2019年12月31日にさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN.20」にて、マネル・ケイプ(アンゴラ)と対戦する朝倉海(トライフォース赤坂)が12月12日、所属ジムで公開練習を行った。
2分1Rのボクシングシャドーを行った海は、鋭い踏み込みからのスピーディなパンチを披露。鏡でフォームをチェックしながら相手の動きを想定した動きを見せた。
【写真】通常の右ストレートに加え、得意の縦拳も織り交ぜて見せた海。
ケイプとは2018年5月に対戦し、判定2-1とスプリットでの勝利だった海は、練習後の囲み取材で「あの時は僕の技術が全然無かったので、その中で組み立てた試合。お互い全ての面で成長しているけど、僕のほうが間違いなく強くなっている」と自信を見せた。
また、これまで兄の未来がセコンドについている試合で負け無しの海は、同日に未来が試合を行うことで、「出来れば(セコンドに)ついてほしいけど、仮につけなかったとしても問題ない」と語り、未来の試合結果がメンタルに影響するかと問われて、「それはないです。自分は自分という考えをしているので。(未来に)勝ってほしいけど、結果で僕に問題があるかというとそれは関係ない」と、兄のセコンドを必要としながらも、あくまで個としての戦いであることを語った。
ここまでの飛躍を1年前に想像できていたか、の問いには、「ここまでとは正直思っていなかったですね。でも、1年あればこれだけ変えられると証明できたのかなと思います」と、結果を残し、飛躍を遂げたことにたしかな手応えを感じている様子の海は、続けて、「試合順はメインにしてもらいたいですね。メインは俺に任せてもらいたいと思います。僕の試合で今年を締めくくりたい。それにふさわしい試合を見せられる自信があるので、ぜひメインを任せてほしいと思います」とアピールした。
──(RIZIN広報から)今年1年を振り返って1文字の漢字で表してください。
「コレ、なんの会見ですか(笑)。ムチャ振りですよ。いろいろおかしいから(苦笑)小学生以来、書いていないし。難しい……(一画一画丁寧に揮毫)。どうですか!?」
──いいですね。「挑」にした理由を。
「とにかく今年1年を振り返ると挑戦の1年だった。世界王者の堀口(恭司)選手に挑戦し、みんなに無理だと言われていることを覆して勝てたんですけど、まずそこから始まって、10月の(佐々木)憂流迦選手との試合も、大晦日の(堀口との)対戦が決まっているなかでの試合だったので、やる必要はなかったんですけど、そこも挑戦していい結果がついてきた。あとは、YouTubeとかも始めて、いろいろな新しいことに挑戦しました。とにかく挑戦を続けた1年だったなと。そして最後も大仕事が待っているので、そこも挑戦です」
──追われる立場になって心境の変化は?
「変わらないです。追われる立場になったとしても勝ち方や見せ方で常に挑戦なので」
──マネル・ケイプ戦に向けて、仕上がり具合は?
「仕上がりはもうメチャクチャいいです。怪我もなくすごく動きもいいのでいい感じに仕上がっています」
──ケイプの対策は?
「対策はもちろん。分析もしてありますし、まあ一回やっているので分かっていますし、あの試合が1年半前なので、お互いに成長している部分も考えながら対策を練りました」
──ケイプの成長部分をどう考えていますか。
「結構伸びていると思います。特にボクシング技術がうまくなっています。でも僕の方が強くなっています。だから問題ないかなと思います」
──昨日の石渡選手の公開練習で「朝倉選手のKO勝ち」と予想していましたが、「いつも予想を外す」とも語っていました。
「それはやってみないと。倒す気でいきますし、倒す自信があります」
──今回の試合の前に「ケイプとはやりたくない」という発言もありました。苦手意識は?
「それは全然無いです。どの試合をやったら盛り上がるか考えたときに、ケイプとやるのは違うかなと考えたんで、そういう意味であまりやりたくなかったですけど、ほんとうは海外の強豪選手と戦いたい、とRIZINには伝えていましたけど、まあ、(堀口の怪我による欠場が)直前のことだったんで、この短い期間で(相手を)用意するのは難しいなかで、盛り上がる相手は誰かと考えたときにケイプしかいない、ということで返答しました」
──ケイプのSNSでの練習動画は見ていますか?
