MMA
インタビュー

【RTU】UFCで“勝つ”ために──エフェヴィガ雄志「長南さんが引っ張る強い力に乗れてる」「ヘンリー・フーフトの『インスティンクト』を大事に」=5月23日(金)20時

2025/05/23 10:05
 2025年5月22日(木)&23日(金)の2日間に渡り20時から、4階級32名の選手が出場するトーナメント、『ROAD TO UFC シーズン4』オープニングラウンド(U-NEXT配信)が開催されている。  日本からは8選手がトーナメントに出場。また、非トーナメント戦のワンマッチで2選手が参戦中で、初日の22日の「エピソード1&2」では、トーナメント戦は中村京一郎がKO勝ち以外は日本人選手は1勝3敗。ワンマッチでは松田亜莉紗がスプリット判定で昨年準優勝シャオツァンに勝利している。  2日目の「エピソード3&4」はエフェヴィガヤニック雄志、神谷大智、井村塁、伊藤空也がトーナメントに出場。佐藤生虎がワンマッチを戦う。  その中から、ライト級のエフェヴィガヤニック雄志(TRIBE TOKYO MMA)のインタビューがU-NEXTより届いた ▼第4試合 ライト級(65.8kg以下)5分3Rエフェヴィガヤニック雄志(11勝0敗、日本)ドム・マー・ファン(6勝2敗、豪州)  エフェヴィガはMMA11勝無敗。父が西アフリカのトーゴ出身、母が日本人の25歳で、空道をベースとし、2019年の北斗旗全日本空道体力別選手権(男子-260)では準決勝進出。TRIBE TOKYO MMAに所属し、MMAを学び、アマチュアEXFIGHTで連勝後、2021年にプロデビュー。ABEMAの海外MMA武者修行プロジェクトではフロリダのキルクリフFCで合宿を積み、2024年5月には『COMBATE GLOBAL』に参戦。プロ4戦目でジェラルベルト・カスティーリョにTKO勝ち。  その後もGLADIATOR、修斗で連勝を重ね、2024年8月の『TTF10』では元Bellatorのエマニュエル・サンチェスと対戦。左ストレートでダウンを奪ってのパウンドで初回TKO勝ち。MMA通算9戦無敗で、2024年11月にマックス・ザ・ボディと対戦し、最終回まで粘られたものの、最後はリアネイキドチョークを極めて、第11代環太平洋ライト級王座についている。2025年1月の前戦は欠場した西尾真輔の代役・ライダーHIROを1R リアネイキドチョークで一蹴、海外での試合を模索していた。  対する豪州のドム・マー・ファンは、MMA6勝2敗。2018年にアマチュアMMAデビューすると、2022年にプロMMAデビュー。2戦目と6戦目に現UFCのクイラン・サルキルドに敗れたものの、ほかは勝利し、2024年11月の前戦『Eternal MMA 91』ではトム・プラットにリアネイキドチョークで一本勝ち。2025年3月に神谷大智と対戦予定もともにRTU出場が決まった。  エフェヴィガは、24年上半期には『Dana White's Contender Series』出場オファーがあったが回避し、北米で勝つために満を持して、RTUに参戦。今回から枠が広げられた豪州から参戦のEternal MMAコンテンダーといかに戦うか。 勘に任せて体に動いてもらって、勝負決めてもらって。気づいたら相手が転がってて── ──RTUのトーナメント出場が決まった時は、どんな思いでしたか。 「テンション、上がりますよね。“えっ!? 3試合勝ったら、UFCじゃん! うぇーい!」と思って。しかも優勝したらボーナスとかお金をもらえるじゃないですか、たくさん。それでまた『うぇーい!』。いつもラッキーなんですよ、いいところで。今回もちょうどアメリカで試合を出来ないかと探してたら、『え、RTUあんの?』『出ます!ラッキー!』みたいな」 ──対戦相手のドム・マー・ファン選手の印象を教えてください。 