2020年2月16日(日)東京竹芝のニューピアホールにて「プロフェッショナル修斗公式戦」が開催される。
現在開催中の女子スーパーアトム級初代王座決定トーナメントにエントリーしていた梅原拓未(GRABAKAジム)が第1試合に登場。対戦相手は、アマチュア修斗を経てプロ修斗デビューとなる中村未来(マルスジム)。計量を終えた両者に意気込みを聞いた。
キャリア初期の2013年のJEWELS時代には1勝2敗と強豪相手に苦戦した梅原だが、2018年の『格闘代理戦争』でMIOと接戦、いちごみるくに判定勝ちするなど活躍。3歳から柔道を始め、菊田早苗、ランバーソムデートM16の指導も受けるなど組み技に加え、空手、ムエタイの経験もある。トーナメントでは韓国のイ・イェジに2R TKOで1回戦敗戦となった梅原だが、早くも再起戦に挑む。
「イェジ戦で圧倒的に負けてしまって、すごく悔しい思いをしたので、身体を強くしたいと思って、フィジカルを強化してやってきました」という梅原は、所属のGRABAKAジムに加え、トライフォース赤坂でも出稽古に臨んだ。藤野恵実(FIGHT FARM)、杉山しずか(Me,We)ら強豪が集う、同ジムで「みなさん強くてボコられましたが、苦手な打撃でボコられ慣れてきました」と梅原は苦笑しながらも手応えを語る。
「昨年から試合で殴られて殴られ負けることが多かったので、もうビビらずに、自分からガツガツいけるようにしたいと思っています」、と中村戦で打撃戦も辞さない構えだ。
『格闘代理戦争』ではMIOと接戦、いちごみるくに判定勝ちするなど活躍したが、同番組からは、平田樹を筆頭に、世界へと飛び出した選手も現れている。
「格闘代理戦争出身の選手たち、みんなすごいですよね。追いつけるように頑張ります」と、巻き返しを誓う。
対する中村未来(マルスジム)は、2019年全日本アマチュア修斗アトム級(-47.6kg)準優勝の札幌のストライカー。剣道ベースの中村は、ネイリストとしての経験も持つ異色のファイターだ。
小学生の頃にやっていた剣道では右足前のサウスポー構えだったため、強豪ファイターに多い右利きサウスポーで戦うが、格闘技のバックボーンは無いという。
「ボクシングとか打撃に関してはちょっと興味はあったんですけど、総合格闘技は全然興味が無く、当初はフィットネス感覚でダイエットクラスで軽く始めた」が、寝技での出げいこやミット打ち、女性選手とスパーリングをしていくうちに「気づいたら、あっという間に格闘技にハマっていきました」と語る。
全日本アマチュア修斗に出場したのは、「総合格闘技を始めてすぐに代表(平大門氏)から『実力を試したらどうだ?』と言われて。総合を始めた年は怪我をしてしまって出られなくて、1年越しで2019年に出ることができました。初めてのケージでしたが、リングよりは、こっちのほうが周りから隔離されて落ち着いて戦えるな、と思いました」と、集中して戦えたことを語る。
中村にとっては、全日本アマチュア修斗の決勝で敗れた大島沙緒里(AACC)と、準決勝で判定勝利した小生由紀(グランドスラム沖縄A・P・P)が世界トーナメントに参加しているため、同じ19年プロ昇格組として「小生選手、大島選手の試合も観ました。自分も早く戦いたいなと思っていました」と、プロ修斗での試合を待ち望んでいたという。
自身を「気持ちで戦う」タイプという。
「格闘技のバックボーンも無く、ほんとに気持ちで戦うかんじですね。テクニック的には他の選手より劣っているので、気持ちだけは負けないように戦います」
今回、対戦する梅原については、「それこそ本当に小さな頃から格闘技に触れているので、正反対というか、私のなかでは羨ましいと感じるような選手。自分のテクニックが通じるかな、というのはあるのですけど、気持ちだけは負けないのでやれることをやって勝っていきたいと思います」
2018年12月の「GRACHAN 37.5 × D-SPIRAL 22」では古澤みゆきに腕十字で一本負けしている中村だが、2019年4月に大阪で行われた「ACF」では、パンナコッタみのりを1R ニンジャチョークで極めており、「最初にはまったのが寝技」というサブミッションも武器に持つ。“ストライカー対決”の組み技の攻防にも注目だ。
また、ネイリストとして、手の怪我を顧客に指摘されることもあると苦笑する中村だが、試合前は仕事後に週6日ジムに通うなど実力を上げている。
「社長をはじめ、職場のスタッフもみんな応援してくれて、なかなか両立だ出来ずにおろそかになってしまうところもあるんですけど、融通をきかせてもらっています。拳を怪我して、お客さんから『また戦ってきたの?』と心配されたりすることはありますけど(苦笑)。みんなが格闘技をしていることを結構周知してくださってるので、受け入れてくださっている方が多いです」
爪も毎回、短くして練習に臨んでいる。ネイリストらしからぬ手先だが、「北海道でやるときは職場の人やお客さんが応援に来てくれたりします。まだ経験値が足りませんが、これから試合もたくさん出させていただいて、自分のファイトスタイルみたいなのを確立していって、しっかり一本を極めきれるようになりたいです」と、ファイターとしての未来を見据える。