2025年6月1日(日)、朝8時から米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Blanchfield vs. Barber』(U-NEXT配信)が開催されている。コメンでは、ライト級7位のマテウス・ガムロが、UFC4連勝中のルドビト・クラインと対戦する。
▼ライト級 5分3Rマテウス・ガムロ(ポーランド)24勝3敗(UFC7勝3敗)ルドビト・クライン(スロバキア)23勝4敗(UFC7勝2敗)※UFC4連勝中
元KSW二階級王者のマテウス・ガムロは、2020年の緊急UFCデビュー戦でスプリット判定負けも、その後は7勝1敗。2022年6月にアルマン・ツァルキヤンに判定勝ち後、ベニール・ダリウシュに判定負けも、そこからジェイリン・ターナー、ラファエル・フィジエフ、ハファエル・ドス・アンジョス相手に3連勝。2024年8月の前戦でダン・フッカーにスプリット判定で敗れている。34歳。
対するルドビト・クラインは、ライト級に上げてから7戦負け無しの6勝0敗1分、ボクシング・柔術がバックボーンで、サウスポー構えからの左オ-バーハンド、左ヘッドキック、左テンカオと左の強い武器を持つ。2024年6月にチアゴ・モイゼスからダウンを奪う判定勝ち後、9月にルーズベルト・ロバーツにも判定勝ちしている。30歳。
3連勝からフッカーに敗れての再起戦で、再びライト級タイトル戦線返り咲きを狙うマテウス・ガムロに本誌とU-NEXTインタビューで話を聞いた。
フッカーとは「未完の因縁」があると思っている
──お久しぶりです、お元気ですか?
「元気だよ。いつも通り、調子はいい。UFCで8カ月間のブランクが空いたし、試合が待ち遠しい。ここに来て本当に幸せだ」
──ブランクができた理由は?
「怪我は無く、相手を見つけるのが難しかったんだ。1月にフロリダに来た時、すぐに試合が組まれることを期待していたけど、その時はランキング上位の選手ばかりが試合が組まれていたので、UFCにプレッシャーをかけて『みんなが忙しいなら、ランキング外の選手でも構わない。今年は活動的にいたいし、試合がしたい』と伝えたんだ。それが今日、ルドビト・クラインと戦う理由だ。
今日は話すけど、ほとんどの人が後ろ向きに戦いたくないんだ。特に自分より下位の連勝中の選手とはね。『この試合の目的は何だ?』って。僕はただアクティブでいたいだけだ。誰かが『この勝利はあなたのポジションを維持するためだけか、それとも適切な支配的な勝利があなたを前進させることになるか』と尋ねたら、僕はスポーツマンだから、毎日一生懸命働き、健康な34歳だから、アクティブでいたいし、最高の選手と戦いたい。連勝中の選手に勝つことでまた前進できるかもしれない。もちろん、ランキング上位の選手を倒してランキングを上げる方が良いけど、UFCで最も重要なのは、ケージで良いパフォーマンスを示すことだ」
──そのために、アメリカン・トップチーム(ATT)でトレーニングのために4カ月間滞在されたと伺いましたが、その間、ご家族とは?
「今年の1月にATTに来たんだ。近いうちに試合が組まれると思ってたので、その準備のためにね。最初の2カ月は家族と一緒にフロリダで過ごして、子供たちとも一緒にいた。でも3月に家族はポーランドに帰って、そこからは自分一人でジムに残ってトレーニングを続けたよ」
──90日以上いるというこは、長期滞在のためのビザ取得はスムーズでしたか? アメリカでのトレーニングに問題はありませんでしたか。
「問題ないよ。僕はアメリカでの就労ビザ(P1ビザ)を持ってるので、フロリダに来るのにも滞在にも何も問題はないんだ」
(C)mateusz_gamrot
──なるほど。ATTではマイク・ブラウンコーチと共に一緒にトレーニングされている写真も拝見しましたが、NCAAレスリング王者のカーター・スタラッチ選手ともトレーニングされてましたよね? 意外なスパーリングパートナーでした。
「カーター・ストラッチは1週間だけATTに来てたんだ。僕はいつもジムで一番強い選手と練習するようにしていて、そのときはレスリングのセッションだったから、彼とすぐに組むことにした。3ラウンドしっかりやったよ」
──ガムロ選手もレスリングポーランド代表ですが、カーター選手との練習はいかがでしたか?
「素晴らしいトレーニングだったよ。もちろんハードだけど、すごく多くのことを学ぶことができた。彼はすごく普通の本当にいいやつで、丁寧に教えてくれて、僕のスタイルを良くするためのアドバイスもくれたんだ。すごく成長できた時間だったよ」
──ところでフォークスタイルでは、歴史上唯一の5度のNCAAディビジョンI王者であるストラッチ選手はMMA転向を考えてるんでしょうか。
「彼のレスリングキャリアから、将来的にはMMAに移るつもりなのかもしれないね」
──ガムロ選手の前回のダン・フッカー戦では、テイクダウンを仕掛けるも彼に立ち上がられたり、ギロチンで斬り返されたりもしました。あの試合から何を学びましたか?
