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【Bellator】サイボーグがバッドをTKO、4団体で王者に! コールドウェルが14戦無敗のボリッチに一本勝ち

2020/01/26 12:01
【Bellator】サイボーグがバッドをTKO、4団体で王者に! コールドウェルが14戦無敗のボリッチに一本勝ち

(C)Bellator

2020年1月25日(日本時間1月26日)、米国カリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラムにて「Bellator 238: Budd vs. Cyborg」が開催された。

▼Bellator世界女子フェザー級選手権試合 5分5R
×ジュリア・バッド(王者/カナダ/144.5ポンド/65.54kg)
[4R 1分14秒 TKO]

○クリス・サイボーグ(挑戦者/ブラジル/143.8ポンド/65.22kg)
※サイボーグが新王者に

前日計量では、先に登場した挑戦者クリス・サイボーグ(ブラジル)は、ラメでブラジル国旗をあしらったブルゾン姿にブラジルカラーのメイクで登場し、壇上でガッツポーズ。王者より320g軽い、143.8ポンド(65.22kg)の体重でコールを受けた。

2009年8月にスコット・コーカー率いるStrikeforceで初めてベルトを獲得しているサイボーグは事前インタビューで、「これは私の人生の新しい章です。スコット・コーカーと再び仕事をすることになって、誰もが『おかえりなさい、クリス』と言ってくれました。私は本当に恵まれています。もちろん、UFCで過ごした時間に感謝しています。それは私をより良いファイターにしてくれましたし、私は多くを学びました。私は今ではより優れたスペシャリストになりました、この新たな章を始められてとても嬉しいです。私がこれまで経験した、その苦労の結実を見逃さないでください」と、新たな挑戦について語っている。

UFCを離脱したサイボーグはBellatorと複数年・複数試合の契約を結んでおり、今回がBellatorデビュー戦。「Bellatorには多くの145ポンドの女性ファイターがいるから年間の試合数が増えるのはとても嬉しい。同じ階級で4つのメジャータイトルを獲得する初の女性ファイターになることが目標」と、初代Strikeforce女子フェザー級王座(2009年)、初代Invicta FC世界フェザー級王座(2013年)、第2代UFC世界女子フェザー級王座(2017年)に続き、Bellator世界女子フェザー級王座を狙うことを目標に掲げている。

対する王者のジュリア・バッド(カナダ)は、計量でモハメド・アリのブルゾンを羽織って登場。蛍光イエローのトップ姿になると、スケールの上で力強くガッツポーズ。サイボーグの肉体に勝るとも劣らない筋肉の隆起を披露した。

計量で「完璧なタイミング、私の人生で最高のパフォーマンスを見せる」と語ったバッド。事前インタビューでは、「私がまだキックボクシングをしていた2008年、MMAをする前にサイボーグとの試合のオファーがありました。まだ絶対にベストになれなかったとき、彼女とこうして相対することが無かったことを嬉しく思います。彼女がBellatorと契約したとき、この戦いは絶対に行わなければならないと思いました。2020年のBellator最初の大会の主役をLAフォーラムで戦っているという事実、このすべての瞬間を楽しみ、受け入れるつもりです」と、サイボーグとの運命的な試合について語っている。

Bellatorの“絶対女王”と呼ばれるジュリア・バッドは、キックボクシングがバックボーン。キックの試合で2005年に元Strikeforce王者で現在は映画俳優のジーナ・カラーノに勝利しているストライカーだ。2010年10月に『Strikeforce』でプロデビューし、2戦目でアマンダ・ヌネスにKO負けも、3戦目でジャーメイン・デ・ランダミーに判定勝ち、4戦目でロンダ・ラウジーに一本負けと、キャリアの初期から後の王者たちとしのぎを削ってきた。

『Bellator』には2015年2月から参戦。2017年3月に初代女子フェザー級王座決定戦で、日本でも活躍した女子格闘技のパイオニア、マールス・クーネンにTKO勝ちを収め、フェザー級王者に輝いた。

その後、2018年12月に元プロボクサーのアーリーン・ブレンコウをスプリット判定で退け初防衛に成功。2018年7月にはブラジルの7戦無敗タリタ・ノゲイラを相手に左右の蹴り、右ストレートなど強打を爆発させて3R TKO。さらに2019年7月の「Bellator 224: Budd vs. Rubin」ではイスラエルの挑戦者オルガ・ルビンを三日月蹴り、首相撲からのヒザをボディに突き刺し、TKO。3度目の防衛に成功している。MMA13勝2敗で、ヌネスとラウジーに敗れた以外は負け無しの破竹の11連勝中だ。

