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2026年11月8日(日)に千葉県船橋市のLaLa arena TOKYO-BAYで開催される『RIZIN.55』で、鹿志村仁之介がバンタム級ワンマッチで太田忍と対戦する。7月18日の『RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』で王者ダニー・サバテロに挑戦し、3ラウンドTKO負けを喫して以来の復帰戦となる鹿志村に、本誌ゴング格闘技がインタビューを行った。
2001年生まれ25歳の鹿志村は、少年時代から柔道と柔術を平行して練習し、柔術では色帯時代に数々の大会で優勝。18歳でMMAデビューを果たすとPANCRASE、DEEPを中心に活躍。戦績は12勝6敗、柔術仕込みの卓越した極めの強さを武器にこれまで勝利した12試合のうち10の一本勝ちと1つのTKO勝利を持ち、判定勝利はわずか1つ。
RIZINデビュー戦では後藤丈治に判定負けも、その後はDEEPも含めて4連勝。しかし迎えた7月のRIZINバンタム級タイトルマッチではダニー・サバテロを相手に3ラウンドTKO負けで王座獲得ならず。今回が敗北からの復帰戦となる。
対する太田は、1993年生まれの32歳。2016年リオデジャネイロオリンピックでレスリング、グレコローマン59㎏級で銀メダルを獲得し、2020年にMMAへ転向。同年大みそかの所英男戦でデビューし腕十字で一本負けとなるもその後着実にキャリアを積み上げ現在の戦績は14勝8敗。前戦では鹿志村がタイトルマッチを行った『RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』で、ラジャブアリ・シェイドゥラエフの盟友イリスベク・ティレノフにTKO負けし、こちらも再起を懸けた一戦となる。
鹿志村のサバテロ戦が決定する前からSNS上で舌戦を繰り広げていた両者。9月に行われたカード発表会見では、互いにマイクで煽りつつも笑顔がこぼれ、むしろ仲の良さそうな一面も見られたがその点を鹿志村に尋ねると、「広島大会(7月18日『RIZIN LANDMARK 15』)あったじゃないですか、あの時にエレベーターで鉢合わせして、ちょっかい出されてるんですよ俺。(太田が鹿志村の腹を軽くつついてきて)『お腹チュ~ン』とか言ってきて。『お前さあ、やめろや(笑)』って最初言ったんですけど(太田は)『ふぃ~』とか言って(笑)。それ以来ちょっと……会うとニヤケちゃうというか。別に好きでもないけどなんかこう、笑ってしまうというか」と、太田の空気の読めない人懐っこさに困惑したエピソードを明かした。
「人間として憎しみ合うとかそういう感じではないですけど、まあどこまで行っても競技の上では『俺のほうが上』ってどっちも思ってると思うんで。技術で争えるからこそ今は笑ってしゃべっていられるというか、試合になったら多分本気で技術勝負をすることになると思うんで、それがすごく楽しみではありますね。負けた後の復帰戦が太田選手で良かったなって」と、SNS上、会見場では互いを挑発しつつも、ヘイト的ではない健全なライバル心を持っていると話す。
前戦のタイトルマッチではサバテロのプレッシャーとレスリング力の前に自身の柔術的な寝技を封じられた鹿志村。消耗させられた末、3ラウンドに右フックでアゴを打ち抜かれての失神KO負けだった。試合を振り返り、「やれることをもうちょっと増やしていこうと思えた試合でしたね」と語った。
「気持ちは折れてなかったんですけど、ただ体格差とフィジカル差をちょっと感じてしまったというか。(サバテロの)フィジカルは強かったっすね、そして下がらない。今まではサクッと極めて勝っていたので、それ以上を求めないというか、じゃあまたサクッと勝つ練習をしておけばいいって思っていたんですけど、ああいうしんどい試合をさせられると気づけるというか」と、極めの強さゆえにタフファイトの経験が少なかったことが差になったと分析。
1R早々には鹿志村の横三角絞めが王者を捕え、あわや一本かという場面もあった。「あれだけはバチっとハマったんですよ。ただあれを極めきれない。じゃあその場合どうするのっていうところをこれから練っていかないといけないと思いましたね」と、武器であるサブミッションが通用しなかった時の引き出しを増やしておく必要性を痛感したという。
