MMA
インタビュー

【RIZIN】榊原CEO「19歳の秋元強真に驚愕」「伊澤vs.RENAはやる意思は前から2人にあった」「桜庭大世っていい選手だな」「松嶋vs.ケラモフは大晦日の可能性も」「大晦日は王座戦とSPマッチも」「クロフォードの大晦日は──」=総括全文

2025/11/04 08:11
 2025年11月3日(月・祝)兵庫・GLION ARENA KOBEにて『RIZIN LANDMARK 12 in KOBE』が開催された。1万420人・満員、全席完売だつた同大会の試合後、榊原信行CEOが総括を行った。 秋元は19歳にしてメインベンターとして求められる資質をしっかり兼ね備えている ──大会を終えた総括からお願いします。 「初のGLION ARENA KOBE、皆さんもお感じになったように、非常に格闘技向きの素晴らしいアリーナがまた一つ誕生したことを、これは本当に格闘技界にとって、RIZINにとっても財産だと思います。関西地区でなかなかいい1万人規模のアリーナがなかったところに、今回こういうアリーナができたことは本当に嬉しく思います。満員札止めということで、多くのファンの皆さんにライブ観戦いただけたことを心から感謝したいと、そう思います。  今日は集まってくれた1万人(1万420人満員)のファンの皆さんの熱い声援のおかげもあって、8試合、KO・一本の完全決着がつくという。最近ずっとフラストレーションのたまる試合が多かった中で、全体を通して非常にどの試合もみんなガンガン、前に出て行ける勇気を持って勝ちに行ってくれてる。その選手たちの姿、その背中をみんなの声援が後押しして、今日の熱狂が作れたかなと。プロモーターとしては非常に感謝している次第です」 ──盛り上がったメインの感想を。 「ファンの熱、期待、そういうものが醸成されていただけに、その熱い思いというか、前のめりのな思いが、会場でも試合の始まる前の声援も含めて、今日一番大きかったと思うんですけど、その思いに充分2人の試合が答えるだけのものを、両選手が見せてくれたかなという風に思っています。覚悟を決めて──京平も強真も全力で戦う姿に、僕自身も胸を打たれましたし、まあその中でも秋元強真っていう19歳のとてつもない引き出しの多さというか、ポテンシャルの凄さ。  メインイベンターに問われるのは、常に選手たちにも言うんですけど、“勝ちっぷり・負けっぷり”なんで。その中でもやっぱり多くの期待に応えるようなファイトスタイル。何が今日見たかったかっていうと、やっぱり2人の打撃戦が見たかったわけで、1R、これは強真が何て言ったか分からないですけども、あえて相手の土俵というか──まあ相手の土俵ということでもないのかもしれないけれども──京平の得意とする打撃での攻防にしっかり付き合って、あれだけの戦いをして、2Rになって、自分の引き出しの多さというか、引き出しが京平よりも上回ってるんだよっていう。まさに“MMA”で決着つけるっていう。横綱相撲とは言わないけど、メインベンターとして求められる資質を19歳ながらにしてしっかり兼ね備えていることにちょっと驚愕しました。嬉しく思いました」 ──さきほど秋元選手は「『大晦日は無し』っていうのを榊原CEOからも言われた」ということだったんですけど、実際にそのようなお話を? 「明日に5日の会見に向けて最終カードの編成をしますけど、ファンのみんながどういう反応かわかりませんが、今シーズンこれで3試合目かな(25年5月・7月・11月)、秋元は今日も2カ月間の中で、強真の試合をもちろんファンは見たいと思うと思いますけど、休むことも仕事だという風にも思いますので、カード編成がしっかり──今、僕のプラン通りで行けば充分整うかなと、そう思ってるんで。2026年の開幕戦とか、そういう春先の大会に満を持して出てきてもらうようなことでマッチアップできたらいいなという風に思っています。大晦日のカード編成が思うようにいかないと秋元強真にまた助けてもらうかもしれませんけど──そういうこと言ってるとファンにまた怒られるんですが、いずれにしても10年を締めくくるにふさわしいラインナップにしたいと思っていますんで。ただ、今の現状で言うと、強真は休ませたいと思ってます」 ──萩原選手は敗れましたが、メインイベンターとしての役割を……。 