「全然見ていないですね。試合動画を見ているので大丈夫です」
──ケイプとの前回の試合を振り返ってどのようにとらえていますか。
「あのときはちょっと僕の技術が全然なかったんで、そのなかで組み立てた試合だったというか。僕の実力がそもそもなかったので、ああいう苦しい展開になっちゃったんですけど、いまやったら全然違う展開になりますね。互いにすべての面で成長しているので、試合自体がハイレベルな展開になると思います」
──あの試合でケイプはオーソドックス構えから入り、最後はサウスポー構えで戦っていました。やりにくくはなかったですか。
「まあ、どっちもできる選手なので、どっちでくるか分からないですけど、どの構えで来ても対応できるプランを考えています」
──ケイプの前戦である水垣戦はどう感じましたか。
「うーん、そうですね、ボクシング技術がうまいなと思いました。でも、(最近の)水垣選手もちょっと打撃の部分は苦手としていると思うんですよ。だからああいう展開になったのかなと思うんですけど」
──水垣戦のフィニッシュは飛び込んでの右アッパー、振り向きざまの右フックでした。あの動きには踏み込みの速さと体幹の強さを感じます。どう見ましたか。
「あれはケイプの得意のコンビネーションですよね。あそこは気をつけないといけないなと思っていますが、そこに合わせるカウンターも用意してきましたので何の問題もないと思います」
──未来選手(同じ12月31日にジョン・テイシェイラ・マカパと対戦)が、海選手の試合のセコンドにつけるかどうかは試合順次第ということになりますか。
「そうですね。試合順だったり……兄貴が(自分の試合より)後だったら厳しいだろうし、僕より前の試合だとして問題なく勝てれば、たぶんついてくれると思うんですけど」
──未来選手がセコンドについた海選手の試合は負け無しです。海選手としてはできればセコンドについてほしい?
「できればついてほしいですね。でも仮に(セコンドに)つけなかったとしても、まあ問題ないかなと思うんですけど」
【写真】『ゴング格闘技』2020年1月号の表紙を飾る朝倉兄弟
──アンジェラとクリスチャンのリー姉弟が同日の試合で、クリスチャンが先に負けたとき、アンジェラは動揺し泣いて入場したことがありました。未来選手の結果や内容が、海選手の感情に影響することも考えられますか。
「それはないですね。自分は自分、という考えをしているので。勝ってほしいですけど、結果で僕に問題があるかというとそれは関係ないです」
──海選手の試合がメインになれば、おのずと未来選手がセコンドにつく可能性が高まりますね。
「と思いますけど、分からない。ついてくれるかどうか(笑)。お願いはしてみたいと思います」
──内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)さんとのボクシングトレーニングは今でも?
「(今春から始め)今も通ってますね。1週間に3回くらいです。試合を見てもらえれば分かると思うんですけど、パンチの打ち方からパワーから全てが変わっていると思うので。それもまだ成長途中で、10月の(佐々木)憂流迦戦で見せた時よりも今の方が上手くなっていると思います。(内山から)『まだまだ伸びるね。日に日に良くなっている』と言ってもらっています」
──完成形まであと何パーセントくらいでしょうか。
「完成形はないですね。ずっと成長途中という感じです。常に良くなっていっていると感じています。パンチを打ったときに身体がブレなくなりました。今までは打ち終わりとかに身体が流れちゃって被弾していましたけど、パンチを打った後でも身体を残せるようになりました。常にいつでも強いパンチを打てる体勢でいられます。相手のパンチが見える分、タックルとかの反応が良くなり、パンチで圧力がかけられる分、テイクダウンも獲りやすいし、パンチが強くなったことですべての部分で強くなりましたね」
──早い展開になると考えますか? ケイプの打たれ強さも警戒では?
「結構、相手が頑丈なので、一方的な展開になるとは思っていないですね。やってみないと分からないですけど、そんなに簡単に倒せるとは思っていないです。ただ、普通にやれば勝てるとは思っています」
──先程のボクシングのシャドーでは(レベルチェンジは別として)随分頭が動かなかった様に見えますが、軸を意識したのですか?
「ミット打ちから(身体が)流れないようにフォームを変えてもらったことと、対戦相手との戦うときの意識ですね。相手の攻撃に意識を置く。今までの自分のスタイルだと、攻めることに100パーセント、倒そう・倒そうと意識がいっていて、当てることだけを考えていた。攻撃しながらも相手に意識を置くという、そっちに重きを置くことでデフェンが上手くなりました」
──互いの成長の具体的な度合いは?
「難かしいですね……。ケイプも強くなっていますが、客観的に俺の方が全てにおいて強くなっています。ケイプはボクシングは強くなっていますけど、テイクダウンディフェンスはあまり成長してないと思っています」
──1年前の2018年の大晦日には、午前中(「RIZIN 平成最後のやれんのか!」第4試合でムン・ジェフンと再戦し判定勝利)に戦っていました。1年後の2019年の大晦日は、メイン級ということで、ここまでの飛躍を1年前に想像できていましたか。
「ここまでとは正直思っていなかったですね。でも、1年あればこれだけ変えられると証明できたのかなと思います。……試合順はメインにしてもらいたいですね。メインは俺に任せてもらいたいと思います。僕の試合で今年を締めくくりたい。それにふさわしい試合を見せられる自信があるので、ぜひメインを任せてほしいと思います」