MMA
インタビュー

【RIZIN】井上直樹「サバテロの言葉は響かない」×サバテロ「奴は俺の術中だ!」=大晦日バンタム級王座戦は井上の打撃か、サバテロのレスリングか

2025/12/20 10:12
 2025年12月31日(水)埼玉県・さいたまスーパーアリーナで『RIZIN 師走の超強者祭り』が開催される。  メインイベントではフェザー級王者であるラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)に朝倉未来(JTT)が挑戦する他、ライト級、女子スーパーアトム級、フライ級でもタイトルマッチが行われ、バンタム級でも王者・井上直樹(Kill cliff FC)が挑戦者にダニー・サバテロを迎えて3度目となる防衛戦を行う。井上、サバテロが本誌のインタビューに答えた。 ▼RIZINバンタム級(61.0kg)選手権試合 5分3R井上直樹(Kill Cliff FC)王者 20勝4敗ダニー・サバテロ(アメリカントップチーム)挑戦者 16勝4敗1分  これまで常に対戦相手へ過激な煽りをして来たサバテロは井上に対しても戦前からSNSやインタビューで暴言を連発。9月の佐藤将光戦では試合後、リングサイドで観戦していた井上に中指を立てるなど対面でも王者を挑発した。  井上は、こうしたサバテロの言動に対して対戦決定の会見で「サバテロ選手、口うるさいのでその口、カチ割ってやろうと思います」とこれまでになく強い言葉を返した。  しかし、井上はその後の本誌のインタビューでこうした自身の言葉の意図について聞かれると、「なんだろう。特に何とも思ってはないですけど、別にサバテロ選手に対して恨みとかもあるわけでもなく。別に何とも思っていない。面白いだろうなと言ったわけでもなく、普通に思ったことを言っただけです。これだけはまあ言っておこうと思って」と、特に感情もなく素のままの回答であったことをサラリと語った。  そしてこれまでのサバテロの挑発についても「響いて来ないですね。そんな感情的にならないので。実際試合で。どうなるかじゃないですか。それまでの過程でしっかり盛り上げてくれているのはありがたいですけど、まあ特には。心にまでは響かないです」と冷静に見ていることを明かしている。  しかしそうしたクールな回答に対してサバテロは「最高だぜ! もう奴は俺の術中にある」と不敵に笑う。  ZOOMインタビューで「俺はこういう心理戦は大得意だ。普段奴はああいう反応はしない。今までどの試合でも静かだった。そんな奴が今俺にこう反応してくるとはな! 知らぬ間に、俺によってまんまと慣れない領域におびき寄せられたってわけだ。トラッシュトークは俺の専門分野で、奴は全く下手だ。なのに自分の性格に似合わないことをやっちまったんだよ」と、自身の仕掛けた心理戦に、王者の冷静さが徐々に崩れつつあると分析した。  試合のスタイルは打撃で距離を制してスマートに戦う井上に対し、しつこいフォークスタイルベースのMMAレスリングとスクランブルでトップキープし、無尽蔵のスタミナで泥臭く戦うのがサバテロ。  互いの武器について聞くと王者は、「掴まれたら、そこからが強いですね。他の試合を見てもスクランブルは強いので。組んでからはそこを警戒しています」とその武器を認めつつ「でも本当に徹底しているから、しっかりサバテロ対策はできそうですね」と自信をのぞかせる。  対してサバテロは井上の打撃について、「クソだな!」と一蹴。「まあ奴の最高の武器はフットワーク、そしてジャブを用いた距離のコントロールだな」と冷静に分析しつつ、井上のジャブで距離を支配する戦い方は「俺には通用しねえ。奴に正面から圧力をかけて心を折ってやるよ」と正面突破を予告。  さらに「奴のジャブやワンツーやフットワークに対するカウンターを、俺らは用意しているんだよ。ビューティフルな戦いになるぜ!」と対策にも余念が無いことを明かした。  Bellator時代も含め、これまで2度の5R戦をはじめ、フルラウンドの勝負を何度も勝ち抜いてきたサバテロは「奴が勝つ唯一のパターンは、初回で俺を殺すことだ。ラッキーパンチかなにかでな。それができなければ勝つのは俺だ」と、勝負が長引けば自身が有利だとコメント。実際、直近で井上が敗れたファン・アーチュレッタ戦、扇久保博正戦はともにフルラウンドの戦いとなり、序盤は井上が優勢な場面を作るも、後半に追い上げられて判定負けとなっている。  