「十分果たしましたよね。進化も見せたし、ハートも見せたし、負け星が先行している京平からすると、ここを勝って10勝10敗の五分に戻したかったのかもしれませんけど(9勝11敗になった)。まだまだ、ある意味ファンの人たち、今日、会場や配信で見てくれたファンは京平の試合を観たいはずですから、メインイベンターとしての重責をしっかり果たすだけの試合を見せてくれたなということで感謝してます」 [nextpage] 伊澤vs.RENAは実現しそうで実現しなかったカード。タイトルマッチにして大晦日に組めればいいと ──女子スーパーアトム級のタイトルマッチでは、伊澤選手も圧倒的な勝ちっぷりでしたが、試合後にRENA選手を挑戦者に抜擢した狙いは? 「いずれにしても、RIZINのこの10年間の歴史の中でも伊澤星花vs.RENAっていうのは、まあ常に浮上しては消え、怪我があったり色々あって、2人の中にももうやるっていう意思はずいぶん前からあったカードだと思います。RENAに至っては、僕は本当にケージの中でもお話したように、2015年のRIZINとしての新しい緑のグローブに変えて、本当に新しい、ゼロイチでスタートするっていう第1試合が女子格っていうのは、PRIDEの時代はやったことなかったんですけど、その第1試合にRENAに出てもらって、彼女が跳びつき腕十字で極めて、それが幕開け、開幕をして10年経った。またここでRENAの試合っていうのは、個人的な思いも含めて、組ませてほしいなということでRENAにも話をして、ここまでマッチアップできて、試合が実現しそうで実現しなかったカードでもあるので、タイトルマッチにして大晦日に組めればいいかなということで決めさせていただきました」 ──さきほど伊澤選手が「もっと話したいことあったのに、榊原さんからマイクを取られてちょっとムカついた」と言ってました。 「はい、そういうこともあります。僕も話したいことがあったんで、すみません(笑)」 桜庭大世と後藤丈治の勝利はいいアピールに ──休憩前にいい勝ち方をした桜庭大世選手や後藤丈治選手の大晦日の試合は? 「すごいですね。桜庭大世っていい選手だな。ちょっとびっくりしました。マット上であれ言おうと思ってやめちゃって、やっぱりこれ言おうと思ってやめちゃってっていう感じで。でも『親の七光り』がどうのこうのとか、いろいろ言おうとしてたし、やっぱりいろんな思いがあるんだと思うけど。大世のMMAの中でのこだわりやスタイルがあると思いますし、僕らはどうしてもPRIDEの時代が桜庭和志、お父さんのあの姿をずっと見てきた我々世代からすると、どこかやっぱり桜庭和志をオーバーラップさせて見ちゃうところもあって。でもあの二世の子達って、それをすごくプレッシャーに感じたり、すごく嫌がったりするところもあったりするんで。大世にもひょっとしたらそういう思いがあるのかもしれませんけど。  あのポテンシャルからすると、これで3戦目ですからね。やっぱり自分から打撃の選手に臆することなく前に出て、打撃で崩して、最終あのしっかり(一本)取ってっていう、なんか親父のようだなと思って。すごく可能性を感じました。後藤選手も、中島選手って強いですからね。あんなワンサイドでっていう風には僕らは予想してなかったですけど、しっかりアピールになる試合だったと思うんで。その2人も大晦日に向けて、いろいろ考えていきたいなと、そう思ってます」 [nextpage] ケラモフの体調を確認しながら、松嶋との試合は大晦日か年明けか ──松嶋こよみ選手がケージの中で挨拶しましたけれど、近いうちにどういう形で、ヴガール・ケラモフ戦か、あるいはまた別の形なのか、状況が許せば組むという形になるんでしょうか。 「ファンのみんながどう感じているのか、耳を傾けたいと思いますが、まずは本当にケラモフのウイルス性の胃腸炎っていうのが、短期間でリカバーができて、トレーニングまた始めて大晦日に間に合うのかどうか。大晦日にそのままスライドして、松嶋選手とケラモフというカードも充分可能性はあると思いますし。ただまあ本当に僕らが今プランニングしているマッチアップで言うと、もう充分、試合が詰まってる、試合数が並んでるんで、まあ年明けになるのかもしれませんし。