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インタビュー

【PFL】菊入正行と対戦するカレッジレスリングの猛者&元Bellator世界ウェルター級暫定王者ローガン・ストーリー「自分の武器を磨き直してきた」

2025/06/13 10:06
【PFL】菊入正行と対戦するカレッジレスリングの猛者&元Bellator世界ウェルター級暫定王者ローガン・ストーリー「自分の武器を磨き直してきた」

(C)PFL

 2025年6月12日(日本時間13日朝9時30分~)米国テネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムにて、『2025 PFL World Tournament 5: Semifinals』(U-NEXT配信)が開催されている。

 ウェルター級ワールドトーナメント準決勝では、強豪ローガン・ストーリー(米国)が、日本の菊入正行(NEVER QUIT)と対戦する。

▼PFLワールドトーナメント ウェルター級準決勝 5分3R
ローガン・ストーリー(米国)170.6 lbs
菊入正行(NEVER QUIT)170.4 lbs

 ローガンは、NCAAディビジョン1でオールアメリカンに4度選出されたカレッジレスリングの猛者にして、元Bellator世界ウェルター級暫定王者。トーナメント一回戦では、ジョセフ・ルシアーノに危なげなく判定勝ちし、準決勝での菊入正行戦に駒を進めた。“ストーム”の異名を持つストーリーは、菊入をレスリングの嵐に巻き込むか。

菊入はタフでバランスの取れたファイターだ。俺もタイトルマッチのつもりで準備してきた

──今回のトレーニングキャンプの環境は?

「ファイトキャンプは終盤は少し変わるけど、基本的には1日4時間ぐらい練習してる。俺のヘッドコーチはロビー・ローラーで、ギルバート・バーンズとか170ポンドの強い仲間たちがたくさんいる。ヴィセンテ・ルーケとか、ジェイソン・ジャクソンもチームメイトだし、他にも若くてすごく強い選手がたくさんいる。キルクリフは本当にいいチームだよ。日本からも佐藤天、木下憂朔、鈴木崇矢ら日本人選手も来ていて、彼らのことはよく知ってるし、いい友達でもあるよ。今回の試合の前からずっと一緒にジムで練習してるし、みんな成長してる。すごく良いやつらだし、チームの中でも大事な存在だよ」

──菊入戦に向けての対策練習なども?

「菊入との試合に向けて、特別なトレーニングはしていなくて、自分の強みを伸ばすことに集中してる。もちろん映像は見て、彼の得意なポジションは分析してるし、そこに対する対応も練習してるけど、基本的にはチーム全体でスパーして、彼に似た体格とかスタイルの選手ともやってる。でもメインはやっぱり、自分自身のスキルを高めることかな」

──先日は『Xtreme FC』に佐藤天選手や鈴木崇矢選手が出場してましたよね。ああいったキルクリフ内で行われるジム大会は、若手選手や再起を目指す選手にとって、キャリアを積むチャンスになっていますね。

「すごくいい機会だと思うよ。地元で試合ができるってことは、試合勘をキープできるし、キャリアアップにもつながる。若い選手たちにとって一番大事なのは“試合を続けること”だと思うから、ああいうイベントはすごく価値がある。しかも、アメリカにはレスリングや柔術のレベルが高い選手が揃ってるから、試合のなかでいろんなスタイルに触れられるのも大きいよ」

──そのスタイルですが、ローガン選手のレスリングスタイルはカレッジレスリング出身で、試合映像を見るとフォークスタイル時代から、柔術的な動きもあってとても印象的でした。例えば、相手にバックを取られそうになった時のグランビーロールを見せたり、スクランブルの中でシングルレッグから脚の下に潜ってスイープする動きなど、トップのみならずボトムからのスクランブル、立ち上がりなどはMMAに生きているでしょうか。

「そう、俺のスタイルはMMAにすごく合ってると思う。打撃とレスリングを組み合わせたり、スクランブルからの展開がうまくMMAに融合してBJJとして活きたり。レスリングは5歳の頃からやってて、それをMMAの中で自然に使えるようにしてきたんだ。自分の強みを活かしてポジションを制して、勝つために使ってる。それに、フォークスタイルではクラッチは禁止されてるし、フリースタイルみたいにパーテールもない。その代わり、“ライド(抑え込み)”や“チョッププレッシャー”で相手をコントロールして、ティルト(傾けて背中を見せさせる)でポイントを取る。フリースタイルとはだいぶ違うけど、MMAにはすごく応用が効くスタイルだと思うよ。MMAで活躍してる選手の多くがフォークスタイル出身だからね」

──なるほど。そのコントロールがパウンドありのMMAでも活きていると。では、打撃系の選手、例えばムエタイ系のクリンチやスタンドの強い相手に対してはいかがでしょうか。

「今回で俺はMMA21戦目だけど、今までいろんなタイプの世界でベストな相手と戦ってきた。だからスタイルへの対応力はあると思う。基本は自分のポジションを取ること、プレッシャーをかけて削っていくこと。俺たちは世界最高の選手たちと日々練習してるし、しっかりしたゲームプランもある。今回の菊入との試合に向けても準備は万端だよ]

──ちょうど1年前、シャミル・ムサエフとタフな試合がありました。あの試合を経て、課題をどう感じて修正してきました。

「あの試合のあと、基本に立ち返ったんだ。自分が得意なポジション、勝てる形を徹底的に練習した。ロビー・ローラーやニック・レンツといったUFCのベテランたちと一緒に、自分の武器を磨き直したんだ。その結果、今はいい流れが来てるし、このスタイルでさらに上を目指していくつもりさ」

──今年からPFLはリーグ戦が無くなり、グラウンド状態でのヒジ攻撃が解禁されましたよね。ローガン選手のスタイルにはかなり有利になったのでは?

「間違いないね。俺みたいにグラウンド&パウンドを得意とする選手には大きなプラスだよ。去年は相手をカットするのが難しかったけど、今年はヒジが使えるから相手を傷つけたり、仕留めやすくなった。特にレスリングベースの選手にとってはありがたい変更だね。元々Bellatorではヒジが使えたから、俺の試合の多くはグラウンドでのヒジから決まってた。去年は使えなかったのは理解できるけど、今年からまた使えるようになって本当に嬉しいよ。試合もエキサイティングになるし、俺たちグラップラーには朗報だよ」

──今回、対戦する菊入正行選手をどうとらえていますか。

「彼はタフだし、距離の取り方も上手い。オフェンスの際やアンダーフックもいいし、全体的にバランスの取れたファイターだと思う。だから俺もタイトルマッチのつもりで準備してきた。8週間しっかり準備してきたし、アメリカンレスリングの強さを見せたいね」



──このPFL世界トーナメントに勝つ意味は、ローガン選手にとってどういうものですか?

「俺にとっては、人生をかけて取り組んできたことの集大成だよ。Bellatorに続き、またベルトを獲って、世界一だって証明したい。そのためにこの競技を始めたんだから。ロビー・ローラーやキルクリフのコーチ陣、チームメイト、家族、みんなのためにも絶対に勝ちたいんだ」

──最後に、日本から試合を見るファンへメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとう。日本にはまだ行ったことないけど、引退したら絶対行きたいと思っているんだ。日本には素晴らしいレスラーがたくさんいるし、こっちにも日本人選手の友達がいるからね。いつか時間をかけて行ってみたいと思ってる。今回も素晴らしい試合を見せるよ。相手のこともリスペクトしてるし、みんなに楽しんでもらえる試合をするから、U-NEXTでの配信を楽しみにしていてくれ!

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