ボクシング仕込みのパンチをミットに打ち込む佐々木。K-1トーナメント第3位のババヤン撃破なるか
2020年3月28日(土)東京・後楽園ホール『Krush.112』に出場する、Krushバンタム級王者・佐々木洵樹(POWER OF DREAM)が9日(月)都内所属ジムにて公開練習を行った。
佐々木はK-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント2019第3位サンベル・ババヤン(アルメニア)を挑戦者に迎え、初防衛戦に臨む。
元プロボクサーで、OPBF東洋太平洋フェザー級13位、日本フェザー級7位になった実績を持つ佐々木。2019年2月からKrushに参戦すると蹴り技も見せて林勇汰に判定勝ち、7月のKrushでは晃貴と第4代バンタム級王座決定戦を争った萩原秀斗にKO勝ちし、11月には晃貴を判定で破り、僅か3戦目にしてKrushバンタム級王座に就いた。
公開練習ではボクシング仕込みの得意なパンチを軽快なフットワークと共に披露。「調子は凄くいいです。年明け前からずっと追い込みをしていたので今では凄くいい」と、早くから初防衛戦に備えて練習を続けていたということで絶好調宣言。
ババヤンについては「研究すればするほどいいところがいろいろあるいい選手ですね。タフだし、気持ちが強い。蹴って良し、打っても良しで、気を付けることもハッキリしています」と評する。「晃貴選手とのタイトルマッチをやるくらい前から話は出ていたので、もしやったらどうなるんだろうって意識はしていました」と、王座を奪取する前から意識していたという。
「サウスポーの左フックは見えない部分がありますが、イメージしてやっています。あと左ハイキックも僕に届いてくるのかなって楽しみがあります」と、左フックと左ハイを警戒。左ハイに関しては「当たらない練習をしています。練習で武居(由樹)選手のハイキックをもらっているので、もらい慣れているというか(笑)。その分、警戒もしています」と、武居のハイキックに慣れているためもらわない自信がありそうだ。
ババヤンは2019年6月に開催された『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント~』に出場し、1回戦で晃貴(判定勝ち)、準決勝で玖村将史(判定負け)と対戦している。この2試合とも前蹴りで近付けない場面が見られた。
「ババヤンはリーチ(の短さ)が弱いところなので、前蹴りを使いつつ何かするってイメージはしています」と、佐々木も前蹴りを駆使すると言い、「あれだけガードを高く上げている分、ボディは打ちやすい。ガードの上からでも叩いていこうと思います」と、やはり晃貴と玖村も攻めていったボディを狙うとする。
しかし、「パワーオブドリームはボディ打ちがみんな上手いけれど、自分はまだまだなので、ボディを効かせつつやります」と意外にもボディ打ちはそれほど得意ではない、とも。「ボクシング時代に練習していたんですが、ボディでどうこうはなかったんです。パワーオブドリームに来て会長に教わるようになってから、身に着いてきたって感じですね」
穴はいくつか見つかっているようだが、とはいえババヤンはタフだ。「タフだと思います。気持ちが強いですね。そこはもちろん警戒していますが、ボクシング時代はタフと言われる選手と何回もやっています。蹴りを交えつつKOしたい。いや、KOします」と、タフな相手とは戦い慣れていると言い、KO宣言も飛び出した。
ボクシング時代にはタイ、フィリピン、韓国と外国人選手との対戦経験もある佐々木だが、アルメニア人選手とは初。そのことを聞くと「まずアルメニアのイメージが付いていないので、試合前に調べてみようと思っています。ババヤン選手のことは研究していますがアルメニアを調べていないので」ので、まずは国を知ると変わったことを言う。
記者会見では「倒すイメージも固まっているので、これからずっとイメージを固めて練習をやっていきたい」と言っていたが、「まだ完璧にはなっていないんです。寝る前に意識して起きた瞬間にイメージして、そのイメージのままやるといい感じになるのでそれを続けようと思っています」と、もっといいイメージを作っている最中だ。
また、前回はスーパー・バンタム級だったが、今回のバンタム級の方がババヤンは適性体重だということで「そこは警戒しています。適性大樹でやった方が動きやすいと思うし、スピードも上がってくると思うので楽しみです」と、むしろ楽しみの方が大きそう。
自身の蹴りについては「必死にやっています。まだまだなところもあるので。でも蹴りを意識していればパンチは自然と出るので。蹴りで距離感を意識してやっている最中です。ここの選手の蹴りを見ながら真似しています。難しいですがバリエーションは増えていると思います」と言い、得意な蹴りは何かと聞くと意外にも「カカト落とし」との答え。
「カカト落としを練習しています。2戦目に出して不発だったんですけれど(笑)。『あれはカカト落としだったの?』と言われてしまいました。アンディ・フグが好きだったので、子供の頃から真似してやっていました。距離感が合えば今度も試合でもやりたい」と、憧れのK-1ファイターだったアンディ・フグのように使いこなしたいと笑った。
パンチに関してはボクシング時代に培った技術をそのまま応用しているかと思えば、「それこそ古川会長に言われた打ち方でやっています。強く打つパンチを少しずつ覚えてきたところです。長丁場(ボクシング)と短期決戦(K-1、Krush)の違いがあるので。ただ、キックボクシングの距離でパンチを打つ方が自分には合っていると思います。パンチで倒せているので」と、アレンジを加えている。
初防衛戦のプレッシャーに関しては「2月のKrushを観戦して、鈴木雄三選手と佐々木大蔵選手の試合を見ました。鈴木選手がベルトを返還した時に、あの瞬間は嫌でも“絶対に撮られたくない”と思っちゃうだろうな、と思いました。そこもイメージに付け加えましたね」と、タイトルマッチを見たことで参考になったとする。
「こういう状態(新型コロナウイルスの影響)ですが、ダイレクトメッセージやLINEでたくさん今回も連絡をもらいます。気にかけてくれる人が一人でもいてくれたら、モチベーションが上がりますね」と、応援が励みになっているという佐々木。「向こうもこの一戦に懸けてくるでしょうから、焦らず、自分のスタイルを貫いてやりたい」と誓った。