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【RIZIN】バンタム級で中島太一を109秒KOの後藤丈治「安藤選手やサバテロに立ち向かっていく存在として」「吉本隆明さんの『共同幻想論』を読んで“数字が多いからいい”と判断されるような傾向に違和感」

2025/11/07 16:11
【RIZIN】バンタム級で中島太一を109秒KOの後藤丈治「安藤選手やサバテロに立ち向かっていく存在として」「吉本隆明さんの『共同幻想論』を読んで“数字が多いからいい”と判断されるような傾向に違和感」

(C)GONG KAKUTOGI/RIZIN FF

 2025年11月3日(月・祝)兵庫・GLION ARENA KOBEにて『RIZIN LANDMARK 12 in KOBE』が開催され、バンタム級で後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)が、中島太一(ロータス世田谷)を109秒、左フックでKO。RIZIN2連勝、MMA3連勝をマークした。

▼RIZINバンタム級(61.0kg)5分3R
×中島太一(ロータス世田谷)19勝14敗1分
[1R 1分49秒 KO]
〇後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)19勝8敗1分

 1R、サウスポー構えの後藤にオーソの中島は右ミドル。左インローの後藤。中島はローシングルからドライブも切る後藤。左ハイをガード上に突く後藤はさらに左ミドル。腕を殺される中島も右ミドルを蹴り返し。後藤の左フックに腰が落ちた中島!

 打ち合いに応じる中島、右ローを打つが、片足になったところに後藤はさらに左でダウンを奪うと、足を手繰りに来た中島をスプロール。切って立って中島の立ち上がりに左を当ててさらにダウンを奪うと、パウンドに行かずもレフェリーが間に入った。

 試合後、後藤は「自分、ここまでずっとTRIBEで長南さんに育ててもらってここまできました。バンタム級に長南選手の教えを受けたバンタム級選手がもう一人います。安藤選手、必ずそこまで行くので待っていてください」と、RIZIN2連勝中で元同門の安藤達也をコールアウトした。

 中島は担架に乗ってケージを後に。検査のため試合後インタビューには出席できず。直後はXで引退を表明したが、試合後のnoteで、「青木さんから『気持ちはわかるが“引退”なんていう言葉を軽々しく口にするな』と言われました。『1人でやっているんじゃないんだよ』と、『プローモーター、スポンサー、応援してくれるファン、仲間、家族、色々な人がいて成り立っていることなんだよ』と」「もう1人で強がるのは辞めます、もっと周りに頼ります、1人でやろうとしません、ありのままの自分を受け入れます」「試合から3日が経ち、悔しさが沸々と込み上げています。次からはこんな練習が良いかも、もうあの練習はやめようなど次の事を勝手に考えています」と投稿。考えを改めたようだ。

 試合後の勝者との一問一答全文は以下の通り。

後藤「反応が良い中島選手に『抜く』感覚で打った」

──中島選手との試合を終えた率直な感想をお聞かせいただけますか

「“やってきたこと、できたな”という感じですね」

──プラン通りの展開だったということでしょうか。

「というよりも、ずっとイメージしてきたこと……、ずっとイメージしたことっていうのは、勝ったあとに中島選手が倒れてて、で、お客さんがワーッて言ってくれてるっていうのを何百回も想像してきたんで、それが実現したなって感じでした」

──1発目、中島選手に当たった時、レフェリーも止めるかぐらいの仕草に入っていたと思いますが、そこで後藤選手は相手があの向かってくると思って、さらに追撃に行きましたか。

「そうですね。まあ最終的に止められるまでは続けるっていう考えだったし、あとやっぱ5分3Rというより、15分の中で、ずっと自分のゲームをするというか、ずっと自分がやり続けるっていうイメージでやってたので。結局同じ結果になるな、という感じではいました」

──中島選手と実際に戦った印象を教えてください。

「そうですね。やっぱりちょっと戦った時間は短いんで、感じたものも少ないんですけど。なんかこう、自分の決めたことをずっと徹底してやることができる選手なのかなっていう印象がありました」

──元PANCRASE王者の中島選手との試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。

「展望としてはやっぱりバンタム級で日本人最強になるっていうのを掲げてます。で、やっぱその中で、マイクで言った安藤(達也)選手とかももちろんそうですし、なんか今(ダニー・)サバテロとか、そういう強い外国人、絶対また呼んでくると思うんで、そういうのに立ち向かっていく存在として、強くなりたいなと思ってます」

──今日、勝負の決め手となった左は、最初からこれで勝負しようというのはあったのですか。

「いや、どっちかというと左ストレートをずっと練習してました。で、向き合った感じでちょっと変えたっていう感じですかね」

──向き合った感じで臨機応変に変えたということですか。

「そうですね。まっすぐ打ち抜くよりも、ちょっとかぶせた方が当たるなって感覚で動いてたと思います」

──もう一発目のヒットから感触はありました?

