ぱんちゃんとの再戦に臨む祥子JSK。KO決着を誓う(C)KNOCK OUT
2020年2月11日(火・祝)東京・大田区総合体育館『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1』で、ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)との再戦に臨む祥子JSK(JSK キックボクシングジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
両者は8月の『KNOCK OUT』で対戦しており、祥子の気迫のパンチと組み技に苦しめられたぱんちゃんが判定2-0(30-28、29-29、29-28)で勝利している。ぱんちゃんにとって自分の中で悔いが残る試合だったようで、「ベルトの前にどうしてももう一度闘わせていただきたいとお願いして受けてくださいました」と、自ら再戦を望んだという。
祥子はアマチュアで試合を重ね、2012年6月にプロデビュー。出産から約6年間のブランクを経て、昨年1月にリングに復帰した。現在は2人の子どもを育てながら選手として活動するとともに、所属ジムとフィットネススタジオを代表として切り盛り。戦績は4勝6敗だが、平岡琴や佐藤レイナといった強豪たちと拳を交え、4月にはJ-GIRLSピン級王座決定戦、11月にはミネルヴァ・ピン級王座決定戦とタイトルマッチも経験している。
■上に行くための自分との戦いだと思っている
――昨年はご自身にとってどういう1年でした?
「たくさん試合(6戦1勝4敗1分)をやらせていただいて凄く濃い1年を過ごすことができました。試合を重ねるごとに経験値を上げられたので少しずつ成長しているものがあると思うのですが、結果としてはいいものを残せなかった1年でした。結果で見るほど、内容は自分的には悪くなかったとは思うのですが、結果につなげられなかったことが課題なので、今年は結果にまでつなげるところにいきたいと思います」
――反省する点はどういうところでしょう。
「今まではテクニックにこだわり過ぎて大きな攻撃をもらわなくても印象や手数で負けることが多かったのですが、今は手数を出せるようになりましたし、得意な蹴りだけでなくパンチも出せるようになっています。相手が強くなっていく中でフィジカルの必要性も感じるようになって強化しているので、以前よりも少しずつ強くなっているのを感じています」
――前戦となった12月の沖縄での上原真奈戦は引き分けでしたが、試合内容を振り返っていただけますか。
「内容的には判定1-1のドローで、人によっては意見が分かれるかもしれませんが、顔面前蹴りなどクリーンヒットが何発もあったので自分的には勝ったかなと。沖縄の人たちも温かい人ばかりで『祥子選手が勝っていたよ』と言っていただけたり、引退する選手と最後まで力を出し切る試合ができたので良かったと思います」
――なかなか引退する選手とやる機会はないと思いますが、何か得たものはありました?
「試合中は集中していて特に考えていませんでしたが、試合が終わった後に『お疲れ様でした』とリング上で上原選手にお伝えすることができました。自分もいつか引退することになるので、自分もやり切って終われるのかなと考えましたね。引退するまでに完全にやり切ってやろうという気持ちも強く感じました」
――上原選手は二冠王でしたが、そういう実績のある選手とドローに持ち込めたことで自信になったりは?
「私的には二冠王に挑戦する気持ちではなく、今回はとにかくやり切る気持ちで臨んだので、特にそうは感じませんでしたね」
――今回、ぱんちゃん選手との再戦が決まりました。
「またぱんちゃん選手とは対戦したいと思っていたので、思ったよりも早く再戦が決まった時は凄く嬉しかったです。ぱんちゃん選手との勝負に決着を付けたい気持ちもあるのですが、ここ最近はもどかしい試合が続いていて、そこから上に行くための自分との戦いだと思っているので凄く気合が入ってます」
――再戦はベストタイミングですか?
「本当は昨年にタイトルマッチを経験させてもらっているのでチャンピオンになってから再戦したかったという気持ちもありましたし、ぱんちゃん選手とも『お互いにチャンピオンになってから再戦ができたらいいね』と話していました。2020年初戦なのでぱんちゃん選手と完全決着を決めて幸先良いスタートを切りたいと思います」
■ぱんちゃんの前蹴りは私には当たらない
――最近のぱんちゃん選手の試合の印象はどうですか?
