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インタビュー

【K-1】創始者・石井館長が明らかにしたK-1の“リベンジ”の意味。令和に復活した『K-1 REVENGE』が伝えるべきものとは「復讐してやるとかそういう小さい物語ではない」

2026/03/26 11:03
 2026年5月31日(日)東京・後楽園ホールで開催される『K-1 REVENGE』。 『K-1 REVENGE』は、旧K-1時代の1994年9月18日に横浜アリーナで初めて開催された伝説の大会。リベンジ=復讐を明確にテーマに打ち出した大会で、主役は当時K-1のスター選手の故アンディ・フグだった。  アンディは、その年の4月に行われた無差別級ワンデイトーナメントのK-1GPに初参戦したものの、一回戦でパトリック・スミスと戦い衝撃のKO負け。ドン底から這い上がるための舞台として、9月に『K-1 REVENGE』が用意された。アンディはスミスと再戦し、見事にKO勝ちを奪い、再起に成功。 【写真】現在はアドバイザーという立場でK-1を見守る創始者・石井館長 その後も『K-1 REVENGE』は、95年、96年、99年に3回開催される人気シリーズとなった。この“REVENGE”という言葉の意味を、K-1創始者である石井和義館長にお聞きした。  石井館長は『K-1 REVENGE』を開催することになった経緯を次のように説明する。 「本当の強さとは何かと言うと、勝ち負けよりも負けた後で立ち上がり、立ち向かうことなんです。心が折れない強さ、という象徴で“REVENGE”という言葉を使ったんですね。勝ち負けは誰にでもある。しかし、負けたままでは終わらない。なぜ負けたかをしっかり研究して、必ずそれに立ち向かって行く。倒れてもいいんですよ。一番大事なことは倒れても立ち上がっていくということなんです。  その象徴がアンディ・フグでした。あれだけ世界中から期待されながら、しかもパトリック・スミスというどちらかというと実力者というよりもキャラクター中心の選手だったじゃないですか。その選手に何もできないまま倒されてしまった。彼はいつもそういうドラマがあるですよね。成功する人の美学ではなく、敗者の美学を体現したのがアンディ・フグだったんじゃないかなと思うんです。 【写真】アンディ・フグを破った元UFCのパトリック・スミス 僕としてはあのままではアンディが可愛そうだなというのがあったので、『立ち上がれ、アンディ・フグ』という意味で“REVENGE”という言葉を使いました。それをプロ野球の松坂大輔選手が分かってくれて使いましたよね(1999年の新語・流行語大賞に選定された)。だからREVENGEという言葉は単なる復讐ではなく、負けた人間が立ち上がるドラマのことなんです。他の人に復讐するのではなく、自分自身に復讐する。それがK-1のREVENGEなんです」  石井館長は以前から「早くK-1 REVENGEをやればいいのになと思っていました」という。 「復活させるにあたって、あいつに復讐してやるとかそういう小さい物語ではなく、K-1本体としては大きな物語を考えて欲しいですね。ファンに届くのは、負けたままでは終われない、俺は必ずやり返す、何度倒れても立ち上がるのが戦いだよ、人生だよ、と。K-1=人生の戦いそのものなんだってことを世の中の人にちゃんと伝えていく、そういう気持ちが必要なんじゃないかな。  だからぜひ、今回のK-1 REVENGEを起点に、未完成だった世界戦略というものを今のK-1のみんなで完成させて欲しい。そのために僕はアドバイザーとして応援しています。K-1はまだ完成していないんです。僕は完成する前に辞めたから。今のスタッフでK-1を完成させて欲しいと願っています。K-1というのは過去に戻っていくことじゃないんです。K-1とは未来への挑戦、そしてREVENGEというのは未来に対する挑戦という意味なんです」 [nextpage] 『K-1 REVENGE』の主役、第2のアンディ・フグは 【写真】アンディ・フグの復讐のカカト落としがスミスに振り落とされる『K-1 REVENGE』は石井館長の言葉にあるように、故アンディ・フグが主役の大会だった。アンディのような選手が出てくることで、令和のK-1 REVENGEも盛り上がっていくだろう。  石井館長は「これから出てくると思いますよ」という。 「世界中にはいろいろな選手がいっぱいいるので。だからキックボクシングに限らず、他の武道からもどんどん出していけばいいんじゃないですかね。でも、アンディの形が今の時代でも受けるかどうかはまた分かりません。スターというのは自分たちが作るのではなく、今はファンが作っていくものだから。BTSが復活したけれど、なぜBTSに何十万人も集まるかって言うと、自分たちの気持ちを代弁してくれるスターを求めているんですよね。感情移入させてくれるスター。でも残念ながら、今の外国人選手の中に感情移入できるスターはまだいないですよね。  アンディはスイスから出てきて六畳一間のマンションに住み、朝から晩まで一人で稽古していたんです。そういう選手は今いないでしょう。彼は生き方そのものがドラマですよね。でも、ファンの人たちに感情移入させていって、スターを作らせていくシステムと土壌が、いまスマホがこれだけ発達しているんだから出来るはずなんですよ。一人のスターが変えていくんです。アンディだったり、魔裟斗だったり。必ずその時代時代にスターがいました。今だったら大谷翔平選手とか。一人のスターで変わるから、必ずK-1にもスターはいるはずなんです」  27年もの時を経て、復活する『K-1 REVENGE』。一度封印された大会が、この令和の時代に復活する意味とは何か。 「封印されたのは、K-1の世界戦略が始まってからじゃないかな。日本に世界中から選手を呼んでやっている時は、日本の中でドラマを見せていかなければいけなかった。それを世界でやり始めて、世界中でK-1を盛り上げていこうとなってから、それぞれのテーマが変わっていきましたよね。でも、REVENGEというのはテーマが絞りやすいのでいいんじゃないかと思います。日本のK-1は世界を見せて、その世界の凄さでもう一度日本に戻してくるやり方の方がいいと思いますよ。今回の後楽園ホールのイベントが良いきっかけになればいいなと思っています」  K-1が再び世界の立ち技格闘技をひとつにつなげて、形を作っていく。その起爆剤こそが『K-1 REVENGE』なのかもしれない。
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