2020年2月16日(日)東京・スタジオコーストで開催される『PANCRASE 312』に出場予定だったライト級暫定キング・オブ・パンクラスのサドゥロエフ・ソリホン(ロシアパンクラチオン ハバロフスク/タジキスタン)が怪我で欠場し、王座を返上。
当初、ソリホンが持つ暫定王座に挑戦予定だった同級3位の雑賀ヤン坊達也(総合格闘技道場DOBUITA)と、同級2位の林源平(和術慧舟會IggyHandsGym)が、3月8日(日)の「PANCRASE 313」にて、ライト級暫定キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ(5分5R)として対戦することが決定した。
▼ライト級 暫定キング オブ パンクラス タイトルマッチ 5分5R林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/2位)雑賀 ヤン坊 達也(総合格闘技道場DOBUITA/3位)
また、3月大会で「ストロー級 キング オブ パンクラス タイトルマッチ」に臨む予定だった王者・北方大地(パンクラス大阪 稲垣組)が怪我で欠場。当初、北方と対戦予定だったアダム・アントリン(米国)が4月12日(日)の「PANCRASE 314」にて、砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)と「ストロー級 暫定キング オブ パンクラス タイトルマッチ」(5分5R)を争うことも発表された。
2月12日の会見では、まずソリホンが所属するロシアパンクラチオン・ハバロフスク代表のデミトリ・コニコフ氏がソリホンの欠場の経緯を説明。「練習中に後ろ回し蹴りを受けて股関節が炎症を起こして腫れてしまい動かすことが困難となり、2週間の安静、全治4週間の診断が下った」ことを明かし、欠場を謝罪。その上で「ソリホンはPANCRASEのベルトに挑戦したい気持ちは変わっていない。もしPANCRASEに許してもらえるなら、今後もベルトを賭けた戦いにソリホンの出場を検討してほしい」と完治後の王座再挑戦を希望した。
2月5日に負傷の第一報を聞き、8日に医師からの診断書の提出を受けたPANCRASEは、暫定王座の挑戦者だった雑賀ヤン坊達也に連絡。欠場の報告を受けた雑賀は、「“いやー、マジか”としか思えなかったです。その日に合わせて調整をしていたので頭が真っ白になりました。その日は眠れずにどうしようと思ったのですが、格闘技は相手あってのことなので、僕も怪我をすることもあるししょうがないかなと思って、自分なりにいまはリフレッシュしています」と、第一報を聞いたショックと、現在は気持ちを切り替えていることをコニコフ氏同席の会見で語った。
ソリホン欠場の会見終了後、雑賀とコニコフ氏がいったん退場。続けて、ライト級の暫定王座決定戦発表会見が行われた。そこには再び雑賀と、新たに同級2位の林源平が出席。両者が3月8日の『PANCRASE 313』にて行われる同級暫定王座戦で対戦することが発表され、意気込みを語った。
当初、2018年5月の「Fighting NEXUS vol. 13」で雑賀を1R KOに下している韓国のキム・ソングォン(※ソングォンには別の対戦相手を準備中)との対戦が決定していた林は、「急にチャンスが降ってきて、僕はもともと運がいいと思っていますが、本当に運がいい人間だなと。(タイトルマッチまで)8年かかったので、このベルトは絶対獲ります。絶対に渡さないです。僕が獲ります」と、ようやく巡ってきたチャンスを逃さず悲願のベルト獲得を宣言。
一旦は王座挑戦が無くなっていた雑賀は、「2月16日の試合が中止になってどうしようかなと思っているときに、こういう話をいただけて、またタイトルマッチできるんだなと嬉しかったです。そこでしっかり獲って、自分は目指している場所があるので、そこに向けて突き進んでいきたいです」と、林同様に必勝を誓った。
雑賀はMMA6勝1敗。2017年8月のFighting NEXUSでプロデビューし、184cmの長身から繰り出す打撃を武器に4勝(4KO・TKO)1敗の戦績を挙げ、2019年7月大会からPANCRASE参戦。小林裕を1R KO後、9月大会では体重超過のトム・サントスも1R右ストレートからのパウンドでTKOで下し、ソリホンが持つ暫定王座に挑戦を決めていた。
林はMMA10勝8敗1分。2017年7月の山﨑悠輝戦から2018年8月の新村優貴戦まで、間にDEEPでの水野竜也戦、長谷川賢戦も含め4連敗を喫したが、2019年は6月の阿部右京戦からミドル級からライト級に転向し、1R TKO勝ち。9月にベテランの冨樫健一郎にもスプリット判定で競り勝ち2連勝でライト級2位につけて王座挑戦を視野に入れていた。