「頑張るグラップラーだな、という印象ですね」 ──ドム・マー・ファン選手のプロフィールを調べていたら、かつてのご本人が「自分はテイクダウンして寝かせるだけのグラップラーではない」と。グランド&パウンドや極めに行く力を脅威に思いますか? 「え? 本人がそんなこと言ってるんですか?『寝かすだけのグラップラー』と思ったことはないですけど、映像を見て。本人、気にしちゃってるんですかね? 誰かに言われて(笑)」 ──あ、いえ。そうではないことを実際見せてくれているということだと思いますが(笑)。 「結構、アグレッシブに倒したらパウンドで削って、相手が弱気になったところでしっかり極めに行く選手だな、みたいな印象がありますね」 ──手が合うとは思いますか? 「合うと思っていますし、合わせられるし。相手が(自分に)合わせちゃうと思ってます」 ──バックボーンは空道とのことですが、MMAを始めたきっかけは? 「練馬出身で、本当に家が近かったからです。高校を卒業する前に18歳でMMAを始めましたが、何も知らなかったのでGoogle MAPでMMAのジムを調べたら、近くにあったから、TRIBE TOKYO MMAに入会しました。長南(亮)さんのことも、若松佑弥のことも、何も知らずに(笑)。  空道は、小学1年かそのちょっと前くらいから、兄がやっていたので自分も始めて、小学校6年間続けました。中学ではバスケ、高校ではサッカーといろんなことをフワフワやり、高校卒業後“何やろうかな”という感じで、また1年半くらい空道をやっていました。TRIBEの入会時期と重なっていて一時期は両方やっていて、途中からTRIBEだけになりました」 ──今ほどの体格ではなかったと思いますが、エフェヴィガ選手がバスケやサッカーをやっていると、周りの生徒から只者ではないぞとマークされませんでした? 「もっとガリガリでしたからね。高校の途中からちゃんと筋肉がつき始めました。背は確かに高かったかもしれないですけど(現在180cm)、バスケ部でも周りは背が高い人多くて、そこまで目立つことは……まあ、黒人がバスケやってるってだけで、多分東京では目立つと思うんで(笑)、そこだけだと思いますね。“THE・あるある”です(笑)」 ──他のスポーツを経験したうえで空道とMMAを始めたのは格闘技のどんなところが魅力で、また最終的にMMAでプロになることを決断したのはどんな理由が? 「ここだ! っていう決断をした記憶はないです。空手も良かったけど、やっぱりMMAの方が好きだなって思ったんで。プロでやりたいなあっていう気持ちがだんだん積もり積もって、MMAに集中するようになった感じですね。格闘技の魅力は……分かんないっすね(笑)。やっていてこれが面白いって思うこともあれば、次の日あ、また別のことが面白いっていうこともあるんで。自分の性格と合っている感じはします。MMAってやらなきゃいけないことが多いから、飽き性の自分には、今日は打撃で、次の日はグラップリングと飽きても違うことをやれるのが合っているのかもしれないです。 ──練馬の長南軍団=TRIBEは、やはりそれなりの覚悟がないとついて行けなくなってしまうという感じですか。 「覚悟、決まってんのかなあ。最初は普通の会員だったから行ったり行かなかったりで。自分は打撃中心で寝技はちょっと嫌いだから行かない、というのがだんだん乗ってきました。流れですよね。やっていればできることが増えるじゃないですか、自然に。打撃は自信出てきたから、自信ないとこも踏み出してみようか。で、ここできるようになったから、もうちょっと外まで行ってみようかなと行き続けた結果、今ここにいるんじゃないかなと」 ──UFCに挑戦するにあたって長南代表から言われたことなどは? 「具体的に浮かばないのですが。長南さんってネチネチ説教するようなことがないんです。ボソッと言葉のパスがナイフみたいに飛んできて、それが昔は“強っ!”と、全部避けてしまうほどでした。でも実はその中に優しさもあるし、意図が見えて来るようになってからは、助かっています。