新日本キックボクシング協会「MAGNUM 51」2019年10月20日(日)東京・後楽園ホール
▼スペシャルメインイベント第9試合 ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級タイトルマッチ 3分5R△サオトー・シットシェフブンタム(タイ/ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級王者)ドロー 判定0-0 ※48-48×3△江幡 睦(伊原道場本部/ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級7位、WKBA世界バンタム級王者)※サオトーが2度目の防衛に成功。
江幡は双子の弟・塁と共に、長年にわたって新日本キックのエースとして活躍。破壊力抜群のパンチ&ローで国内外の強豪をマットに沈め、36勝(27KO)3敗2分の戦績を誇る。今回は兄弟揃っての悲願であるラジャダムナン王座に2015年3月以来4度目の挑戦。
王者サオトーは80勝(11KO)38敗2分の戦績を持つ22歳。タイで人気を誇り、メインも務める有名選手で高速のヒジ打ちを得意とする。今回が2度目の防衛戦。ラジャダムナンスタジアムのゼネラルマネージャーによるタイトルマッチ宣言があり、試合開始。
1R序盤から江幡は強烈な左右ロー。特に右ローが何度も決まり、サオトーは早くも意識し始める。江幡はさらに左ボディブローでも快音を響かせ、サオトーを追いかける。
2R、早くもヒジを狙ってくるサオトー。江幡はパンチでボディを攻めつつ、左ミドルも蹴る。ヒザも突き上げてくるサオトーに江幡は右ストレート。パンチでは江幡が圧倒しているが、サオトーのミドル&ヒザ蹴りがとう評価されるか。
3Rになると一気に前へ出てくるサオトーはテンカオを多用。隙を見てハイキックも繰り出す。組んでもヒザ蹴りを打つ。構えをサウスポーに変えて江幡に左ボディを打たせにくくする。江幡も右ストレート、ヒジ打ちで迎え撃つが、パンチの距離になるとサオトーは打ち合わずに首相撲へ持ち込む。前に出るサオトーの勢いが目立ったラウンドに。
4Rも前に出てくるサオトー。江幡のミドルはスネでカットまたはかわし、自分の右ミドルはしっかり当てる。テンカオを突き上げてヒジを叩きつけるサオトーに、江幡は左右の目の下が腫れあがる。至近距離で右のパンチ、ヒジを当てる江幡だが、前に出るサオトーに下がり気味。サオトーは組み付いても主導権を握る。
5R、サオトーは勝利を確信したか、このラウンドは下がりながら江幡が前へ出てくるところにミドルやヒザ蹴りを合わせる。ミスしないように慎重に戦うサオトーに、中盤、ついに江幡のワンツーが炸裂。パンチでサオトーを追い回す江幡。右ストレートでサオトーがロープへ吹っ飛び、場内は大歓声に包まれる。サオトーも組み付いて必死の防戦。試合終了のゴングが聞こえないほどの大歓声の中、試合は終了した。
判定はジャッジ三者とも48-48のドロー。江幡はあと一歩及ばず、悲願のラジャダムナン王座奪取ならず。サオトーの2度目の防衛となった。サオトーはセコンドの支え無しでは歩けないほどのダメージを負っていた。
試合後、江幡は「ドローで逃してしまいました。やはり倒し切れなかったことに尽きる。ひとつでもダウンを取れない僕にラジャのベルトは獲れないと思いました。倒しに行った分、カウンターでヒジをもらいました。顔に傷はありますが倒れるほどの傷ではないです。3Rの途中から口が開いていて、ボディが効いてきたと思ったんですが倒れない戦い方をしてきました。効かせたところで攻めきれず倒し切れなかったです。いい選手でした。日本で戦ってくれて感謝しかないです」と試合を振り返る。
そして「出し切りました。今の自分ができる全てを出しました。ひとつも妥協しなかった。でも負けは負け。そこは考えたいと思います」と、全力を出し切ったと語った。
