2020年2月24日、東京・ニューピアホールにて、「DEEPフューチャーキングトーナメント2019」が行われ、ONE Championshipで3連勝中の平田樹の兄・平田直樹(K-clann)がフェザー級で優勝した。
直樹は1回戦で、渡辺純(リバーサルジム立川ALPHA)の打撃を受けてアゴを骨折しながらも、得意の柔道の内股でテイクダウン、腕十字で一本勝ちを極めると、準決勝では日大レスリング部で活躍した岩永翔吾(MAXI GYM)を三角絞めにとらえるなど判定勝ち。決勝戦は日比野純也(ISHITSUKA MMA)が棄権したため、優勝を決めた。
右の顎が折れていました。
— 平田直樹 Naoki Hirata (@h_naoki_mma) February 27, 2020
来週手術、入院します。
しっかり治してもっと強くなって帰ってきます!! pic.twitter.com/9uGuIxkORw
ケージサイドからは、兄の試合を妹の平田樹が見守り、大きな声でアドバイスを送っていた。もともと小学生のときに、講道館・春日柔道クラブに入門した兄・直樹を追って、妹の樹も柔道を始めている。
平田樹とは...
— masami.h (@masamih7) December 16, 2018
小1 講道館・春日柔道クラブに入門
兄の練習に毎日付いて行く為、友達と遊ぶ時間がなかった。それなら、道場で友達作くればいい!とナイスアイデアで入門。柔道を始めたきっかけとなりました。
小4~6、東京都強化選手。体は小さいながら団体のメンバー。小5の全国大会では重量級で出場 pic.twitter.com/3B07n25JPN
1回戦でアゴ骨折の重傷を負いながらもピンチを凌いだのは、柔道の投げだった。
「初戦の最初でいきなりいいのをもらっちゃって、ちょっとグラついて、その後、ヒザも入って、アゴがメチャクチャ痛くて、テイクダウンして後、これを逃したらまずいなと感じていました」
国士舘高校時代に柔道で体重別で団体戦に出場するなど活躍。その後も名門・国士舘大学柔道部に進んだ。
内股は「練習の時からやっていた技が出ました。柔道時代から寝技が好きで、最近は柔術も初めて、寝技だったら誰にも負けないという気持ちでやっています」と直樹は言う。
樹も、「1試合目はほんとうに死んだかと思いました(苦笑)。マジに1発ジャブをもらったときに、アゴが上がって『ヤバイ、死ぬ』と思って、心配しました。その後、蹴りもヒザももらって、ドキドキして、『寝技に行け』と思っていました。兄の寝技は自分も教えてもらうことが多いです。打撃をもらって以降は、自分のペースで試合が運べているなと感じていました」と、激戦を振り返る。
初戦を「一本で勝ててよかったです」と言う直樹は、「1試合目を終えたら、樹が笑っていて、こっちはそれでどころじゃないよって」と苦笑する。
2試合目は、2010年全日本学生選手権 男子フリースタイル66kg準優勝などの実績を持つ岩永翔吾のテイクダウンに三角絞め、腕十字を合わせるなど判定勝ち。
「2試合目は、右のアゴだけガードしていました。大きなアンコのグローブでちょっと寝技もやり辛かったです。三角絞めがいいところに入っていたのですが、相手も結構こらえていて、ちょっとケージの場所が悪かったのと、決勝戦のことも考えて、(力を使いすぎず)このままいこうかなと思いました」と、負傷のなかで、しっかり得意の寝技で勝利を掴んだ。
DEEPのフューチャーキングトーナメントは、これまで青木真也、菊野克紀、北田俊亮、中村大介、大塚隆史ら、多くの強豪選手を生み出したアマチュア大会。今後は本戦での活躍が期待される。
直樹は、「これから打撃も頑張っていきます」と課題を語り、『格闘代理戦争』を経て、先にONEでプロデビューを果たした樹について、「もちろん応援していますけど、負けられないと思いますし、追いついて、いつか追い越さないといけないなと思います。互いに切磋琢磨して頑張っていきたいです」と語った。
兄の優勝を見届けた樹も、「練習も朝から晩までずっと一緒にやっています。兄に追い抜かれないように、走り抜くだけです」と嬉しそうに語った。
直樹と樹は、世界で活躍するMMA兄妹ファイターとなるか。今後に注目だ。