長南さんが引っ張る強い力に今うまく乗れてるなあっていう感じがしています」 [nextpage] 勘と技術とか、理性と感性でラリーしながら、さらにいいものが出来上がっていく ──では、米国フロリダのキルクリフで練習していたとき、ヘンリー・フーフトコーチの指導や言葉で印象的だったことはありますか? 「それこそ“勘”なんですよ。ヘンリーがずっとスパーの時に『インスティンクト』って言ってるんですよ。勘とか本能とか、そういう意味だと思うんですけど、それが今回本当に印象に残ってて。キルクリフは相当ガチンコでスパーをやるんですけど、技術ももちろん大事なんですけど、試合ってそうじゃない部分もあると思ってて。勘で動く部分、見合いの間合いとか言葉にできないような曖昧な部分もあると思うんで。そういうのって頭で考えたら追いつかないし、考えて及ぶ範囲でもないと思ってるんで、そこは勘に任せた方が良いし、効果出るんじゃない? っていうふうに、思いながら、めちゃくちゃ殴り合ってました。  自分の中でラリーしてる感じですね。勘と技術とか、理性と感性でラリーしながら、さらにいいものが出来上がっていくみたいなイメージです。(普段の練習の)バランスを良くはしようと思ってますけど。そこまですごい計画性があるタイプでもないんで、特に最近はですけど、その時のノリを大事にしてますね。ある程度はもともと決まったスケジュールがあるので、それに寄り添いつつ、その中で自由度を持たして楽しんで。強くなって……、みたいな感じですかね」 ──11勝無敗ですが、負けを知らないからこその強さというのはありますか? 「負けを知らない強さ……分からないです。比較できないじゃないですか、“あっ、無敗だからプレッシャーだあ”とは。多分、例えば次の試合負けて11勝1敗になったとして、その次の試合となったら、次に負けるのがもっと嫌なんです。“うわあ、連敗じゃん。ただでさえ。もうゼロを失ってるのに、また負けたらヤバい”みたいな。戦績のプレッシャーはその時、その人によって違うから。無敗だとか、以前は結構考えもしたんですけど、別に考えても別にそんな変わらないしと思ってやめました」 ──これまでターニングポイントになるような試合はありましたか? 戦績でわかりやすいのはエマニュエル・サンチェスのような世界で名のある選手ですが……。 「ターニングポイントって考え方は昔からあんまりしっくり来ず、ここで人生変えてやるみたいな感じが腑に落ちないのですが、サンチェス戦はすごいインパクトでした。地元で、40戦くらいKOされたことのない相手を1RでKOして“嘘じゃん!”って俺が思ったんですよ。確かにその場面で見ればでっかいターニングポイントかもしれないんですけど、それを作ったのは結局、日々の練習だったり積み重ねなわけじゃないですか。積み重ねるのは割と嫌いなタイプじゃないんで、結果見るってよりプロセスに意識は行ってる感じです」 ──逆に、マックス・ザ・ボディ戦は戦績としては一本勝利ではありますが、3Rまで苦戦した印象でした。ああいう戦いを経て、これから世界で戦っていくのにどんな課題を感じましたか。 「自分は、バコーン! って決まるいい試合もあれば“あれ?”みたいな。それこそマックス戦は思ったより手こずった印象が、見ていた方にあったと思うんですけど、俺も同じ印象です(苦笑)。そういうのも一つひとつ、プロセスとして考え、自分の中でそのミスも積み重なっている。だから同じミスはしませんという自信があります。逆にあの試合のミスを教訓に、今そこが強みになっているので、それが今回皆さんに見せられるんじゃないかな? っていう自信はあります」 ──UFCの同級で気になる選手は? 「ランカーとやってる自分は正直まだ見えないですけど。UFCのレベルの選手とならできるっていう自信にはなってきてますね。なんでこれ? っていう人物はちょっとそこまで具体的にやっぱ出てこないです。