ともに打撃を得意とする両者。雑賀は林について、「同じ階級になって意識はしていました。すごくタフで男としてカッコいい選手だなと思っていました。(元ミドル級で)デカいなと思います。そこで気持ちで負けず、プレッシャーに負けずに僕も前に出ていきたい。今回対戦することになって楽しみにしています」と印象を語ると、試合展開については、「やることはお互い一つだと思う。お互いに倒しに行くスタイル。5分5Rもかからないで終わるんじゃないかなと思います」とスタンドでの早期決着を予想した。
理想のフィニッシュについて問われると、「一回、(試合が流れて気持ちが)落ちちゃったところもありましたが、タイトルマッチということに変わりはないので、しっかり作り直して当日を迎えたい。僕のファイトスタイルを見てもらえば分かると思いますが、KO──それ以外は考えていないです」と断言。
対する林は、「ヤン坊選手の印象は、打撃系でどんどん攻めてくるタイプで、いつかやりたいなと思っていて、こういう形でベルトを賭けて戦えるのは光栄」としながらも、「もちろん殴り合い、打撃でも絶対負けないんですけど、MMAであることをしっかり意識して戦いたいと思います。8年間の経験のなかで、勝つためにこの階級に戻したんで、減量方法もしっかり確立出来て適正階級だと感じている。ミドル級でもチャンピオンクラスとやらせてもらったので、ミドル級でやっていても力負けしないパワーもあるし、この階級(ライト級)では外国人でも日本人でもパワーでは絶対に負けない。そこの経験を活かして戦いたい。MMAでKOします」と、7戦のヤン坊を3倍近く上回る19戦のキャリアのなかで試行錯誤して獲得した経験とパワーを活かして戦うことを語った。
また、3月22日の『K'FESTA.3』で「K-1 WORLD GPクルーザー級タイトルマッチ」として、王者シナ・カリミアン(イラン/パワー・オブ・ドリーム)に挑戦する愛鷹亮(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と同級生だった林は、「(愛鷹と)『2人でベルトを獲って写真を撮ろうぜ』って言いました。もともと戦うことが好きで格闘技を始めたけど、それだけじゃないなって。やっぱり僕にも目指しているところがあるので、そこに行くためには勝たなきゃいけない。その部分でも成長したし、絶対にベルトは必要なので必ず獲る」と、盟友とともに3月決戦を戦い抜き、ベルトを腰に巻く構えだ。
揃ってKOを宣言した雑賀と林。最後にデカゴンに立っているのはゴールデンルーキー雑賀か、苦労人・林か。
▼ストロー級 暫定キング オブ パンクラス タイトルマッチ 5分5Rアダム・アントリン(米国/AKA/アントドッグスMMA/1位)砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/2位、元王者)
そして、会見後のプレスリリースにて、4月12日(日)「PANCRASE 314」新木場スタジオコースト大会で、アダム・アントリン(米国/AKA/アントドッグスMMA/1位)vs. 砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/2位、元王者)の「ストロー級暫定王座決定戦が行われることが発表された。
ストロー級1位の試合巧者アダム・アントリンは、2016年7月、UFCのTUF24フライ級トーナメント一回戦でダマッシオ・ペイジに勝利し、準々決勝で扇久保博正に判定負けしているアントリンは、2019年6月の「PANCRASE 306」で本来の適性階級であるストロー級で初参戦。前山哲兵を終始圧倒し、3RTKOに下し、デカゴンデビューを飾った。
ニンジャチョークの使い手としても知られるアントリンは、続く11月大会では5位の井島裕彰と対戦。1Rに蹴り足を掴まれた状態の右フックでダウンを喫したアントリンだが、2R、井島のシングルレッグに得意のハイエルボーのマルセロチン=ケイオス・チョークを合わせて一本勝ち。PANCRASE2連続フィニッシュで王座挑戦を決めた。
対する砂辺は、PANCRASEでは8年にわたり無敗記録を更新しながらも、2018年9月のRIZINでDEEPストロー級王者の越智晴雄にKO負け。2019年7月に、北方大地との王座防衛戦で5R TKO負けで陥落。7月19日の地元沖縄大会も控えるなか、王座奪還を目指す。
「2020年、東京オリンピックの年にチャンピオンになるのが夢だ」という37歳のアントリンだが、井島戦では研究され底も見せている。砂辺は40歳にして“パンクラス王”になれるか。カード発表後、砂辺は「40です。 ただの数字ってことを結果で証明します」とツイートしている。
2大会連続メインイベントの中止というピンチに直面したPANCRASEだが、代替カードはいまのPANCRASEを盛り上げている選手を抜擢し、テーマのあるマッチメークを用意した。暫定ながら新たな王者はデカゴンにどんな景色を作るのか、注目だ。