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【BTC】ジャブ突くジョン・オルニドが熊崎夏暉に判定勝ち、山崎蒼空がザヒド・アフメドを完封、上田祐起のローブローで石井逸人戦はノーコンテスト、竹本啓哉が一本勝ち、Progress森戸新士がRNC極める、椿飛鳥が大脇征吾にポイント勝ち

2025/05/14 17:05
オルニド 2025年5月14日(水)18時から『Breakthrough Combat04』が開催された。LIVE配信(THE1.TV配信)の実況は市川勝也氏、解説は水垣偉弥氏(※写真追加、詳報追記あり)。 Breakthrough Combat04 速報 ▼メイン バンタム級 5分3R〇ジョン・オルニド(フィリピン)61.3kg[判定3-0] ※30-27×3×熊崎夏暉(日本/BRAVE)61.5kg  メインは2年4カ月振りの来日となるフィリピンMMA界期待の星、Zeus Combat Leagueバンタム級王者ジョン・オルニドを、熊崎夏暉が迎え撃つ一戦。  BRAVEの熊崎はキャリア4戦4勝0敗。サンボ世界選手権銀メダリスト・松本秀彦氏の指導を受け、コンバットサンボとスポーツサンボで全日本王者となっており、力強いテイクダウンから自分の形で支配する攻めの寝技で、極めの強さを実戦で見せている。1月のGLADIATORでは、秋田良隆に肩固めで一本勝ち。3月大会では負傷欠場を強いられた熊崎がフィジカルで上回るオルニドを相手に世界進出を果たすための糸口を見つけられるのか。  またオルニドも、2023年3月のGLADIATORでの笹晋久戦のローブロー反則負けから、ジム移籍のトラブルを経て2024年10月にZeus Combat Leagueバンタム級王座についている。その間、コンバットサンボも経験したというオルニドが、2年2カ月ぶりの来日で日本定着が望まれるパフォーマンスを披露できるのか。アジア人がアジアで強くなるための一戦となる。 ジョン・オルニド「(熊崎の身体を見て)しっかり仕上げてきたみたいだけど、自分には十分じゃないか」 熊崎夏暉「自分はやってきたこと今日出すだけなんです。明日、まあ見てくれればわかると思います」  1R、右を当てたオルニドに腰を落とした熊崎だが、2度のテイクダウンへ、足を抜く、あるいはバッククリンチに正対して離れるオルニドは強い右ロー、熊崎の左には左ミドルを突く。  2Rも同様に熊崎のテイクダウンを切り、右カーフのオルニドは、左ボディ、前蹴りを腹に突くが後半は手数が若干、減る。  3R、果敢に詰める熊崎は右を突いてシングル、ダブルと詰めるが、切るオルニドはジャブを突き、右ロー。熊崎にチャンスを与えず、判定3-0で勝利。試合後は、「ジャブがベストだからジャブを使った」と語った。 [nextpage] ▼コメイン 58.5kg契約 5分3R〇山崎蒼空(マッハ道場)58.5kg[判定3-0] ※30-27×2, 30-26×ザヒド・アフメド (インドネシア)57.75kg  コメインでは、前回大会の国際戦で唯一勝利を得た山崎蒼空が、上田将年を破ったイ・ジュンヨンと対戦予定だったが、イ・ジュンヨンが右手小指を骨折して、試合出場が不可能に。元Black Combatフライ級チャンピオン越えをし、UFCへの道を切り開こうとしていた山崎の対戦相手は、日本国内の選手で交渉が進められていた。  しかし、6勝無敗の新鋭の相手に応じることができる選手を見つけることはなかなかできず。2024年12月大会のチェ・スングクの時と同様にSNSで対戦相手の応募も検討されるなか、大会まで2週間を切った時点で今回のアフメドより、対戦に応じるという返答が届いたという。契約体重は58.5kg戦。  アフメドは1999年2月生まれの26歳、インドネシアはスマトラ島パレンバン出身で日本に初めてやってきたのは3歳の時。その後、母国と日本を行き来し12歳になってから日本に移住を決めた。