【UFC】ウェルター級王者ベラル・ムハメド「ジャック・デラ・マダレナの戦績も、連勝も、魂も奪いにいく」＝5.11『UFC 315』

　2025年5月10日（日本時間11日）朝7時30分から、カナダ・ケベック州モントリオールのベル・センターにて『UFC 315: Muhammad vs. Della Maddalena』（U-NEXT配信）が開催される。 　メインでは、UFC世界ウェルター級タイトルマッチ（5分5R）として、王者ベラル・ムハメド（米国）が、UFC7連勝中の挑戦者ジャック・デラ・マダレナ（豪州）を相手に初防衛戦に臨む。 ▼UFC世界ウェルター級選手権試合 5分5Rベラル・ムハメド（米国/パレスチナ）24勝3敗（UFC15勝3敗）※UFC6連勝中　170lbs／77.11kgジャック・デラ・マダレナ（豪州）17勝2敗（UFC7勝0敗）※UFC7連勝中　170lbs／77.11kg 　レスリング出身のベラルは、2024年7月、レオン・エドワーズをテイクダウンし続けての判定勝ちで王座を獲得。過去11戦で負け知らずのムハメドは、ギルバート・バーンズ、ショーン・ブレイディ、ビセンテ・ルーケらを相手に勝利。 　12月にシャフカト・ラフモノフを相手に初防衛戦を行う予定だったが感染症で欠場。ラフモノフはイアン・マシャド・ガリーと対戦し、判定勝ちでコンテンダーのままで5月に対戦予定も、今度はラフモノフが負傷。エドワーズとの対戦が組まれていたジャック・デラ・マダレナが挑戦者となった。36歳。 　ラグビーから転向した豪州のマダレナは、UFCデビューから7連勝中。17勝中12のKO・TKO勝ちを誇るストライカーで、2021年にUFCロースター入りを果たして以来、ケビン・ホランド、ランディ・ブラウンらに勝利。2024年3月の前戦ではギルバート・バーンズに3Rに逆転のヒザ蹴りでTKO勝ちを収めている。28歳。 ベラル・ ムハメド（ウェルター級王者） ──今回の試合での明確な勝ち筋や狙いはありますか？ 「KOするつもりだ。俺はウェルター級で一番のボクサーで、一番のファイター。それを証明する」 ──あなたのボクシングは過小評価されていると思いますか？ 「100％そう思う。俺の全てが過小評価されてる。みんな俺に対して勝手な印象を持ってケージに入ってくるけど、実際に戦ってみて初めて俺のパンチ力は圧力を思い知らされる。そして、みんな壊れていくんだ」 ──今回のキャンプはどうでしたか？ 王者として初めて迎えるファイトウィークです。チャールズ・ラドキ（ウェルター級）、ジュリアナ・ペーニャ（女子バンタム級王者）、ヤイール・ロドリゲス（フェザー級4位）などトップファイターたちも同時期に戦っていて、お互いに高め合っていたと聞きました。 「俺自身は“王者だから”って特別な感じは持ってない。毎回、“次の試合が一番の試練”っていう気持ちで臨んでる。俺たちのチームはファミリーみたいなもんだから、一人が勝てば全員が勝ったような気持ちになる。イグナシオ・ バーモンデス（ライト級）、ヤイール・ロドリゲス、チャールズ・ラドキのキャンプ……みんなで高め合って成長してる。エゴなんてない。ただお互いを良くしたいだけ。だから、このエネルギーは特別だし、俺の気分も最高だよ。常に前より成長していたいって気持ちでやってる」 ──あなたは「毎回の試合が最大の試練だ」と言ってましたが、今回の相手ジャック・デラ・マダレナ（ウェルター級5位）は今までと違い、これまで戦ってこなかったタイプの相手です。これまでの試合とは違う難しさを感じますか？ 「そういうふうに考えるべきなんだ。俺は誰も侮らないし、過小評価もしない。今回も最高のボクサー、最高のレスラー、最高のグラップラーと戦うつもりで準備してる。毎回“ロボコップ”と戦うぐらいの気持ちで臨んでる。そうやって仕上げておいて、試合が終わったら『ああ、楽勝だったな』って思える。