できることを増やすことに加え、鹿志村はもう一つ自身の課題を見つけたという。それは「前に出る、下がらない」ということ。
「下がってパンチを受けようとするのはグラップラーには何のメリットもない。前に出た方がグラップラーは全て上手くいく。それをこの前の青木さんの試合で感じたっすね」と、9月10日行われた『超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』での青木真也vs.朝倉未来の試合から前に出ることの重要さを学んだという。鹿志村はこの試合で青木のセコンドを務め、その戦う背中からグラップラー、ファイターとしての姿勢を学んだという。
「今の青木さんは朝倉選手の右フックをもろに食らったら倒れちゃうと思うんですよ。だけど、倒れなかったじゃないですか。一発目。ガチン! ってもらってもタックル行ったじゃないですか。あれっスね。前に出てたから効かなかったんです。前に出る、下がらない。僕はそれを青木さんから伝えられたような気がして。よし、次の試合はガンガン前に出てやろうと思って」と打撃を恐れずにプレッシャーをかけて行くことが結果的にグラップラーにとって有利に働くと感じたという。
試合結果は1R中盤、青木の腕十字を逃れた朝倉がパウンドを連打しレフリーストップ。鹿志村は、ほぼ同時にストップを要求するバトンを投げ込んでいた。
「僕、試合前に(青木に)言われてたんですよ。『命はお前に任すから、お前の好きなタイミングで(バトンを)投げろ』って。で、僕『分かりました!』って言ったんですけど、勝つと思ってたんでまさか投げると思ってなくて。バトン持ってなかったんですよ。で、目の前にタオルがあったからもうヤバイと思ってタオル投げちゃおうと思ったら、スタッフの人に「こっちこっち!」ってバトンの場所を教えてもらって」と、バトン投入の裏側を明かした鹿志村。
共に練習する関係であり、尊敬する青木の試合を結果として自らの判断で止めることになった鹿志村だが「青木さんが負けると俺、昔からめっちゃ落ち込むんですよ。でも今回は落ち込まなかったですね。俺が止めたんで。もうちょっとできたじゃん!が無いんで」と、青木を守るためバトン投入に後悔はないと話した。
幼い頃から憧れてきた青木の戦いを間近で見て、その想いを受け継いだ鹿志村だが、グラップラーである自身の弱点を補うためのキツイ練習にもしっかりと目を向ける。
「今まで逃げ続けてきたストライキングっていうのは今、力を入れてやってるんで。青木イズムを継承すると言いつつも、今は打撃できないとダメじゃないですか。楽しんでボクシングやってます今は。角海老でスパーリングさせてもらってるんですよ。マジでボコボコにされてるっす」と、辛い練習を重ねてMMAファイターとしてのレベルアップを図っている。
そして迎える太田戦。サバテロと同じレスラーでありオリンピック銀メダリストの超一流だ。サバテロ戦では一旦下になり、巴投げのような展開から有利なポジションを取るハイグラウンドと呼ばれるテクニックを狙うもサバテロのフィジカルの強さに押されて上を取れなかったが、太田相手には有利なポジショニングを取れると鹿志村は自信をのぞかせる。
「次(太田戦)も絶対来ると思うんですよハイグラウンドになる状況が。ただ太田選手は僕よりも小さい、圧が少ない。ってなったら勝機はグンと上がると思っていて。僕、自分より背が小さい選手のほうが得意なんですよ。包み込むスタイルなんで。だからすごく相性は良いかなと思います。サバテロの何が難しいって、デカいからバックが取りづらいんですよ。でも太田選手は小さいんでだいぶバックは取りやすいです」と、バックテイクが試合のカギになると予想。
そして「寝技に固執はしちゃいけないと思うんで。自信はありますけど」と全局面での勝負する意志を見せた鹿志村。しかし「なんだかんだバックチョーク取れるのかなあ。バックチョークな気がしますけどね」とフィニッシュはチョークになる可能性が高いとも話した。
青木真也の想いを継承しつつ、技術的な面でも着実に進化を続ける鹿志村仁之介。様々な糧を経てレベルアップしたMMAグラップラーは、再起の勝利をつかめるか。












