2020年3月22日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~』に出場する、K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者・安保瑠輝也(team ALL-WIN)が公開練習を行った。
KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王者・不可思(クロスポイント吉祥寺)の挑戦を受け、2度目の防衛戦に臨む安保は2019年6月、ゲーオ・ウィラサクレックを延長戦の末に判定で破り、第4代王座に就いた。12月28日にはゲーオを相手に初防衛戦を行い、またも延長戦の末に判定勝ち。わずか3カ月のスパンで防衛戦を行うことになった。
東京での追い込みを終え、帰阪したばかりという安保は兄・洸輝の構えるミットへパンチとキックのコンビネーションを素早く打ち込み、調子の良さを伺わせたが「自分なりに良い動きができていたとは思わない」とコメント。「追い込みも終わったばかりで、減量も終盤にかかってます。ただ試合の時には100%に持っていくので心配ない」と、いつもと変わらぬ試合前の体調であると話す。
K-1の王座戴冠を目指し、結果として「vsゲーオとの1年」になった2019年。自身の成長を感じながらも僅差の判定が続き、歯がゆい1年だった。「2回ともゲーオに勝ったので強さの部分では成長していると思います。ただK-1は倒し合い。僕も“デモリッションマン”というニックネームもつけられてますし、それを見せられなかったことは悔しいです。チャンピオンになりましたけど、悔しい部分ではあります」と1年を振り返り、試合内容にも満足していない。2019年は佐々木大蔵戦、ゲーオとの2試合をして決着は全て判定に終わり、持ち前の攻撃力がなりを潜めた。
「もどかしかったですね。試合が終わってチャンピオンになって嬉しい気持ちもありましたし、周りも祝福してくれるんですけど…分かりやすい派手な結果で終わらせたかったのもありますし、ダイレクトリマッチをお願いして実現したんですけど、また同じ結果になって。すごい悔しい気持ちはあります」
二度目の防衛戦となる2020年初戦の相手に抜擢されたのがK-1・Krushで2連勝中の不可思。「スーパー・ライト級のチャンピオンとしての仕事ができる相手と思ってますし、自分の良さを出せる相手と思っているので自分自身すごく楽しみですね」と不可思を評価する安保。不可思は昨年6月にK-1参戦を果たすと、初戦の佐々木大蔵戦こそ敗れたもの12月大会では地元名古屋のベテラン、大和哲也をKOで下し今回の挑戦が決まった。
両者顔を合わせた記者会見では、どこか余裕すら感じられた安保だが「余裕とは思っていない」と一切の油断はなし。試合が決まり相手選手を分析するという安保はパワー、スピード、テクニック、フィジカル、メンタル、5つの要素を5点満点で評価・採点。
「パワーは山崎(秀晃)選手の方が強そうなのでたぶん3。テクニックもゲーオや佐々木選手の方が上だから3。スピードは普通より遅いから2。フィジカルはそこそこ強いから4」と細部に渡り評価し、一番の警戒部分は「メンタル」だと分析している。
顔面が流血に染まった佐々木戦しかり、剛腕の大和を相手にしても前へ出続ける試合が評価されてかと思いきや、その理由は動画配信番組で企画されたドッキリ番組にあったようで「ドッキリを仕掛けられても動じなかった。メンタルは星5つ超えてるな、やばいなと。そこだけは警戒してますね(笑)」と、冗談を交えながら解説。
仕切り直して今回の意気込みを話す安保は「チャンピオンではあるんですけど、チャンピオンとしての仕事ができていないと自分でも思っているので自分の仕事をしっかりやる」と、王者としての自身の立場や役割を改めて強調した。
不可思戦の勝利を約束する一方、その後のビジョンを聞くと帰ってきたのは複数階級の制覇を狙う夢だった。「不可思選手を倒したら今すぐ試合できる選手はいない印象。他のトップ選手にも勝っていますし、ここはしっかり倒してスーパー・ライト級王者の絶対的な存在を印象付けたら2階級、3階級制覇っていうことも考えていける」と話す。
「K-1王者としてK-1の強さを見せつける」と締めくくった安保。2020年初戦、防衛戦でありながら更なる飛躍への試金石ともなる一戦で、ファンを魅了する大胆な攻撃とその破壊力は復活するのか。絶対王者としての道のり、自身の夢へ続く安保にとっての新たな1年が始まろうとしている。