それがいつもの流れさ」 ──今回は「テイクダウンには行かずにカネロばりのボクシングを見せる」とも言っていました。ジャック・デラ・マダレナは「打撃でも寝技でも俺のほうが上」と発言います。彼のスキルセットについてはどう見ていますか？ 「もちろん、彼はいいストライカーだし、連勝もしてる。ハートもあるし、前回は腕を骨折しても最後まで戦ってた。でも、問題は、彼はまだ俺みたいな相手と戦ったことがないってこと。俺は長い道のりを経てここに来たけど、彼はショートカットしてここまで来た。それは別に悪いことじゃない、チャンスがあれば掴めばいい。でも、その経験の差が出るはずだ。彼が思うように戦えなくて、セコンドの指示を待っても、セコンドが過去の試合を振り返って対処法を探しても、意味がない。何を調整しても、俺のほうが上手くやる。結果、俺が彼を壊す」 ──あなたの次の対戦相手として、ライト級王者のイスラム・マカチェフ、ウェルター級2位のシャフカト・ラフモノフ、さらにはミドル級のファイターなど、階級を超えた名前が挙げられています。この結果次第で、いろんな試合が一気に動き出すような印象です。 「100％その通り。でも、俺にとっては関係ない。前にも言ったけど、他の奴らは今すぐにでも試合を組めばいい。俺はこのベルトを持って帰るって決めているから」 ──カマル・ウスマン（ウェルター級4位）が「もし控室で会ったら、セキュリティが必要かも」と発言してましたが、どう思いますか？ 「昔の王者で、3連敗中のカマル・ウスマンを恐れる理由なんてあるか？ ヒザは壊れてて、軟骨もない、そしてあのデカい頭だろ。俺は平気さ」 ──イアン・マシャド・ガリー（ウェルター級6位）とも最近絡んでいましたね。彼が今回バックアップとして待機していますが、どう見ていますか？ 「いい動きをしてると思うよ。ショートノーティスで注目ファイターとの試合を受けて勝ったし、そこから2週間でバックアップを買って出た。今この階級ではシャフカト・ラフモノフ（ウェルター級2位）が怪我をしてるし、明確な次期挑戦者がいない。だから、一番声が大きいやつが次に呼ばれることになる。そういう意味では、彼は正しい行動をしてる。でもな、ジャック・デラ・マダレナがちゃんと現れなかった場合、イアンが代わりに出ることになったら、地獄の夜になるだろうな」 ──最近、ハンター・キャンベルがダゲスタンに行ってイスラム・マカチェフやハビブ・ヌルマゴメドフと会っていました。彼らが、あなたの試合の結果次第で階級を上げるかどうかを決めるような雰囲気もあります。あなたに何も伝えずに、彼らがウェルター級に上げてあなたへの挑戦を決めるなんてことはあると思いますか？ 「いや、それはないと思う。俺はハビブといつも話してるし、つい最近もメッセージをもらった。忠誠心っていうのを大事にする奴らだし、俺も同じ。だから裏で動かすなんてことはしないよ」 ──クレイグ・ジョーンズ（※マダレナのグラップリングコーチ）とSNS上で言い合ってますよね？ 「あいつのキャラは面白い。ちょっと口が達者な奴がいると、こっちも楽しくなる。ジャックはあまり喋るタイプじゃないから、クレイグを記者会見に呼んだら面白くなるだろうな」 ──今回の勝利は、あなたのレガシーにとってどんな意味を持ちますか？ 今回はGSPが観客席にいますし、ここモントリオールは彼の地元とも言えます。 「めちゃくちゃ大きい意味がある。俺も今、連勝を二桁に伸ばしてるし、そのGSPの地元で、しかも本人の目の前で勝つことができたら最高だ。GSPはウェルター級の“マウントラシュモア（偉人の象徴）”だし、俺が憧れて育った選手でもある。彼のやり方は素晴らしかった。トラッシュトークもせず、奇抜なパフォーマンスもせず、ただ努力だけで頂点に立った。それが俺の目指している道なんだ。最初の目標はGOLD（ゴールド＝金）だった。今の目標はGOAT（ゴート＝史上最高”。俺はそれを追いかけてる。ここモントリオール、GSPの前でその一歩を踏み出せるのは、本当に特別なことだよ」 ──モントリオールでの滞在はいかがですか？