一方のサイボーグは2016年5月のUFC参戦から5連勝も2018年12月にヌネスに1R KO負け。その後、2019年7月にInvicta FC世界フェザー級王者フェリシア・スペンサーに判定勝利し、復活を遂げている。

ブッダ、サイボーグともに打撃を得意とする女王同士の対戦だが、サイボーグは破壊的な打撃とADCCでも活躍した組技の強さを併せ持つ。また、バッドも打撃を軸にテイクダウンからコントロール&パウンドで削ることもできるトータルファイターに進化した。UFC離脱からいきなりの王座挑戦は、その両者を前哨戦無しでフレッシュなままぶつけるスコット・コーカー代表らしいUFCとは異なる戦略といえる。

1R、ともにオーソドックス構え。左ジャブを伸ばすサイボーグはワンツーの連打で前へ。そこに前蹴りのバッドだが、構わずサイボーグは前へ。金網に詰めて組み付くが、左で差したバッドが体を入れ替える。しかしヒジを突いて離れるサイボーグは小外でテイクダウン! バッドは左で差してすぐに立ちあがると、金網に詰めて左で差してダブルレッグを狙う。

そこは耐えたサイボーグに右で差して押し込むバッド。今度は右で差し返したサイボーグが体を入れ替え押し込みヒザを突き上げる! さらに離れ際に右ヒジ、右ローはサイボーグ! しかし詰めたサイボーグが右ハイを打つもスリップし下に! 下から三角絞め狙いのサイボーグはヒジも突くが、担ぎパスで足を払ったバッドは上四方へ。立ち上がるサイボーグにヒザを突くが、そこは反則のポジション。注意から再開。

スタンドで右を当て、蹴り足を掴んで前に出るサイボーグに腰を落としたバッドが下に。すぐにパウンドに行くサイボーグに下から蹴り上げはバッド。しかしその足をさばいてサイボーグはパウンドで殴り掛かったところでゴング。

2R、右ローのダブルはバッド。しかしその2発目を逃さずつかんで詰めるサイボーグは後転したバッドにキック! さらに渾身のワンツーで前に。バッドは首投げ&内またを狙うが、首投げをすかして脇を潜りスタンドバックに回るサイボーグ! ここは離れるバッド。左で差して首相撲からヒザを突き上げるサイボーグ! ダブルアンダーフックで金網に押し込み攻撃を止めない。

突き放すバッドだが、すぐに右で差して金網に詰めるサイボーグは隠れた得意技であるケージレスリングに首相撲を組み合わせ、ヒザ蹴り連打! さらに離れ際に右ローを突く。バッドも右ローを返すと右ストレート! さらにシングルレッグでテイクダウンを狙うが片足立ちからサイボーグは倒れず。切ってヒザを突き上げる!

3R、右ローから入るサイボーグ。ババッドの右を掻い潜り、左で差して金網へ。両脇を差して押し込みヒザ蹴り。バッドも右を差して体を入れ替えるとダブルレッグへ。しかしここをしっかり切るサイボーグは左で小手に巻く。互いにヒザを突き合い、体を入れ替えたサイボーグが離れ際に右ローを当てる。

スタンド。ジャブでじりじりと詰めるサイボーグは右をボディストレート。さらに右を伸ばしてニータップでテイクダウン! 背中を着いたバッドはクローズドガードに。離れたサイボーグは上からパウンドで飛び込む。さらにローで下のバッドの足を蹴るとパウンドからパスガード! サイドを奪い右で脇差しヒジを脇腹に連打! 残り10秒でニーオンからマウントを奪いパウンド連打したところでゴング。

王座戦の4R。右目尻を腫らすバッドだがその光は衰えていない。サイボーグの右ローをヒザを引いて避けるバッド。しかし金網に詰めたサイボーグは右ローを当てると左右の猛ラッシュ! しっかり上下に散らして当てるとバッドが防戦一方に。右ボディストレート、最後はサイボーグの右ローにバッドが倒れたところでレフェリーが間に入った。

歓喜のサイボーグはマット上に大の字に横たわり、勝利をかみしめるとケージの上に登りガッツポーズ。笑顔でスコット・コーカーとハグをかわし、ベルトを巻いた。

サイボーグは、初代Strikeforce女子フェザー級王座(2009年)、初代Invicta FC世界フェザー級王座(2013年)、第2代UFC世界女子フェザー級王座(2017年)に続き、Bellator世界女子フェザー級王座(2020年)も獲得。同じ階級で4つのメジャータイトルを獲得した初の女性ファイターになった。

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