夜の9時を過ぎると蝋燭で灯を取る必要があったパレンバンのスラム出身のマフメドのファイティング・スタイルは打ち合い中心。侍マーク・ハントこと桑原清氏率いるteam侍で本格的に格闘技を始め、4年の経験を持つ。キック戦績は8戦7勝1敗(4KO)。地下格でキャリアを積み、本格的なMMAデビューが今回の試合となる。 山崎蒼空「急遽。試合を受けてくれたザヒド・アフメド選手、お願いします。明日は最高のパフォーマンスを見せるので楽しみしてください」 ザヒド・アフメド「(日本語で)自分は何もないですけど、一つだけできること、戦うこと。お願いします」  1R、アフメドの右をかわしてシングルレッグテイクダウンの山崎がマウント、コントロールしてトップから肩固め狙。ヒザを抱えて防ぐアフメドはレッスルアップも、山﨑がダブルレッグテイクダウン。  2R、早々にダブルレッグテイクダウンの山崎。パスガード、マウントにアフメドもケージを蹴ってブリッジ、パウンドに後ろを向きつつ、すぐに戻して凌ぐ。止められそうなパウンド、ヒジの連打をさせないアフメド。  3Rも、アフメドの右を潜ってテイクダウンの山崎に、アフメドのは引き込み際にギロチンチョーク。ずらして首を抜く山﨑はケージに頭を押し込みパウンド。背中は着くアフメドだが、腰を懸命に切りフルガードに入れると、最後はブリッジ狙い。山﨑はパウンドもアフメドの粘りもあり仕留めきれず。  判定3-0(30-27×2, 30-26)で山﨑が勝利。対戦相手変更もあったが、「足りないことばかり」と反省しきりだった。緊急参戦のアフメドも気持ちを見せた。 [nextpage] ▼第4試合 バンタム級 5分3R─石井逸人(TRIBE TOKYO MMA)61.5kg[ノーコンテスト]─上田祐起(総合格闘技道場reliable)61.35kg  第4試合では石井逸人が、キャリアの再構築を賭けて上田祐起との戦いに挑む。修斗では環太平洋王者となり、2024年10月の前戦ではグアムでBrawlフェザー級王者となった石井も29歳、最高峰へ後がない状況から脱することができるのか。  対する上田は、2024年はMMA3試合、グラップリングを1試合戦っており、3月に野尻定由に判定負け後、5月のProgressで江木伸成にポイント勝ち。7月に福井竜郎にリアネイキドチョークで一本勝ちするも、10月の前戦では吉田開威に2R TKO負け。  勝者の吉田はその後、ROAD TO UFC出場を決めている。今回、上田にとっては夫人の出産予定日と重なりながら、石井との試合を選択し、絶対的に譲ることはできない人生の節目となる一戦に。壁際の攻防が鍵となるか。 石井逸人「明日は自分がやらなきゃいけないことと、自分がやりたいこと、その二つを持って戦いに行きます」 上田祐起「相手のための試合だと思うんですけど、ここは僕が勝って上に上がりたいと思います」  1R、サウスポー構えの上田とオーソの石井の喧嘩四つ。詰める上田の左から右に腰を落とした石井。上田のバック狙いをリストコントロールさせずに落としてトップに。強いパウンドに上田も下から蹴り上げ(グラウンド状態でイエロー)。内ヒール狙い。石井も足関節で応戦。互いに鉄槌。  2R、サウスポー構えの上田はジャブ、強い左インローをダブルで。右を狙う石井に、上田は左オーバーハンドも繰り出し、打撃で圧力をかける。しかし詰めたところで石井の左ボディストレートと、左インローが交錯しまともにローブローに。大きな音を立ててファールカップに打突音。石井は悶絶して動けず、嘔吐も。試合は止められた。  試合全体の半分を過ぎておらず、ノーコンテストに。 [nextpage] ▼第3試合 バンタム級 5分3R×ガドウィン・ランバヤン(フィリピン)61.4kg[1R 3分03秒 横三角絞め]〇竹本啓哉(日本/ALIVE)61.65kg  MMAマッチの先陣を切って実施されるガドウィン・ランバヤンと竹本啓哉の顔合わせは、2024年10月のBreakthrough Combat第1回大会で組まれていたが、ガドウィンの負傷で流れた経緯がある。  