シェイドゥラエフに『勝ったらPFLで試合するんだよ』ってことも納得させなくちゃいけなかった。PFLとのクロスプロモーションはほかの階級でもある
──AJ・マッキー参戦は急転直下決まったという状況でしたか。
「AJがこの前のPFL(6月28日)で(10戦無敗・全試合フィニッシュ勝利だったサラマット・イスブラエフに)勝ったじゃないですか。で、その後シェイドゥラエフの名前を出して彼が『戦ってもいい』って言った話を聞いて。PFLとは井上直樹を出したことも含めて、新しい体制(ジョン・マーティンCEO)になってから、少し前のドン・デイビスの時よりはコミュニケーションがすごく良くなったんで『トップどころを交換しよう、トレードしよう』っていう話もしていたので、シェイドゥラエフの名前を出したんだなと思ったのと、あのカザフの無敗の中央アジアの選手にえげつないパウンド落としてたじゃないですか。“AJ強いんだな”っていうのはあらためてその時にも思っていて。でも正式にオファーしたのは 7月に入ってからですね。
実際シェイドゥラエフの相手は僕の中でいくつかパターン、プランがあって、そのプランの中で7月大会に絡めて、そこで勝った方を9月にシェイドゥラエフの相手にというようなことも調整してたりとか、シェイドゥラエフが前々から言っていたようにライト級のタイトルに挑んでもいきたいっていうのもあったんで、そういうカードにするのかなという案もあって。
『超RIZIN.5』として朝倉未来がメイン、平本蓮がセミっていうことだけでは、多分僕らが届けたいものや世界観はちょっと足らないし、まあ言うてもあの5万人からの平日の大阪ドームを埋めるのって簡単ではないので、あんまり舐めてちゃいかんなというところもあったんで、そういう調整をする中で(AJ vs.シェイドゥラエフを決めた)。
よく覚えているのは、独立記念日(7月4日)のタイミングでオファーをPFLにして、PFL側から『独立記念日が終わったらAJと話してみます』ということで話をしてもらい、『AJはやってもいい、ということを言っています』っていうところから、7月の七夕ぐらいに始まって。だから本当にこの1週間、10日ぐらいの中でいろんなことを積み上げて調整をして、本当にチャーリー(柏木信吾)がすごい頑張ったと思います。
実は7月18日(RIIZN広島大会)の前の17日も朝方までルールのこととか、いろいろお互い両団体としてのこの先のことで話し合っていて、やるだけなら簡単なんだけど、やった後どっちかがダブルチャンピオンになってしまう。我々としては、シェイドゥラエフの契約をこの後延長していくことも含めて、いろいろ調整はありました。シェイドゥラエフがダブルチャンピオンになったとしたら、PFLの方が必要とする時もあるだろうし。シェイドゥラエフに『勝ったらPFLで試合するんだよ』ってことも納得させなくちゃいけなかった。それで『わかった』と。『その時のファイトマネーはいくらなんだ』っていうのも含めて、いろいろ調整事が実はたくさんあったんですけど……両団体というか、やっぱりナンバー2以下がジタバタしないとUFCの牙城は崩せないし、彼らがやらないこと、やれないことを積極的にこのMMA産業の中で、それも世界規模でやる。
もうアメリカの中に取り込まれるのは本当に嫌なんで、このままいくと本当にアメリカナイズしすぎちゃいますよ。だから僕らはやっぱりRIZINという違う個性を持ち、強豪外国人選手もたくさんいる中で“やっぱり日本の俺はRIZINのベルトを巻きたいんだ”っていう人たちがチャレンジしてくるにふさわしい露出というか、ファイトマネーだけじゃなく、やっぱりRIZINに出ると世界規模で、特に大きなマーケット=北米にちゃんと届くんだという形にしたいなと。PFLからも正式に世界的にリリースがされますので、RIZINとしてのプレゼンスをもっと北米中心に海外で高めていく、そういうチャンスにもなればなと思っています」
──シェイドゥラエフは、これまでRIZINの試合後、UFCで戦うというような話もありましたが、AJに勝てばPFLに上がる可能性もあるということですね。
「今のシェイドゥラエフは、僕らがずっとコミュニケーションを取ってきたマネジメント以外に、ご存知かもしれませんけど、北米のUFCと非常に懇意にしている大きなマネジメント会社(Dominance MMA Management ※アリ・アブデルアジズCEO=07年にHERO'Sにも参戦。ジャスティン・ゲイジーらを著名選手をマネジメント)が入っちゃったんで、そこの人間も挟みながら進めます。シェイドゥラエフがPFLの王者になれば、そこで何試合か勝ち上がって、本当に無敗のまま行ったら、その方がUFCに行くチャンスは高いんじゃないかなって気もするんですけどね(※キルギス人フェザー級で11勝無敗のムルタザリ・マゴメドフはDWCSを勝ち上がることでUFCと契約。ONE5勝無敗のアクバル・アブドゥラエフもDWCS参戦が噂されている)。
