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インタビュー

【UFC】LH級王座戦プロハースカ「アルバーグは自分の前に立ってる相手が誰なのか分かっていない」×アルバーグ「ゾーンに入るモンスターが出てくる」=4月12日(日)『UFC 327』

2026/04/09 14:04
 2026年4月11日(日本時間12日)米国フロリダ州マイアミのカサヤセンターで開催される『UFC 327: Prochazka vs.Ulberg』(U-NEXT配信)のメインイベントで、空位のライトヘビー級王座を争う元UFC&RIZINライトヘビー級王者のイリー・プロハースカ(チェコ)と、UFC9連勝中のカーロス・アルバーグ(ニュージーランド)がメディアインタビューに応えた。 ▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5Rイリー・プロハースカ(チェコ)32勝5敗1分(UFC6勝2敗)UFC2連勝2KOカーロス・アルバーグ(ニュージーランド)13勝1敗(UFC9勝1敗)UFC9連勝中  プロハースカは、ライトヘビー級2位(※アレックス・ペレイラが王座返上、1位は25年10月にペレイラに1R TKO負けしたマゴメド・アンカラエフ)。RIZIN王者からUFCに参戦し、3戦目で無敗のまま22年6月にグローバー・テイシェイラを下しライトヘビー級王座を獲得。肩の負傷による長期欠場で王座を返上し、23年11月の復帰戦で王者アレックス・ペレイラに挑戦したが、2R KO負け。『UFC300』でアレクサンドル・ラキッチに2R TKO勝ちで再起を果たすが、緊急出場となった6月のペレイラとの再戦では、左ハイキックを被弾し、2R KO負け。25年1月にジャマール・ヒルとの元王者対決が組まれ、3R、右フックでTKO勝ち。25年10月にはカリル・ラウントリーJr.を左フックでKO。今回の王座戦を決めた。試合に向けて、K-1のルーカス・アハテルバーグともトレーニングを行っている。33歳。  対するアルバーグは、ライトヘビー級3位。イスラエル・アデサニヤと同じニュージーランドのシティキックボクシング所属で、19勝2敗のキックからMMAに転向した。Eternal MMAなどの地元団体で勝利し、2020年11月のDWCSに出場。1RKO勝ちでUFCとの契約を獲得した。UFCデビュー戦でケネディ・ンゼチョクと対戦し、2Rに失速して逆転のKO負けで、キャリア初の黒星を喫したが、その後はアロンゾ・メニフィールドを12秒KOに下すなど9連勝中。2025年は3月に元王者のヤン・ブラホヴィッチに判定勝ち。9月の前戦でドミニク・レイエスを1R 右ストレートでKOに下し、王座挑戦にこぎつけた。35歳。 プロハースカ「試合に入った瞬間から、まるで2R目みたいな感覚で1R目を戦う。それが今回取り組んできたこと」「娘は私の人生に入ってくる新しいパワー」 ──ここ数週間マイアミでかなりメディア対応をこなしてきたと思いますが、キャンプと並行しての準備はどのような状況ですか? 連日インタビューも増えている印象ですが、今回のファイトキャンプ全体について教えてください。 「質問ありがとう。でも今は、この数週間を振り返って楽しんだり深く考えたりする気分じゃない。俺はただ、目の前の試合と、毎日、毎瞬間に集中してる。今この瞬間を全力で生きてるんだ。だから過去のことをあれこれ考える時間はない」 ──対戦相手のカーロス・アルバーグ(ライトヘビー級3位)についてですが、ファンの間では別の相手を予想する声もありました。このカードを提示されたとき、どう感じましたか? またどんな相手だと見ていますか? 「もちろんいいマッチアップだと思ってる。カーロスは素晴らしい打撃系のファイターだからな。彼のスタイルは非常に正確で秩序があるよ。俺も打撃で戦うのが好きだし、どんな展開になっても問題ない」 ──これまで「スロースターター」という指摘があり、序盤からよりアグレッシブに戦うことに取り組んでいると話していましたが、具体的にキャンプではどのような準備をしているのですか? 