、負けたくねえんだったら、ずっと家にいろよ。おい、テレビの前に座っているオマエだ。よく聞け、よく聞けよ、死にたくねえ、負けたくねえんだったら、試合しなきゃいいし、家にずっといりゃいいんだ。“ステイ・ホーム”ってずっと書き込んでろ」と極論を展開。  続けて「分かるか、分かるか。でもな、でもな、でもな、生きるってそういうことじゃねえんだ。生きるってそういうことじゃねえだろ。日々、嫌なことと戦って、嫌なことと戦って、クソみてぇな世の中、生きていくんだ。生きるっていうのは家の中にいることじゃねえ、目の前にあることと戦うことだ。オマエら、よく覚えておけ。そして、このイベントを作ったキ○ガイどもに、このイベントを作ったキ○ガイどもによく言っておく。ありがとう、楽しかった。ありがとう。一言だけ、ありがとう。それだけです」と、イベントを実現させた周囲に感謝の言葉でケージを降りた。  過激な発言で、ドローで終わったイベントに余韻を残した青木。しかし、練習では互いにスパーリングを望む者と組み、移動は自転車、外部の人との接触を出来るだけ避け、外で取材、単身の部屋に帰るなど、その取り組みも徹底している。“withコロナ”の時代にいかに生きるか。“ステイ・ホーム”も対コロナに有効な戦いであり、経済活動を可能な形で続けることも対コロナを持続的に戦うことに必要だ。修斗、ABEMAを含む「Road to ONE:2nd」実行委員会と青木の投げかけは、今後の格闘技の指針のひとつを示したといえる。 [nextpage] ▼Road to ONE ムエタイ 72.5kg契約 3分3R〇緑川 創(Monster Guns)[判定3-0]×西川大和(西川道場)  緑川創は、2019年4月にWKBA世界スーパーウェルター級王座を奪取。12月にはタイのガムライペット・アヨタヤーファイトジムに判定勝利し、初防衛に成功している。2020年1月の目黒・藤本ジムの閉鎖に伴い、RIKIXやTRY HARD GYMで出稽古。後輩のHIROYUKIとチームを組み「Monster Guns」所属として参戦する。3月20日のRISEではサモ・ペティと対戦予定も大会が中止に。今大会での「Road to ONE」と並行し、3度目のラジャダムナンの王座挑戦を目指す。  西川大和は総合格闘技イベントGRACHAN(グラチャン)期待の新鋭で現在なんと17歳。小さい頃からMMAで世界チャンピオンになることを目標に、父との二人三脚のトレーニングが破天荒だったことで、人気テレビ番組「探偵ナイトスクープ」で紹介され話題を呼んだ。  アマチュア大会「PFC」ライト級タイトルを獲得後、韓国の『TOP FC』でプロデビューし、現在はアグレッシブなファイトスタイルで国内で戦績を積む。2019年9月にはシュートボクシングで立ち技初挑戦にも関わらず、手数の多さで元SB日本スーパーウェルター級王者・坂本優起を判定で破っている。  1R、西川が右ローで先制。スピードのあるジャブも繰り出す。緑川は重い右ローを蹴り、左ボディを打つ。西川はスイッチを使いつつ、後ろ蹴りをヒットさせた。緑川は圧力をかけて前に出ると右ローを集中させ、合間に左ミドル、左右ボディブロー、右ストレートを混ぜる。緑川のヒジはかわす西川が逆にヒジを打つ場面も。  2R、緑川の圧力でケージを背にする場面が多い西川。緑川は右ローでしっかりダメージを与えつつ、右ボディストレート、右ストレートを打つ。ケージを背に回り込みながらバックハンドブローで応戦する西川だが、左足とボディへのダメージは隠せない。緑川が追い続ける展開となった。  3R、緑川の右ロー3連打で大きくバランスを崩す西川。それでも西川は強気にパンチを打ち返す。緑川はプレッシャーをかけて前に出るが、西川はパンチでもヒジでも恐れず打ち合う。緑川は容赦なく右ボディを叩きつけ、右ストレート、左フック、右ヒジにつなげる。最後は緑川が畳みかけていったが、西川は最後まで手を出して応戦し、勝敗は判定に持ち込まれた。  判定は3-0で緑川の勝利となったが、西川の健闘が光る一戦となった。 ▼Road to ONE MMAバンタム級(※65.8kg)5分3R×祖根寿麻(ZOOMER)※元修斗環太平洋バンタム級王者[1R 3分58秒 ニンジャチョーク]○後藤丈治(TRIBE TOKYO M.M.A.)  バンタム級戦。