2025年9月2日(火)、東京・後楽園ホールにて、プロフェッショナル修斗公式戦『Lemino 修斗 Vol.1』(Lemino配信)の旗揚げ戦が行われた。
メインでは、第11代修斗世界バンタム級王者の岡田遼(THE BLACKBELT JAPAN)が引退試合として、第9代DEEPフェザー級王者の弥益ドミネーター聡志(team SOS)と、フェザー級(5分3R)で対戦。
試合は、初回からサウスポーに構えた岡田が、オーソの弥益のバックヒジに腰を落としながらもダブルレッグテイクダウン。弥益のキムラの切り返しにもトップを奪った。
2R、オーソの弥益の右を被弾しながらも、サウスポー構えの岡田は「遠い距離はサウスポー、詰められたらオーソ」の作戦通りに、詰めてオーソに戻してワンツー。打ち合いのなかで右ストレートでアゴを打ち抜き、パウンドアウト。引退試合をTKO勝利で、12年のプロシューター人生に幕を下ろす、有終の美を飾った。
岡田は今後もLemino修斗のプロモーターの一人として、継続して大会を開催。さらに平良達郎をUFCチャンピンに導くなど、後進の育成をしていくことになる。
試合直後の囲み取材では、「次のカードも僕らなりに頑張ってやるので期待してください、“沖縄でこのカードやるんだ!”というカードになると思います」と語っていた岡田。
3日には、日本修斗協会の公式ページにて、10月19日に沖縄ミュージックタウン音市場で、THE BLACK BELT JAPAN主催興行『Lemino修斗.2』の開催も発表。
バンタム級で、修斗世界バンタム級1位の野瀬翔平(マスタージャパン福岡)と、MMA5勝無敗・モンゴルのシンバートル・バットエルデネ(Team Tungaa Shandas)の試合、さらにウェルター級で、西條英成(THE BLACKBELT JAPAN)vs.クルボン・バトル(Prodigy Training Center)の2つの国際戦が発表されている。
岡田との試合後の一問一答は以下の通りだ。
岡田遼「一番印象深い試合は、石橋佳大戦」
──試合を終えた率直な感想を。
「本当幸せです、以上です。こんな幸せな格闘技人生ないです。ありがとうございます」
──引退試合でいい勝ち方もできました。
「そうですね……マイクでも言おうかと思ったですけど、たぶん(弥益とは)10回やったら9回負けるけど、最初の1回が来たなと。最後の最後に引き当てたという感じです」
──フェザー級の弥益選手とそんなに相性が良くないと感じていましたか。
「やっぱドミくんは強いですし、DEEPの本当に強い王者ですし、階級のフレーム差もあるし、分が悪いかなと」
──どんな作戦でしたか。
「作戦はちょっとサウスポーで行こうという作戦だったです。もらいましたけど、(ハマった?)まあまあそうでした」
──最後のラッシュは?
「いけるなっていう嗅覚があったからいきました」
──現時点では現役に未練はない?
「まったくないです。これに何かつけたら蛇足です。余分なものはもう加えたくないです」
──倒す場面ではオーソになっていました。三日月蹴りをもらってから変えたのでしょうか。
「三日月もらって変えようかなと思ったけど、もう少し我慢して、『遠い距離だったらサウスポー、近い距離、仮に相手が効いて僕が詰めるようなシーンがきたら、オーソで畳みかけようとは思っていました。最後は多分オーソだったと思います、連打で。(手ごたえは?)最後はありました」
──1Rに組みの展開からキムラ、センタク挟みで切り返されたりもしましたが、焦りは?
「全然無かったです。フェザーでやるの初めてなので、フェザーの(試合での)組み力はどんなものかと組んで押し込んでみて、力は強かったです。アームロック、めちゃくちゃ警戒していたけど、すごい師匠にもずっと言われていたけど、やっぱりすごい上手くて強くてなかなか取れなかったです。やはりドミくんのアームロックは天下一品です。あとヒジも効いて、ぐらんぐらんになってヤバいなと」
──今後に関しては?
「Lemino修斗を任されている立場にあると思っているので、そこは松根さんの下でプロモーター見習いとして、第2、3、4回と内定している大会を継続的に盛り上げていきたいと思っています」
──今までと違うプレッシャーもありましたか。
「正直。自分の試合よりもやっぱり大会としての責任みたいなものがすごいデカかったです。ただの俺の引退試合じゃなくて、NTTドコモ、Leminoさんが修斗に手を差し伸べてくれた大会なので、ここでコカしちゃったらいつ手を引かれてしまうか分からないので、絶対に盛り上げて熱のある大会にして、修斗応援して、決定してよかったなと思わせる大会にしてやろうという気持ちをもってやりました」
──引退セレモニーもありました。
「お世話になった皆さんが出てきてくださったので、今までの格闘キャリアを思い出して、お世話になった人たちに金網のなかで感謝を伝えられたのでいい思い出になりました。ムービーが流れたときは“こんなこともやってくれるんですか”という気持ちで見ていました」
──いままでの試合で一番印象的だったのは?
