【写真】安村 発
2019年11月8日(金)東京・新宿FACEにて、RISE初となる女子だけの大会『RISE GIRLS POWER』が開催された。
メインイベントで寺山日葵が判定勝利で紅絹にリヴェンを許さず連勝。セミファイナルでは那須川梨々が百花に判定勝利で1年ごしのリヴェンジに成功。第3試合では村上悠佳が台湾のウー・ユティンを2R KOに下すなど、那須川弘幸代表と天心が作戦を授けたTEAM TEPPEN勢が揃って白星を掴んだ。
▼メインイベント(第7試合)SuperFight! -47.5kg契約 3分3R延長1R
○寺山日葵(TEAM TEPPEN/RISE QUEENミニフライ級王者、J-GIRLSミニフライ級王者)
[判定3-0] ※30-29,29-28,30-28
×紅絹(NEXT LEVEL渋谷/RISE QUEENアトム級王者、元J-GIRLSミニフライ級王者)
寺山はジュニア時代から数々のアマチュア大会で好成績を残し、高校生になった15歳でプロデビュー。得意の蹴りを駆使してシュートボクシングで活躍中のMISKAIやMIOといった女子トップファイターたちとしのぎを削り、7戦目でMISAKIに初黒星を付けられたが、2018年11月のJ-GIRLSミニフライ級タイトルマッチでリベンジを果たしている。9月に佐藤レイナを破り、初代RISE QUEENミニフライ級(-49kg)王座に就き、J-GIRLSミニフライ級王座と合わせて2冠王となった。
紅絹は2006年10月デビューのベテラン選手で、パンチを主体としたトリッキーなファイトスタイルで各団体にて活躍。2012年11月、J-GIRLSミニフライ級王者になったのを皮切りにタイトルマッチを多数経験。7月に那須川梨々との王座決定戦を制し、RISE QUEENアトム級(-46kg)王座に就いてベテラン健在を示した。
2018年2月にJ-NETWORKで対戦した際には、寺山が紅絹を完封した形となっている。紅絹は「寺山選手とやってからも10数試合やっています。その時よりは試合の流れ全体を考えるようになりました。ただ行くだけの時代もありましたが、今は流れとか、力の使い方を学んできたつもりなので」と、以前の自分とは違うという。
前日会見で寺山は「私は敬意を持って倒しにいく」と語り、紅絹は「KOで戦う自信は正直ありませんが、3分3R、延長もあるなか、その全体の面白さが私のなかの試合。入場から試合からインターバルから終わってから、その全てが自分の見せ場だと思っているので、倒す・倒されないだけじゃない試合全体を見てほしい」と語っている。
1R、オーソドックス構えの寺山にサウスポー構えの紅絹。並ぶと身長差が際立つ。右の長い蹴りは寺山。出入りは紅絹。そこに寺山は左前蹴りをあごもとに合わせて尻餅をつかせる。紅絹も右ローを当て離れる。右ミドルから左ローの対角線攻撃は寺山。左ストレートには紅絹も右ストレート。さらに左を合わせる! 左ローを突く寺山。
2R、左ジャブと右ジャブで触りあい、右フックを当てる紅絹。寺山は右ミドル左ロー。紅絹も左インローを返す。紅絹の入りに右ヒザ! 右インローを突く寺山。さらに右前蹴りも。しかし紅絹は左右足をシャッフルして挑発。出入りで左右を突いて左を当てると寺山に右ストレートを合わせに行く。
3R、左右から左フックは紅絹。寺山は前蹴りから入るがボディから上を狙う紅絹はインローまで。手数が増える。寺山の前蹴りを避けて角度をつけて入る紅絹。さらに左ミドルも。左で飛び込む紅絹。さらにロー。寺山は左前蹴り。しかし紅絹も左右フック。蹴りの寺山。パンチの打ち合いは紅絹の距離。しかし寺山も決定打は許さない。
判定は3-0(30-29,29-28,30-28)で寺山が勝利。ベルトを腰に巻いてマイクを持った寺山は、「こんばんは、TEAM TEPPENの寺山日葵です。紅絹選手、対戦を受けてくれてありがとうございます。『倒したい』と言ってましたが倒せず、やりたいことも全然できずまだまだですが、このベルトとともに成長していきます」と、試合を振り返ると、「1回目の興行、みんなで頑張りましたが、また来たいと思ってもらえたでしょうか? もっと強くなって、よりよい興行にしたいと思います」と今後の抱負を語った。
試合後、那須川天心は寺山について「パンチが重くなっている」と評価。寺山は弘幸代表・天心とともに記念写真に収まった。
▼セミファイナル(第6試合)アトム級(-46kg)3分3R延長1R
×百花(魁塾/NJKFミネルヴァ日本アトム級王者)
[判定0-3] ※28-29,28-29,29-30
○那須川梨々(TEAM TEPPEN/2017年KAMINARIMON全日本女子-45kg級優勝)
NJKFミネルヴァ日本アトム級王者・百花(魁塾)と那須川天心の実妹・那須川梨々(TEAM TEPPEN)が再戦。両者は2018年11月のRISEで対戦し、プロ2戦目の那須川に判定2-0で百花がプロ初黒星を付けている。
那須川は「相手はボクシング技術が高くてスピードがある。でもすべてにおいて私が上回っている」と語る。百花は「前回ハイキックでKOした試合を見て、女子高生は伸びるのが早いなと思いました」と警戒も、「梨々選手は上手くてガンガン前に来ますが、私もガンガン前に出ようと思っています。浪速のいてまえ根性を見せつけて、リヴェンジはさせません」と語った。
1R、那須川、百花ともにオーソドックス構え。百花の蹴りに右ストレートを合わせる那須川。アゴが上がる百花。さらに百花の左右パンチを前蹴りでストッピングする。
右ミドルで入る那須川。そこに右を狙う百花。那須川は右ロー。百花はワンツーでの飛び込みも互いに深追いはせず。那須川の入りに今度は百花が右前蹴りを決める。
2R、互いに右が交錯。左ローの百花に右後ろ蹴り・バックフィストは那須川。ともにブロックする。近い距離で気持ちのぶつかり合いのなか、左前蹴りを高く打つ那須川に百花も左前蹴り。那須川の左に右をかぶせる百花は右ボディも。那須川も左フックを返す。前蹴りから右・左を打つ那須川。しかしパワフルな百花も詰めて右ストレート!
