2025年6月22日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『THE KNOCK OUT 2025』にて、KNOCK OUT-UNLIMITED -63.0kg契約3分3Rで祖根寿麻(ZOOMER)と対戦する、KNOCK OUT-BLACKライト級王者・大沢文也(ザウルスプロモーション)のインタビューが主催者を通じて届いた。
5月大会で大谷翔司を下してBLACKライト級王座を奪取した大沢は、すぐさま今大会へのUNLIMITEDでの出陣を希望。それが叶って祖根との対戦が組まれた。それほど出たかった理由、またUNLIMITEDや相手の祖根に対しての思いなどについて語りまくったマシンガン・トーク。
四つの組みからならMMA選手でも全然投げちゃう
──5月末に行われたカード発表会見は、KNOCK OUTの会見では初めてというぐらいにこやかでしたよね(笑)。バズーカ巧樹戦や大谷翔司戦の会見ではイラついていることが多かったですが。
「そうですかね(笑)。別に祖根君には普通に仲がいいのでイラつくこともないし。まあでも、思ったことをそのまま言っちゃう性格なので、バズーカ戦の時も大谷戦の時も、感情をそのまま出しただけなので。今回は怒っている感情がないから、怒らなかっただけです」
──なるほど。加えて、希望通りUNLIMITED戦が組まれたということもよかったのかなと。
「そうですね、うれしいです。『MMAファイターとUNLIMITEDでやりたい』というのはずっとあったので。正直な話、UNLIMITEDでキックボクサーに勝ったところで『何がすごいの?』って話だし、柔道とかレスリング上がりのキックボクサーならまだいいんですけど、純粋なキックボクサーとUNLIMITEDでやってもな、という感じなんですよ。だからこのルールでMMAファイターに勝たないと意味ないなとも思ったし、それで勝てれば自分にも自信がつくなと思ったので」
──そもそもUNLIMITEDの戦いにはハマるものがあったんですか?
「すごく楽しかったですね。関節技がなくて本当にケンカみたいなところとか、すごくいいなと思いましたね」
──SNSでも、MMAファイターにタックルしている練習の様子を上げていましたね。
「メッチャうまくないですか?(笑) まあ、あれはリップサービスみたいなもので、タックルはしないですけどね。さすがに、100%やらないです(笑)。でも実際MMAファイターたちと練習をやってて、レスリングとかタックルはキツいですけど、四つの組みからならMMA選手でも全然投げちゃうんですよ。けっこう向いてるのかなと思ってます」
──ただ、組む・組まれるという展開には行きたくはないですよね?
「もちろん、もちろん! 知り合いの格闘家全員に『どうやって勝つの?』って言われますから。『勝てないじゃん』って。ま、それもまたムカつくんですけどね。でも僕も現実主義者だから客観的に見れるので、普通に考えたら、キックボクサーがMMAファイターにUNLIMITEDで勝てるわけがないんですよ。現実的に考えて。タックルに一発ヒザを合わせるとか、組まれる前に一発当てて倒すとかしかないと思うんです」
──現実的にはそうですよね。
「だからみんなが言ってることも分かるんですけど、みんなが思うようにはならないよ、って思ってます。『秘策』もありますし」
──ほう。
「まず、倉本一真選手に感謝です。彼のおかげでルールが改定されてブレイクが早くなったと聞いたので」
──「倉本選手のおかげ」なのかは分からないですけど(笑)、確かにブレイクは早くなりましたね。
「だってブレイクが早くなかったら、レスリングの選手が無双するじゃないですか! 別にサブミッションがないので、寝かされても殴られることへの対応だけすればいいですからね。僕もMMAファイターと練習するので、寝かされたら首を取られないようにとか、腕を取られないように気をつけながら立ったりするんですけど、そういうのはないですからね。だからと言って『楽』というわけではないですけど」
──もう勝つビジョンはできてるということですね。
「できてますね、全然。僕って、MMAファイターと打撃のスパーをやっても、まあ一発ももらわないんですよ。祖根君より全然強いMMAファイターとやっても、僕が全然勝つんです。僕、練習は強いんで。でも、MMAをやると打撃をメッチャもらっちゃうんですよ。だからキックボクサーがMMAに行って打撃で倒されるって、“あるある”じゃないですか。何でそうなるのかは、今回メッチャ分かりました」
──そうですか。
「MMAスパーとかは今までやったことがなかったので、そこでは当たり前に打撃をもらうんですよ。それはやっぱりタックルや組みばっかり意識しちゃうからなんですけど。その後に打撃だけでスパーやったら余裕で勝てるんです。だから、『MMAってこんなにすごくて、こんなに深いんだな』ということが、改めて分かりました」
──今大会から、別階級ですけどUNLIMITEDでもベルトができますよね。それも狙いに行きたかったりしますか?
