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【K-1 KRUSH】涙のタイトルマッチ、勝った高梨knuckle美穂も敗れたパヤーフォンも号泣。軍司泰斗が玖村修平を降して再起、不可思はTKO勝ち

2019/10/13 21:10
「K-1 KRUSH FIGHT.106」2019年10月13日(日)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第9試合)K-1 KRUSH FIGHT 女子アトム級(45kg)タイトルマッチ 3分3R・延長1R〇高梨knuckle美穂(Y'ZD GYM/王者)延長R 判定3-0 ※10-9×3×パヤーフォン・アユタヤファイトジム(タイ/アユタヤファイトジム/元WPMF世界女子ピン級王者/挑戦者)※高梨が初防衛に成功。本戦の判定は28-30、29-29、29-29。  高梨は2018年9月の『KHAOS』でプロデビュー。福原優を左右のフックで3R KOに仕留めて注目を浴び、12月には現役女子高生ファイター・MOEからも同じくパンチでダウンを奪っての判定勝利。女子アトム級とは思えないパンチ力でデビューから2連勝、わずか3戦目にしてタイトル戦に漕ぎつけ、今年5月の第2代K-1 KRUSH FIGHT女子アトム級王座決定戦で初代NJKFミネルヴァ・アトム級王者C-ZUKAを3R1分34秒、TKOに破り王座に就いた。  ミドルネームの“knuckle”はパンチが得意なことと、ゴリラが大好きでゴリラのナックルウォークから名付けられたもの。  挑戦者のパヤーフォンは16歳(試合時は17歳)にして60勝(9KO)12敗1分の戦績を持つ、WPMF世界女子ピン級王者。これまで3度の来日経験があり、2017年11月に『M-ONE』でLittle tigerに判定勝ち。松下えみと初代KRUSH女子アトム級王座決定戦を争ったCOMACHIと2018年2月に対戦して判定勝ちでWPMF世界女子ピン級暫定王者となり、今年2月にCOMACHIと王座決定戦で再戦して判定勝ち、WPMF世界王座を手にした。ミドルキックとヒザ蹴りを得意とする。  1R、パヤーフォンは前に出ると同時の右ストレートを連打して高梨を下がらせる。連打をもらう高梨に場内はどよめき。高梨は左ボディから右フック、パヤーフォンの右ミドルをもらいながらも連打を返していく。  2R、高梨が前に出てくるとパヤーフォンは後ろに下がって一定の距離を保つとさらに追って来るところへ右ミドル。高梨はその右ミドルに右ストレートを合わせに行く。その後も右の蹴りに必ず右のパンチを出す高梨。パヤーフォンは左ミドル連打。どっしり構えて自分の距離を保つパヤーフォンに高梨はなかなか入れない状態が続く。  3R、前に出る高梨が連打を繰り出す。距離を詰めての連打でパヤーフォンにロープやコーナーを背負わせる。しかし、パヤーフォンもヒザ蹴り、前蹴り、右ストレートで逆襲。パヤーフォンはスイッチして左右のミドルを蹴る。  本戦の判定はジャッジ1名がパヤーフォンを指示したが、2名がドローで延長戦へ。勝利を確信していたのか、パヤーフォンは自軍コーナーでポロポロと涙を流す。  延長戦が始まると高梨がパンチでラッシュを仕掛け、パヤーフォンも右ストレートと左ミドルを返す。距離を取って蹴るパヤーフォンと距離を詰めてパンチを打ちに行く高梨。高梨のジャブ、右ストレート、左フックが軽くだがヒットし、左ミドルに右を合わせに行く。ほぼ蹴り一辺倒のパヤーフォンに高梨がパンチで前へ出続け、判定は3-0で高梨。  勝利した高梨も敗れたパヤーフォンも涙を見せる。高梨はマイクを持つと「今日はこんな台風なのにご来場いただきありがとうございます。昨日の台風でどうなるのかと思いましたが、家族が計量で送り迎えしてくれて、台風に関係なく応援してくれてメッセージもたくさんくれてありがとうございます。そんな中、来ていただいたのに倒せなくて申し訳ありません。もっともっと上に行くには今の戦い方ではダメだなと感じます。でも戦績が上の選手に勝ててよかったと思います。これからももっともっと強くなるために今まで以上に練習していくのでよろしくお願いします」と、涙ながらに声を振り絞って語った。 ▼セミファイナル(第8試合)K-1 KRUSH FIGHT スーパー・バンタム級(55kg)3分3R・延長1R〇軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/第2代K-1 KRUSH FIGHTバンタム級王者)判定3-0 ※30-28、29-28、30-28×玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/元NJKFバンタム級王者)  軍司は二階級制覇を狙ってK-1 KRUSH FIGHTスーパー・バンタム級王座決定トーナメントに出場したが、決勝戦で玖村の弟・玖村将史にアゴを折られて敗れた。その後、負傷もあってブランクがあったが今大会で再起戦。  対する玖村は6月のK-1両国大会で行われたK-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメントに出場したが、準決勝で武居由樹に敗れてベスト4。同じく今回が再起戦となる。  スーパー・バンタム級の実力者同士の対戦がとなった。  1R、褐色の肌の軍司と色白の玖村のコントラスト。お互いに蹴りから右のパンチを打っていく。玖村は顔面の連打から左ボディにつなぎ、軍司は右ストレートを打ち込む。  2R、ミドルの蹴り合い、飛びヒザ蹴りの打ち合いと同じ攻撃を返し合う。軍司が左ミドル、左ボディを上手く当てていけば、玖村もパンチのコンビネーションを返すが、軍司が右ストレートでグラつかせると、左ボディからの左フックでダウンを奪う。  3R、玖村は取り返そうと右を打ち込む。軍司はガードを固めて右ストレート、そして左ボディ、ヒザ蹴り。玖村もパンチを打つが軍司がボディを強打する。終盤には打ち合った両者、玖村が右をヒットさせたところで試合終了し、ダウンを奪った軍司の判定勝ちとなった。 [nextpage] ▼第7試合 K-1 KRUSH FIGHT スーパー・ライト級(65kg)3分3R・延長1R〇不可思(クロスポイント吉祥寺/KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王者、元WPMF日本同級王者、元REBELS-MUAYTHAI同級王者、第4代RISEライト級王者、初代Bigbang同級王者)TKO 3R 3分00秒 ※レフェリーストップ×堀井 翼(ネクサスジム) 不可思は名古屋を中心にキャリアを積んだ後、東京へ進出。ホームリングであるREBELSを中心に様々なリングに参戦し、REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王座、RISEライト級王座、BigBangライト級王座など合計5本のベルトを獲得。2019年6月からK-1に参戦したが、佐々木大蔵にTKOで敗れて今回が再起戦。  堀井は3月の『Krush.99』でK-1 JAPAN GROUP初参戦。1Rにダウンを奪われながらも3度のダウンを奪い返して1R2分46秒でKO勝ち。その試合のインパクトもさることながら、もっと話題を集めたのは試合前の個性的すぎる“メンチ切り”だった。堀井が「フラッシュバック」と命名したこのメンチ切りは、相手に背中を向けてエビ反りになって相手を睨みつけるというもの。  しかし、6月の瑠久戦では喧嘩っ早さが仇となり、記者会見で乱闘騒ぎを起こして会見は中止に。試合では瑠久に敗れ、今回が再起戦となる。  1R、お互いにジャブを突き、不可思がきれいなワンツーを打ち抜いてダウンを奪う。不可思は一気に詰めることはせず、ワンツー、左フック、右ボディストレートを当てに行くが、堀井も強烈な右フックを返す。不可思は上下に打ち分け、堀井は右の強打で応戦。不可思の左フックで大きくグラつく堀井だが、それでも不可思は一気に行かず細かくパンチを当てに行く。不可思が連打を叩き込み圧倒してしょかいを終えた。  2Rになると不可思は右ローを蹴り始め、パンチのコンビネーションにつなぐ。堀井も右の強打。不可思は右ボディストレートから顔面への連打、右ローを蹴ってワンツーと打っていくが、堀井は前へ出てパンチをまとめてくる。終盤には不可思も打ち合いを見せた。  3Rも不可思は右ボディストレートを打ち込んでのコンビネーション、そして右ロー。堀井も打ち返して顔面へ前蹴り。しかし、不可思がボディへの連打からの右ストレートで2度目のダウンを奪う。立ち上がった堀井は執念で打ち返しに行くが、カウンターの左フックで不可思がダウンを奪う。直後にラウンド終了のゴングが鳴ったが、レフェリーはストップをかけて不可思のTKO勝ちを宣した。  試合終了ギリギリでTKO勝ちを収めた不可思は、「両手放しで喜べるような内容ではなく悔しいんですが、KOでよかったです。