「フッカー戦の一番の課題はコンディション調整だった。オーストラリアには試合の10日前に入ったけど、時差と気候にうまく順応できなかったんだ。ラウンド終盤に彼が攻勢を見せて、ジャッジはその印象を強く見たんだと思う。すごく接戦だったから、俺たちの間には“未完の因縁”があると思っている。フッカーとはまた戦いたいんだ」
──そして今回の対戦相手ルドビト・クラインは、ライト級に転向してから6連勝中と非常に勢いがあります。彼の印象、強みはどこだと感じていますか?
「間違いなくタフな相手だね。打撃も上手いし、爆発力がある。テイクダウンディフェンスも優れている。でも、これまでの相手もみんなそうだった。みんな打撃勝負をしたがって、僕とのグラウンド勝負は避けたがる。今回も同じだ。僕はテイクダウンして相手を削り、寝技で極めにいくつもりだ。そこに僕の勝機がある」
──彼はあなたより少し背は低いですが、サウスポー構えでリーチが長い。左オ-バーハンド、左ヘッドキック、左ヒザ蹴りも強い。ATTで似た体型の選手とスパーはしましたか?
「もちろん。毎回試合前には相手に近いタイプの選手をパートナーに選んでいる。サウスポーで身長が低い選手ともやったし、逆に背が高くリーチが長い選手ともやってきた。蹴りも多用してくるので、それに対してのカウンターやブロック、スイープなども練習したよ。できることは全てやったつもりさ。全体的にレベルアップした。打撃、レスリング、柔術、グラウンドコントロールまですべて。今回はエンタメ性の高い試合を見せたいんだ。最高のパフォーマンスをして、相手をフィニッシュするつもりだよ」
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キョージがUFCに復帰すると聞いて、みんな『ようやく戻ってきたな』って。クレベルとは日本で再会したい
──今回のファイトキャンプでは、ジェイジェイ・ウィルソンとの練習風景を見ました。ほかにも誰と一緒にトレーニングしていたんですか?
「ATTに4カ月間滞在し、1日も無駄にせず、MMAスキルを向上させたことを示したい。ATTでは、ほぼ全員とトレーニングし、最初に友人の試合準備を手伝った。その後、試合のオファーを受け、準備と戦略、相手のスタイルに焦点を当て、相手のスタイルに似たスパーリングパートナーと練習したよ。ATTは世界最高のジムだし、スパーリングパートナーもトップレベルばかり。ダスティン・ポイエー、グラント・ドーソン、ダコタ・ブッシュ、ジェイジェイ・ウィルソン、クリスチャン・ターナー、それにクレベル・コイケともやった。多くの仲間が助けてくれたよ」
──そのクレベル・コイケ選手のRIZINタイトルマッチは見ましたか?
「見たよ。KOで負けてしまったね。でも彼の本領を発揮する前に試合が終わってしまったから、きっと次はやってくれると思う。クレベルは僕の友達だ。KSWでも戦って、いまはとてもいい関係だし、会えばいつも一緒に練習している。素晴らしい人間なんだ。今年は日本に行く予定もあるので、また彼と会えると思うよ」
──ところで日本のATT選手では、堀口恭司選手がUFCに復帰しました。チームではどのような反応がありましたか。
「キョージは本当に素晴らしい人間だよ。階級は2つ下だけど、時間があるときは一緒に練習するんだ。雰囲気もすごくいいし、エネルギーもある。長年ATTにいる戦士で、コーチのマイク・ブラウンも僕と共通してるから、一緒に練習する機会も多いんだよ。彼は本物のサムライで、偉大なファイターだ。だから、彼がUFCに復帰すると聞いて、みんな『ようやく戻ってきたな』って言っているよ」
──ライト級では、前フェザー級王者のイリア・トプリアと、ライト級2位のチャールズ・オリベイラが6月28日(日本時間29日)の『UFC 317』で対戦します。同階級のこの注目カードをどう予想しますか。
「非常に興味深い対戦カードだよね。両者とも勝利するためのパワーとスキルを持っているから。イリアはオリベイラをノックアウトできるかもしれないし、オリベイラも確かに重いパンチを持っている。どちらもスタンド、グラウンドのどこでも倒すための多くの良い道具を持っている。しかし、オリベイラは本当に大きな選手で、フェザー級のイリアは小柄な選手だ。これはチャールズ・オリベイラにとって有利になると思うし、彼はそれを成し遂げられるだろう」
──ガムロ選手も、今回の試合に勝てば、トップランカーとして再びタイトル戦線に入ってくると思います。どんな試合を見せたいですか?
「素晴らしいパフォーマンスを見せたい。僕の予想では『ファイト・オブ・ザ・ナイト』か、タイムアウト前にフィニッシュできると思っている。決して相手を軽視はしていない。彼はタフだけど、僕は今すごく調子がいい。自分のベストをケージで出し切りたい」
──最後に日本のファンにメッセージを。
「日本の皆さん、僕の試合をぜひ観てください。アクション満載で、めちゃくちゃ面白い試合になると思います。U-NEXTで見逃さないで!」
──来日したらセミナーを開いてほしいものです。
「もちろん。もし実現できるなら、僕はいつでもオープンだよ。日本とその文化については良い話ばかり聞いているし、自分の目で確かめたいんだ!」