「UNLIMITEDの王座が僕の階級にもできるんだったら、全然狙いたいですね。ただ、今は減量がないので、階級を下げることも視野に入れてるんですよ」
──ああ、SNSでも書いてましたね。
「僕は減量が全くないんですよ。今だったら前の試合の直後だし、『今すぐ体重を落とせ』って言われても、1時間あれば落とせるぐらいで。まあでも、ライト級でベルトができるんだったら、UNLIMITEDのベルトがほしいなとは思いますけどね」
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ちゃんとUNLIMITEDっぽい試合で勝ちたい
──ベルトの話が出て、最初に言っていなかったことを思いだしたんですが…タイトル獲得、おめでとうございます! チャンピオンになってからの日々はどうですか?
「ああ、ありがとうございます(笑)。僕は試合に勝っても、『うれしい』という気持ちがその日1日ぐらいで終わっちゃうんですよ。だけどさすがに、今回チャンピオンになった時は、うれしさが2日間ぐらい続いてましたね。それでも少ないと思いますけど、僕にとってはかなり長いです」
──しかも会見では「KNOCK OUTのチャンピオンになってから、すごくモテる」と話していましたね。
「そうなんすよ!『やっぱベルトあったらモテるんだな』と思いましたね。それに、自分で言うのも何ですけど、『僕がKNOCK OUTに来てから盛り上がってんじゃね?』って思うんですよ」
──しかも2大会連続参戦ですからね。
「ケガがなかったら、7月も出たいぐらいです。その時はキックルールでいいんですけど」
──それはどんどん試合がしたいというだけでなく、KNOCK OUTに愛着が湧いているから?
「いや、単純に、7月に試合すれば夏休みじゃないですか(笑)。あとちょっと、お金も稼ぎたいので。5、6、7と稼いで夏休みにパーッと遊ぶっていうのが理想ですね。でも今は、祖根君との試合のことしか考えてないですけど」
──試合の話に戻ります。最後はどう勝ちたいですか?
「ちゃんと勝ちたいですね。UNLIMITEDらしく、ちゃんと勝ちたいです。一番は組まれずに打撃だけで勝てれば一番いいんですけど、組まれてもそれに対するディフェンスもちゃんとしたいんですよね。この前のバズーカ戦は『キックボクシング』だったじゃないですか。最後だけちょっとUNLIMITEDっぽかったけど。そうじゃなくて1Rから、ちゃんとUNLIMITEDっぽい試合で勝ちたくて。それが理想ですね」
──大沢選手が、UNLIMITEDについてこんなに熱く語るようになるとは(笑)。
「そうですね、UNLIMITEDは楽しいんで。あと、これも自分で言っちゃうんですけど、僕ってメチャクチャかっこよくないですか?」
──ん?(笑)
「だってチャンピオンになった選手が1ヵ月後にUNLIMITEDで試合するなんて、そんなヤツ絶対いないですよ!」
──それは確かですね(笑)。
「でしょ? 正直、みんなチャンピオンになったら守りに入るじゃないですか。僕はそれもイヤだったので、勝ってチャンピオンになっても守らず、攻めにいくのってメチャクチャかっこいいなって思ったんですよ。連続で出るのは、それもあります」
──いつになくアグレッシブな大沢文也がいるわけですね。
「そういうとこだけですけどね(笑)」
──いやいや、試合もアグレッシブに行きましょうよ(笑)。UNLIMITEDなんだし。
「まあ、祖根君だから自然とアグレッシブになる気はしますけどね」
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このルールだったら祖根君の方が間違いなく強い。でも――
──あと、今回は代々木第二のビッグマッチで、他にも錚々たるカードが並んでいますよね。
「うーん…そうですか?」
──あれ?