「アグレッシブでどんどん前に出るスタイルは変わらず、昨年12月にはタイ人選手にKO勝ちしていたのでメンタル的にも自信が付いたんじゃないかなと。あとはフィジカルも強化されていると聞いているのでパワーも付いたとは思いますが、基本的なファイトスタイルは変わらないでしょうし、前回自分ができなかったことを今回は違う形でやろうという気持ちはあります」
――前回の試合よりもご自身が伸びた点は?
「試合の組み立て方です。今回は3分3Rなので全体的な試合の組み立て方を意識しています。今までは技術的なことでは相手の攻撃を良く見てカウンターを合わせるところまでで終わっていたので、ジャッジから見ても私が勝ったと思われるように全体の流れをちゃんと組み立てていき、アグレッシブにいきたいと思いますね」
「奥脇奈々選手とはアマチュア時代に一度対戦したことがあり、2018年8月にお互いにプロになって対戦した時は勝つことができました。二回連続で負けたくはない気持ちは強いので次は絶対に勝ちます」
――再戦したいと思える選手は今までにもいました?
「私の試合の後にWPMF世界ピン級チャンピオンになった田中“暴君”藍選手は凄く強かったので(2019年6月9日、祥子が2RKO負け)、私がもっと強くなって、もっとやり合えるようになってから戦いたい気持ちはあります」
――今回でぱんちゃん選手との試合は終わりにしたいですか? それとも3度目はありそうですか?
「KO決着で終わりにしたいです」
「彼女とファイトスタイルは似ていませんが、得意な技が少しかぶっていて、私は相手の得意な技を出させて同じ技でやり返したいという気持ちがあります。顔面前蹴りが得意な分、当たらない距離感がわかっているので私には当たらないと思います」
――ぱんちゃん選手は打撃戦で勝負したいと言われてますが、前回と同じく組みの展開になっても問題はないですか?
「そうですね。そうなっても問題ないように練習しています。うちのジムにはタイ人トレーナーもいますし、そこの展開でも勝てないと申し訳ないですから。前回はパンチで行ったことで組まれやすかった部分もあるので、今回は前回とは違う蹴りの距離で戦いたいですね」
――ぱんちゃん選手と交わったことでご自身のネームバリューが上がったと思いますか?
「そうですね。KNOCK OUTの会場だけでなく、後楽園ホールでジムの選手のセコンドでも行ったりすると声をかけていただけるようになり、応援してくれる方が増えているので頑張ろうという気持ちは強いです」
――ちなみにぱんちゃん選手とはプライベートで仲良くなれるタイプですか? 二回拳を交えた後、二人はどういう関係になるでしょう。
「選手の中ではそういう話題はよくあり、私は親しく接することができるのですが、今までの経験上、親しく接してしまうと試合に響いてしまうのであまり選手とは仲良くし過ぎないようにしたいと思います(笑)。親しくなると攻撃的な面が出にくくなるんですよね。もっとぶっ倒してやる!ぐらいの気持ちを持たないといけませんね。やはり格闘技なのでしっかり闘志を持って戦わないといけないと思っています」
――祥子選手は話をされているとき凄く穏やかですが、イラつくことはあるのでしょうか?
「最近だと、出かけるときに子供がもたついた時にイラついたぐらいです(笑)」
――今回は祥子から祥子JSKのリングネームを改名しての初戦になります。なぜこのタイミングで改名を?
「うちは元々治政館の支部ですし、長江国政館長に女子キックボクサーとしてもっと認められるようにこれから治政館所属にして、ジム名のJSKをリングネームに付けて頑張っていこうと決めました。治政館はたくさんの名選手を輩出していてプレッシャーはありますが、今まで以上に気持ちは引き締まっています。館長は今体調を崩されている中でも『頑張って』と声をかけていただいたので、館長の期待も裏切らないように頑張ります。治政館の女子選手としてこれから覚えていただけるよう、治政館の看板に傷が付かないように気合を入れます」