2019年12月8日(日)東京・ニューピアホール『BOM 2-6~THE Battle Of Muaythai SEASON II vol.6』にて約1年ぶりに復帰、奥脇奈々(エイワスポーツジム)と対戦する世界三冠王・伊藤紗弥(尚武会)のインタビューが主催者を通じて届いた。
伊藤はジュニアキックで“天才ムエタイ少女”として名を馳せ、数々のタイトルを獲得。ほぼ男子選手を相手に勝利を収め、あの那須川天心とも2度対戦している。2012年12月には中学2年生にしてタイでWPMF女子世界ピン級暫定王者を獲得。2014年4月に国内で正式にプロデビューを果たすと、国内外の強敵を相手に快進撃を続けWPMF・WMC・WBCムエタイと女子世界ミニフライ級三冠女王に。
しかし、2018年12月の『KNOCK OUT』で新世代の小林愛三に判定負けを喫し、以後はリングから遠ざかっていた。とはいえまだ20歳であり、ここから巻き返しなるか。戦績は16勝(4KO)3敗2分。
■勝ちにこだわった戦いをしつつ、圧勝したい
――昨年12月の小林愛三戦以来、約1年ぶりの試合になりました。ここまで試合間隔が空いたのは、何か理由があるのでしょうか。
「特にこれといった理由もなく、なかなかタイミングが合わなかったんです。試合を頻繁にやっていた時期もあったので、やはり試合がないとウズウズしますね(笑)。そんなに緊張することもなく今はちゃんと練習ができています」
――練習ではどういうことを強化していますか?
「久しぶりの試合ということで感覚が鈍っているところがありますが、特に何を強化するということもなく、今は昔の感覚を取り戻すことを意識しながら、いつも通りの練習を淡々としています」
――小林戦でも1年ぶりの試合でした。実際に動いた感覚はどうでした?
「敗因としてはスタミナ面で問題があり、試合をやっていた時期の感覚に戻りませんでしたね。キックルールなので手数も重要になるので4Rからスタミナが切れて、あとは(小林に)ガツガツ前に出てこられたことでそれに対応できなかったのも課題になりました。また、16年3月のLittele Tiger(以下LT)選手との試合以降、タイ人選手との試合が続き、日本人と久しぶりの試合だったこともあり、タイ人と日本人とでは戦うリズムが違うのでやりづらいと感じる場面もありました」
――小林選手は現在の女子キック界を代表する選手ですが、今の女子キック界をどのように見ています?
「私は4歳からジム通いし、ジュニア時代からずっとムエタイをやってきて女子選手があまりいない中、男子選手とばかり対戦していたアマチュア時代もありました。最近はアマチュアから女子選手もたくさん育っていて、プロでも女子の試合が増えて面白い試合が多い印象があります」
――今回対戦する奥脇奈々選手についてはどのような印象があります?
「試合映像はまだ見ていないのですが、パンチ、前蹴りで攻めてくるイメージはわかっているのでそれを意識しながら練習しています。奥脇選手もタイで試合経験があり、今回ムエタイルールなので噛み合った面白い試合ができると思います。その中でも勝ちにこだわった戦いをしつつ、圧勝したいと思います」
――数年前と比べてご自身が伸びていると感じる部分はありますか?
「ないと思うのですが……(苦笑)、とにかく私はパンチが得意ではないので、蹴りまくれることでしょうか。そういうところでムエタイを体現したいと思います」
――小林選手と同じく、奥脇選手も手数で前に出る選手ですが、今回スタミナ面は問題ないでしょうか。
「今回は5Rなのでスタミナ面を一番に考えて試合に臨みたいと思います」
――女子の立ち技が盛り上がってますが、ご自身も盛り上げていく存在になりたいと思います?
「そうですね。ムエタイの試合にこだわっていたらあまり試合が少なくなりそうなので、タイ人との試合だけではなく、キックの試合のオファーもあればどんどん出て試合数も増やしていきたいと思います」
――以前のように、世界タイトルマッチ、防衛戦が続き、タイ人強豪選手を次々と倒し、“天才ムエタイ少女” としての存在感を出したいところですね。
「昔のように毎月1試合というようなことは今はできませんが、決まった試合は全力で臨んでいきたいと思います」
――今はどういうことを目標に続けているのでしょう。
「ムエタイルールでONEに出てみたい気持ちはあります。今はまだ本調子を取り戻せていないのでまだそういうチャンスは巡ってこないと思うのですが、少しずつ試合数を増やして実現できたらいいなと。憧れていたLT選手は10月のONEの人材育成リーグに出ていましたが、実際にONEの試合を見ると女子ムエタイ選手のレベルの高さを感じました」
あの那須川天心(左)とも2度対戦している伊藤(右)――意識している選手はいますか? 以前LT選手との対戦をアピールし続け、対戦を実現させたことがありました。※LTとは3度対戦(15年9月27日、16年3月21日、16年3月21日)し、いずれも伊藤が判定勝ち。「私は14年7月のムエロークで紅絹選手と対戦してドローに終わっています。今年7月、紅絹選手はRISEチャンピオンになっているので、もう一度対戦したい気持ちがあります。あと、うちの会長はムエタイルールにこだわっていますが、RISEに出ている天心妹の梨々さん、寺山(日葵)選手とはキックルールでもいいので対戦したい気持ちはあります。ちなみに梨々さんのお姉さん、寧々さんとはアマチュア時代に一度対戦して勝ったことがあり、その後天心とは二回対戦しています」
――実現したら面白い試合になりそうですね。それでは最後に会場に来るファンにメッセージをお願いします。
「1年ぶりの試合ですが、また帰ってきたことをアピールできるように頑張りますので応援よろしくお願します」<関連ニュース>大人になった“天才ムエタイ少女”伊藤紗弥が1年ぶり復帰戦、“バチバチ打ち合い娘”奥脇奈々と対戦第1部の全対戦カード決定、メインは伊藤紗弥vs奥脇奈々、5大タイトルマッチも決定