次は年末のK-1名古屋ですかね。僕の地元でバッチリ盛り上げるのでよろしくお願いします」と、K-1名古屋大会への出場をアピールした。 ▼第6試合 K-1 KRUSH FIGHT スーパー・バンタム級(55kg)3分3R・延長1R〇大岩翔大(湘南格闘クラブ)判定3-0 ※30-27、30-27、30-26×KOUMA(ウィラサクレック・フェアテックス荒川/元REBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者、第6代・第9代WPMF日本スーパーバンタム級王者)  KOUMAは元暴走族で、青春時代のほとんどを塀の中で暮らすと26歳でムエタイを始めた。2013年1月に28歳でプロデビューすると6連勝。2015年11月にWPMF王座を獲得すると2017年6月にREBELS王座も獲得して二冠王に。2017年11月にWPMF王座、2018年6月にはREBELS王座をそれぞれ初防衛戦で失ったが、同年10月にWPMF王座に返り咲いた。  また、2017年2月にはミャンマーの超過激格闘技ラウェイにも参戦、本場ミャンマーの選手を相手に引き分けている。今回は2月にREBELSで宮元啓介に敗れて以来の再起戦。戦績は14勝(9KO)4敗。  対する大岩は2016年10月からK-1 JAPAN GROUPのイベントに参戦。小倉尚也、森坂陸、亀本勇翔、桝本“ゴリ”翔也らから勝利を収めている。2017年7月には優勝者ファイトマネー総取りトーナメントの『Money in the KHAOS』で優勝した。前回は2018年10月、玖村将史にKO負けしており、今回は約1年ぶりの復帰戦。所属も湘南格闘クラブに変えて再出発を迎える。戦績は10勝(3KO)3敗。  1R、KOUMAはさっそく左右フックを振り回して前へ出る。大岩はサウスポーから左ミドルを蹴り、KOUMAのパンチはかわしていく。  2R、大岩の左ミドルに左フックを合わせにいくKOUMA。しかし、左フックに左フックを合わされてダウンを奪われる。KOUMAは左右フックを振り回して前へ出るが、大岩は左ミドル、左ストレートを合わせに行く。打ち合いになると、大岩は左ストレートからの右フックで2度目のダウンを奪う。  3R、大岩は左ミドル、左ローを蹴り、左ストレートや右フックにつなげる。KOUMAは変わらずフックを振り回すが、なかなか大岩には当たらない。試合展開は最後まで変わらず、大岩が判定勝ちした。 [nextpage] ▼第5試合 K-1 KRUSH FIGHT クルーザー級(90kg)3分3R・延長1R〇植村真弥(ウィラサクレック・フェアテックス幕張/WMC日本ヘビー級王者)判定3-0 ※30-27、30-27、30-26×工藤勇樹(エスジム/初代蹴拳ライトヘビー級王者)  両者とも初代クルーザー級王座決定トーナメントに出場した選手で、それぞれタイトルも保持している。工藤は23勝(14KO)18敗2分、植村は9勝(6KO)10敗。両者は1度対戦しており、工藤が勝利を収めている。  1R開始直後、植村が右フックで工藤をグラつかせる。工藤は前蹴りで距離を取るが、植村は前へ出て左右フックを当てに行く。  2Rも前へ出てパンチを放っていく植村は、右フックを振り抜いてダウンを奪う。工藤は前蹴り、後ろ蹴り、飛びヒザ蹴りを放つが、植村に距離を詰められて顔面にフックをもらう。両者とも疲れが見え始めた。  3R、植村が至近距離でパンチを振り回すが、工藤も打ち返す。ボディを打つ工藤だが、植村の振り回す連打で防戦一方に。最後は工藤もパンチを返していったが、植村が判定勝ちでリベンジに成功した。 ▼第4試合 K-1 KRUSH FIGHT スーパー・バンタム級(55kg)3分3R・延長1R×小倉尚也(スクランブル渋谷)延長R 判定1-2 ※10-9、9-10、10-9〇龍斗(K-1 GYM横浜infinity)※本戦の判定は30-29、28-29、29-29  小倉は6月にK-1の舞台にも立った強打の持ち主で、戦績は13勝(7KO)7敗2分。龍斗は3勝8敗1分の22歳の新鋭。  1R、圧力をかけて右ローを蹴っていくのは小倉。龍斗は左右に回り込みながらジャブ&ロー。前に出る小倉を龍斗がパンチで迎え撃つ展開で、小倉は左フックの空振りが目立つ。  2Rも同様の展開となり、龍斗は前蹴りも加えてくるが、小倉の詰めが速くなってきた。右ローで足を止めにいく小倉。  3Rも強引に詰めていく小倉が右ローと左フック、右ストレートで攻める。