ムエタイ
インタビュー

【ONE】内藤大樹「今回はデビュー戦の気持ちで戦おうと思っています」日本大会を見て刺激を受けた「暴風のような中に飛び込んで、自分だけ当てる」

2025/06/05 19:06
 2025年6月7日(土)タイ・ルンピニー・スタジアム『ONE FIGHT NIGHT 32』(U-NEXT配信)のフライ級ムエタイ3分3Rで、同級5位ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)と対戦する内藤大樹(BELLWOOD FIGHT TEAM)のインタビューが主催者を通じて届いた。  内藤は2019年からONEを主戦場にして連勝記録を更新。2020年12月にジョナサン・ハガティーに判定負けを喫したが、2021年6月のワン・ウェンフェン戦、9月のペッダム・ペッティンディーアカデミー戦でいずれも判定勝利し、2022年5月の「ONEムエタイ フライ級ワールドGP」のメンバーに抜擢されるも、初戦となった準々決勝でスーパーレック・ギャットムー9に判定負け。  2023年は7月、10月と連敗を喫し、2024年3月15日に5カ月ぶり復帰戦でシャーゾット・カブトフを判定3-0で破り再起を飾ったのも束の間、4月のデッドゥアンレックとの再戦で判定負け、8月のエリアス・マムーディ戦でKO負けして連敗した。戦績は36勝13敗。  再起戦の相手はジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)に決定。エストゥピニャンはコロンビア初のONEファイターで、2024年5月の『ONE Friday Fights 64』で初参戦、トリッキーなファイトスタイルで大森弘太を1Rわずか27秒でKO勝ちし、6月はザファー・シャイックに判定勝ち、9月にショーン・クリマコをKO、10月の『ONE Fight Night 25』でもザカリア・ジャマリをKO、2025年1月のジョハン・ガザリ戦で判定勝ちと5戦全勝の強豪となった。 全く別人のようなものを見せたい ――昨年の8月から約10カ月ぶりの試合になりますが、いかがですか? 「その間トレーニングはしているし、前回の負けから新たに取り入れたことがあります。ファイターとしては、かなり期間が空いたなっていうのはありますが、自分としてはこの期間、逆に空いたからこそ身になっているものがあると思うので、凄い楽しみです」 ――この10カ月間、どのように過ごしましたか? 「まず、ボクシングを始めました。これまでは、パンチとか独学じゃないですけど、チームだけで専属のトレーナーがいる訳でもなかったし、自分たちで映像を見たりとか、色々考えながらやってきたんですけど、ボクシングトレーナーを豊橋で見つけて。去年の9月からスタートして、今は週3でボクシングをやっています。かなり手応えを感じているので、僕の自信になっていますね」 ――ボクシングはどのような練習環境なのですか? 「豊橋にある『とよはしボクシングジム』の出身で、プロで試合はしていないですが、プロライセンスを取っている方です。ブラジル人の方で、豊橋は結構ブラジルの人たちが多いんですけど、ジムの2階のフロアでブラジル人の選手たちを中心に教えているところに自分も混ぜてもらって、見てもらっています」 ――ボクシングを本格的に練習することで、ファイトスタイルが変わる部分はありますか? 「やっぱり僕は蹴りの方が得意で。今までの試合は蹴りの数の方が圧倒的に多かったと思うんですけど、蹴りとパンチのバランスが上手く組み合わせることができるようになって。これまで僕のパンチはカウンターなイメージが多いと思うんですけど、自分から打ちに行くような感じになってきて、そういう自分に期待しています。今までの自分のスタイルが変わるかと言えば、変わらないかもしれないですけど、戦い方とか技のバリエーションっていうのは、全く別人のようなものを見せたい。自分でもすごく楽しみです」 ――キャリア50戦で自身の“正しい距離”を既に持っている中、“パンチの武器で勝負してみよう”といった気持ちはありますか? 「ボクシングを教えてもらって練習を重ねていく中で、徐々に、先生やトレーナーの方から『もっと自信持って行った方がいいよ』『なんでこのパンチ力でKOを増やせないのかがわからない』とか言ってもらえていて。自分でもそれを感じているのがすごくあって。パンチを自信持ってやっていくことで、同時に自分の蹴りに生きるなと思ってて。今まで以上にもっと強い蹴りも蹴れるようになっていると思います。自分の中ではその辺のバランスが良くて、これを本番でしっかり出して、新たな印象を与えたいです」 ――対戦相手のエストゥピニャンは蹴りも出しますが、被弾上等でパンチの距離でくる選手のイメージがありますが、この点はいかがですか? 「彼はONEでもプロとしても無敗ですよね。彼がONEのデビュー戦で日本人の選手(大森功太)と試合したのをたまたま観ていたら30秒ぐらいでKOして。