「もっと速く入るっていうのは、自分の中にあるいろんな鍵を扱うってことなんだ。それをいつ使うか、自分の中の原始的な攻撃性をどう引き出すかっていうことだ。試合に入った瞬間から、まるで2ラウンド目みたいな感覚で1ラウンド目を戦う。それが今回取り組んできたことだ。相手を見すぎたり、動きすぎたりするのは好きじゃない。できるだけ早く試合に入り込めれば、そのまま勝ちにつなげられると思ってる」 ──先週のインタビューで、父親になることで力が湧いてくるような感覚があると話していました。試合も近づき、そして息子さんの誕生も近づいていますが、今どんな気持ちですか? 「息子でなくて娘だよ。基本的には前と同じ気持ちだ。新しい命が自分の人生に加わって、父親になるって分かったとき、最初はすごくいろんなことを考えた。責任とか、自分の自由な時間がなくなることとか。でも実際は、もともと自由な時間なんてない(笑)。全部が試合と準備のためにあるからな。だから彼女に対して、“俺たちはちゃんとやっていける”って信じてもらえるように、もっと努力するようになったし、関係性もより深く、しっかり向き合うようになった。お互いをもっと理解するためにね。父親になるっていうのは、一人の問題じゃなくて、二人でやるものだから。  それが結果的に、すごくいいリラックスにもつながった。家のこととか、そういう小さなこともちゃんと話すようになってから、すべてが落ち着いてきたし、自分の時間も増えた感覚がある。ほんの少しの言葉だけでも変わるんだ。娘についても同じで、新しい命、新しい力だよ。俺の人生に入ってくる新しいパワーだ。それを楽しみにしてるし、その責任も受け入れる覚悟はできてる。もちろん試合の相手も同じだ。  でも今の俺には、もっと進化する理由がある。もっと強く、もっと速く、もっと正確に、そして完璧なタイミングで戦う理由がな。ケージの中でそれを見せるつもりだ」 ──父親になることで、より危険なファイターになったと感じていますか? 「間違いなくそうだ」 ──そしてベルトを取り戻して母国に持ち帰り、息子さんがそれを見ることについてはどう感じますか? 「だから息子でなくて娘だよ」 ──申し訳有りません……。 「いやわかるよ。みんな息子が欲しいからな(笑)。あるドイツのファイターから言われた言葉があってな。“男の子を持つのはBoyで、娘を持つのがManだ”って。それで俺はすごく落ち着いたよ。その質問についてだけど、自分の中でその感情を完全に理解できているわけじゃない。ただ、これまでも何度も言ってきた通り、もう一度ベルトをチェコに持ち帰りたいと思ってる。  もちろん、チェコにベルトを見せたいって気持ちもある。でも今はそれ以上に、自分の歩んできた道のためだと思ってる。自分に証明するためというより、ここ2年間積み上げてきた安定したトレーニングとプロとしての在り方を、この試合でしっかり継続するためだ。一度王者になって“それで満足”じゃない。触れただけで終わるつもりはない。本当に王者として居続けて、防衛していきたいんだ」 ──チェコについてですが、今日は国のカラーも身に着けていますし、常に誇りを持って代表している印象です。先日は(チェコ出身でNHLのボストン・ブルーインズに所属するスター選手)デイヴィッド・パストルニャクとも会っていましたが、トップアスリート同士での交流はどんなものでしたか? 「あれは本当に誇らしかったよ。前にも言ったけど、チェコは小さな国だ。でもその小さな国から、世界に知られる存在が生まれてる。ホッケー選手やオリンピックのメダリストもたくさんいるしな。だからこそ、その一員でいられることが誇りなんだ」 ──チェコの話題に関連してですが、ワールド・ベースボール・クラシックに向けたチェコ代表と交流し、昨日はマーリンズで始球式も務めました。この経験はどんなものでしたか? 「必要なことだったって感じだな。ここでやってること全部、今こうやって話してることも含めて、俺がやるべきことなんだ。俺は試合のためにここに来てるし、それ以外のこともすべて大事ではあるけど、正直、全部を楽しめる気分じゃない。気持ちの半分は完全に試合に向いてるからな。だから今ここにはちゃんといるけど、意識は相手と、自分の最高のパフォーマンスに集中している」 ──始球式もかなり良かったと話題になっていましたが、もし違う人生だったら野球をやっていた可能性もあったと思いますか? 「いや、それはないな。ただ必要だからやっただけだ。子供の頃はボールも石もたくさん投げてたけど(笑)」 ──アルバーグとフェイスオフしたとき、どんな印象を受けましたか? 「彼は今連勝してて、上に上がってきてる途中だ。オーストラリアで会ったときよりも自信もついてる。でも、自分の前に立ってる相手が誰なのかは分かってないと思う。そこは俺が見せるつもりだ」 [nextpage] アルバーグ「ナヴァホ・スターリングとの練習が大きかった」 ──アレックス・ペレイラがベルトを返上したことで、空位のタイトルマッチの一角はイジー・プロハースカ(ライトヘビー級2位)になるだろうと見られていましたが、もう1人が誰になるかは不透明でした。自分がその候補になると、どのくらい前から分かっていましたか? 「プロハースカとマゴメド・アンカラエフ(ライトヘビー級1位)の試合が発表された時点で、その勝者と自分がやる可能性はあると思ってた。あとは相手が誰になるか次第だったね。もしプロハースカが勝ってライトヘビー級に残るなら自分になると思ってたし、アンカラエフでも五分五分って感じだった」 ──あなたはパースで勝利したあと、ラスベガスで話したときに、保証はないけど誰とでも戦ってタイトル挑戦を証明すると話していましたが、実際にタイトルマッチ以外のオファーはありましたか? それとも最初からタイトルマッチだったのでしょうか? 「いや、最初からタイトルマッチだった。それだけだ」 ──プロハースカについてですが、外から見るとかなり独特で予測しづらいスタイルに見えます。実際に分析してみて、やはり予測不能なタイプだと感じますか? それとも攻略できるポイントは見えていますか? 「穴はたくさんあると思うよ。どのファイターにも弱点はあるしね。ただ、自分は相手よりも自分がどう戦うかに集中してる。自分のベストを出すだけだ」 ──プロハースカ自身も立ち上がりが遅いという指摘を自覚していて、改善に取り組んでいると話しています。それによってゲームプランに変化はありますか? それともあくまで自分主体ですか? 「その通りだね。彼は賢い選手だし、このレベルまで来てるのには理由がある。だからいきなり無理に打ち合いに来るとは思ってない。これまでの試合も見てるだろうし、簡単に前に出てくることはないと思う。自分は下がりながらでも戦えるし、当てるときは当てる」 ──コーチのユージ-ン・ベアマンが、「世界最高のライトヘビー級の一人だ」と評価していましたが、自分自身で世界一になれると確信した瞬間はありましたか? 「ずっと自分が一番になれると思ってやってきた。この階級は一発で終わる世界だからな。本当に紙一重なんだ。だからこそ常に自信はあったし、今ここにいるのはそれを証明する段階に来たってことだ」 ──ベルトを巻く姿をイメージすることはありますか? それとも目の前の試合に集中していますか? 「もちろんビジョンとしてはずっと持ってる。そう信じてイメージすることは大事だからな。でも今は、とにかく試合でやるべきことをやることに集中してる。それだけだよ」 ──今回の試合は空位のタイトルマッチですが、王者からベルトを奪う形ではないことについて、何か物足りなさはありますか?それとも同じ価値だと感じていますか? 「できれば王者(アレックス・ペレイラ)と戦いたかったのは間違いない。やっぱりあいつが今のトップだし、あいつを倒してこそ自分が一番だと証明できるからな。あいつこそ、このベルトを懸けて戦いたかった相手だ」 ──今回の勝利によって、その王者を再びこの階級に呼び戻すことができると思いますか? 「できると思う。