龍斗もカウンターの右ストレートで迎え撃ち、両者決め手なく三者三様のドロー。  延長R、小倉は前に出ての右ストレート&左フック、龍斗は右ストレートで迎え撃つ。小倉のパンチ&ヒザでボディをかばう仕草が見える龍斗。手数を出して攻める小倉に龍斗もヒザを蹴り返す。終盤、荒くパンチを打つ小倉に龍斗はヒザと左右ハイもヒットさせて、龍斗が判定2-1で延長戦を制した。 [nextpage] ▼第3試合 K-1 KRUSH FIGHT フェザー級(57.5kg)3分3R・延長1R〇桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定 ※29-28、30-29、30-28×足利正和(TEAM Aimhight)  桝本は現在4連敗中で戦績は12勝(7KO)14敗2分。足利は身長が14cmも桝本より高い  1R、桝本は両腕ガードをガッチリと固めて右ローと左ミドル、足利は序盤から積極的にパンチを叩き込んでいく。桝本が左ボディを狙い始めると足利は長いジャブ。桝本の左ボディが何度も入り、左フックにつなぐ。  2Rも桝本が左ボディから左フック、左ミドルと攻めていく。足利は右ストレート、接近してのヒザで反撃。桝本の左フックで足利が大きくグラつく。動きが鈍る足利だが、右フックをヒットさせる。 3R、桝本は左フック、足利は右フックをお互いにヒットさせる展開。フックをもらっても前へ出るのは桝本。お互いにパンチをもらっては打ち返す。タフな我慢比べとなったがクリーンヒットが多かった桝本が勝利を得た。 ▼第2試合 K-1 KRUSH FIGHT フェザー級(57.5kg)3分3R・延長1R×和夢(Gwinds)判定0-3 ※26-30×3〇山浦力也(北斗会館浅科道場)  山浦は『K-1甲子園2018』60kg級の覇者で今回が4戦目(1勝2敗)。和夢はK-1アマチュア出身で今回が9戦目(3勝5敗1分)。  1Rは共に蹴りを多用し、和夢は左右のミドル、山浦はロー。山浦は和夢のパンチをよく見てかわし、時折ワンツーで前へ出る。終盤、山浦が後ろ蹴りを放った。 2Rも右ストレートをヒットさせていく山浦。和夢の左フックを空振りさせての右オーバーハンドで山浦がダウンを奪う。和夢は左右フックと飛びヒザ蹴りで反撃。山浦は強い右ローも蹴る。  3R、和夢が距離を詰めての左右フックで勝負に出ると、山浦はプッシュして右ストレートを返す。逆に右ストレートで下がらせると強烈な左ボディ。右フックからもう一発左ボディを入れると和夢はダウン。山浦は右ストレート、右ロー、右フック、左ボディと攻め、右ストレート&左フックでダウン寸前まで追い込み試合終了。山浦がプロ2勝目を飾った。 ▼第1試合 K-1 KRUSH FIGHT ライト級(62.5kg)3分3R・延長1R×林 将多(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/FSG)不戦勝〇蓮實 光(パラエストラ栃木)※林が減量中に脱水症状でドクターストップとなり、計量をクリアーできなかったため 「今回対戦相手の林選手が体調不良で中止になってしまったんですが、残念ですが林選手は早く回復してほしいと思います。僕、年内試合したいんです、明日が誕生日なので生意気言わせてください。12月の名古屋K-1、僕に試合のプレゼントください。バチバチの打ち合いをします」 ▼プレリミナリーファイト第3試合 K-1 KRUSH FIGHT スーパー・フェザー級(60kg)3分3R〇三輪裕樹(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定3-0 ※28-27×3×聖也(ウィラサクレック・フェアテックス西川口) ▼プレリミナリーファイト第2試合 K-1 KRUSH FIGHT ライト級(62.5kg)3分3R〇鈴木孝司(K-1ジム蒲田チームキングス)判定3-0 ※29-27×3×塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ) ▼プレリミナリーファイト第1試合 K-1 KRUSH FIGHT バンタム級(53kg)3分3R×光佑(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)KO 1R 1分18秒 ※飛びヒザ蹴り〇池田幸司(ReBORN経堂/K-1カレッジ2019 -55kg優勝)
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