だがこれに対して井上は、「まあチャンスがあればそこで倒しに行きますし。長期決戦になる可能性も全然あるし。でももちろん判定で勝つつもりで、その過程でしっかり倒しに行くというのは決めてます」とどのような展開でも対応できると自信を見せた。  最後の敗戦である2023年5月のアーチュレッタ戦から約2年半、那須川天心らも指導してきたトレーナー・永末‟ニック”貴之氏の下で続けてきたトレーニングによりフィジカル面は進化し続けている。  井上の打撃か、サバテロのレスリングか、短期決着かフルラウンドの長丁場か。どちらの武器が勝つか、どちらが得意分野に持ち込むか、答え合わせの時が迫る。 ◆井上直樹Naoki Inoue1997年6月14日、愛知県出身身長:175cm リーチ:177cm(70inc) 体重:61.0kgKill Cliff FC所属 バンタム級屈指のスピードと技術を誇る現王者。地元・愛知県豊橋市の名門・空手道白心会で姉・魅津希と共に格闘技を始める。15年2月のプロデビュー以来10連勝を挙げ、17年、日本人最年少の19歳でUFCと契約。6月のデビュー戦では判定勝利を収めた。18年6月、怪我からの復帰戦でマット・シュネルに僅差で敗れキャリア初黒星を喫し、その後フライ級廃止の余波でUFCを離脱。20年2月RIZIN初参戦。2連勝後の大晦日、元谷友貴に一本勝利。21年はバンタム級GP参戦し優勝候補と目されたが、大晦日に扇久保博正に判定負けを喫しまさかの準決勝敗退。23年5月、堀口恭司が返上した王座を巡る王座戦進出を賭けフアン・アーチュレッタと好勝負を繰り広げるも判定で敗れた。24年3月、佐藤将光とハイレベルな攻防を展開し、判定勝利で再起すると、9月には朝倉海が返上した王座をかけ、激闘派キム・スーチョルを1Rスタンドパンチ連打でマットに沈め、第7代王者に。25年3月、元谷友貴と再戦し、かつて1度も防衛されていないRIZINバンタム級王座の初防衛という快挙を達成。7月、DEEP王者の福田龍彌を挑戦者に迎えると、その類稀なファイトIQと打撃の技術を光らせ、完封勝利を挙げV2成功。今回、精緻なレスリング技術を持つダニー・サバテロを相手に3度目のベルト防衛を果たし、RIZINバンタム級絶対王者として君臨するか。 ◆ダニー・サバテロDanny Sabatello1993年3月31日、米国イリノイ州シカゴ出身身長:178cm、リーチ:177cm(70inc)、体重:61.0kアメリカントップチーム所属 幼少期にレスリングを始め、高校時代イリノイ州王者に2度輝く。大学ではNCAAディビジョン1で活躍。18年7月のプロMMAデビュー以来6連勝を飾る。Titan FC では20年6月に王座決定戦で一本勝利を挙げベルトを獲得、21年2月には初防衛に成功した。5月よりBellator参戦。2連勝を挙げバンタム級ワールドグランプリへの出場権を獲得すると22年6月の1回戦を判定勝利で突破、12月、ラフェオン・ストッツが保有する暫定王者のベルトもかかった準決勝ではスプリットで敗れGP敗退。23年4月、マルコス・ブレノに一本勝利で再起を果たすと、7月、超RIZIN.2で初来日し、マゴメド・マゴメドフにギロチンチョークを極められ敗れる。11月、ストッツとの再戦ではユナニマス判定で敗れリベンジならず。24年8月のPFLではマジョリティドローに終わった。試合ではレスラーらしいコントロールを得意とするファイトスタイルだが、所謂Fワード連発のトラッシュトーカーで、その澱みない啖呵が??に向いているとBellatorに勧められアカウントを開設したほどだ。RIZINファイターとして初の舞台となった25年5月、オリンピック金メダリスト太田忍とのレスラー対決では3Rにスラムされた場面で体をひねるテクニックを見せ、太田が顔面から落ちたところにパウンド連打でTKO勝利を飾った。9月には佐藤将光を相手にフルラウンドコントロールし2連勝、勝利のマイクでは日本語で「首を洗って待ってろ」と井上に戦線布告していた。井上のスピードも、ステップも何もかも封じてドミネートし、3戦目の舞台で王座を手にするか。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.341
2025年12月21日発売
大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント