2025年3月8日(日本時間9日午前8時半~)、米国ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて『UFC 313: Pereira vs. Ankalaev』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass配信)開催された。
メインイベントは「UFC世界ライトヘビー級選手権試合」(5分5R)で、王者アレックス・ペレイラ(ブラジル)と、挑戦者マゴメド・アンカラエフ(ロシア)が対戦。コメインではライト級でジャスティン・ゲイジー(米国)とラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)が激突。
また、プレリムでは、日本の鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)が、UFCフライ級2連勝中のジョシュア・ヴァン(ミャンマー)と対戦した。
なお、ヘビー級のカーティス・ブレイズ、ならびにフェザー級のジョン・カスタネーダがそれぞれ体調不良のため、ブレイズ対リズヴァン・クニエフおよびクリス・グティエレス対カスタネーダ戦の2試合が中止となっている。
『UFC 313: Pereira vs. Ankalaev』速報
▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R×アレックス・ペレイラ(ブラジル)王者 12勝3敗(UFC9勝2敗)※UFC5連勝でストップ[判定0-3] ※46-49,47-48×2〇マゴメド・アンカラエフ(ロシア)挑戦者 19勝1敗(UFC11勝1敗)※アンカラエフが新王者に。ペレイラは4度目の防衛失敗
ライトヘビー級タイトルマッチ5分5R。王者ペレイラに1位のアンカラエフが挑戦。4度目の防衛戦となる王者ペレイラ。GLORYで活躍した打撃では左右カーフ、シャープな左ジャブで相手を寄せ付けず、強いプレッシャーで打撃でフィニッシュする。10月の前戦でラウントリーJrを4R TKO。
初挑戦にこぎつけたアンカラエフはロシア・ダゲスタンのコンバットサンボ&グレコローマン出身レスラー。右利きサウスポーで、左ストレートからの上組み、ケージレスリングに長け、近年ではジョニー・ウォーカーを利き手の右で仕留めている。10月にラキッチに判定勝ち。長い不遇のときを経てようやく王座挑戦の機会を得た。
1R、サウスポー構えのアンカラエフにオーソのペレイラが中央を取り、圧力をかけて左カーフ。押し戻したアンカラエフが右ジャブ。しかしペレイラは左ジャブを2発。
続く左カーフをもらい嫌ったかアンカラエフは右で詰める。スイッチを見せるペレイラは右前蹴り。アンカラエフは左で押し戻し。右ボディストレートのペレイラに、アンカラエフは右カーフを返す。
左前足でカーフを打つペレイラは右ハイも。ブロッキングのアンカラエフに後ろ廻し蹴りも見せる。かわしたアンカラエフは左ストレートもまだ遠い。
右関節蹴りから右ハイのペレイラ。ブロッキングのアンカラエフにこつこつと左カーフを当てる。アンカラエフの左ストレートをかわすペレイラ。左カーフの打ち終わりに組んでケージに詰めるアンカラエフは両差しも時間足りずホーン。ペレイラのラウンドに。
2R、先に圧力をかけるアンカラエフ。ペレイラの左カーフをかわすと右前手を回して左前蹴りを腹に突く。さらに左前蹴り。右ミドルを返すペレイラに左の蹴り返しも。
前手争いからスイッチしての右を届かせるアンカラエフ! 左前蹴りも突き圧力をかけると、ペレイラには右ハイ。その打ち終わりにワンツーの左で詰めるアンカラエフ! さらにワンツーも右を返すペレイラ。右から左も。アンカラエフは回転を上げて右から左で詰める。
押し戻すペレイラにアンカラエフは前手を前手で触り、右から左の飛び込み。さばくペレイラに右ロー、さらにレベルチェンジの動きから、左右を突いてペレイラを下がらせる。右から左を当てたアンカラエフ! 少し崩れたペレイラがケージで凌いでホーン。アンカラエフのラウンドに。
3R、先に前に出るアンカラエフ。サウスポー構えから右ローを突き、インローも。押し戻すペレイラは左カーフ。アンカラエフは右前手のフックを見せて右から左で押し戻し。右ミドルを当てたペレイラ。右インローも。
左前蹴りを突くアンカラエフは、スイッチしての左狙い。遠間からシングルレッグもペレイラは回ってかわす。互いに凄まじい圧力のかけあい。
外足を取っての左を打つアンカラエフに下がりながら左右のロー。首相撲を狙い前に出たアンカラエフに右のカウンター。さらに詰めるアンカラエフに回りながらも左右ロー。アンカラエフに圧力をかけていく。右にサークリングするペレイラに左ハイを突くアンカラエフのラウンドに。ペレイラの手数を上回る。
4R、チャンピオンシップラウンド。早々に詰めてシングルレッグからケージに押し込むアンカラエフ。上組みで両差しもケージ背に四つに戻したペレイラ。右で差して左ボディをこつこつ突くアンカラエフはテイクダウンを狙うが残すペレイラは左小手に巻いて、首をフックして離れる。
すぐに追いかけるアンカラエフの押し込みに場内からはブーイングも。しかし、右で差してこつこつ左を打ちヒザも突くアンカラエフはダブルレッグへ。左手首を掴むペレイラはクラッチさせず。アンカラエフはケージに押し込むもブレークに。
スタンドから右ハイのペレイラをブロックして詰めるアンカラエフは左で前に。さらにスイッチして右を振ってシングルレッグからケージに押し込み。右で差して左は組ませないペレイラが体を入れ替えようとするがさせないアンカラエフ!
右で差して押し込み左の細かいヒザ。左でおっつけて押し込むアンカラエフにペレイラはケージを背にしながらも回して倒したところでホーン。受けに回ったペレイラ、アンカラエフのラウンドに。
最終5R、先に中央に歩くアンカラエフにペレイラは足を止めて待ち受ける形に。左前蹴りを腹に突き、右オーバハンドから左右を突くアンカラエフ。ペレイラは左前手を細かく打って圧力をかけるが、アンカラエフは左オーバーハンドで押し戻す。左フックを振ったペレイラだが、まだ遠い。かわすアンカラエフは右ジャブ。左ボディ。
下がってかわすペレイラは、左カーフから右ハイの対角線攻撃! ブロッキングも若干動きが止まったアンカラエフだが、立て直して前に。右ジャブで押し戻してペレイラを下げさせる。組みのプレッシャーのあるなか回るペレイラは右ジャブも、詰めるアンカラエフは右で差して組み。ついに左脇を潜りバックテイク!
バッックリンチからヒザも正対したペレイラだが、ケージに押し込むアンカラエフは右ヒザを突き、再び脇を潜りバッククリンチからヒザでホーン。両者が手を挙げた。五分もアンカラエフが攻めたラウンドに。
判定3-0(49-46,48-47×2)でアンカラエフが勝利。新王者となった。ペレイラは4度目の王座防衛に失敗。新王者は「想定通り。もっとうまく戦えたかな。相手に後手に回させることが作戦だった。これまではみんなペレイラにカウンターを打っていたけど、今回は自分が前に出る試合をした」と語り、ペレイラは「大変な試合になることは分かっていた。2R目にプレッシャーをかけてきたけど、特に何もしてはいないと思う。アンカラエフがケージに追い込むことをつまらないと言うけど、効果的であることは間違いない」と敗因を語った。また、連戦の元王者は「少し休むか?」と問われ「練習を続ける」と語った。
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▼ライト級 5分3R ※両選手インタビュー〇ジャスティン・ゲイジー(米国)26勝5敗(UFC9勝5敗)[判定3-0] ※29-28×3×ラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)12勝4敗(UFC6勝4敗)
当初、ゲイジーと6位のダン・フッカーとの5Rマッチが組まれていたが、フッカーが2週間前に負傷欠場。急遽、代役として名乗りをあげたフィジエフとの再戦に。2023年3月の前戦では、判定2-0の接戦をげいが制している。
1R、ともにオーソドックス構えから。スイッチするフィジエフからシングルレッグでテイクダウン。ブリッジで返したゲイジーに今度はニータップでテイクダウン。首を三角にしてトップも組めず。下からゲイジーは立ち上がる。
左前手で飛び込むゲイジーに、組んだフィジエフは右ヒザをボディに! さらに左ミドルを2発! 左で差して組んだゲイジーが押し込み。離れる。今度はオールアメリカンレスラーのゲイジーがダブルレッグを見せるが、フィジエフが切ってホーン。
2R、詰めるゲイジー。左右に動くフィジエフを追い込む。左ミドルのフィジエフだが、ゲイジーはローブロー主張。再開。右カーフのゲイジーに右フックを狙うフィジエフ。ゲイジーは右オーバーハンド。さらに左から右をガード上に突く。ゲイジーの距離になるなか、左ミドルハイで間合いを変えるフィジエフは左の蹴り、右カーフ、右のテンカオ!
しかし、ゲイジーはフィジエフ。の右をかわして右アッパー! ダウンしたフィジエフの立ち上がりをがぶったゲイジーは鉄槌も立ち上がるフィジエフは左ハイ。ゲイジーも右ハイを見せてホーン。ゲイジーのラウンド。
3R、右の後ろ廻し蹴りをかすめるフィジエフ。さらに左インローをヒット。ゲイジーは左から右で前に。右アッパーを狙う。互いに右が交錯。右アッパーを返したフィジエフは左ミドルを効かせて前に。さらに左ミドルのフィジエフにゲイジーは打って来いと前に。しかしフィジエフの続けての左ミドルは足を上げてチェック。
左ミドルの打ち終わりにワンツースリーの連打のゲイジー。ガード固めるフィジエフにその上から右ストレート。組んでヒザのフィジエフにクリンチアッパーはゲイジー。左から右でまとめて組んだゲイジーがケージに押し込み。
右小手のフィジエフは離れるが、追うゲイジー。左ミドルのフィジエフに、右ハイのゲイジー。最後は中央で打ち合いに。判定3-0でゲイジーが再戦も制した。
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▼ライト級 5分3R〇イグナシオ・バハモンデス(チリ)17勝5敗(UFC6勝2敗)[1R 2分29秒 三角絞め]×ジェイリン・ターナー(米国)14勝9敗(UFC7勝6敗)
1R、ともにオーソドックス構え。先に詰めるターナーはワンツー。バハモンデスは右ミドル。ターナーはワンツーから左ミドル。バハモンデスはシングルレッグも潰したターナーが上に。
引き込み気味にガードに入れるバハモンデス。シザーズで煽ると下からヒジ。さらに左オモプラッタ狙いから右足を首にかけて三角絞め! 左に回ってまたごうとしたターナーだがかえって深く入ったことで、バハモンデスはその左足も右手で抱えて絞めると、ターナーは座ったままタップ。バハモンデスは3試合連続フィニッシュ勝利。
ライト級13位のターナーに一本勝ちしたノーランカーのバハモンデスはセコンドについたベラル・ムハメドと歓喜のハグ。「サブミッションを狙っていた。一本勝ちの夢も見ていたんだ。正夢になったね」と語った。
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▼女子ストロー級 5分3R〇アマンダ・レモス(ブラジル)15勝4敗(UFC9勝4敗)[判定3-0] ※29-28×3×ヤスミン・ルシンド(ブラジル)17勝6敗(UFC4勝2敗)※UFC4連勝でストップ
1R、ともにオーソドックス構え。中央をどっしりと取るレモス。細かいステップのルシンドに右ローを当てる。ルシンドの右後ろ廻し蹴りをかわしたレモスから組みに。
体を入れ替えたルシンドだが、ケージ背に右小手で左で差し上げたレモスがテイクダウン。下からニーシールドからガードに入れて腕十字を仕掛けたルシンドは右でオーバーフック。レモスは中央に戻り、膠着気味も細かいヒジでホーン。レモスのラウンドに。
2R、ルシンドはバックスピンキックを見せる。慎重な展開のなか、四つに組んだルシンド。入れ替えたレモスがボディロックから足払い、左で差して横に崩して両差しに戻し、足払いテイクダウン。ルシンドに背中を着かせて右ヒジ。レモスのラウンド。
3R、左を突くレモスに四つに組んで両差しにしたルシンドが小外がけテイクダウン! パスガードからサイドに出て右の鉄槌。下のレモスが手首を掴むと右ヒジ。しかし、レモスはケージを蹴って後転して立ち上がると、すぐにダブルレッグテイクダウン! 背中を着かされ頭がケージに詰まるルシンドは左オーバーフックもスペースが足りない。ホーン。前半はルシンド、後半はレモスで五分のラウンドに。