まずはケラモフの体調を確認しながら(考えたい)。  いずれにしても松嶋選手、相当の覚悟を持ってRIZINの門を叩いたじゃないですけど、RIZINのケージに入ることを決意してくれたと思うんで。今日試合ができなかったのは本当に本人悔しいと思いますから。一日も早く松嶋選手の試合をうまくマッチアップできるといいなと。その第一候補がケラモフであるという。その時期をもちろん大晦日も可能性あると思いますし、年明け早々ということにもなるかなと思います」 (C)ROAD FC ──今回、松嶋選手が参戦して注目された点に、海外志向の選手がRIZINに出てくるということがあって、安藤達也選手っていう成功例もありまして、今後、そういった海外志向の選手でRIZINに興味がある選手を入れていくということは、どのくらい考えていらっしゃるでしょうか。例えばROAD TO UFCで決勝まで行った原口伸選手などはRIZINを意識して発言しています。そういった選手は、逆にRIZIN側としても意識してる、みたいな感じでよろしいでしょうか。 「そうですね。海外志向とか海外志向じゃないとかって、まあ、いろいろあると思いますけど、本当にRIZINとすると、やっぱりRIZIN自体が日本で作り出したメイドインジャパンで、世界にもっともっとプロモーションとして団体として、プレゼンスを高めていきたいと思ってるんで。そういう意味では海外志向の選手たちとも一緒のベクトルを向いてるんだと思います。だから、これからROAD TO UFCに出てる人、ONEに出てる人。ひょっとしたらPLFだったり、いろんな団体に出てる選手とか、そういう海外を目指している選手も、もちろん僕らもしっかりスカウティングしてますから。そういう人たちともチャンスがあれば、RIZINを起点にして──RIZINは言ってもフェデレーションなんで、僕らから泉(武志)のようにPFLに選手として海外にチャレンジしたいっていう選手を送り出すこともできる団体も世界にはたくさんあります。  そういう意味ではRIZINとしっかり向き合って、そこを起点にして日本国内での求心力もつけながら、世界的なチャレンジが、RIZINという舞台でRIZINの海外大会に出ていくじゃなくて、RIZINを起点にして、ほかのプロモーションに参戦の機会を僕らがコーディネートしていくっていうことも、海外志向の選手ができる。そういう、フェデレベーションとしての良さもあると思うんで、積極的にそういうスカウティングを、海外志向と言われる選手たちともコミュニケーションをとっていけたらいいなと思ってます」 [nextpage] 大晦日は各階級のタイトルマッチを軸にスペシャルワンマッチも ──伊澤星花選手とRENA選手の女子スーパーアトム級、GP優勝のアレクサンダー・ソルダトキンとライアン・ベイダーのヘビー級。扇久保博正vs.元谷友貴のフライ級、そしてラジャブアリ・シェイドゥラエフの試合もあるということを考えると、大晦日はタイトルマッチを軸にした大会になるのでしょうか。 「そうですね。タイトルマッチももちろんしっかり組んでいきたいと思いますし、スペシャルワンマッチももういくつか、これはぜひこの大晦日で組めたらいいよね、見たいってファンが思ってくれてるよね、っていうカードを今ラインナップしてるんで、結構手応えを感じてるんで、楽しみにしていただけたらなと思います」 ──韓国から来ました。次のRIZINソウル大会があるかもしれないという話がちょっとありましたが、それについて何かありましたら。 「そうですね、あの韓国もあの、この大会からだったかな。もうレギュラーで韓国で『SOOP』で配信が決まってますし、今日も結構韓国の人たちに見てもらってる感じでコメントも上がってきてたんで、いずれに。そこでまあ、1回だけやっても意味がないし、続けることが大切だと思ってるんで、2026年もぜひ韓国で。今年5月にやらせていただいたパラダイスシティさんと同じような形の座組で行くのか、できればソウル市内のアリーナを借りて、もっとたくさんの韓国のファンに入ってもらえるような環境でやれるといいなということも含めて。