2019年1月13日(月・祝)東京・後楽園ホール『RISE 136』のセミファイナルで、第6代ライト級(-63kg)王座決定戦を同級2位・原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)と争う同級1位・秀樹(新宿レフティージム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
秀樹は学生キックを経て(アマチュア20勝無敗10KO)、2014年にプロデビュー。屈強な肉体と日本人離れしたフィジカルの強さでサウスポーから繰り出す左ミドル、左フックを得意とする。2戦目で現シュートボクシングのエース・海人に敗れるも、その後は驚異の13連勝。韓国で行われたK-1 ULTIMATE VICTOR REVOLUTION -65kg級世界トーナメントで優勝、ヒジ打ちありルールのKING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王座決定トーナメント準優勝を果たす。2019年2月に第5代RISEライト級王座決定戦を白鳥大珠と争うも、スネの裂傷を負ってTKO負け。9月に稲石竜弥、11月に川島史也を破り、今回の王座決定戦となった。
■本当に数ミリの差で決着がつくような展開になります
──順調に仕上がっている感じ?
「そうですね。自分に足りないところはわかっているので。前回(白鳥選手に)負けてから2戦挟んでます。その2戦を通して、自分の課題を明確に理解して、それを着実に克服する作業を繰り返しています」 ──課題点をもう少し詳しく教えてもらうことはできますか?
「ザックリいうと、倒し切る、あるいはまとめる力ですね。ディフェンス面でいえば、パワーに頼らないように心がけています。そこが一番の課題かもしれないです。他の選手と比べると僕はパワーがあるので、そこに頼りすぎて自滅したり、バランスを崩してしまうこともありました。力んでバランスを崩したら、本来の力は発揮できないですから」 ──そこは自分で自覚したんですか? それとも周囲からの指摘で?
「試合が終わった夜は興奮しているので眠れないです。その日感じたことはどんどん忘れてしまうので、自分は次の試合までに何をすべきかということをノートに記しています」 ──秀樹ノートがあるわけですね。そのノートは“鬼嫁”いつかさんも見ている?
「見せてもいいけど、見せていないです。課題はいくつかあるけど、ひとつだけに行きがちになったりするので、ノートを見て何度も振り返るようにしています」
──ところで、昨年11月25日に行なわれた発表記者会見では言葉を選びながら絞り出すように話をしたり、何か思い悩んでいるように見受けられました。もう悩みは吹っ切れた?
「(キッパリと)吹っ切れました。やっぱり結果を出さないと、何も言えない。自分がかなり強豪とやっている割りにはかなり遠回りをさせられている。2020年は結果を出して、遠回りさせたことを後悔させますよ」
──現段階の第一目標は今回白鳥選手が返上した空位の王座を争う原口選手ではなく、やはり白鳥選手?
「ぶっちゃけ、白鳥選手にはもうそんなにこだわっていないです。ワールドシリーズでお互い勝ち上がれば、やる運命ですからね。タイトルマッチの次はワールドシリーズ優勝を掲げてやっていきます。海外の強豪も結構出場しますよね。チャド・コリンズなんか、僕が負けた選手にも勝ってますし。チャドに勝った方が評価は上がるし僕が出なかったら、彼が優勝すると思います」 ──だったらなおさら原口選手との王座決定戦は重要になってきますね。
「本当に数ミリの差で決着がつくような展開になります。1分、1秒を大切にコンディションを整えていきたいです」 ──この数年で原口選手は急成長した感があります。
「伸びてきているというより、有名選手と闘っていなかっただけでもともと強いんじゃないですかね。2019年になってから有名選手とやっているけど、全て圧倒的に勝っているから知名度も上がってきていますね」 ──直近の森井洋介戦(2019年11月17日、原口が3RTKO勝ち)は?
「ハイライトの映像だけ見ました。やっぱり強いですね。蹴りが多彩で、遠い距離から殺傷能力の高い攻撃を出すことができるし、それが彼の強みなのかと思います」 ──だったら秀樹選手の強みは?
「僕も遠い距離で闘えます。あとは日本人にはない、独特の踏み込みやパワーはたぶん味わったことがないと思います。拳を交わさないとわからない部分を実感するんじゃないですかね」 ──すでに経験済みですが、RISEのタイトルマッチは5R制で争われます。
「僕は5Rの方が組み立てやすいです。原口選手は1Rから三日月蹴りを決めながら詰めるという展開が多いので、長引かせた方がやりづらいというイメージはありますね」 ──原口選手は三日月や前蹴りが得意。その対策や対策は?
「三日月は絶対出してくると思うけど、効かせない自信はあります。逆に僕が三日月を出して効かせてやろうかなと思っています。最近は出していないけど、僕もたまには使っている技なので、出そうと思えば普通に出せます。そんなに三日月にこだわっているわけではないけど、倒して勝ちたいです」 ──チャンピオンベルトを奪取するとしたら、韓国でK-1 REVOLUTION FINAL-65kg級世界王座を奪取して以来?
「そうなりますね。あれからもう2年ちょっとの月日が経ってます。しばらくベルトは巻いていないので、あの感覚を久しぶりに味わいたいです。K-1のベルト? 自宅にあるけど、あんまり見ることはないです。過去の思い出に浸っている暇はないですね。いまはRISEのベルトを獲ることを一生懸命に考えています」 ──王座決定戦が決まってから原口戦が夢の中に出てくることは?
「まだないですね。今回は日常生活の中にそんなに入れないようにしています」 ──それは、またなぜ?
「KNOCK OUTのトーナメント決勝(2018年8月19日 不可思に5R判定負け)に出る前は寝る前とかもいろいろ試合のことを考えていたので、夢にも出てきました。もちろん自分がベルトを巻いている夢も見たけど、結果が結果だったので、いまはあえて考えないようにしています。その代わり練習の時にはメチャクチャ集中しています。まあ、直前になったらどうなるかわからないですけどね(苦笑)」 ──いつかさんから尻を叩かれることは?
「土曜の朝練を見てもらっているので、叩かれています(微笑)。タイトルマッチということで、僕以上に気合が入っています。練習中は衝突しかないです。以前は試合前ということで大目に見てもらうこともあったけど、最近は僕も折れないようにしているので。タイトルマッチにかける執念だけは絶対曲げたくないです。そこは僕も折れない。試合以外のことだったら、普通に謝りますけどね」
(聞き手・布施鋼治)