セコンドに就いた弟の塁は「作戦を遂行して戦えた。ムエタイの駆け引きに対してキックボクシングで対抗したのは凄く感じました。それが通用すると分かったので、睦の試合を見て本当によく戦ったと思います。でもキックボクシングの倒す戦い方で倒せれば睦の勝ちだったと思いますが、そこは同じように自分の課題だと思います」と、倒す戦い方で倒せない時にどうするのかが自分たちの課題だと分析した。
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▼メインイベント第8試合 WKBA世界スーパーライト級王座決定戦 3分5R〇勝次(藤本ジム/WKBA世界スーパーライト級2位)TKO 2R 2分59秒 ※レフェリーストップ×アニーバル・シアンシアルーソ(アルゼンチン/WKBA世界スーパーライト級4位、ライト級ムエタイ南米王者)※勝次が新王座に就く。
新日本キックが誇る“激闘派”勝次は今年3月、WKBA世界ライト級王座決定戦で延長戦の末に敗れ、階級をひとつ上げての再挑戦。悲願であるWKBA世界タイトル獲得を目指す。
王座を争うアニーバルは、かつて70kgでミドル級の緑川創とも対戦している選手。戦績は24勝10敗。
1R開始と同時に勢いよく飛び出した勝次は左フック。その後はローを蹴り合い、アニーバルは右ストレートを打ち込んでいく。様子を見ていた勝次だが左フックをヒットさせると一気にパンチをまとめ、ヒザ蹴りを交えながらアニーバルをロープに釘付けにした。
2R、アニーバルは組み付くとヒジを打ち、離れると右ストレート。慎重にジャブを突いていた勝次だったが、右ストレートがヒットすると一気にラッシュ。パンチの連打から首相撲に捕まえてのヒザ蹴り連打でダウンを奪うと、続いてのパンチ連打でもダウンを奪う。
最後も一方的に勝次が顔面とボディにパンチを叩き込み、一方的な展開となってレフェリーストップ。勝次がTKO勝ちで悲願のWKBA世界王座を獲得した。
勝次はマイクを持つと「連敗しちゃったんですけど僕は諦めていませんでした。信じて応援していただいた皆さん、ありがとうございます。でも僕は自信が凄くあるので僕のゴールはここではありません。伝統のベルトを巻いてその後は、もっともっと強い選手がたくさんいるので、他団体に世界王者や日本王者と名のついた選手がいっぱいいるので、その中でも最強を証明していきたいと思います。新日本とWKBAの強さを証明していきたいと思います。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします」と語り、長女と次女をリングに上げて写真を撮ろうとしたが、長女・次女とも号泣して会場は笑いに包まれた。
▼セミファイナル第7試合 73kg契約 3分5R〇斗吾(伊原道場本部/日本ミドル級王者)KO 2R 2分49秒 ※ボディ連打×イ・ジェウォン(韓国/韓国キックボクシング協会ミドル級1位) 8月にKNOCK OUT初参戦を果たした斗吾だが、T-98に敗れ今回が再起戦。キックボクシングで8勝1敗、ボクシングで19戦19勝の戦績を持つ19歳のイと対戦する。
1R、ローの蹴り合いからスタート。斗吾は前に出ていくが手数が少なく、イは軽い攻撃ながらもパンチと右ローを当てていく。
2Rは斗吾も距離を詰めてフックを打って行くが、スピードに優るイを捉えきれず後手に回る。しかし、斗吾は右フックをヒットさせると後ろを向いて逃げようとしたイの背後から再び右フック。これでダウンを奪う。
イが立ち上がると斗吾はヒジ&ヒザ蹴りから右ストレートでロープを背負わせ、ボディへの連打でダウンを追加する。イは立ち上がることができず、斗吾のKO勝ちとなった。 斗吾はマイクを持つと「8月18日にKNOCK OUTに出させていただいてT-98選手と対戦して不甲斐ない負け方して、申し訳なく思っています。今日は復帰戦で頑張ろうと思って緊張して全然動けなかったです」と言うと、2歳の我が子と一緒に記念撮影した。