すみません」 ──さて、今回のRTU1回戦はどんな展開になると思いますか? また、ご自身はどんな試合をしたいと思いますか? 「相手は頑張るけど、レベルが違うんで、俺が倒して終わりますね。なんでもいいから、倒れてくれればいいです。パンチ当たんなくても倒れてくれればいいです(笑)。今回のテーマは“勘”。理屈こねるのも大事ですけど、考えて止まってたら殴られたり極められて終わるんで、勘に任せて体に動いてもらって、勝負決めてもらって。気づいたら相手が転がってて、みたいな感じですかね」 ──U-NEXで応援しているファンの皆さんにメッセージをお願いします。 「面白い試合するんで楽しみにしててください。よろしくお願いします」 [nextpage] 5月23日(木)ROAD TO UFCシーズン4 エピソード3 計量結果 ▼第1試合 非トーナメント戦 ウェルター級 5分3R佐藤生虎(6勝0敗、日本)171lbs/77.56kgキット・キャンベル(14勝7敗、豪州)170lbs/77.11kg ▼第2試合 ライト級(65.8kg以下)5分3Rジャック・ベッカー(13勝5敗、豪州)156lbs/70.76kg※Eternal MMAで松本光史に判定勝ち、神谷と対戦予定も両者RTU参戦にパク・ジェヒョン(7勝3敗、韓国)155.5lbs/70.53kg※2023年8月のRTUで原口伸に判定負け。 ▼第3試合 バンタム級(61.2kg以下)5分3R伊藤空也(17勝8敗1分、日本)135.5lbs/61.46kgシン・カイ・シオン(6勝1敗、シンガポール)134.5lbs/61.01kg※現UFCのイ・チャンホに2022年のBRAVE CFで判定勝ち。唯一の黒星をつけた。2023年RTUフライ級ワンマッチでピーター・ダナソーにKO負け。 ▼第4試合 ライト級(65.8kg以下)5分3Rレン・ヤーウェイ(8勝3敗、中国)156lbs/70.76kgデニ・ダファ(6勝1敗、インドネシア)155lbs/70.31kg ▼第5試合 バンタム級(61.2kg以下)5分3Rスーラン・ランボ(8勝3敗、中国)135lbs/61.24kgピーター・ダナソー(8勝3敗、タイ)135.5lbs/61.46kg 5月23日(木)日本時間22時~エピソード4 計量結果 ▼第1試合 バンタム級(61.2kg以下)5分3R井村 塁(12勝4敗、日本)135.5lbs/61.46kgギエム・ヴァン・Y(5勝1敗、ベトナム)135lbs/61.24kg※2024年12月Lion Championshipフェザー級王座獲得。階級下げ ▼第2試合 ライト級(65.8kg以下)5分3Rキム・サンウク(11勝3敗、韓国)156lbs/70.76kg※2023年RTUで丸山数馬にダースで一本勝ち、ロン・チューに判定負け。2024年6月ZFNで佐々木信治に判定勝ち神谷大智(6勝0敗、日本)155lbs/70.31kg ▼第3試合 バンタム級(61.2kg以下)5分3Rジャン・チンハ(8勝3敗、中国)136lbs/61.69kgローレンス・ルイ(5勝1敗、ニュージーランド)135.5lbs/61.46kg ▼第4試合 ライト級(65.8kg以下)5分3Rエフェヴィガヤニック雄志(11勝0敗、日本)155lbs/70.31kg ドム・マー・ファン(6勝2敗、豪州)156lbs/70.76kg※Eternalフェザー級王座決定戦でクイラン・サルキルドに一本負け 【ROAD TO UFCシーズン3決勝】 ▼第5試合 フェザー級(65.8kg以下)5分3Rズー・カンジエ(20勝4敗、中国)145.5lbs/66.00kg※2024年8月のRTUで原口伸にスプリット判定勝ちシエ・ビン(13勝4敗、中国)146lbs/66.22kg※2024年8月のRTUで河名マストにKO勝ち
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