RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプ(アンゴラ)がUFCと4試合の複数試合契約を締結したことを、ケイプが所属するジム・AKAタイランドが発表した。
本誌の取材では、ケイプはUFCが縮小していたフライ級で参戦を予定していることが現時点で分かっている。
契約前のインタビューでは、セフードのトラッシュトークについて「あれはフェイクだ。ナチュラルじゃない。俺はフェイクな人間たちは好きじゃないんだ。誰だって自然なことはそうとわかるけど、注意をひきたくてイージーなことをやってるだけ」と斬り捨てるなど、早い段階からUFCを意識していたことがうかがえる。
UFCとのサインは、AKAタイランド本部の事務所で行われ、元UFCファイターで同ジム主宰のマイク・スウィックらが見守るなか、ケイプは4試合の複数試合契約にサインをしている。
AKAは、「UFCとの大型契約にサインしました。これは彼がどれだけ頑張ったかの証だ。我々は彼をとても誇りに思うし、どれだけやれるか期待している」と記している。
ケイプは2019年大晦日に、堀口恭司が負傷欠場し返上したRIZINバンタム級王座をかけて朝倉海(トライフォース赤坂)と対戦。2R 38秒、右ストレートで海からダウンを奪いパウンドでTKO勝ち。王座獲得に成功し、約1年半越しのリベンジを果たしていた。
2020年2月22日の『RIZIN.21』浜松アリーナ大会前にも来日し、大会前日には朝倉未来との対戦をアピールしていたケイプは、大会当日にリングイン。ファンの前で、「今回は格闘技のファミリーを連れてきました。ここRIZINは家に帰ってきたという気持ちです。バンタム級で王者の務めを果たしますが、新しい挑戦として、たとえばフェザー級でもキックボクシングでも、新たな挑戦があるかもしれません」と階級やルールを越えた試合にも意欲を示していた。
一般的にファイターは契約した試合数を消化すると独占交渉期間に入り、その間は他団体とは交渉することが出来ない。今回の契約は、さまざまな条件の隙間を突いた形となる。
RIZINでは2020年1月にRIZINライトヘビー級王者イリー・プロハースカ(チェコ)が王座を返上し、UFCと契約。RIZINの榊原信行CEOは自身のツイッターで「我々は彼の意思を尊重し、快く送り出します。今後も変わらずイリー選手への応援を宜しくお願いします」と、後押しするコメントを発表しているが、現在のところプロハースカの試合はまだオクタゴンで組まれていない。
世界に感染拡大する新型コロナウイルスの影響もあり、大会数が激減している格闘技界。UFCはフライ級戦線を縮小しており、どれだけケイプの活躍の舞台が用意されるか。また、ケイプが返上することになるRIZINバンタム級のベルトは、新たに王座決定戦が組まれることになるのか。
UFCフライ級は、2020年2月29日に王者ヘンリー・セフードがバンタム級に専念するため王座を返上。1位にデイブソン・フィゲイレード、2位にジョセフ・ベナビデス、3位にジュシー・フォルミーガ、4位にアレクサンドル・パントージャ、5位にブランドン・モレノ、6位にアスカー・アスカロフ、7位にRIZINにも参戦したカイ・カラ・フランスがつけている。
RIZINバンタム級戦線はどうなるか。ケイプが持つベルトに挑戦が決定していた扇久保博正、ケイプへのリヴェンジを誓っていた朝倉海、さらに堀口恭司、石渡伸太郎、水垣偉弥、佐々木憂流迦、元谷友貴ら強豪日本人選手が揃っている。
さらに2月浜松大会で金原正徳にTKO勝利したビクター・ヘンリー、トレント・ガーダムに判定勝利した井上直樹、RIZINデビュー戦で鮮烈一本勝ちした金太郎も存在感を示し、大晦日「RIZIN.20」で元谷にギロチンチョークで一本勝ちしたパトリック・ミックス、8月大会で祖根寿麻からダウンを奪って勝利しているジャスティン・スコッギンスらも名を連ねている。今後の動向に注目だ。