いずれにしてもシェイドゥラエフは新たにリニューアルした契約を2試合以降、僕らと交わす。それとPFLとは、ウチが間に入ってPFLと交わすのか、その部分はPFLがシェイドゥラエフと交わすのか、互いにこれからの調整ではありますけど、シェイドゥラエフはそこに納得をしてますね。マネジメント側とも話をして、長く括られるのは嫌でしょうけど、これで勝ってサヨナラってことにはならないんで、RIZINで1試合、それ以外にPFLとか、RIZINの契約は少なくとも何試合かは継続していくことになりますね」
──AJ・マッキーもめちゃくちゃギャラが高いっていう話でしたけど。
「高いですね。(それはそのままお支払い?)もちろん。PFLの契約を──フェデレーションなんでそのまま譲り受けるというか、買い取るしかないんで。たくさんチケットを買ってもらえると信じて(笑)。みんなファンの人たちは“呼べ呼べ”っていうのは簡単なんですけど、これだけ円安になると、本当になかなか外国人のトップアスリートを呼んでくるのは、本当に費用的には大変ですけど(苦笑)、ただまあ本当にたくさんのファンの人たちが会場に来ていただけるっていう仮定の中で言えば、十分、AJ1人ぐらい呼んだところで、払えるかなと思いますね」
──勝者は二冠王者になるわけで、仮にシェイドゥラエフが勝ったら、今回はRIZIN防衛戦、その次はPFL防衛戦という形になっていく? ベルトが一緒になるということではない?
「一緒になることはないですね。RIZINはRIZINの王座、PFLはPFLの王座という形で防衛してもらいます」
──今回はフェザー級でこうなりましたけど、今後、他の階級も?
「ほかの階級も全然あるでしょうね。これで成功していけば、当然他の階級、(井上)直樹の階級だってあるでしょうし。だからそれはRIZINで輝く、活躍する選手にとっても新しいチャレンジが、これでRIZIN王者としてずっと防衛するだけじゃなくて、RIZIN王者としてPFLのベルトにも挑戦できるっていう道が開けることになるんで。堀口恭司がBellatorのときに起きたことの一歩先に行った形になるかなと思いますね。AJもああ言ってる(※)んで、今回の最終的な調整はこれからですけど、ユニファイドルールでやる気は全くないんで。RIZINのルール、日本でRIZINのリングでやる以上はRIZINルールでのタイトルマッチで。RIZINのタイトルマッチでもあるんでね。
※AJは会見で「日本に来て日本で戦う以上はやはりRIZINのルールで受けるべきなのかなと思っていますが、とにかくこのRIZINルールというものは世界中、他では経験できないので、PRIDEを見て育った、憧れた自分からするとこのルールでやらせていただく機会というのは大事にしたいと思いますし、なかなかファイターとして戦っていてもこのルールで戦うことは少ないので、本当に違うタイプの試合になるので、自分はそれで戦いたいし、試してみたいと思っています。ただ、ルールがどうしても決まらない、合意できないことがあっても、どんなルールでも自分は戦いたいと思います」と発言。
だからそこは本当にそれでそのままPFLのチャンピオンシップでいいのかよって問題は若干あるのかもしれないけど、まあ細かなことを言い出すと切りがないんで、そこはジョン(マーティンPFL CEO)も理解はしてるところではあります」
──PFLフェザー級の1位は、欠場中のティムール・ヒズリエフで2位がAJ・マッキーになります。今回のW王座戦は、PFLは「王座決定戦」で、RIZINはシェイドゥラエフの「防衛戦」ということですが、今日、AJが持っていたベルトは……。
「あれはチャンピオン・オブ・チャンピオンズだったかな(※24年2月の『PFL vs. Bellator: Champions』でのカスタムチャンピオンベルト)。結局、急遽会見が決まったんで、ベルトだけPFLが送るのが間に合わなくて、彼がロスから飛んでくる中で何か持たせた方がいいよねということで、それをとりあえず持たせてもらったって感じですね(笑)。あれがあのままPFLのフェザー級のベルトではないです」








