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3月18日(水)東京・武蔵野市のクロスポイント吉祥寺にて、3月22日(日)「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~」(さいたまスーパーアリーナ)でのスーパー・ライト級タイトルマッチで、王者・安保瑠輝也(team ALL-WIN)と対戦する挑戦者・不可思(クロスポイント吉祥寺)が公開練習を行った。
決戦の4日前、追い込みも終え、減量と調整の真っただ中にも関わらず、軽快な動きで左右のミドルやヒザ蹴り、そしてK-1参戦以降磨いてきたパンチのコンビネーションを打ち込んでいった不可思。「仕上がりは間違いなく過去最高に良いっすね」と大一番を前に最強の自分を作りあげてきた。
不可思はK-1参戦以降、それまでの5R中心の戦いやムエタイのリズムから、動きの止まらないK-1のリズムに適応するためにファイトスタイルそのものをアジャストしてきた。「K-1に参戦してからちょっとづつK-1の戦い方やリズムに合わせていって、それが出来上がってきた。今度の試合は前回(大和哲也戦)以上にK-1の戦いにフィットしたところを見せれるんじゃないかなと思います」。
K-1 JAPAN GROUPを主戦場に戦い続けチャンピオンに登り詰めた安保と、自らを“外敵”と称してK-1に乗り込んできた不可思のタイトルマッチ。普通に考えれば安保を応援するK-1ファンが多いはずのシチュエーションだが、不可思に勝ってほしいという声も大きい。K-1参戦からわずか3試合で、不可思は多くのK-1ファンの心を鷲掴みにしてきたと言っていいだろう。
「理由が自分ではっきりこれだっていうのは分からないですけど、自分が試合で見せたいと思ってることと、K-1のファンが見たいと思っているもの、楽しんでくれていることが少しは合ってたから、そうやって応援してくれるK-1ファンの方もたくさんいてくれるんだと思います」。
K-1参戦前から安保のことを戦いたい相手として挙げていた不可思は「派手な試合が多くて面白いですし、試合を通してお客さんを楽しませようと意識している選手だなと思っていました」と試合内容はもちろん、自分自身の哲学とも共通するところがあると感じている。その後、安保はゲーオとの2戦を経てK-1王者という立場になったが、かつての爆発力は鳴りを潜めた。
不可思は「安保選手の爆発力を消すだけゲーオが上手かった」と分析したうえで「飛び道具というか、二段蹴りや胴回し回転蹴りだたり分かりづらい技がある」と大技を警戒。「自分も安保選手の良さは引き出させずに勝ちたいです」と勝利への執念を窺わせる。
先に行われた公開練習で安保は不可思の能力を5段階評価で分析してきた。その中で「メンタルは星5つ超えてる」と精神面を高く評価したが、スピードに対しては2と酷評した。そのスピードは不可思がK-1で戦って行くために特に強化してきた部分であり、そのためにボクシングで内藤大助や比嘉大吾といった世界王者を育てた野木丈司トレーナーの指導も仰ぐようになった。
「安保選手の公開練習は見てないですけど、スピードはやっぱり練習で意識してますね。K-1に来てからは特に意識して、そこは上がってきてるかなって感じが自分でもしてます。K-1に来るタイミングで野木さんの指導を受け始めたんですけど、それがやっと身について形になってきたかなっていうのを一戦一戦感じていて。今回は野木さんも『本当に強くなってる』と言ってくれてるぐらい良い形になってきてるんで、自分でも本当に楽しみっす。やっぱK-1の試合はパンチが出来ないと駄目なんで」
今回勝てば不可思にとって6本目のベルトということで“ベルトコレクター”といい言われ方もしているが、不可思は「やっぱりK-1チャンピオンという名前は世間的に知名度も高いし、K-1のベルトを獲りたい気持ちも大きいけど、ベルトがかかっていてもかかっていなくてもやることは結局変わらない」とベルト自体に執着しているわけではない。
安保は「不可思選手にとっては数あるベルトの中の6本目でも、俺の中では唯一無二のベルト」と王座防衛に燃えていたが、不可思は「単なる6本目とかそういうところじゃなくて、K-1に来てベルトを獲ることは1つの結果を出すということ。ベルトが何本目だから凄いとかそういう考えは僕にはない。K-1に来た1つの形として獲りたい」のK-1のベルト=K-1での自己証明だと考えている。
最後に「お客さんが盛り上がってほしいですし、文句のない勝ち方でK-1のベルトを獲りたい」と昨年参戦を決意したきっかけとなった「K'FESTA」で戦う意気込みを語った不可思。過去最高と語る充実振りと進化したスタイルで安保を破り、K-1に来た証としてベルトを手にすることが出来るか?