祖根寿麻(ZUMA)が2019年8月のRIZINでのジャスティン・スコッギンズ戦の判定負け以来の再起戦で後藤丈治と対戦する。後藤は北大卒業後、TRIBEに入門。パンクラスで4連続一本・KO勝ちをマークしている。  1R、サウスポー構えの後藤に、オーソドックス構えの祖根。左ハイキックをガードの上に当てていく後藤。しかし、後藤の左右からの左ストレートの入りに祖根の頭が当たり、後藤がダウン。祖根はすぐにパウンドを入れるが、梅木レフェリーはバッティングを告げ中断。 「偶発性のバッティング」のコールの中、ウイルス感染予防のために防護服にゴーグル、マスクをつけたドクターがチェック。インターバル後、再開。  ワンツーからスリーフォーと繋ぎ前に出る祖根は左で差して押し込み小外がけへ。さらに右も差してもろ差しへ。後藤は右を小手に巻き凌ぐ。祖根は肩パンチから左の差しで回してテイクダウン。すぐに立つ後藤のスタンドバックに回る後藤はアームロック狙いで祖根をひきはがす。  スタンド再開。サウスポーから右の三日月蹴り、さらに左ストレートを効かせる後藤! 足が泳いだ祖根にラッシュをかけた後藤はさらに右フック! ダウンした祖根はシングルレッグで立ち上がるが、そこにニンジャチョークを合わせる後藤。 祖根はいったん仰向けになってズラすが、ヒザをついて亀になって立ち上がろうとしたところに後藤はニンジャチョークを極めた。後藤は怒涛の5連勝をマーク。 ▼Road to ONE MMA フェザー級(※70.3kg)5分3R○工藤諒司(TRIBE TOKYO M.M.A)[1R 2分59秒 TKO]×椿 飛鳥(トライデントジム)  工藤諒司(TRIBE TOKYO M.M.A)と椿飛鳥(トライデントジム)が激突する。両者は2017年7月のアマチュア修斗関東選手権で対戦。決勝で工藤が椿に勝利し優勝を遂げている。  工藤は、青森県八戸市出身で小学生の頃からレスリングを始め、中学で柔道も経験。高校ではフリースタイルでインターハイ3位となり、国士館大学レスリング部に所属した。卒業後、同大の先輩だった安藤達也に連れられてTRIBE TOKYO M.M.Aに入門した。  2018年12月の修斗での久保村ヨシTERU戦のKO勝ち以降4連勝中で、2019年3月に内藤太尊に判定勝ち、10月に「ONE Warrior Series: 日本vs.世界」に参戦しジェリー・オルシムに判定勝ち、2020年2月のOWSでは韓国のイ・ミンヒョクに判定勝ちしている。  椿はOWS2勝1敗。2018年10月の初戦ではMMA9勝無敗のアゼルバイジャンのアンバー・アミルリに一本負けも、2019年2月のOWSで中国のゾウジャンコォルに判定勝ちすると、10月の日本大会でもカンボジアのロン・ラーに2R TKO勝ちと、2連勝を飾っている。遠い打撃の出入りと粘り強い組み技の椿と、持ち前の組み技に加え攻守ともにボクシングの成長を見せている工藤の2年9カ月ぶりの再戦は、両者の進化が問われそうだ。  1R、ともにオーソドックス構え。先に左ミドルは椿もそこに左フックを合わせた工藤が上体を崩してテイクダウン。金網際でパスガードでサイドを奪うと椿の背中をマットに着けさせる。細かいパウンドからマウントを奪う椿はサイドからアメリカーナ、肩固めへ。右腕を耳横に当てて防御する椿は腰をズラし、エスケープ。  立ち上がる椿を追う工藤は、右ストレート! 後ろを向く椿に背後から左、さらに連打に椿がダウン。パウンドにレフェリーが間に入った。3年ぶりの再戦も、実績で勝る工藤がきっちり返り討ちにした。 [nextpage] ▼Road to ONE グラップリング フェザー級(※70.3kg)10分1R(※判定無し)△宮田和幸(BRAVE GYM)[時間切れ ドロー]△田中路教(フリー)  宮田和幸はレスリング集団「BRAVE GYM」総帥。引退後も練習を続けグッドシェイプを保っており、内弟子との練習でもグラップリングでは引きを取らないという。 グラップリングでは、2016年3月の「GRANDSLAM 4」で金原正徳とドロー。2018年6月の「QUINTET Fight Night in Tokyo」では杉江“アマゾン”大輔を相手に側転パスガードからキムラロックを極めている。 【写真】レスリングの猛者だが柔道経験も豊富な宮田は左で差して引き手を掴んだ足技でテイクダウン。  対する田中路教は元UFCファイターで、現在LFAと契約。