「さっきも言った通り、僕は客観的に見られるタイプなんですけど…KNOCK OUTにはメッチャいい選手が多いと思うんですよ。メッチャ多いと思うんですけど、正直、誰も知らないんです。それって、選手のセルフプロデュースがヘタなわけじゃないですか。K-1にも引けを取らないぐらい、いい選手がいっぱいいるのに、どうしてこんなにも光を浴びてないのかと思っちゃうんですよ」
──うーむ。
「だって僕、KNOCK OUTに参戦し始めた時には、KNOCK OUTの選手はほぼ知らなかったですよ。久井大夢選手、龍聖選手とかは分かるけど、他はほとんど知らないですもん。今回の代々木大会にしても、正直、『誰? 誰? 誰?』って感じですもん。僕がそう思うってことは、一般的に見たらもっとそう感じてるってことですよね。そうなると、会場に来てる人たちって全員、選手の身内なんですよ」
──まあ、その傾向はありますね。
「そこでK-1がすごいと思うのは、選手の身内だけじゃなくて、一般の人が来るのがすごいなと思うんですね。そうならなきゃいけないと思うんですよ。それはKNOCK OUTに限らず、どの団体も。それにはやっぱり選手たちのセルフプロデュースがもっと必要だなと思います」
──K-1 GROUPから来ている大沢選手がいつまでも目立っているようじゃダメだと。
「まあ、そうですね。だってそもそも、何でKNOCK OUTに出始めたばかりの僕が一番目立ってんの?ってことじゃないですか。5月はメインだったからとか関係なくて、あれが第1試合だったとしても、僕が一番目立ってるんですよ。それがそもそもおかしいでしょって。KNOCK OUTの選手たち、悔しくないの?って思っちゃいますよ。他から来た僕が一番目だって、悔しくないの? って。これはバカにしてるとかじゃなくて」
――では、普通にやったら今回も大沢選手が一番目立ってしまう?
「いや、そこは久井大夢選手と龍聖選手でしょう。その2人には全然勝てないです。正直、その2人のための大会だと思ってます。前にも言った通り、メインだろうが第1試合だろうが、選手は同じように命を懸けて戦ってるんですけど、今回はあの2人のための大会かなと。僕らはそのために会場を温めるのが仕事かなと思ってますね」
──では、「他の試合に負けないインパクトを」というモチベーションではない?
「ないっすね。だって僕の戦い方って、そういうアレじゃないじゃないですか(笑)。みんなよく『他の誰よりも目立ちたい』とか言いますけど、僕はそういうのは1ミリも興味ないんで。プロとしてよくないとは思ってますけど(笑)。自分と、自分を応援してくれてる人たちが喜んでくれれば、それでいいんで」
──では、今回代々木第二という大会場でのビッグマッチという点も関係ない?
「まっったく関係ないっす! 僕は『デカい会場だから頑張る』『デカい舞台だから頑張る』っていう選手が嫌いなんで。どれだけ会場がデカくても、リングの大きさは変わらないですからね。じゃあお前ら、観客が10人の時と100人の時と1000人の時で強さが変わるのか? ってことなんで。それは応援してくれてる人たちに失礼じゃないですか。僕は観客が1人でも100人でも1万人でも、全力で頑張るってだけなんで。それがプロでしょ?ってことですよ。まあこれはカッコつけてるだけですけどね(笑)」
──最初に会見の話をしましたが、こうして話を聞いていても、大沢選手がいいコンディションなのが伝わってきますね。
「そうですね! モチベーションも高いです。確かにこのルールだったら、祖根君の方が間違いなく強いんですよ。でも、試合に勝つのは僕なんです。ホントにそれだけです。それが当日、分かると思います」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「しっかりとしたテイクダウン・ディフェンスと、そこからの打撃ですね。ここに注目してほしいです。その上で勝つので」