「石橋(佳大)戦ですかね。26か27歳のときに後楽園ホールで、初めて修斗のタイトルマッチだったから、その試合で負けたんですけど、あれがすごい、キャリアで一番印象的かもしれないです」
──最後に前に出られたこと。これまで後半で動きが落ちることもあったなか、今回フェザーで動ける体を作れたのでしょうか。
「試合勘、距離感、反応速度は36歳なんで、どうしても落ちてきちゃうので、逆にあそこで仕留めないと俺に勝機ないかなというところもあったんで、ワンチャンスをモノにしないと、ここでいかないと引退試合に来てもらった意味がないと思っていきました」
──引退試合で、あまりに思い通りに運んだように見えましたが、弥益選手には気の毒ですが、“一発入れば”というマッチメイクでもありましたか。
「もちろん勝機のない試合ではないと。一発入れば……一発入らなくても、ワンチャン、俺のほうが強いんじゃないか、という気持ちもありました」
──岡田選手の組みの強さも出ました。
「そこが実は得意だったんですけど、キャリア後半に出なかったです」
──プロモーター業もやりながら、実際にはいつから試合に気持ちが集中できましたか。
「試合の15分前です」
──これからの大会、次のカードにも期待しています。
「次のカードも僕らなりに頑張ってやるんで期待してください、“沖縄でこのカードやるんだ!”というカードになると思います。ほんとうに皆さん、ありがとうございました、今後とも、Lemino修斗、よろしくお願い致します」
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10月19日 プロフェッショナル修斗公式戦沖縄大会『Lemino修斗.2』決定カード
2025年10月19日(日)沖縄ミュージックタウン音市場[開場]16:00[開始]17:00
【決定対戦カード】
▼バンタム級(61.2kg)5分3R野瀬翔平(MASTER JAPAN FUKUOKA)14勝6敗2分シンバートル・バットエルデネ(Team Tungaa Shandas)5勝0敗
(C)TORAO NATION STATE
野瀬は、修斗世界バンタム級1位。『ROAD TO UFC』でのユ・スヨン戦の判定負けからの帰還後、24年9月の修斗環太平洋バンタム級チャンピオン決定トーナメント準決勝で人見礼王を2R キムラで極めたものの、12月の決勝戦でダイキ・ライトイヤーにスプリット判定で惜敗。
(C)GRACHAN
25年5月に地元・福岡の『闘裸男』で加藤ケンジを1R 肩固めに極めて再起を果たすと、8月31日の『GRACHAN』福岡大会ではグラップリングルールで石橋佳大に腕十字で一本勝ちしている。14勝中10の一本勝ちを誇る“極め”のスペシャリスト。27歳。
対するモンゴルのシンバートルは、レスリングベースで、コンバットサンボ、キック、シュートボクシングでモンゴル王者に輝いている。
2022年10月にMMAプロデビューし、24年5月にテムーレン・アルギルマーに判定勝ちで注目を集めた。24年10月の『Breakthrough Combat01』で初来日し、強豪・吉野光に組みで上回り、判定勝ち。25年1月の『GLADIATOR 029』バンタム級暫定王座決定戦で吉田開威をシザースチョークで絞め落としたが、体重超過により戴冠ならず。
(C)GLADIATOR
25年6月の『MGL-1FC 22』では、相手のオドスレン・シャグダルの体重超過にもかかわらず、3R リアネイキドチョークで一本勝ち。MGLバンタム級王座についている。22歳。
MMAの経験値では野瀬が大きく上回るが、スタンドでも組みでもパワフルなシンバートルは、野瀬が21年にスプリット判定負けした吉野に競り勝っている。吉野戦でも組みの技術の精緻さで吉野が上回るという予想もあったなか、スクランブル戦を制したシンバートルの進化、そして再び世界を目指す野瀬の真価も測れる、バンタム級の3R戦だ。
▼ウェルター級(77.1kg)5分3R西條英成(THE BLACKBELT JAPAN)5勝2敗クルボン・バトル(Prodigy Training Center)2勝0敗
(C)ONE Championship
『Lemino修斗』旗揚げ戦にもセコンドとして来場した西條は、25年6月の『ONE Friday Fights112』でのカシム・マゴメドシャピエフ戦からの再起戦。6戦全試合1Rフィニッシュのマゴメドシャピエフを相手に左フックで1R KO負けを喫した西條にとって、いかにウェルター級で海外選手と対するか。今回はホームで迎え撃つことになる。29歳。
(C)king_battle89
対するハワイのクルボン・バトルは、23歳でMMA1勝。クリスチャン・リー率いるProdigy Training Centerでトレーニングしており、キックボクシング5勝で、23年9月のKings of Kickboxingウェルター級王座戦では、元UFCのルイス・ペナに判定勝ちでベルトをまいた。ボクシング戦では24年4月に1R KO負けで1勝1敗となっている。
長い手足を活かしたオーソからの右の上下の蹴り、ストレートは脅威で、頭を下げたときの首相撲ヒザ蹴りにも注意が必要だ。組みは未知数ながら、クリスチャン、エイドリアン・リー兄弟らと組んでいることからただのストライカーではないことが分かる。西條は難敵を地元で超えることができるか。
▼フライ級(56.7kg)5分3R ※選手名から前戦宮城友一(キックボクシングDROP)シモンスズキ(和術慧舟會HEARTS)
▼ストロー級(52.2kg)5分3R畠山隆称(THE BLACKBELT JAPAN)ニシダ☆ショー(BURST)
(C)ONE Championship
▼ストロー級(52.2kg)5分2R梅木勇徳(THE BLACKBELT JAPAN)平良龍一(THE BLACKBELT JAPAN)
▼フライ級(56.7kg)5分2R輝龍(ROOTS)小生隆弘(グランドスラムAPP)
▼2025新人王 ストロー級(52.2kg)5分2R黒瀬恭平(マスタージャパン山口宇部)賢人(BJ MMA SHCOOL)