勘と技術とか、理性と感性でラリーしながら、さらにいいものが出来上がっていく
──では、米国フロリダのキルクリフで練習していたとき、ヘンリー・フーフトコーチの指導や言葉で印象的だったことはありますか?
「それこそ“勘”なんですよ。ヘンリーがずっとスパーの時に『インスティンクト』って言ってるんですよ。勘とか本能とか、そういう意味だと思うんですけど、それが今回本当に印象に残ってて。キルクリフは相当ガチンコでスパーをやるんですけど、技術ももちろん大事なんですけど、試合ってそうじゃない部分もあると思ってて。勘で動く部分、見合いの間合いとか言葉にできないような曖昧な部分もあると思うんで。そういうのって頭で考えたら追いつかないし、考えて及ぶ範囲でもないと思ってるんで、そこは勘に任せた方が良いし、効果出るんじゃない? っていうふうに、思いながら、めちゃくちゃ殴り合ってました。
自分の中でラリーしてる感じですね。勘と技術とか、理性と感性でラリーしながら、さらにいいものが出来上がっていくみたいなイメージです。(普段の練習の)バランスを良くはしようと思ってますけど。そこまですごい計画性があるタイプでもないんで、特に最近はですけど、その時のノリを大事にしてますね。ある程度はもともと決まったスケジュールがあるので、それに寄り添いつつ、その中で自由度を持たして楽しんで。強くなって……、みたいな感じですかね」
──11勝無敗ですが、負けを知らないからこその強さというのはありますか?
「負けを知らない強さ……分からないです。比較できないじゃないですか、“あっ、無敗だからプレッシャーだあ”とは。多分、例えば次の試合負けて11勝1敗になったとして、その次の試合となったら、次に負けるのがもっと嫌なんです。“うわあ、連敗じゃん。ただでさえ。もうゼロを失ってるのに、また負けたらヤバい”みたいな。戦績のプレッシャーはその時、その人によって違うから。無敗だとか、以前は結構考えもしたんですけど、別に考えても別にそんな変わらないしと思ってやめました」
──これまでターニングポイントになるような試合はありましたか? 戦績でわかりやすいのはエマニュエル・サンチェスのような世界で名のある選手ですが……。
「ターニングポイントって考え方は昔からあんまりしっくり来ず、ここで人生変えてやるみたいな感じが腑に落ちないのですが、サンチェス戦はすごいインパクトでした。地元で、40戦くらいKOされたことのない相手を1RでKOして“嘘じゃん!”って俺が思ったんですよ。確かにその場面で見ればでっかいターニングポイントかもしれないんですけど、それを作ったのは結局、日々の練習だったり積み重ねなわけじゃないですか。積み重ねるのは割と嫌いなタイプじゃないんで、結果見るってよりプロセスに意識は行ってる感じです」
──逆に、マックス・ザ・ボディ戦は戦績としては一本勝利ではありますが、3Rまで苦戦した印象でした。ああいう戦いを経て、これから世界で戦っていくのにどんな課題を感じましたか。
「自分は、バコーン! って決まるいい試合もあれば“あれ?”みたいな。それこそマックス戦は思ったより手こずった印象が、見ていた方にあったと思うんですけど、俺も同じ印象です(苦笑)。そういうのも一つひとつ、プロセスとして考え、自分の中でそのミスも積み重なっている。だから同じミスはしませんという自信があります。逆にあの試合のミスを教訓に、今そこが強みになっているので、それが今回皆さんに見せられるんじゃないかな? っていう自信はあります」
──UFCの同級で気になる選手は?
「ランカーとやってる自分は正直まだ見えないですけど。UFCのレベルの選手とならできるっていう自信にはなってきてますね。なんでこれ? っていう人物はちょっとそこまで具体的にやっぱ出てこないです。すみません」
──さて、今回のRTU1回戦はどんな展開になると思いますか? また、ご自身はどんな試合をしたいと思いますか?
「相手は頑張るけど、レベルが違うんで、俺が倒して終わりますね。なんでもいいから、倒れてくれればいいです。パンチ当たんなくても倒れてくれればいいです(笑)。今回のテーマは“勘”。理屈こねるのも大事ですけど、考えて止まってたら殴られたり極められて終わるんで、勘に任せて体に動いてもらって、勝負決めてもらって。気づいたら相手が転がってて、みたいな感じですかね」
──U-NEXで応援しているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「面白い試合するんで楽しみにしててください。よろしくお願いします」



