顔を近付けて挑発する川原(右)に皇治は微動だにしなかった
2019年11月24日(日)神奈川・横浜アリーナ『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~よこはまつり』の公開記者会見が、10月31日(木)神奈川県内で行われた。
皇治(TEAM ONE)の緊急参戦が発表され、その相手は元パンクラスのMMAファイター川原誠也(パンクラスイズム横浜)という異色のカードが組まれた。
川原は極真空手出身で高校3年生の時にパンクラスのジムに入門。アマチュアを経て2007年5月にプロデビューし、2008年1月からパンクラスに参戦。破壊力のある打撃を武器に6連勝を飾り、7戦目でパンクラス・バンタム級王座に挑戦したがタイトル奪取に失敗。2011年5月の再挑戦も失敗に終わった。
“悪童”と呼ばれ危険な匂いを常に漂わせ、パンクラスのホープとして期待される存在であり、『戦極』にも出場を果たしたが、2012年7月の試合を最後にリングを離れ、2013年6月に自身のブログで引退を発表した。MMAの戦績は10勝4敗1無効試合。現在31歳。
すぐに会見に飽きたのか川原は中村プロデューサーの横で大あくび
中村拓己K-1プロデューサーは「川原選手は一度引退しましたが、パンクラスイズム横浜で練習を再開して格闘技をもう一度やりたい、K-1に上がりたい、戦ってみたい相手もいるというコンタクトがありました。僕が格闘技記者時代に川原選手の試合を見て、打撃だけの試合に出ても通用するポテンシャルのある選手だと思っていました。今までK-1に出場した総合格闘技の選手の中でも1、2を争うポテンシャルを持っていると思います」と、川原がK-1に参戦した経緯を説明して高く評価。
ポケットに手を突っ込んでふてぶてしい態度で現れた川原は「ブランクはあるんですが再デビューなので新鮮な気持ちで、しかも最高の相手を用意してもらって感謝しています。総合の選手がノリで出ているみたいに思っているだろうけれど、ビックリさせようと思っているので応援よろしくお願いします」と挨拶。
次に対戦相手の皇治が登場し、この試合は61kg契約で行われることが発表された。
中村プロデューサーは「川原選手が興味ある相手というのが皇治選手でした。前回の一夜明け会見で、皇治選手は年内は試合せずに強くなる練習を続けるとのコメントがあり、当初今大会で試合を組む予定はなかったんですが、川原選手の参戦が決まり、皇治選手と戦いたいとの意思表示があり、ダメ元で皇治選手にオファーしました。かなり口説くのが大変でしたが熱烈オファーしたところ、皇治選手が『ではK-1のために戦う』と。総合から乗り込んできた選手がいて名前を出された、『じゃあ、やろう』と参戦が決まりました」と皇治が緊急参戦することになった理由を説明。
川原は「この間、練習が終わってゆっくりしたくてテレビをつけたら『有吉反省会』をやっていて。皇治選手が武尊選手とやった時に応援していたんですよ、男だと思って。リスペクトしていますね」と、どうやら『有吉反省会』を見て皇治と戦いたくなったようだ。
皇治は「K-1がやかましいから年内ゆっくりさせろと言っていたんですが、ファンが見たいと言ったら出ると言っていたし、俺はファンとK-1を愛しているから、しつこく言ってくれるのは光栄だから盛り上げようと戻ってきました」と緊急参戦した理由を話す。
試合は実に7年ぶりとなる川原だが「ずっと練習はしていた。練習して仕事して遊んでた」と言い、「皇治選手は誰もが羨む選手だと思う。テレビに出ていてファンもいっぱいいて。だから、勝って全部喰っちゃおうかと。自信があるから試合をすることを決めましたし、みんなブランクあってダメでしょ思ってるだろうけれど試合当日に見せる。だから偉そうにしているんですよ」と不敵な笑み。
その言葉を受けて皇治は「人それぞれあるから、リスクを背負って奪いに行こうとしている姿勢は男として凄い。でも俺からすればどちら様ですか? って話です。何をしていたのかよう分からんけれど、K-1ルールやし、格の違いを見せようと思っています」と、挑戦する姿勢は評価するがK-1では格が違うと言い放つ。
続けて「周りがやかましい、いい加減倒せと。だから倒れて寝て」と川原にKO負けを勧める。川原はニヤリと笑って「そこを耐えて倒します」と逆にKOすると宣言し、「皇治選手に判定で勝とうなんて思っていない。みんな判定でやられていますし、そういうことです」と毒のある発言。
中村プロデューサーからは川原に今後もK-1に参戦してもらいたいとの話があったが、川原は「皇治戦以降は何も考えてない。今さら有名になりたいとも思わない。でも相手が皇治選手なので最高だな、と」とこの試合に全てを懸けるとする。
「だってテレビで見たんですが、講演したりとかファンいっぱいいてとか、理由があるからそうなっていると思う。誰もが羨むK-1ファイター。強いし、粘り強いし、武尊戦の時は普通に応援していました。尊敬している、でも喰っちゃおうかなと思って。有名になるとかは今さらいいです。皇治選手だから自分も試合するだけです」と、皇治を“喰う”ことだけを考えているという。
皇治は川原にタックルを仕掛けられるんじゃないかと警戒していたと笑い、「川原選手はバリバリ気合いが入ってると聞いて盛り上がると思って、俺も気合いが入っている。でも川ちゃんええ感じで。こんな褒められることがないからね」と、まさかのリスペクトに機嫌をよくする。
しかし、「異種格闘技戦みたいな感じで盛り上がると思ったから受けたし、これは他団体との戦争だと思ったので気合い入っているのでバチバチに行く。川ちゃんと盛り上げる」と、戦争のつもりで行くと宣戦布告した。