2025年10月5日(日)神奈川・横須賀アリーナで開催されるBOMのビッグマッチ『Shimizu presents BOM OUROBOROS 2025』にて、WBCムエタイ世界ミニフライ級(-47.62kg)王座決定戦で同級6位のカイケム・シットパナンチューン (タイ)と対戦する同級9位・藤原乃愛(尚武会 フジワラムエタイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
藤原はジュニアキック時代から50戦以上のキャリアを重ね、2021年5月にプロデビュー。相手を圧倒する前蹴りで連勝を重ね、プロ6戦目でAyakaに勝利し、高校3年生にしてミネルヴァ ピン級タイトルを獲得。昨年3月に撫子との初防衛戦で敗れ、続く5月のムエロークでは女子ムエタイ界トップの一角、モンクットペットに判定負けを喫して以降は、タイを主戦場に。
2024年6月にはタイ・カラレスタジアムで行われたFairtex Fight47kgタイトルを獲得。9月の『RAJADAMNERN KNOCK OUT』でも完勝、『BOM』『RWS JAPAN』『RWS』『ムエローク』で勝ち進み、2025年8月の『RWS』でシャダー・サイヤーンムエタイ(オーストラリア)にTKO勝ちして現在14連勝中。ラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級1位にランキングされている。
どこかのタイミングでヒジを見せられたら
――今回、WBCムエタイ世界タイトル戦が決まりましたけど、最初聞いた時の心境はどうでしたか?
「ずっと夢に見ていたWBCムエタイ世界のベルトなので、“嬉しい”の一言しかないですね」
――ここまで来るのは長かったですか?
「長かったですね。いろんな試練がありました」
――ご自身的には、もっと早く挑戦したかったんですか?
「ずっと挑戦したい気持ちがあったので、早く挑戦したかったんですけど、きっとこれが正解なんだと思います」
――ちょうど今回のタイトルマッチが発表された時には、8月29日のRWSの試合前でしたが、どういった心境でRWSの試合に臨まれたんですか?
「6月の『Road to RWS』の試合後に、今回のWBCムエタイの試合が決まったんです。試合まで4カ月くらい空いてしまい、自分にとってその試合間隔は長いと思って、その前にタイでの試合をお願いしていたら8月のRWSでの試合が決まりました。その試合ではいつもの契約体重よりも重い試合になり、WBCの試合に近い日にちでの試合だったりと正直、不安は色々ありましたけど、RWSの試合はLIVE配信されるということだったので、ここで爪痕を残したら10月に試合を見たいと思ってくるお客さんが増えるだろうなと思って気合いが入りました」
――ご自身的には8月のRWSでは3RTKO勝ちで、お客さんが見たいと思わせる試合はできましたか?
「今回はできたと思います。『おめでとう! 10月も行くよ』と言ってくれる人がすごい多かったので良かったなと」
――これで14連勝になりました。
「14連勝中の試合では完璧とはいえない試合内容もありましたが、勝ちにはこだわらないといけない競技なので、今こうやって連勝できていることは嬉しいですね」
――前々回はヒジでTKO勝ちでしたけど、次の試合に向けてもヒジの調子はいい感じですか。
「いい感じです! ヒジ打ちありの試合を始めた頃は、自分がヒジを出すと相手もヒジを打ってくるという恐怖心があったんですけど、最近は練習でもヒジを出すタイミングが掴めています」
――次の試合でもヒジでのTKO勝ちは狙ってますか?
「もちろんです。5ラウンドもあるので、どこかのタイミングでヒジを見せられたらいいなと思います」
――ヒジ以外にも強化していることはありますか?
「全体的に強化はもちろんしてるんですけど、やっぱり首相撲は重点的にやってますね。今は打撃の展開で大幅に負けるのはなかなかないと思うんですけど、首相撲の展開になるとタイ人選手は本当に上手で、そこでポイントを取られてしまうときつい戦いになってしまいます。首相撲でも絶対に負けないという気持ちで、練習では首相撲をひたすらやってます」
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来年ぐらいにはラジャのベルトを獲る
――今回のWBC世界戦が決まって、ジム先輩の伊藤紗弥選手からはどういったアドバイスを受けていますか?
