2019年10月22日(火・祝)東京・後楽園ホール『DEEP JEWELS 26』で、富松恵美(パラエストラ松戸)の挑戦を受けての初防衛戦に臨むDEEP JEWELSアトム級王者・前澤智(リバーサルジム立川 ALPHA)。
前澤は中学から大学まで柔道を学び、寝技強化で始めたブラジリアン柔術がきっかけで総合格闘技の道へと進んだ。2012年にJEWELSでプロデビューすると連敗を喫したが、着実に力をつけてタイトルに近づき、2018年12月に黒部三奈を破り第6代DEEP JEWELSアトム級王者に。しかし、2019年3月に浅倉カンナに判定負け、7月にはRIZIN初参戦を果たすが、ROAD FC女子アトム級王者ハム・ソヒ(韓国)に初回TKO負けを喫し、連敗に悔し涙を流した。
今回の再起戦にして初防衛戦に向け、前澤は同門の先輩のKAIとそろっての勝利を誓った。
──2017年2月以来(前澤が3R1分24秒、リアネイキドチョークで一本勝ち)の再戦になります。
「いいイメージはそのまま残して最近イメトレもしています。正直言うと、あのとき凄く体調が悪くて気持ちが弱っていて、でも2R、3Rとこなしていくうちに段々とギアが上がっていったという、とてもいいイメージの試合だったので、そこは伸ばしつつ残しつつ。
(富松選手が)ベテランなのは重々分かっていますし、私がデビューして3戦目の時に富松さんは新木場でメインでやっていたのを見ていて、凄い選手だなって思ったのを覚えています。尊敬とか怖さは分かってイメージを持って練習をしてきました。
──当時は新木場で1stRINGでした。その2年8カ月後に後楽園ホールでメインを戦います。
「そうですね……RIZINのおかげもあったり、地道に辞めずに頑張ってきた選手のおかげもあって、今は後楽園も満杯になったり、新宿は毎回満杯で、こんな風になるなんて思っていなかった時代からずっと自分も試合をしてきたので、そういった時代を築き上げてずっと連戦してくださっている富松さんと試合ができることは光栄に思います。一度勝ってると言っても勝負は分からないので、勝ったことや負けたことは、次の瞬間から過去になるので、いいイメージはそのまま連れて行って悪いことは自分の糧にして試合ができたらと思います」
──RIZINでのハム・ソヒ戦は厳しい結果でした。どのように整理されましたか。
「負けという意味ではすごく悲しかったですし、もちろんやるからには勝つ気で臨んだんですが、ずっと言い続けていたRIZINに出られたということで嬉しい部分と楽しい部分が多い試合で、ただ終わった後に泣けてきてしまって、なぜ泣いているのかと自分に問いかけたら、もうちょっとあの場所に立っていたかったと。ハム・ソヒ選手が強いのは分かっていますし、自分がどこまで通用するか。この前は1R、あそこまでしか通用しなかったんですけれど、まだまだ出してないこともあったので、もっともっとあの場所で、自分はステップが得意なので“舞っていたかった”と比喩させていただいていますが、ハム・ソヒ選手は一枚二枚とびぬけている。そういう人と試合で来たことも負けから学んだ怖さに、自分が怖がらず立ち向かっていけたのはいい経験になったので、それをRIZINから持ち帰ってJEWELSで発揮できるのはいろいろな意味で自分に勝てるように試合をしたいと思います」
──今回の富松戦に向けて強化してきたことは?
「私は身長が小さくてフィジカルが弱い。今まではボクシングならボクシング、寝技なら寝技で練習していたんですが、前にもまして筋力トレーニングを強化してきたので力負けはしないと思います」
──筋量が増えて減量はキツくなかったですか。
「そうですね。減量は毎回苦しいです。そんなにふり幅は多くないのですが、普段凄い食べるので、減量するという事実だけで苦しいです(苦笑)」
──今回はチームメイトのKAI選手とそろい踏みです。
「KAI選手はそばで見ていてもほんとうに勉強になる選手なんです。怪我からも復帰して(両ヒザを2回手術)練習を休まない。何より一人じゃないってことがどれだけ自分の力になるかと言うことを教えてくれる先輩です。KAIさんと一緒に試合に出たことが過去何回かありますが、いつもどちらかが勝つとどちらかが負けて、2人で笑って帰ってきたことがないんですね。『今度こそ2人で笑って帰ってこようね』と約束して、通常練習以外の時間もジムに集まって筋トレしたり走ったりやらせてもらいました」
──今後どんな目標とともに今回の試合に向かいますか。
「ベルトを持っていることで切符になっていろいろなところに行けることが分かった1年でした。(RIZINに)行けたんですが、それに伴って壁は厚い、山は高いということも分かった1年で……。自分が次どうしたらいいか、格闘技をやっていて何か面白いことができるかって考えた時に、ベルトを死守することが最低条件ですが、この小さな身体を活かして体重を落として、例えばしなしさとこ選手に挑戦してベルトを2つ持つのも面白いなって」
──減量がさらに厳しくなりますが、身長的には……。
「もちろん減量に成功したら、ですが。柔道時代から食べないと強くなれないという根性論からの、おかわりが正義だと思っていたんですが(笑)、今は糖質や脂質など計算しないと良い身体には慣れないと分かったので、自分の体調や体重と相談しながらですが、面白いかなと。ファンに自分たちが練習していることを還元していく、盛り上げていくのがプロだと思うので、思いついたことを企画してやっていくことも考えています」
──そのファンに向けてメッセージを。
「いつも私を頑張らせてくれてありがとうございます。明日は私が頑張って皆さんを笑顔にしたいと思うので最後まで見守っていてください。よろしくお願いします」