パンチもキックも空手仕込みの破壊力がある山田。試合中、決して乱れない七三分けがトレードマーク Photo(C)RISEクリエーション
2020年2月23日(日)東京・後楽園ホール『RISE 136』で、NJKFウェルター級王者&S1ジャパントーナメント65kg級王者・中野椋太(誠至会)との王者対決を行うRISEスーパーライト級王者・山田洸誓(正道会館KCIEL)のインタビューが主催者を通じて届いた。
正道会館の空手家である山田は昨年7月から開催されたRISEスーパーライト級王座決定トーナメントに参戦。準決勝のタップロン・ハーデスワークアウト、決勝の山口侑馬を破り10戦無敗(7KO)でRISE王座を獲得した。
戴冠後のマイクでは元RISEラウンドガールと結婚していたことを明かし、“ベルトもラウンドガールも射止めた男”として話題に。パンチ、蹴りともに空手仕込みの破壊力があり、どの技でも倒せる強さを持つ。
■勝負飯はおでん
──減量の方は順調?
「(試合6日前の時点で)あと1kgなので、問題はないです。いつも通り、ナチュラルな感じで。今回は落とすのがちょっと早いので、夜も飯を普通に食べています」
──昨年9月、山口侑馬を2RKOで下して、RISEスーパーライト級王者になりました。それ以来、5カ月ぶりの一戦となります。
「ハイ。ただ、僕的には試合間隔が空いたというのはないです」
──去年は3戦3勝(2KO)と、デビュー以来の全勝記録を守りました。2019年という1年を振り返ってみてどうだった?
「自分的にはタイトルマッチに絡む試合が7月から始まり、一回戦のタップロン戦であまりいい試合ができなかったんですけど、それでも何とか勝つことができました。その時点でもう目の前にはチャンピオンベルトがある状態だったので、『絶対にこのチャンスを活かしたい』と思いました。その結果、しっかり練習して、結果を残すこともできました。結構飛躍できた1年だったんじゃないですかね」
──以前はRISEのベルトを獲ることをひとつの目標にしていましたよね。
「ハイ。2018年にインタビューを受けた時もそう言ったと思います」
──ひとつ目標がクリアされた現在、新たな目標を立てた?
「たぶん(ファンや応援してくれる人たちは)いっぱい見てくれていると思うので、チャンピオンになったからにはチャンピオンとしての立ち振る舞いだったり、試合の見せ方を意識して闘っていきたいです。今年WORLD SERIESは僕の階級ではなかったけど、大きな大会には挑戦していきたいと思います」
──今大会のメインで王座防衛戦を行う“ブラックパンサー”ベイノア選手は「今年はお互い海外勢や他団体のチャンピオンを倒して、来年WORLD SERIES決勝で会おう」とエールを送っていました。
「本当ですか! そういうWORLD SERIESが実現したら面白いと思いますね。僕らはどちらとも空手出身のせいか、『ベイノア選手とはどう?』と聞かれたりすることもあるんですけど、あんまり意識しなくて(微笑)」
──お互いそうかも。
「多分そうだと思います。別に意識していないわけでもないけど、『同じ舞台を盛り上げていこう』という意識の方が強いんだと思います。ただ、今回メインはベイノア選手なので、盛り上がりを持っていかれそうで怖いですよね(微笑)。自分はセミファイナルだけど、しっかり盛り上げたいという気持ちはあります」
──今回対戦する中野椋太選手の印象は?
「初めて中野選手の試合を見たのは、昨年7月の対憂也戦でした。それ以前に僕も憂也選手とやっているけど、一番あずった(焦った)試合だったんです。そんな憂也選手を中野選手は1RKOで倒したわけですからね。『強いな』と思いました。しかも、顔はイケメンやし、NJKFのチャンピオンにもなっているじゃないですか。そんなことを思っていたら今回オファーが来たので、すぐ『おっ、いいな。やりたいな』と思いました。僕は弱い選手より、強い選手とやる方がいいです。自分もチャンピオンになったので、これから当たる選手はたぶん強い選手ばかりだと思いますけど」
──闘い方の印象は?
「ムエタイスタイルですよね。普段は僕より重い階級でやっているので、フィジカル面での対抗はちょっと難しいと思うので、技術面やスピードで勝っていきたいです」
──チャンピオン同士の一騎討ちという部分も意識する?
「そうですね。やっぱりRISEを背負っているので、勝ちにはこだわりたいと思っています」
──どんな試合をイメージする?
「やっぱり倒したいですね。それは自分の中にずっと置いている目標なので」
──ラウンドに関係なく、チャンスが来たら行く?
「そうですね、絶対。とりあえず最初は見てというのは僕の性に合わないです」
──話は変わりますが、今年3月には初めての子供が産まれると聞きました。
「そうなんですよ。妻はもう臨月なので、僕が試合をやっている時に産まれてもおかしくないんです。家族のためにも頑張りたいです」
──昨年3月には地元愛媛県新居浜市に正道会館KCIEL(カシエル) を立ち上げたと聞きました。
「そうですね。ちょうど産まれるくらいがオープン1周年だと思います。いまのところ順調にきています。子供の道場生の応援は大きな力になっています。残念ながら今回は新型コロナウイルスの影響で『応援に行きたいけど行けない』という感じですけど」
──以前、RISEのラウンドガールをやられていた妻・七夕(なゆ)さんからの励ましは?
「嫁はそういうのにノータッチなんですよ。『調子どう?』程度で、『絶対勝ってよ』みたいな言葉はないんですよ」
──ちなみに山田選手の勝負飯は?
「自分の従兄弟が埼玉のほうに住んでいて、毎回上京した時にお邪魔させてもらっているんですが、その時におでんを作ってくれるんですよ。そのおでんが美味しくて、最近は大会前日にそれを食べることがルーティーンになっています。野菜やたまごも食べられるし、いいですよ、おでんは」
──昔は計量後、肉をすぐ食べる選手も結構いました。
「僕も昨年7月のタップロン戦の計量後すぐ肉を食べたら、胃がおかしくなったんですよ。苦戦した理由はそれだけではないですけど、みんなに申し訳なかったと思います」
──そういう反省も活かされているわけですね。今回も“鋼鉄の七三分け”が乱れることはなさそう?
「そうですね。いつも通りにガチガチにセットしていきます(微笑)」
(聞き手◎布施鋼治)