2025年6月27日(金)東京・後楽園ホール『Krush.177』にて、Krush初のオープンフィンガーグローブマッチが7試合行われる。
Krush-OFGバンタム級3分3R延長1Rで、第3代Krushフライ級王者・悠斗(HUNGRY GYM)と対戦する第2代KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王者・心直(REON Fighting Sports GYM)のインタビューが主催者を通じて届いた。
心直は“プロフェッショナルシスト”健太の愛弟子で、J-NETWORKフライ級新人王を獲得後、KNOCK OUT、REBELS、シュートボクシングに参戦。SBでは日本バンタム級1位になっている。2022年12月のKNOCK OUT-REDスーパーフライ級王座決定戦では無敗のホープ乙津陸を判定に破り、王座に就いた。
しかし、2023年3月の王者第一戦でMASA BRAVELYに判定負けを喫し、8月のKNOCK OUT-REDバンタム級王座決定戦では乙津にリベンジを許した。9月からはK-1 GROUPに参戦し、池田幸司と壬生狼一輝にKO負けを喫したが、2024年7月に矢島直弥をKOして初勝利。10月は林佑哉にKO負け。戦績は9勝(2KO)13敗2分。
初めてです。こんな気持ちは
──5月28日の記者会見では、最後にちょっと荒れてましたよね。
「そうですね。ちょっと癇にさわることを言ってきたので。何も知らないのに、僕の周りの人について『注意してくれる人がいないのかな』とか」
──それも含めて、対戦相手にはどんな感情がありますか?
「感情としては、今回は特にないです。『無』に近いです。一応、自分の中で試合のテーマがあるんですよ。『死人に口なし』っていう言葉なんですけど」
──というと?
「前回負けて、白幡と組まれたけど怪我して、自分の存在価値がないというか。怪我したタイミングで、初めて『全部なくなった』という感覚になったんですよ。今まで勝ったり負けたり、ベルトを獲ったりもしましたけど、K-1 GROUPでやっていく中でケガして試合がなくなって、『あ…」と。『なくなっちゃったな』と思って。医者からは1カ月ぐらい安静と言われて「うわー…」と思って、とりあえずできることからということで筋トレをしてきて。
今回はとりあえず強い心直を見せるというのがテーマの一つで、それまでは、誰か他の選手を煽ったり、成し遂げたいことを言ったりしても説得力がないじゃないですか。だからSNSも最近動かしてないんですけど、それが今回の試合のテーマで。それなのに…まあ僕の心情は分からないでしょうけど、最後の最後に『誰も注意してくれないんだろう』と言ってきたりしたので、『何なんだ、コイツは?』と思って」
──なるほど。
「『格闘技で食ってるヤツ』と、『格闘技を食い物にしてるヤツ』がいると思うんですけど、そこには圧倒的な差があると思ってて。相手はジム経営とかしてるじゃないですか。そういう、格闘技を食い物にしてるヤツが何言ってんだよ、と思って。でも、そこを含めても『無』です。正直」
──もう余計な感情はないと。
「ボクシングの日本チャンピオンって、格闘技で努力でなれる最上級のものだと思ってるんですよ。どの格闘技でチャンピオンになるよりもすごいことだとリスペクトはしていて。それに世界ランキング1位にもなったりしてるじゃないですか。だからすごい選手とやれるんだなというワクワクもあるし、この試合には余計な言葉はいらないんじゃないかと僕は思ってて。ぶっちゃけ、このインタビューも受けるかどうか迷ったんですよ。しゃべることが本当にないから、断ろうかなと。全くないわけじゃなくて、伝えたいのはさっき話したことぐらいなんです。それぐらい『無』でいます」
──ではこれで終わりにしますか?
