2019年10月7日(月)都内にてZSTが会見、新体制と今後の大会日程を発表した。
2016年9月に代表に就任した桔川淳一氏が辞任、「新ZST実行委員会」として、柳武見氏が株式会社ZSTインターナショナル代表に就任。これまでZST実行委員会執行部として活躍してきた勝村周一朗(リバーサルジム横浜グランドスラム代表)氏がZSTプロデューサーに就任した。
また、K-PLACE埼玉格闘技道場代表の小池義昭氏、元ZST映像制作スタッフの島津健氏は変わらず実行委員として柳氏、勝村氏をサポートしていく。
【ZST実行委員会】
柳 武見(株式会社ZSTインターナショナル代表)勝村周一朗(ZSTプロデューサー/リバーサルジム横浜グランドスラム)小池義昭(K-PLACE)島津 健
また、今後の日程として、以下の5大会の開催が発表された。
【スケジュール】
◆2019年12月1日(日)「ZST in 師走」GENスポーツパレスSWAT!、アマチュア大会「PRE STAGE」も開催予定
◆2020年1月26日(日)「ZST.67/SWAT! 171」新宿FACE
◆2020年3月15日(日)「ZST.68/SWAT! 172」横浜大さん橋ホール
◆2020年5月「SWAT! 173」都内会場予定
◆2020年8月「ZST.69/SWAT! 174」都内会場予定
新代表の柳武見氏は、アマチュアキックボクシングの経験者。不動産会社を経営しており、「格闘技がずっと好きで前田日明さんのTHE OUTSIDER初戦から、住んでいる横浜から選手を3人ほどプロデュースして、煽りVやら試合コスチュームなどで、リングスさんにご協力した流れから、今回の話となりました」と、就任の経緯を説明した。横浜グランドスラムの勝村プロデューサーとも横浜繋がりで親交があったという。
会見で柳新代表は「前任の桔川代表より新代表を引き継がせていただきました。選手出身でも格闘技団体の主催経験もありませんが、別の角度から物事を見させていただいて、ZSTに新たな風を吹き込みたい」と、他業界の経営のノウハウをZSTに持ち込みたいとしながらも、「格闘技団体の運営や興行は何と言っても選手主体ですので“選手ファースト”でよりよい団体、大会作りを行っていきます」とアマチュアながら格闘技経験のある代表らしく所信表明した。
続けてZSTプロデューサーに就任した勝村氏が「このたびプロデューサーに就任ということで、前に出る思いを強く、ZSTを大きくしていきたい。選手のときもZSTリングに上がらせていただき今も関わっていますが、ZSTをより魅力ある舞台にしていきたい。選手が輝ける場所、オンリーワンの舞台にできればと思っています」と、新体制の意気込みを語った。
気になる運営方針としては、「どういう形で進めていきたいか? 過去を振り返って今、必要なのは“温故知新”。ZSTにはいろんなルールやいろんな選手がグチャグチャしてビックリ箱のようなところがあった。過去のZSTのいいところを踏襲し、今後に繋げて新しい舞台を作っていければいい」とし、MMAデビュー前のグラップラーや立ち技選手に門戸を開き、SWAT! ルール(※どちらか一方の選手がグランドポジションの状態にある場合、頭部顔面へのあらゆる打撃行為が禁止)から、MMA挑戦の糸口をつかんでもらうプランを語り、さらに若手の抜擢とベテランの復活をテーマに掲げた。
なかでも「ZST出身の選手は個性ある選手が多かった。個性の強い選手に出てきてほしい」と希望し、「もちろんリング上での強さの追及が大前提」としながらも、「選手の個性を伸ばすためにマッチメークなりで大会運営に反映させたい」と個性を持った強い選手にはチャンスを与えるつもりであることを語った。
