▼第7試合 フェザー級 3分5R
×立嶋篤史 (ASSHI-PROJECT/第11・第13・第15代全日本フェザー級王者)
KO 1R 1分56秒 ※左ローキック
○前田浩喜 (CORE/NJKFスーパーバンタム級4位)

90年代にカリスマとして低迷期にあったキックボクシング界を盛り上げる立役者となり、52歳となった今も現役を続ける立嶋篤史(ASSHI-PROJECT)が、「フェザー級100戦目」を愛する後楽園ホールで迎えた。

立嶋は1971年12月28日生まれの52歳。1987年8月にタイでプロデビュー(非公式)後、1988年7月に16歳で全日本キックボクシング連盟にてプロデビューした。1991年4月に全日本フェザー級王座を獲得すると、清水隆広、山崎路晃、前田憲作、佐藤孝也、鈴木秀明といったライバルたちと激闘を展開。

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チャモアペット・チョーチャモアン、マイケル・リューファット、ジョンパデットスック・ピサヌラチャン、ピーマイ・オー・ユッタナゴンといった海外の一流選手たちも迎え撃ったが、2000年あたりから黒星が増え始めた。2003年12月には交通事故で重傷を負ったが、2009年9月にカムバック。昭和・平成・令和と3世代を駆け抜け、2023年4月には100戦目に到達した。戦績は42勝(27KO)50敗8分。

今回の101戦目は、立嶋がこだわりを持つフェザー級での100戦目となり(デビュー2戦目だけバンタム級)、本人にとっては真の100戦目という位置づけだ。

前田は2004年8月プロデビューのベテラン選手で、第6代NJKFスーパーバンタム級王者、第8代・第11代NJKFバンタム級王者。サウスポーから繰り出す左の蹴りとストレートを得意としており、2020年2月にはISKAムエタイ・インターコンチネンタル・フェザー級王座にも挑戦した(判定2-1で惜敗)。2021年9月には国崇とのベテラン対決でTKO勝ちしている。2022年2月、大輔に判定勝ちしてNJKFフェザー級王者となり、3階級制覇を達成した。2024年7月にハリィ永田を初回2分55秒でKO、9月に石川直樹に判定負け。

歓声に迎えられて客席から入場した立嶋。往年のファンから「立嶋!」と会場のあちこちから声があがる。

1R、前田は左ローと左インローを蹴り、立嶋は序盤からもらい続ける。立嶋も左ローを蹴り返すがスピードがない。前田は左ミドルと左ハイも見せるが、徹底的に左ロー。

右足にもらった立嶋はしゃがみ込むようにダウンし、立ち上がろうとするが足が言うことをきかない様子。立ち上がることは出来ず、そのまま10カウントを聞いた。


レジェンドに宣言通り圧勝した前田は「自分はずっと立嶋さんの試合を見ていてキックボクシングを始めたので…うーん…感慨深いです。ありがとうございます」と、試合の内容も含めて言葉にならないようだった。


今後のことを聞かれると「自部は3階級制覇しているんですけれど、現在の団体でベルトを巻いていないのでまたベルトを巻きたいです」と、再びNJKFのタイトルを手にしたいと語った。

敗れた立嶋は試合後、控室にてインタビューに答え「本当に悔しいです。(ローキックは)嫌だなと思って何とかしたいと思ったんですが、何とか出来ずに終わりました」と、試合を振り返る。

フェザー級100戦目を達成したことには「とりあえず出来たこと、やれて良かったと思います。それが目標だったので。デビューした時からの、いつか目指して辿り着けるか分からない目標のひとつだったので。結果と試合内容はよくなかったので、それは反省するしかない」とし、「自信にしていいことのひとつだと思うので、胸を張って自信にしたい」と今後の自信にしたいとする。

引退については「しますけれど、言わなくてもいいんじゃないかと思います。立嶋、辞めてたんだ、でいいと思います。はっきり引退を口にするのは、そっち(マスコミ)は気持ちいいかもしれないけれど、こっちが辛いだけなので」と立嶋らしい皮肉を交えて答えた。

今、これからの目標はあるのかと聞かれると「あります。無事に家に帰ることです」と、いつも通り試合会場から千葉の自宅まで走って帰ると笑った。

最後に、セコンドに就いたソムチャーイ高津から「これで引退しますか?」と聞かれると「引退しません」とスッキリとした顔で答えた。