「ありました」

──中島選手の方がほとんど反応できてないように見えましたが、あれは後藤選手の打ち方が上手かったから?

「逆に中島選手ってすごい反応が良い選手だと思うんですけど、この、リズムの中というか、その中で“抜く”っていうか。なんかそういう感覚で打ったと思います」

──そのまま勝負を決めたと思いますが、勝負が決まっても。後藤選手、全然笑みを浮かべてなかったことに何か意図はあったんですか?

「いや、本当に何回も想像してきたんで、なんかそれが、こう肌感覚であるだけで、あのシーンを何回も想像してきたから、なんかそれを再現できたなあっていう、そんな感じでした」

──もう試合映像はご覧になりました?

「さっきちょっとだけ見て、客観的なイメージをやっぱしてなかったんで、こう客観的に倒している姿見て、なんか初めてこう、あの嬉しさがあったっていう感じでしたね」

──100点満点ですか。

「いや、これ言ったらまた長南(亮)さんに“いやいや”みたいに言われるんで、70点ぐらいにしましょう」

──前戦、札幌大会の勝利後は、終わった直後の控え室で長南さんと反省をされていました。今回はそういうものはありましたか。

「いや今回はなかったです。今回はメイン(に同門の萩原京平の試合が)控えていたので、もうそこに繋げることにもう全集中みたいな感じですね」

──メインを戦う萩原選手とは、ご自身の試合後には会話などはされましたか。

「あ、そうですね。バンテージ巻いてたんでちょっと話して。自分もそうだし、今日オープニングファイトで試合した(宮川)日向っていう選手も一緒に練習してて、で、京平も練習してて、本当にこのキャンプってすごい良くて、みんなの調子が。自分もそうだし京平もめちゃくちゃ調子良かったので。あ、今日すごいよって。今日たぶん試合始まったら分かるけど、すごい結果になると思うよ、みたいな話をしました」

──自分が勝ったことで、キャンプでやってきたことが確認できて=萩原選手もその結果になっていくと?

「そうですね、そうなると思います」



──試合が早く終わったので。コンディションもいい感じだと思いますが、名前を出された安藤選手とは、できるならば大晦日にやりたいですか。

「だったら最高ですね。まあただ、それがもし叶わないとしても大晦日狙っていきたいなと思っているし。さいたまスーパーアリーナは、改装か何かに入っちゃうんですよね? その前にやりたいなあっていう気持ちはすごいありますね」

──大晦日だと2カ月切っているのですぐファイトキャンプになってしまいますが。

「全然いけます。もう自分も2、3年前ぐらいの大晦日の時に、もうRIZIN2連勝しても試合に呼ばれない時期があって、その時に大晦日悔しくて山篭って。ずっとキャンプ場で“何がいいんだろうな”みたいに考えた時期があったので、今回チャンスものにできたら嬉しいなと思います」

──ご家族、お子さんに勝利報告はされましたか? さすがにお子さんは分かっていないでしょうか。

「さっき電話しました。子どもは泣きわめいてました、まだ3カ月、4カ月とかなんで」

──YouTubeを拝見して、MMAの技術書じゃない書籍を自身のMMAの考え方に活かしているということをおっしゃっていることに興味を持ちました。今回の試合に向けて、もし一般書籍で、自分の考え方やMMAに関して進歩させるのに役立った書籍や、どこの部分が役に立ったかなどを教えていただけたら嬉しいです。

「考え方で言うと、やっぱ吉本隆明さんの『共同幻想論』を改めて読んでて。で、やっぱり“数字が多いからいい”と判断されるような、資本主義的な感じがちょっとな、みたいに思うところがあって。自分は自分がかっこいいと思う生き方を貫いて、それやっていけば、こうやって証明していけるんだよっていうところにその本は繋がったかなっていうところで。格闘技的な話で言うと、『体はゆく』(伊藤亜紗)っていう本を、ジムの後輩の、エフェヴィガ(雄志)っていう選手がいるんですけど、彼から教えてもらって。それが体の使い方とか、そういった面ですごい参考になりました」



──MMAの技術書以外から役立てる話をファイターの方々から聞かせていただけることはあんまりないので面白いと思いました。技術書には書かれていないところにヒントがありますか。

「そうですね。まあ、技術書も素晴らしいものはいっぱいあると思うんですけど、それを伝えている方の例えば身体とか今までの考え方とかによって全然違うし。例えば自分がさっきの摩嶋選手みたいなスタイルでできるか、同じことやってできるかって言われたらできないと思ってるんで、それを真似するってよりは自分の持っているものを、他の、ものの考え方だったり、本などから自分で料理するみたいな、そんな感じのがいいのかなと思ってやってます」

──大変興味深かったです。

「抽象的ですみません」

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