この選手すごい強いなと印象が残っていて、いつかフライ級に来そうだなって思っていました。負け知らずだけあって、思い切りの良さというか、怖いものがないんだろうなっていうスタイルですね。うまいタイプとは思わないんですけど、ブンブン振り回して勢いを持ってくると思います。だからこそ、今の自分を試すのに凄く良い相手だと。ハードヒッターですが、今回は良い意味で相手に合わして、乗っていきたいと。相手の攻撃をただ避けるんじゃなくて、激しい中に入っていきたいという風に思っています」 ――これまでの内藤選手の戦い方であれば、エストゥピニャン戦は高い経験値と技術力で“いなしていく”展開イメージでしたが、今回はあえて“暴風の中に飛び込む”イメージですか? 「それが自分の中で今回の試合の鍵だと思っていて。まさに暴風のような中に飛び込んで、自分だけ当てるみたいな、それがベストな形だと思っていて。それを今回、本当やりたいなっていう風には思っています」 [nextpage] ただ勝つじゃなくてKOしたい ――選手として進化していく過程で、今回の試合は“もう一段上のステージに登った内藤大樹を出す”ようなイメージですか? 「正にそんな感じで。今、自分はキャリア的に終盤に来ていると思うんですけど、自分でも実際に成長を感じているし。でも、キャリア50戦やって、新しいことを取り入れるのは勇気のいることで。あんまりその部分を崩したくないタイプだったんですけど、変なプライドみたいなのを一度捨てて、取り入れてみることで、また新しい自分と出会えている気がしています。だから、今回は今までと違うなって思わせたいし、自分自身に凄く期待しています」 ――繰り返しになりますが、今回の試合の展開、フィニッシュをどう考えていますか? 「相手も来るので、100%激しい試合になると思うし。自分自身もそういうキツイ展開に飛び込んでいかないといけないと思っています。そこに行けば自分が倒す確率は上がるし、倒せると思っているので。世間的な評価は相手が高いと思いますが、そういう相手だからこそ今回はしっかりKOしたいと思っています。ただ勝つじゃなくてKOをしたいです」 ――武尊選手のONE参戦などもあり、フライ級キックボクシングが盛り上がっています。ランキング3位の内藤選手としては、今回はキックの試合をしたかったなどの気持ちはありますか? 「勿論、キックボクシングを希望したいという気持ちはあります。今はキックボクシングのタイトルを狙っていますが、そのためにも今回のムエタイのオファーを受けて、そこで結果を出して、まずはしっかりと発言権を得ないといけないと思っています。次の試合に行くためにも、今回は凄い大事な試合だと思っています」 ――先程の質問の流れで敢えて伺います。3月の日本大会が凄く盛り上がり、その中には内藤選手の名前はありませんでした。焦りだったり、苛立ちだったり、どのような感情がありましたか? また、今はそれとどう向き合っていますか? 「やはり大会が終わるまでは凄くモヤモヤしていて。これまでの日本大会、なぜ今まで1度も声が掛からないんだろうとか。もっと自分が戦ってきたことを評価してくれてもいいのになとか。確かに日本での知名度だけで言えば、出てきた選手たちには、負けてしまうのかもしれないですけど。ただ、世界と戦ってきたっていう意味では、どの選手よりもやってきたと思っているんで。そう言う思いがありました。やっぱり当時は苛立ちみたいなのは凄いありましたね。  日本大会も見に行く予定じゃなかったんです。変なプライドじゃないですけど、いつでも試合できるように、見に行くのも無駄な時間かなと思って。だったら自分のために時間を使って練習しようとか、そういう感じだったんですけど、やはりモヤモヤしたので、急遽、1週間前ぐらいにチケットを用意してもらって行くことになりました。  結果、見て良かったなって現地ですごく思って。苛立ちみたいなのが、見たことでなくなりました。良いものが見れたし、結局、声が掛からないのは、自分がダメだったんだっていう風に納得ができて。だから、次の日本大会にはアピールしなくとも必ず選ばれるように、日々過ごしたりとか、しっかり結果出してかないといけないなっていう、良い意味での刺激に変わりました」 ――むしろ次に繋がる良い刺激を受けたのですね。 「その通りです。だから僕は今回はデビュー戦の気持ちで戦おうと思っています。もう一回、ONEデビュー戦の気持ち。その感覚で勝利を掴み取りに行くつもりです」 ――最後に日本のファンの方々にメッセージをお願いします。 「ONEは今、日本人の強い選手たちが入ってきて、さらに日本でも注目が集まっています。その中で自分っていう選手がいるということを、次の試合で印象付けたいなと思っています。注目して観てください」
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