ここで圧倒的に勝てば、戻ってきて挑戦したいと思わせることはできるはずだ」 ──その試合が実現することの重要性についてはどう考えていますか? もちろんまずは目の前の試合がありますが、彼はこのスポーツでも最大級のスターの一人です。 「さっきも言ったけど、今のトップはあいつだ。トップに立ちたければ、そいつを倒すしかない。だからずっと注目してきたし、やりたいと思ってきた試合だ。でも言った通り、今は目の前の試合に集中してる。それがずっと自分のスタンスだ」 ──プロハースカについて、いくつか弱点が見えると話していましたが、具体的にはどんな点ですか? 「ディフェンスだな」 ──この試合は25分フルに使う展開になると思いますか? 「いや」 ──UFCデビュー戦は黒星(2021年3月『UFC 259』でケネディ・ンゼチョクに2R 3分19秒 KO負け)でしたが、そこから9連勝でタイトルマッチまでたどり着きました。この位置まで来られると信じていましたか? それともどこかで疑いもありましたか? 「ずっと信じてたよ。最初から分かってた。そもそもUFCに来た理由は一つで、やるからにはどんなスポーツでも一番になるって決めてるからだ。頂点に立つ。それが目的でここにいる。それだけだ」 ──これまでで最も厳しかったキャンプはヤン・ブワホビッチ(ライトヘビー級5位)戦に向けたものだと話していましたが、今回のタイトルマッチ、イリー・プロハースカ戦に向けたキャンプはそれを上回るものでしたか? 「キャンプは相手によって毎回違うものになる。プロハースカはプロハースカのスタイルがあるし、ヤンはすごくタフで経験も豊富で、総合的な能力が高い選手だった。あのときはそれが大きな脅威だった。だからといってプロハースカが劣るってわけじゃないけどな。今回は俺がしっかりコントロールして、あいつに流れを作らせないようにするだけだ(※ブワホビッチ戦=2025年3月『UFCファイトナイト・ロンドン』で判定勝ち)」 ──今回のキャンプにはナヴァホ・スターリング(ライトヘビー級)も参加し、ファイトウィークにも帯同しています。他にもニュージーランドやオーストラリアの有望選手たちがサポートしていると思いますが、一緒にトレーニングすることの価値について教えてください。 「すごく大きいよ。ナヴァホも大きな勝利をあげたばかりだし(2026年3月『UFCファイトナイト・シアトル』でブルーノ・ロペスにTKO勝ちし、UFC4戦4勝を記録)、ああいう選手たちがチームに価値をもたらしてくれる。俺が世界王者になるための準備を手伝ってくれてるんだ。同時に、彼らにとってもキャリアの次のステップにつながるしな。チームとしての一体感、それが一番大きい。ああいう環境があるから、ここがホームだと感じられる」 ──アレックスをこの階級に呼び戻す可能性について話していましたが、逆に自分がヘビー級に挑戦する可能性はありますか? 「いずれは間違いなくある。ただまずはこのベルトを取って、できるだけ長く保持することが最優先だ。ライトヘビー級でやるべきことをすべてやり切ったら、その次にヘビー級のベルトを狙うつもりだ」 ──このイベントにはパウロ・コスタ(ミドル級14位)やアザマト・ムルザカノフ(ライトヘビー級6位)も出場しますが、もしどちらかが大きな勝利を挙げた場合、初防衛戦の相手になる可能性はありますか? 「もちろんある。特にアザマトは有力なコンテンダーだと思ってるし、タイトル挑戦者としてふさわしい相手だ」 ──先ほどプロハースカがフェイスオフについて話していて、あなたに以前とは違うエネルギーを感じた、進化したように見えると言っていました。あなたはどう感じましたか?  「フェイスオフ自体はあまり気にしてないな。重要なのは試合前日から当日までの時間だと思ってる。その期間にいろんなことが起きるし、試合前の2〜3日はホテルの部屋で完全に集中して、自分のゾーンに入る。そのときに自分のなかからモンスターが出てくるんだ」
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