北米マット復帰前に実戦を望み、今回の参戦となった。ロータス世田谷などのMMAジムに加え、日体大のレスリング部でも練習を積んでおり、五輪レスラー相手に、現役MMAファイターとしてどんなグラップリングを見せるのか。  ケージでのグラップリングルール。ケージレスリングで金網に押し込んでのテイクダウンや、金網際でのバックテイク、あるいは金網を支点としてのエスケープなど、ピュアグラップリングとは異なる攻防にも注目だ。  右で小手に巻き内股で投げを狙う田中。宮田はそれに動じず防ぎ、左で差すと田中はケージ際に。柔道経験もある宮田はしっかり引手を引いて、足技で回して崩してバックテイク! 4の字ロックから田中のアゴを上げてチョークを狙う。バックからのエスケープが巧みな田中は正対する。  上を取るとクローズドを解いた宮田に激しくパスを狙うが、宮田も足を越えさせず。ケージに押し込む田中。宮田はバタフライガードから隅返しのようにスイープするがすぐに起き上がる田中に、宮田は下からオモプラッタ狙い。すぐに腕を抜く田中だが、再び宮田は下から腕を固めて回していく。  背中をつけても巧みなガードを見せる宮田。いったんクローズドに組むと、足を解く。側転パスを狙う田中に足を戻す宮田。ガードの中に入る田中。クローズドの宮田は下から右をオーバーフック。上体を離した田中は再び側転を狙うが足が効く宮田は越えさせず。ラバーガード狙いから糸通しを極めて残り1分でバックを狙うが、その際で腕を外して正対する田中。  下から宮田はハーフガードも田中は首を固め脇差しパスへ。宮田はシングルレッグに移行も、腹固めチョークを狙う田中。最後は腕十字を狙うも宮田も極めさせず。田中は最後までアグレッシブに攻め、宮田も44歳にして恐るべきグラップリングの強さを見せた。 ▼ムエタイ・ストロー級 56.7kg 3分3R〇HIROYUKI(日本)[KO 2R1分33秒]※右フック×ポン・ピットジム(タイ)  HIROYUKIは他団体との対抗戦に出場することが多い新日本キックの特攻隊長。2月2日の「MAGNUM 52」ではNJKFスーパーバンタム級王者・久保田雄太を相手に判定3-0で勝利している。  3月大会ではINNOVATIONバンタム級&ムエタイオープンスーパーバンタム級王者・岩浪悠弥との対戦も決まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大会が中止となっていた。前戦では「仕方なくやっている」という55.5kg契約で戦ったHIROYUKIだが、今回も試合2週間前オファーのスクランブル発進のため、さらに重い56.7kg契約で戦う。  デビュー時から在籍した目黒・藤本ジムの閉鎖に伴い、RIKIXに出稽古。WMC日本スーパーバンタム級王者の加藤有吾らとも練習を積んできた。今大会は、同じ大会に出場する先輩・緑川創とともに新チーム「Monster Guns」所属として試合に臨む。  対するポン・ピットジム(ポン・PITジム)は、元オームノーイスタジアムのランカーで、日本では2月のBOMに出場し、スーパーバンタム級(55.34kg)で鳩(TSK japan)と対戦。3R KO負けを喫している。今回の試合は、ケージでのONEムエタイルールで、ヒジ有り・3分3R・オープンフィンガーグローブ着用となる。  1R、HIROYUKIは右ハイキックで先制し、サウスポーのポンに左右ローを蹴っていく。ジャブから組み付いて鮮やかななコカしを見せるHIROYUKI。ノーモーションの右ストレートもクリーンヒットさせる。右ボディから組み付いたHIROYUKIが離れる際を狙い、ポンはヒジを振るう。  2R、HIROYUKIは左の前蹴りをボディに入れてから顔面にもヒットさせる。右インローを多用するHIROYUKI。ポンの左縦ヒジとHIROYUKIの右縦ヒジが同時に放たれたが、ヒットしたのはインサイドから打っていったHIROYUKIの方。直後にHIROYUKIが前蹴りを放ち、倒れたポンはダウンとなる。  このチャンスを逃さないHIROYUKIは一気に仕掛け、パンチ連打で最後は右フックでKO。HIROYUKIが勝利を飾った。 大会の模様はABEMAのビデオで視聴が可能。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント