2019年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.20』に出場する、RISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)が23日(月)千葉市内にて公開練習を行った。那須川はKNOCK OUTスーパーバンタム級王者・江幡塁(伊原道場/新日本キックボクシング協会)とRIZINキックボクシング特別ルール3分3R延長1R(56.0kg)で対戦する。
那須川はリング内を走り回ったり、足さばきをしながらその場で回ったりと独特なウォーミングアップからスピードのあるシャドーを披露。その後に父・那須川弘幸TEPPEN GYM会長が持つミットに三角絞めや飛びヒザ蹴りを繰り出した。
「調子はいい感じです。9月の試合が終わって(左拳の怪我で)僕にしては珍しいくらい試合間隔がけっこう空いたので、ひと段落できたし、ダメージも抜けたし、非常に調子もいいですし、56kg契約ってことで適正に近い体重でできるのでワクワクしています」と、かなりコンディションは良さそう。
怪我の治療に費やしていた時間も「いつもより長めに2週間休んだんですが、できることはやっていました。ジムには選手も多いし、身体を動かすだけが練習じゃない。選手のサポートやアドバイスをするのも勉強になるので、いろいろなことをやってきました」と、ただ休んでいただけではない。
「今まで減量していなかったので久しぶりの減量」と言うが、「普通の選手が普段しているくらいの減量です。残りあと3kg切っているので問題ない」と久しぶりの減量も順調だという。
ウォーミングアップでは、コーナーポストを蹴ってその反動で飛び蹴りを出す“三角飛び蹴り”を繰り出したが、「試合ではやらないですよ(笑)。アップではよくやるんです。いろいろな動きをします。どんな場面でも動ける状況にしておいた方がいいので。リングの周りを走ったりするのもそうです」と、今回の試合用の必殺技ではないと笑う。
「でも、必殺技は用意しています。今までやったことがない技もありますし、やったことないパターンも用意しています。脱力して練習ができています」
試合の話になると、江幡が最も得意とする右ストレートについて「凄く強いと思います。速いようで遅いんですよね。タイミングを変えて打っている。そこに惑わされないようにしないと。普通の選手の右ストレートとは違うし、打ち方も違う。強弱がある。そこを早い段階で読み切りたいと思っています」と警戒はしているが、「やってみないと分かりませんが、僕には当たらないと思います。ああいうタイミングの選手とも戦ったことがありますし。日本人では珍しいですけれどね。外国人のやり方だと思いました。基本ができている選手なので応用もできる。そこはさすがだと思っています」と、自分には通用しないと言い放つ。
同じサウスポーである小笠原瑛作が江幡に倒されていることに関しては、「何度かその試合を見ました、弱点がない選手はいないので見つけましたけれど、あれはあの時の江幡選手であって、ある程度の形は研究しますが、あとは対峙しないと分からない。サウスポーは別に苦じゃないなって思いましたけれど、戦うのは僕となので。そこは相手も変えてくるし、ちょっと違うかなと思います」と、小笠原戦は参考程度、とした。
江幡のもうひとつの武器であるローキックに関しても「ローキックは重そう、速そうですね。でも、僕はサウスポーなのでなかなか当たる機会がないと思います。ローに対して何を合わせようかと考えています。今までの相手は江幡選手のローをどう避けよう、何を打とうと考えていたと思いますが、僕は全部の技に対して初動を読んで全部合わせようかな、と思っています」と、ローに限らず全ての技にカウンターを合わせるつもり。
「最近、また新しいマンガにハマっていまして。相手の呼吸を呼んで合わせようかな、と」と那須川。『鬼滅の刃』(集英社)というマンガで、そこに出てくる“呼吸法”に目覚めたというのだ。
「自分の呼吸を使ったり、相手の呼吸を読んだりするんです。マスクを付けて練習したり、腹呼吸をしたり、ヨガをやったりしています。呼吸で疲労が回復するので」
まるでヒクソン・グレイシーの域ですね、との質問には「あそこまでは無理ですが、理にかなったことをしていると思います。ヒクソンまで極めるのは凄く難しいですが、呼吸を覚えると凄くいいですよ。日の呼吸(前述のマンガに出てくる呼吸法。ヒクソンの呼吸法は火の呼吸)を繰り返す。意識的に繰り返すので有酸素トレーニングにもなります。だからと言ってパフォーマンスが上がるわけじゃないんですが、感覚的にいいんです。スッキリしますね。何事も実践してみるのが大事だと思っているので」と、呼吸法を取り入れている。
相手の呼吸を呼んで初動を捉え、カウンターの一撃で切り落とすことができるか。