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▼セミファイナル第6試合 61.5kg契約 3分3R〇髙橋亨汰(伊原道場本部/日本ライト級王者)TKO 3R 00秒 ※セコンドからのタオル投入×ペットワット・ヤバチョウベース(タイ) 前回ラックチャイから勝利を収めた高橋が、今回もタイ人選手との試合を迎えた。
1R、サウスポーの高橋は左ローを蹴りながら、前へ出て左ミドル、左ハイ、左ストレートを放っていくペットワットは時折ミドルを返すが1Rは様子見か。
2R、高橋は左ミドルを連発し、ペットワットも右ミドルを返すが、高橋の左ミドルを腕で受けたパットワットは露骨に嫌がる素振り。さらに右腕をだらりと下げてしまい、レフェリーはダウンをコール。
3Rが始まると同時にペットワットのセコンドがタオルを投入し、高橋のTKO圧勝となった。
▼第5試合 バンタム級契約 3分3R〇泰史(伊原道場本部/前日本フライ級王者)判定3-0 ※30-28、30-27、30-27×Mrハガ(ONE’S GOAL/WMC日本バンタム級3位)
前回REBELSの老沼隆斗をKOした泰史が、今回も外部からの敵を迎え撃った。
1R、サウスポーのハガに右ミドルとパンチのコンビネーションで攻勢を仕掛ける泰史。ハガは回り込んで左ミドルを蹴るが押される。2R、3Rともに大きく回り込んで左ミドルを蹴るハガを泰史がパンチで追い回す形となり、右のパンチを何度も打ち込んで泰史の判定勝ちとなった。
▼第4試合 62kg契約 3分3R ※ヒジ無し×渡邉涼介(伊原道場新潟支部/日本ライト級3位)判定0-3 ※29-30×3〇風来坊(非公開)
1Rが始まると一気に距離を詰めてパンチ&ローで攻める風来坊に、渡邊はハイキックを狙いつつ右のパンチを打ち込む。2Rもパンチ&ローの距離でやり合う両者だが、距離が近づきすぎてクリンチになる場面が多い。
3Rも前に出る風来坊だが、渡邊が右ストレートで迎え撃つ。積極的に前へ出てパンチ&ローで攻めていった風来坊が判定勝ちした。
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▼第3試合 57.5kg契約 3分3R△瀬川 琉(伊原道場稲城支部/日本フェザー級)ドロー 判定0-1 ※29-29、28-29、29-29△新田宗一郎(クロスポイント吉祥寺)
1R、サウスポーから強い左ローを蹴っていく瀬川に、新田は右ミドルを連発。2Rは瀬川が左ストレートで前に出て攻勢を仕掛けるが、新田が中盤からヒジ、ヒザを使って応戦。
3R、強いローを蹴って回り込む瀬川に新田は右ストレートとヒザ蹴りで反撃。試合終了直前、新田の右ストレートが直撃して瀬川が大きく仰け反る。判定は痛み分けとなった。
▼第2試合 60kg契約 3分3R ※ヒジ無し〇井桶大介(クロスポイント吉祥寺)TKO 1R 44秒 ※レフェリーストップ×宇野高広(パラエストラ栃木)
1R、井桶は飛びヒザ蹴りからの右ストレートがクリーンヒットすると、顔面とボディへのコンビネーションパンチから右を打ち込んでダウンを奪う。宇野が立ち上がったところへ再び飛びヒザ蹴りを放ち、左フックを打つと宇野がダウン。レフェリーがストップし、井桶が秒殺KOでデビュー戦を勝利で飾った。
▼第1試合 48kg契約 2分3R×栞夏(トーエルジム)2R 1分53秒 ※レフェリーストップ〇erika(SHINE沖縄)
1R開始から攻勢を仕掛けるerika。サウスポーから左の蹴り、ワンツーの連打。特に左ストレートが奇麗に伸びて入る。栞夏は左フックを当てに行くが、勢いに押される。
2Rも首相撲や足技の崩しを混ぜながらワンツーの連打で猛攻を仕掛けるerika。コーナーに詰めての連打でスタンディングダウンを奪うと、連打から首相撲で倒したところで2度目のダウン。猛攻は続き、一方的になったところでレフェリーがストップした。erikaはセコンドに就いたぱんちゃんと勝利を喜んだ。