MMA
インタビュー

【PANCRASE】暫定王者となった藤野恵実「試合後、みんなの顔が見れて……すごく嬉しかったです」

2019/12/09 14:12
2019年12月8日(日)東京・新木場のスタジオコーストで「PANCRASE 311」が開催された。 メインイベントの女子ストロー級暫定王者決定戦では、藤野恵実(FIGHT FARM/1位)がチャン・ヒョンジ(韓国/THE SSEJIN)に3R、リアネイキドチョークで一本勝ち。悲願の王座戴冠を果たした。 和術慧舟會に入門し、2003年7月に「SMACKGIRL-F3」でアマチュアから総合格闘技(MMA)をはじめ、2004年3月にプロデビュー。キャリアのなかでキックボクシングやシュートボクシングにも挑戦しながら、MMAで浜崎朱加、魅津希、ヴィヴィアニ・アラウージョらとベルトを巡り戦い、手が届かなかった。 今回の王座戦のレフェリーは、VALKYRIE旗揚げ戦で対戦(※試合中に藤野は腕を骨折しながら戦っていた)したWINDY智美。そして、入場式から20人近いファイター・関係者が集まり、藤野をケージに送り出した。その人柄・足跡が感じられる入場から3分20秒後の歓喜の一本勝ち。 15年かけて暫定王者のベルトを巻いた藤野を、大会後の控室に訪ねた。 ──入場で多くの女子ファイターらに囲まれてケージに向かいました。周囲の想いとともに、藤野選手が緊張しないか少し心配になるくらいでした(笑)。 「いやー、びっくりしましたね。嬉しかったです。緊張することもなくいつも通りに試合に入れました」 ──試合では、対戦相手のヒョンジにじりじりと圧力をかけていきましたね。 「津田(勝憲)がずっと左に回れって……あれ、右か? どっちだっけ(笑)」 ──藤野選手、そこ重要なところですよ(笑)。 津田 ……右だよ(苦笑)。 「右でした(笑)。相手が右を打ってくるのは分かっていたので、右に回りながらプレッシャーをかけ続けろと。でも思ったより足を使われて、なかなか捕まえられなかったです」 津田 あそこは出なかったのが良かった。出過ぎたら相手の思う壺だよ。 「全部、セコンドの指示通りに動こうと思っていました。で、珍しく1Rが終わってコーナーに戻ったら『あの調子で大丈夫』と言われました(苦笑)」 ──津田さんから怒られなかった(笑)。 「だいたい怒られるんですけど(笑)、『あのままで大丈夫だから』と言われて」 ──2Rからジャブを被弾する場面も少しありましたが、右を当て返していましたね。 「もらっちゃったんですけど、思ったより大丈夫だったので、これは大丈夫かな、顔と。これくらいだったら少し腫れるくらいで大丈夫かなと」 ──「少し腫れるくらいで大丈夫」ですか(笑)。頭を振って近づいて組むことに成功しました。相手の頭を下げさせて……。 「がぶるかバックに回ろうと考えていて、組んだら思ったよりかんぬきが強くて、がぶれたんですけど、結構粘られて」 ──2R、がぶり、ゴゴチョークで結構力を使ったんじゃないですか。 「2R、結構力を使ったんですけど、最後、極まらないのがわかったんです、最後(力を)残さなきゃなって思いました」 ──3Rにも同じ形を作りました。もう一度やろうと。 「そうですね。組み切れなかったんで、ちょっと手が限界になるな、とは思っていました」 ──そこで、バックに回るのか? とハラハラドキドキさせられました。そして周囲から「足をかけろ」とか大きな声が飛んで……。 「周りがほんとうにセコンド的にアドバイスしてくれる人が多くて。四方どのコーナーに行っても声をかけてくれるセコンドがいるようで、ありがたかったです」 ──そしていつ以来でしょうか、DEEPとかROADで極めていた“隠れた必殺技”リアネイキドチョークで絞めました。 「2年ぶりくらいですかね。最近、なかなか極まらなかったですけど。今回も結構粘られて……力が残っているときだとワンハンドでいけるんですけど、もう2Rで結構、腕の力を使っていたので、もうここで極まらなかったら腕ヤバいかな、どうしようかなと思いながら絞めていました」 ──そこで見事に極めきりましたね。 「一本で終わらせられたということがやっぱり大きかったです。今回、圧倒的に証明しなくちゃいけないと思っていたので、誰もが納得するような結果を出したいと思っていたので、それを出来たのが良かったです」 ──実際にベルトを腰に巻いた感慨はいかがでしたか。 「うーん。まだフワフワしていてよくわからないですね(笑)。すごく嬉しいんですけど、いつもの勝利と同じで嬉しくて」 ──「いつもの勝利」の一つひとつも重いからでしょうね。勝利後はマット上に大勢の女子ファイターが上がりました。 「みんなの顔が見れて……すごく嬉しいなあというのが一番の気持ちです」 ──浜崎選手の予想通り、無骨なベルトがとても似合っていました。 「ハハハ。でも暫定なのでヴィヴィ(※ヴィヴィアニ・アラウージョ、UFC参戦中の正規王者)に持っていかれないようにしないと。それに試合前にエジナ(トラキナス)から通訳さんを通して連絡が来て、『手首の怪我が治ったから、ベルトを獲ったら挑戦しに行くから』って言われていますし」 ──これからはどうなるか、チャンプとしての仕事も待っています。最後に応援してくれたファンに一言お願いします。 「応援、ありがとうございました。藤野恵実も“こっち”(※試合前の3王者からのメッセージを受けて)に来ました!」
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