「最高だよ。街の人たちみんな親切だし、雰囲気がいい。ファイトナイトのエネルギーも絶対すごくなるって感じてる。天気もいいし、あとはモントリオールのうまい飯を食うだけだな！」 ──ジャック・デラ・マダレナ（ウェルター級5位）が「俺が勝ったらお前は引退だな、相棒」って言ってました。勝ちたいと思うのは当然ですが、キャリアを終わらせる的な発言については、何か思うところはありますか？「いや、アイツはトラッシュトークが上手くないから、クレイグ・ジョーンズあたりからセリフを借りてるだけだろ。俺はまだまだ終わらねえし、もしアイツがそんなつもりで来るなら、長い夜になるぞ。俺はあいつを壊すつもりだ。『俺がこの階級を救う』とか『俺がやってやる』とか、いちいち決まり文句並べてるけど、こっちはもう、その口と拳の両方を塞いでやるだけだよ」 ──以前、もしレオン・エドワーズ（ウェルター級3位）に勝てなかったら引退もあるかも…という発言が文脈を外れて伝わったことがありましたが、今でも「ベラルが負けたら終わりだ」って思ってる人がいるようです。その点はどうですか？ 「負けないよ。これからも勝ち続ける。俺は史上最高のレガシーを築くためにここにいる。23歳で遅れてMMAを始めたけど、今が一番強いし、一番調子がいい。あと10年はやるつもりだ。ジャックが38歳になる頃に、もう1回リマッチをしてやってもいいな」 ──王者になってから怪我もあって初防衛が遅れましたが、今回勝てば、年内にもう1～2試合、防衛戦したいですか？ 「100％そう思ってる。アクティブに戦いたいし、俺たちは小さなチームだから、試合が終わったらすぐ次のキャンプに戻る。ナチョ（イグナシオ・バーモンデス）がラファエル・フィジエフ（ライト級10位）と戦うから、すぐに練習再開だ。だからジャックを早めに片付けて、怪我なしで終わらせて、ナチョにミドルキックでも打ち込むよ（笑）」 ──シャフカト・ラフモノフ（ウェルター級2位）の状態について、何か情報は入ってますか？ 次の対戦相手候補として、彼、あるいはショーン・ブレイディ（ウェルター級1位）やホアキン・バックリー（ウェルター級7位）の名前も挙がってますが。 「いや、何も聞いてない。正直、今はジャックに完全フォーカスしてる。ジャックを倒してから、次の相手のことは考える。今はただ、標的は一つ」 ──昨日も触れていましたが、あなたのチームについて教えてください。インターナショナルのメンバー紹介をお願いします。 「感謝してるよ。まずはマイク・バレリー、うちのヘッドコーチでありチームの柱。世界最高のコーチなのに、もっと評価されるべき存在だ。俺たちみたいな小さなシカゴのジムから、世界王者が2人も出てるんだぜ。それからルイス・セイラー。高校時代からの仲間で、俺が“ファイターになりたい”と思ったときに最初に支えてくれた男だ。こいつと一緒にベルトを獲って、PFLでも彼がベルトを獲って、今こうして俺の防衛戦を見に来てくれてる…これ、Netflixのシリーズになるレベルだろ。ナチョ（イグナシオ・バーモンデス）は俺の兄弟であり、メインのスパーリングパートナーであり、トレーニングで毎日俺を高めてくれる存在。彼のおかげで俺は貪欲でいられるし、成長し続けられる」 ──トラッシュトークで相手の神経を逆なでする能力を、自分でどのくらい評価していますか？ 「俺が一番だよ。トラッシュトークで俺に勝てる奴はいない。こっちは相手が口を利くだけで面白くなるようにしてやってる。でも最近はみんな仲良くしようとしてくる。“あいつと喧嘩したら恥かく”って分かってるからな。だからみんな試合まで静かにしとこうって感じになってるよ」 ──ここに辿り着くまでの道のりは長かったと、何度もおっしゃってきました。また、あなたは「史上最高のウェルター級ファイターになるまで旅は終わらない」とも語っていましたが、あなたにとって“史上最高”とはどんな基準ですか？