「今回の相手カイケム・シットパナンチューン選手は、紗弥ちゃんが今年5月のムエロークで対戦している選手なんです」
――そうなんですか!? 5月のムエロークに出ているタイ人選手はクワイアンという選手名だったので同一人物だとは分からずでした。
「もともとは現チャンピオンとやる予定だったんですけど、諸事情で変わったみたいで、タイのプロモーターが用意したのが今回の相手で、写真を見たらどこかで見覚えのある選手だなと(笑)。紗弥ちゃんと戦った時は結構下がって戦うフィームータイプで、うまく蹴ってくる印象があります。紗弥ちゃんからは『蹴りと組んだ時の力はあったのでそこに気を付けて』とのアドバイスでした」
――映像などを見て、他にはどういった印象がありますか?
「過去の試合映像が見つからず、紗弥ちゃんの試合の時の記憶しかないんです(笑)」
――伊藤選手は判定勝ちでした。伊藤選手が対戦したことのある選手が相手ということで比較されるかと思うんですけど、意識してますか?
「正直なところ、意識はしてないですけど、周りからは比較されると思うので頑張らないといけないですね」
――3連続KOも狙いますか?
「どの技でKOしようとかはいつもあまり考えていないんですけど、顔面前蹴りで会場を沸かせられたらいいなと思います。ラジャダムナンスタジアムは外国人観光客が多く、前回その大技を見せるとすごく盛り上がっていて、RWSのインスタではその顔面前蹴りのショート動画の再生数が何百万回と表示されていて驚きました。前回の試合を見たファンからも期待されていると思うので、その期待に応えなくちゃと思います」
――ちなみに普段の練習で顔面前蹴りは何回ぐらい蹴っているんですか。
「危ないのでスパーでは禁止ですが、サンドバッグに300~500回ぐらいひたすら蹴っています。小さい頃から顔面前蹴りは何百回とやってきて、昔からやってきたことはやり続けないといけないなと。初心に戻るじゃないですけど、必ずその回数は蹴るようにしています」
――ゆくゆくは顔面前蹴りでKOも狙ってますか?
「えっ? できるんですか? 顔面前蹴りでKOする選手っていますか?」
――2005年2月のK-1 WORLD MAX日本代表決定トーナメント決勝戦で小比類巻貴之さんが新田明臣さんの顎を右上段前蹴りで打ち抜いてKO勝ちしています。
「そういえば、私はアマチュア時代に顔面前蹴りで相手を蹴ったら、そのままひっくり返って痙攣しちゃってKO勝ちしたことがありました! 次も顔面前蹴りでKOできたら一番いいですね」
――世界タイトルを獲ってその先にはどういったことを考えていますか。
「今、ラジャダムナンスタジアムのミニマム級で1位なので、現チャンピオンのモンクットペット選手に挑戦したい気持ちはずっとあります」
――手応えはどうですか?
「2年前のムエロークで対戦して判定で負けているのですが、大差の負けではなく、向こうの方がムエタイテクニックは上手だったことが敗因でした。自分はこの2年で凄く今井会長に鍛えあげられているので、自信はあります!」
――前回の試合で負けた後は、次にやれば勝てるという手応えもありました?
「前回の試合で一番負けたポイントが首相撲の展開でした。あの日から“打倒モンクットペット”の気持ちでずっと練習してきてるので、今は自信があります。次の試合は大事な試合なので簡単に通過点とは言えないんですけど、もちろんWBCの世界タイトルは必ず獲って、来年ぐらいにはラジャダムナンのベルトを獲るという目標があります」
――最後に試合を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
「今回、私の地元横須賀でWBCの世界タイトルマッチに初挑戦することで、たくさんの応援団が来ます。皆さんへの感謝の気持ちを込めて全力で戦うのでぜひ応援してください! 時間とお金を使って私の試合をわざわざ観に来てくださるので期待以上の試合をしないといけないという気持ちでいます」