今いろいろ韓国側の人たちと相談中なんで、“もうやりません”っていうことではなくて、やる方向でいろいろ準備を進めたいと思ってます」 ──もう一つ、大晦日に出る可能性がある韓国人選手はいますでしょうか。 「どうだろう……本当に日本発世界に向けて、時差のないアジアの国々、その中でもやっぱり一番近い韓国、そして中国とか、そういうこの競技のレベルの高い国の選手たちにも出てきてもらうことが大切だと思ってるんで前向きにいろいろ今日の結果を踏まえてですね、ラインナップしていきたいですね。キ・ウォンビン選手とかキム・ギョンピョ選手も怪我が治ったようなんで、ぜひもう早く復活したいということで。それとROAD FCから今回もいろいろ選手を推薦されてますので、韓国の各団体の皆さんとも相談して、ぜひ韓国側の選手にも大晦日出てきてもらえるようなことを前向きに考えたいなと思ってます」 ──大晦日大会について、もう少しお伺いしたいんですけれども、スタジアムバージョンで行われるということは、いろんな仕掛けも必要になるかと思います。その一つとして、先日、榊原さんが(テレンス)クロフォードと食事をされていらっしゃいましたけれども、何か大晦日に向けてそういった……。 「まあ、クロフォードのマネージャー、今日も来てましたけどね。まあまあいろんな可能性はあると思いますよ。ただまあ、“ひょっとして大晦日にクロフォードも来るかも”とかって思われちゃうとアレなんで、大晦日は無いですけどね。ジェイク・ポールの相手に一応ラインナップされていて、ジェイク・ポールの(ジェルボンテ“タンク”)デイビスが出れない場合の相手の候補リスクの中に入ってますから、クロフォードって。だから、ひょっとしたらそういう可能性もあるかもしれないし、ライアン・ガルシアも『日本で必ず試合します』って未だに言ってますから。どこかでタイミングのある時に試合を組めてもいいかなと。クロフォードも日本のことをすごく気に入ってくれてますし、将来的には我々との中で何か接点が持てる可能性も充分あると思います」 ──11回目の大晦日、丸々10年ということになります。この歴史の長さで言うと、榊原さんが以前に手掛けたPRIDEの歴史(1997-2007)を長さ的には超えることになります。そこに対して何か感慨もありますか。 「PRIDEの時もあっという間でしたけど、2015年にRIZINを起ち上げて、まあ本当に丸10年経ったんだなあっていう風に。まあ短い、あっという間だったなって振り返ればいろんなことがありましたけど、みんなと一緒にこう走ってこれたことを嬉しく思うのと、過去に自分たちが続けた格闘技団体の中で、ひょっとすると一番長寿になる可能性があるのかなと。もうPRIDEは超えてますから。本当に次の世代にまで繋がっていけるようなものになるように、また頑張れたらいいなという風には、今は思ってますけどね。いつ終わるか分かんないんで(笑)」 ──今月中(24日)に那須川天心選手が世界戦(WBC世界バンタム級級王座決定戦)をしますが、会場に観に行く予定は? 「どうしようかな。まあでもいいかな。Amazon Prime Videoで見ます。応援してますけどね。天心にとっては本当にこのタイトルマッチが、多分思い描いてる自分の人生のライフプランというか、格闘家としてのプランの中で言うと、順調に来てるはずですから。天心ならボクシングでも世界チャンピオンになるんじゃないかな、引き寄せるんじゃないかなってすごい期待してるし、本当に応援しています。会場に行ってなんかあの場を乱してもしょうがないんで、家でこっそりあのAmazon Primeを見ておきます」 ──質問は以上です。 「5日、東京都内で(大晦日大会の)会見を行いますので、また皆さん、東京に戻ってお会いできたらと思います」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.341
2025年12月21日発売
大晦日決戦に臨むシェイドゥラエフと朝倉未来ほか「特集◎大晦日を読む」では、5大タイトルマッチのインタビューと川尻達也らが試合解説。UFC平良達郎、40周年記念・水垣偉弥インタビューも
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント