2020年3月22日(日)さいたまスーパーアリーナ『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~』で、第3代Krushライト級&第4代スーパー・ライト級王者・山崎秀晃(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と対戦する寺島輝(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)が公開練習を行った。
寺島は極真空手・伝統派空手出身で2019年4月のプロデビューから4勝3KO無敗のホープ。前回は11月のKrushでクォン・ギソプを破り、初の国際戦に勝利している。多彩な蹴り技と攻撃力を持ったスーパーライト級の新鋭だ。
この日はTANG TANG FIGHT CLUB時代から慕い続ける先輩の大沢文也がオープンしたばかりのJOKER GYMで公開練習を行い、2分1Rのミット打ちではスピーディかつ軽快なパンチのコンビネーションミットを披露した。
「いつも通りコンディションもバッチリで減量も順調なんで、良い感じで試合まで進めている」と寺島。大沢が「輝のためにも」と設立したJOKER GYMという“我が家”を得て「文也くんにマンツーマンで練習を見てもらって、練習環境ももちろん良くなってますし、2人で色々と作戦を話し合って練習できています」と充実した日々を送っている。
寺島の次戦がJOKER GYMとしての初陣ということもあって「JOKER GYMの最初の試合を自分が任されてるんで、文也くんのためにも負けちゃいけない試合だと思ってますし、負けられないなと思います」と勝利へのモチベーションにもなっている。
K-1 JAPAN GROUPでは新星の如く現れた印象のある寺島だが、幼少期から極真空手で数々の実績を残し、高校3年間は父親の勧めもあって伝統派空手の道へ。当時からプロやK-1での戦いを見据えて、オリンピック代表候補も輩出している強豪校で伝統派空手を学んだバックボーンを持っている。
「僕が通っていた高校は偉大な先輩方がいる高校なんですね。言ってしまえば…ちょっと弱い公立高校で3年間過ごしても良い経験にはならないなと思って、全国の強い高校に入ろうと思いました。伝統派空手を始めたのはK-1やキックボクシングで勝つためで、同期からすれば迷惑な話かもしれなかったですけど、僕はキックボクシング式の蹴り方でやってました。そのおかげで空手からキックに行く時にあまり不自由なく行けたってのはありますね。
(極真と伝統派を)両方とも経験してるんで、キックに転向した時にあんまり怖さがなかったというのもありますね。空手から始めた人はやっぱり顔面パンチを怖がったりというのがあるみたいなんですけど、僕は最初からあんまり怖くなかったです。僕みたいに(極真と伝統派の)バックボーンを持った選手は自分ぐらいだと思うんで『こいつ面白い選手だな』って言われるぐらい、ガンガンいい成績を残していければなと思います」
高校を卒業した寺島はTANG TANG FIGHT CLUBに入門。TANG TANG FIGHT CLUBを選んだのは「文也くんと“狂拳”(竹内裕二)選手との試合を見て、この人カッコイイなと思ったのが一番」という寺島だが、「文也くんは自分のスタイルを崩さないように教えてくれた」と、大沢の指導方針も寺島のスタイルに合っていたと語る。
「最初から文也くんは僕のスタイルを崩さないように教えてくれたんです。自分のやりやすいように、アマチュアの時から今のファイトスタイルをそのまま築けるように。だからTANG TANG FIGHT CLUBに入ってアマチュアで教わってる時から、全然型にハマった教え方はされなかったんですごくありがたいですね。僕はけっこう我流が多いんですけど、その我流を突き進めた感じですね」
極真と伝統派のハイブリッド。「自分が求めている唯一無二の形を創りたい」という寺島だが、思い描く完成形は遥かなる高みにある。
「僕の中だと本当にまだ半分ぐらい。自分の中での完成形としては半分も行ってないと思います。自分が今求めている形としては唯一無二の形にしたいですし、そういう形を創りたい。全然まだまだ、出来上がるとか言葉にもなってないぐらいの状態かなと思っています。
伝統派空手を活かせば遠い距離が得意になると思いますし、極真空手を活かせば出来るだけ近距離の戦いも出来る。僕は近距離でも長距離でも、ミドルレンジの中距離でも、どの距離でも圧倒出来るような、自分が当てて相手に当てさせないような戦い方が理想ですね。(デビューしてから4戦も)どの距離でも戦えるようにやってるんで、その形が少しずつ試合で出てきてるのかなとは思います」
対戦相手の山崎も寺島と同じ伝統派空手をバックボーンに持っている。「アマチュアの時から見てた選手なので拳を合わさせてもらえるのは素晴らしいことだと思いますし、山崎選手から『拳で伝える』と言われて“重み”も感じます」と山崎へのリスペクトを示す寺島だが、「相手が山崎選手だからって特別なことはなく、いつも通りの追い込みをして、いつも通りのメンタルでやろうと思ってます。今回の『K'FESTA』に出る選手の中で、一番楽しんで試合が出来たらいい。僕は変わらず楽しんでくだけかなって思ってます」と平常心で試合に臨み、山崎との試合を楽しみたいと笑顔を見せる。
会見では「絶対に負けないという断固たる決意を試合までに固める」と語っていたが、現在は負けないというメンタルだけでなく、勝利への確信に近いイメージも出来上がっている。
「記者会見の時から日にちも経って、大分僕の中では固まっているものがあります。山崎選手と僕を比べて、僕が勝っているところで勝負すれば、自ずと僕に勝ちが傾いてくると思う。そういう戦い方が出来れば面白いんじゃないかなと思ってます。
(具体的にそれを挙げるとすれば?)スピードなんかは基本的には僕が勝ってるんじゃないかなと思います。ハンドスピードの話ではなくて、ステップワークや出入り、外すといった動きのスピードは僕の方が勝ってるかな、と。まあ全部は言わないですけど(笑)、そんな感じで自分の中で色々と文也くんと作戦練ってます。(スピードで翻弄する?)色々作戦を練って翻弄するまではいかないかもしれないですけど、翻弄する部分は翻弄してって形で出来ればやっていきたいですね」
また埼玉出身の寺島にとって『K'FESTA.3』は地元・埼玉で迎える大一番でもある。そんな一戦を前に「僕は埼玉出身ということもあって、さいたまスーパーアリーナはすごい思い入れの深いところです。小学生の時に空手で試合したこともあるし、その場所に戻ってきたという印象もあります。だから自分が一番リングの中を、お客さんよりも楽しみたい。そんな楽しんでる姿を見せられればお客さんも楽しめるのかなと思います」と、改めて“試合を楽しむこと”をテーマに掲げた。