10月5日の「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」では、現ZSTバンタム級王者のジェイク・ムラタ(パラエストラTB)が韓国の強豪ソン・ミンジョンと激闘も判定負けを喫したが、ムラタは試合前に「ZST、Fighting Nexusに他団体の王者を引きずり込みたい」と、ホームリングの活性化を希望していた。
「選手の活躍の場を広げるという意味で、国内のMMAの他団体とも協力関係を築いていきたい」という勝村プロデューサーは、ムラタの発言にも「よその団体との話は難しいですが、来てもらえるならいつでもウェルカム」と、他団体からのZST参戦を歓迎。さらに、「ランキングがないのがZSTのいいところでも悪いところでもある。実績がちゃんとあって、『ZSTのベルトが欲しい』という参戦の形であれば、初参戦の選手に一発でタイトル挑戦もOKにしたくて、それこそ『ジェイクのベルトに外から挑戦したい』、という選手が現れてくれればいいなと思っています」と、他団体からのベルト挑戦にも前向きな姿勢を示した。
また、「他競技への挑戦も視野に入れていきたい」という勝村プロデューサーは、「ZSTを主戦場とする選手が打撃系の他団体に出場したり、組み技系の団体に挑戦するなど、そういうチャンスを作りながら、選手技術を向上させてZSTに持ち帰ってもらえれば」と、参戦選手の他競技への挑戦をバックアップする構えだ。
さらに、「個人的な目標」と前置きした上で、「ZSTの枠で収まりきれなくなれば、もっと上の場を目指したときに『HERO'S』という舞台を復活できればなと思っています」と、2005年から2007年にかけて前田日明氏をスーパーバイザーとして、山本“KID”徳郁、宮田和幸、宇野薫、須藤元気ら人気選手を輩出した格闘技イベントの復活を目指すとした。
「HERO'Sには僕も出場して関わりもありますし、所英男、ZSTタッグチャンピオンでもある宇野(薫)さん、ZSTフライ級王者の竿本(樹生)選手の師匠でもある宮田(和幸)さんと、ZSTと関係の深い選手が多い。どこかで機会を設けて前田さんと、自分のなかでは桜庭(和志)さんとも話をしたい」と、ZSTの先に繋がる大会としてのHERO'S復活に向けて、前田、桜庭らと話を持つ考えがあることを語った。
「レミギウス(・モリカビュチス)がすごいヒーローだった。そういう選手を海外から呼べたら。たとえばフィリピンのラカイからいい選手を呼んだり、コンバット柔術主宰のエディ・ブラボーの10th Planetからベン・エディ(※ヒンドゥ・チョークの使い手)を呼んで──お金の兼ね合いもありますが──MMAで観たい。国内外のグラップラーでメチャクチャ強い選手を呼べたら……。MMAファイターとして育った選手よりも、そういう偏りのある選手を上げることでスターを作っていきたい」と展望を語る勝村プロデューサー。
他競技からの「MMA転向のクッションとしてのSWAT! ルールがあるのがZSTの強み」というなか、「選手発掘の部分ではアマチュアにも力を入れていきたい。アマチュア大会を継続的に開催し、地方でもアマチュア大会をやっていけたらと考えています」と、アマチュア選手が参加しやすいZSTの段階を踏んだルールを活用し、全国各地域から選手発掘のプランもあることを語った勝村プロデューサーは、最後に「ベテランの復活」について問われると、「僕です! いや冗談です」と笑顔。「グラップリングルールでも?」の問いには、「機会があれば……」と答えるにとどまった。
新体制となり、柳氏との横浜コネクションでZSTの再興に取り組む勝村プロデューサー。GRAND SLAMでは、陽の当たりにくい実力者に光を当ててスマッシュヒットを連発しただけに、コンセプトは異なるものの、ZSTでも「頑張っている選手が上にいけるような、より魅力のある舞台を作っていきたい」という姿勢は共感を呼ぶだろう。他団体とは異なる部分を弱点とせず、利点に変えることができるか。新運営陣の手腕に注目だ。