「それでもいいんですけど…とは言っても、インタビューを受けたらしゃべりたい自分もいますからね」
──普通のインタビューだったら、「どういう試合にしてどう勝ちたいですか」とか「今回、オープンフィンガーグローブでどうですか?」とか聞くんですけどね。
「それはないですね。とにかく『勝つ』というだけなので。どうなってもいいから勝ちたいんです。…初めてなんですよね、こういう心境になるのは」
──会見に関して言えば、心直選手はそういう心境だった反面、悠斗選手は「心直選手がまた何か仕掛けてくるだろう」と身構えていたと思います。だから食い違いが生じたわけで。
「そうなるとは思ってましたけどね。僕が見たかったのは、フライ級での『悠斗vs.長野翔』だったんです。だからSNSで火種を作ったんですよ。悠斗選手が『決まってないのにいろいろ言うなよ』と言う気持ちも分かるんですけど、試合を組むまでの流れとして、決まってない段階でも『あ、このカード見たい!』って思わせて、そこから『決まりました』となる方が、現状、盛り上がるんですよ。RIZINとか見ててもそうじゃないですか。
ただ、それが悠斗選手の目指してる理想の格闘技像じゃないだけで。でもそれは、悠斗選手が以前に所属していた東京町田金子ジムがあった頃のNJKF理論だと思うんですよ。僕らはそことは全く逆というか、時代も変わるし。『古き良き』でもあるけど、僕はそこではやってないので」
──そこは悠斗選手の理想と違うということですよね。それはしょうがないことでもあるし。しかも「話し合って歩み寄ろうぜ」という世界でもないので、試合でカタがつけばいいと思いますし。
「僕は、その『カタがつく』というのも長野vs.悠斗で見たかったんです。僕じゃなくて。だから『え、俺にくるんだ』という感じで」
──まあ、その2人の試合が組まれて、実際に近づいているわけで。
「僕もその試合を受けましたからね。向こうも受けたわけだし。でもそこに関しては、今回、いい試合になりそうな気がするんですよ」
──そうなんですね。
「『どう勝ちたい』とかはないんですけど、お互いに思ってることもあるし、お互いの理想も全然違うじゃないですか。理想とする格闘技像も違うし、キャラも全然違うし。でもここまで、俺らは携帯でピコピコやって煽り合ってたわけでもないんで、全部含めて新鮮ですよ。いい風が吹いてる気がするんですよね」
──感じますか。今までにない形?
「ないですね。今までも、基本的に対戦相手のことは好きではないんですよ。別に悠斗選手のことも好きではないし。ただ今回は、初めて『キライ』とか『憎悪』とかじゃないという気がしてて。試合になったらどうなるのかな? という方が大きいんですよ。自分自身、初めてです。こんな気持ちは」
──いいじゃないですか。
「いいですよね。…まあ僕も今回、『心直』じゃないんだろうな。素なんだろうなと思うんです」
──なるほど。
「これだって素なんです。よく『キャラクターを作っている』『演じてる』って言われるんですけど、今だって別に作ってないですから。会見でおかゆ食ったりするのだって、何も考えてないんです。だから怒られて炎上したりするんですけど」
──では、あとは本当にリングで答えが出るまでやると。
「自分自身の答え合わせもそうだし、ファンが求めてる答えがそこにあるのか、っていう試合ですよね。何かいいですよね、今回」
──そうですね。回り回って、結局「どちらが勝つか」という答えが出るだけという試合になってますよね。それでいいんだと思います。その答えによって、何かが動くだろうということだし。
「僕は踏み台とかとは全く思ってないし、本当に集中してるし、お互いに絶対に負けられない状況じゃないですか。お互いにその先の野望もあるし。何かいいですよね」
──いいですね。
「ちゃんと格闘技で目標設定をして、またやっていくための『第1試合』という感じなんですよ。だから絶対負けられないし、『ここで死んでたまるか』とも思うし」
──はい。
「ただ、僕はちゃんと試合は魅せますよ。バンタム級で頭一つ抜けてるというところを見せますし。『格闘家・心直、新章スタート』というイメージです」
──よく分かりました。
「締めの質問とかあるんでしたっけ?」
──普段なら「今回の試合への“決意”を教えてください」という質問で締めてますが。
「あ、今回はそういうのは対応してないです」
──了解です(笑)。ありがとうございました!
「いやでも、ホントに楽しみにしてほしいです。今は本当に格闘技漬けの生活をしてるので。白幡戦以後は、寺島想選手が所属しているAX GYMにも行ってて、プロ練でお世話になってるんですよ。その中でのボクシングスパーで眼窩底骨折しちゃったんです。でも、自分的にはいい感覚が掴めていたから継続してたんですよ。この半年ぐらい、ずーっと月曜から土曜まで二部練して、フィジカルを週2回やって。合間に片島聡志さんと週2回技術練習をやって、AX GYMに来ているフィジカルコーチにフィジカルも見てもらったり。いい状況ですよ」