それはGSPの記録を追うことですか？それとも対戦相手の質ですか？ 「やっぱり対戦相手の質だと思う。俺の戦ってきた相手たちは、MMA史に残るような強豪ばかり。今の若くて勢いあるファイターたちの連勝を止めてきた。GSPが築いた10連勝とか防衛記録も追いかけてるし、そこに届く可能性もあると思ってる。でも、最終的に俺の戦績を見れば“GSPと肩を並べる存在”って言われるようになるはずだ。カマル・ウスマン（ウェルター級4位）とGSPの比較はよくされたけど、俺が引退する頃に、話題となるのは俺とGSPだけ。そこに他の名前は必要ない」 ──「防衛して初めて真の王者」という考え方もありますが、そういった意見についてはどう思いますか？ 「俺はすでに王者だよ。勝ち取ったんだから。でも、俺の中では“防衛”じゃなくて“再びベルトを奪いに行く”感覚なんだ。俺は追われる側じゃなくて、追う側だ。ジャック・デラ・マダレナの戦績も、連勝も、魂も奪いにいく」 ──あなたはここまで頂点に辿り着くまで時間がかかりました。その中で、「自分が本当にエリートになった」と感じたターニングポイントはありましたか？ 「スティーブン・トンプソン（ウェルター級11位）に勝ったときだな。彼はタイトルマッチも経験してるレジェンドだし、正直すごく緊張してた。でも、アンソニー・ペティスやタイロン・ウッドリーと一緒にキャンプしてる時に、トンプソンの高い評価を聞いていたんだ。で、実際に戦って支配して、ようやく“自分はトップレベルにいる”って確信できた。王者になる実力があるってね」 ──今回、イアン・マシャド・ギャリー（ウェルター級6位）がバックアップに入っています。普通はバックアップが次の挑戦者になる流れですが、あなたは彼に対して否定的な反応を見せていました。その件について、どう思っていますか？ 「俺が冷や水を浴びせたっていうより、“一番声がでかいヤツが呼ばれる”って話だ。イアンはカルロス・プラテス（ウェルター級13位）に勝った。ショーン・ブレイディ（ウェルター級1位）はレオン・エドワーズ（ウェルター級3位）に勝った。シャフカト・ラフモノフ（ウェルター級2位）はイアンに勝った。カマル・ウスマンとホアキン・バックリー（ウェルター級7位）は今から戦う。だから、今はまだ動きが多い状態なんだ。イアンはショートノーティスでバックアップを引き受けた。その勇気は認める。でも誰が呼ばれても、UFCの指示には応じるつもりだよ」 ──以前、カネロみたいなハンドスピードを見せると言っていましたが、直近の試合でカネロの動きが低調でした。発言を撤回したくなりませんでしたか？ 「いや、あれは相手のせいだよ。動き回って逃げてただけで、試合をする気がなかった。そういう相手は倒しづらい。でもジャックは違う。前に出てくるはずだから、そこでやられることになるだろうな」 ──最後に、カマル・ウスマンvs ホアキン・バックリーの試合はどう見てますか？ 「バックリーだな。今は勢いがあるし、連勝中。カマルはもう2年も試合してないし、そのブランクは大きい。戻ってくるのは簡単じゃない」 ──ところで、さっきネットで見たんですが、コルビー・コビントン（ウェルター級9位）がUFC PIであなたの食べ物を隠したっていう動画がありました。それについて何か思うことはありますか？ 「俺、今ベガスにいないよ？ それで俺の飯を隠したって、どんだけアホなんだよ。今のあいつらってYouTuberみたいなもんだろ。カマルはポッドキャスター、コルビーはYouTuber。2人でポッドキャストやれば？“負け犬コンビの部屋”ってな」 ──ちなみにそのポッドキャスト、まだ公開されてませんよね？ 何か理由があるんでしょうか。例えば、カマルの印象が悪かったからとか……。 「いや、大人がポッドキャスト中に泣き始めて、それが自分のチャンネルだって考えてみろよ。そんなもん世に出したくねえだろ？ 編集でどうにかしようにも、たぶんそこまでの予算もないだろうしな」