ガドウィンは、フィリピン・コンバットサンボ・ナショナルチームの一員で、ライオンネイションMMA勢に柔術の指導をしており、フィリピン人選手の一般的なイメージを覆すグラップラーという。  前回のトレント・ガーダム戦で殻を破ることができなかった竹本には、本当の意味でブレークスルーが求められる戦い。真価が問われるガドウィン戦となる。 ガドウィン・ランバヤン「ベテランの竹本選手との試合になるわけですけれども、すごいいろいろ楽しみにしています。お願いします」 竹本啓哉「フィィリピン人の実績のあるグラップラーの方と、こうしてMMAの試合できるのが大変、不思議な気持ちで楽しみです。頑張ります」  1R、シングルレッグから小外刈テイクダウンの竹本、ランバヤンに腕十字狙いもスラムでずらして外したランバヤンがトップに、竹本は下からアームロック狙いから足をからめて横三角絞めでタップを奪った。1年ぶりの白星を掴んだ竹本は、インタビューで入籍したことを明かした。 [nextpage] ▼第2試合 Progress暫定ウェルター級選手権試合 5分3R〇森戸新士(日本/LEOS/藤田柔術本部)暫定王者 ※当日計量[1R 2分24秒 リアネイキドチョーク]×イ・ソンハ(韓国)挑戦者 77.0kg※森戸が王座防衛  K-MMA界から元Black Combatライト級王者のイ・ソンハが、Progressの絶対暫定王者に君臨する森戸新士に挑戦するProgressウェルター級選手権試合が第2試合で組まれた。  チャンピオン森戸にとって、アジアのライバルである韓国のグラップリング系柔術黒帯MMAファイターとケージで交わることで、予測不能の戦いが見られるかもしれない。 イ・ソンハ「森戸新士選手の話を聞きました。試合は明日ということで心をずっと落ち着かせて、いい試合をやりましょう。ありがとうございます」  引き込む森戸、ソンハに2P。足関節、外、内ヒールを抜くソンハにトップ奪う森戸が2P。さらにバックテイク、立つソンハにリアネイキドチョークを極めた。 [nextpage] ▼第1試合 Progress フェザー級 5分2R×大脇征吾(リバーサルジム横浜グランドスラム)65.9kg[6-4]〇椿 飛鳥(トライデントジム)70.5kg  椿飛鳥と大脇征吾が対戦するProgressライト級マッチが、今大会のオープニングを飾る。椿は12月のBTCでのProgressでは城戸泰介にポイント勝ち。2025年3月のプロ修斗世界フェザー級選手権試合ではSASUKEに敗れてなお、世間の評価を高めた。  対する大脇は、2月のBreakthrough Combatにおける中島太一戦で衝撃のプロデビュー。4月27日の『ROMAN2』では、道衣を着たROMAN柔術ワンマッチで鍵山士門にヒザ十字で一本勝ちしたばかり。  ケージでノーギグラップリングのProgressルールで逃げ切るか、仕留めるのか。そんな追いかけっこ+αが期待される一番となるか。 大脇征吾「今回も極めて勝ちます」椿 飛鳥「今回は、極めて勝ちます」  1R、ケージを背にする椿。シングルレッグ、ダブルレッグテイクダウンの椿が2P。大脇はニンジャチョークを合わせ、椿が仰向けで防いで下になり2P。大脇は腕十字を狙う。椿は強いポスチャーで作らせずトップで2P。大脇は下から足を狙いながら立ち上がりスクランブルとして1P。椿が4-3でリード。  2R、椿はシングルレッグも剥がした大脇。椿はボディロックに、大脇前転して足関狙い。すぐに立ち上がる椿はケージまで押し込みダブルレッグテイクダウンで2P追加。大脇のチョイバー、腕狙い、潜りをさせず。バックに回られかけるも前に落とすと立つ大脇も1Pを追加も、椿はMMA的に危ないポジションにならずに時折巧みに攻めながらポイント6-4で勝利。  試合後、椿は「十字も力強く、首も危なかった。MMAが大好きで一番だと思うのでそれを証明していきたい」と語った。
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