3R、右の前蹴りから詰める那須川。さばいて右振る百花はパンチ主体。右ストレートから右ミドルにつなぐ那須川。近い距離は百花の右が当たる。右の前蹴りで前に出る那須川。喉元に高い打点で入れる。
百花もパンチの打ち終わりに前蹴り。那須川が右を当てれば、百花も左を返す激闘い。バチバチの打ち合いの3Rが終了のゴング。
判定は0-3(28-29,28-29,29-30)で蹴りを織り交ぜた那須川が接戦を制して勝利。リング上で那須川梨々は、「自分でももっと攻めが必要な試合でしたがリベンジできて、作戦も立ててよかったと思います。皆さんどうでしたか? 友達も来てて勝ててよかったです。まだまだ課題はありますが、これからもよろしくお願いします」と、再戦での勝利に大きな笑顔。
「1・2Rはヒットを当てて待つ作戦だったのがハマった」と語った天心とともに記念写真に収まった。
▼第5試合 アトム級(-46kg)3分3R延長1R
○平岡 琴(TRY HARD GYM)
[判定3-0] ※30-29,29-28,30-28
×佐藤レイナ (team AKATSUKI/NJKFミネルヴァ アトム級1位)
29歳の平岡琴(TRY HARD GYM)は8勝(1KO)3敗1分の戦績。佐藤について「前蹴りが上手い印象と打たれ強さに自信があると聞くので、根性が勝つか私の蹴りが勝つのか楽しみです」と、根性vs蹴りとのテーマを掲げている。また前日計量では「向かい合って見て『打たれ強い』というわりに身体の線は細いなと思いました」と自信をのぞかせた。
対する佐藤レイナ (team AKATSUKI)は、9月大会で寺山日葵と初代RISE QUEENミニフライ級(-49kg)王座を争った8勝9敗1分の19歳。
1R、サウスポー構えの佐藤にオーソドックス構えの平岡。前足で距離を図る佐藤は右前足の横蹴り。平岡の入りにテンカオも。平岡は左ローを蹴りつつ強い右ハイ。佐藤の入りに右ストレートを狙う。右から左フックも狙う佐藤。互いの前蹴りが交錯。詰める佐藤は左右で前進。さらに右ハイと畳みかける。
2R、右のサイドキックを連打し前に出る佐藤。それをかわして右で前に出る平岡はボディを狙う。サウスポー相手に左フックをひっかけて右も振り前に出る平岡! さらに右ハイも。強い軸から右フックを当てる平岡! さらにボディ打ちに下がる佐藤。後ろ蹴りも。佐藤も左を返すとテヒザのテンカオで前進。
3R、右の蹴りをジャブがわりに使う佐藤は詰めると左ヒザも。しかし平岡もそれを読むと右ボディから左フックと散らしてさらにワンツーでの飛び込みとコンビネーションがさえる。半身の佐藤に右ストレートを突く平岡は右ミドルもヒット。押し返す佐藤もワンツーからヒザも蹴りの距離にはならない。詰めての右のショートも当てる平岡が連打しゴング。
判定は3-0(30-29,29-28,30-28)で“ハマのアイアンレディ”平岡琴がパワフルな怒涛のノンストップファイトで勝利。リング上で、「たくさんの応援ありがとうございました。TRY HARD GYM、3人全員で勝つことはできなかったですけど、TRY HARD GYMも強くなっています。女子部としてもっと強くなってベルトを獲りにいきたいと思います」と、メインで戦う王者・紅絹に宣戦布告した。