判定は3-0(29-28×3)で5位のレモスが勝利。6月のヴィルナ・ジャンジローバ戦の2R 一本負けから再起。7位のレモスは連勝が4でストップした。
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▼ライト級 5分3R〇マウリシオ・ルフィ(ブラジル)11勝1敗(UFC3勝0敗)※選手名からインタビュー[1R 2分07秒 KO] ※右後ろ廻し蹴り×キング・グリーン(米国)32勝17敗1分(UFC13勝11敗1分)
『ONE PIECE』の主人公“ルフィ”の異名を持つマウリシオ・ルフィは、5月のブラジル大会でUFCデビュー。ジェイミー・ムラーキーと対戦し、スライディングカーフキック=水面蹴りを、まるで「ゴムゴムの鞭」のように打ち込むと、パンチをスリッピング・アウェーでかわすして後ろ廻し蹴り、カニ挟みでテイクダウン。
足関節で立ち上がられると二段の跳びヒザ、そして「ゴムゴムの銃」のごとく長い右ストレートを叩き込んでTKO勝ちを収めている。そして2戦目もハメス・ヨントップを圧倒しての判定勝ち。
対するグリーンは元ライト級ランカー。2024年は4月の記念大会『UFC300』で“鉄人”ジム・ミラーに判定勝ち後、7月にパディ・ピンブレットに三角絞めで一本負け。レスリングがバックボーンで、ノーガードからの見えにくいパンチを武器としている。38歳。
【写真】胸にルフィのタトゥーを刻むマウリシオ・ルフィ。開始のホーン前には腰を落とし、右手をマットに向けて、左手をヒザの上に乗せる『ONE PIECE』のルフィのポーズを見せた。
1R、いきなり左右スイッチを見せるルフィ。オーソのグリーンも低い手の構えから右関節蹴り狙い。かわすルフィが圧力をかけて左前手フックを見せる。
右関節蹴りのグリーン。ルフィは伸びる右ストレートを当てると、グリーンの左をかわす。じりじりと金網に詰めたルフィは右カーフから左フックのフェイントを見せてそのまま回転、右後ろ廻し蹴りでかかとをグリーンの側頭部にヒット!
テンプルにもらったグリーンは前のめりに倒れ、ルフィがKO勝ち。オクタゴンで連続3回宙返りを見せたルフィ。連勝ファイターぞろいのFighting Nerds恒例の眼鏡をジョー・ローガンとともにかけてインタビューに臨むと、「2つのボーナスを獲得するにはどうしたらいいか考えていたんだ。これが答えじゃないかな」と笑顔。次戦の相手にベニール・ダリウシュを指名し、最後に「ブラジル、ラスベガス、ジャポン! 海賊王におれはなる!」と日本語で叫んだ。
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【プレリム】
【中止】▼ヘビー級 5分3Rカーティス・ブレイズ(米国)18勝5敗(UFC13勝5敗)リズヴァン・クニエフ(ロシア)12勝2敗(UFC0勝0敗)※ブレイズが体調不良で欠場、試合中止に
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▼フライ級 5分3R〇ジョシュア・ヴァン(ミャンマー/米国)13勝2敗(UFC6勝1敗)※選手名からインタビュー[判定3-0] ※30-27×3×鶴屋怜(日本/THE BLACKBELT JAPAN)10勝1敗(UFC1勝1敗)※選手名からインタビュー
鶴屋は、2023年の『ROAD TO UFC』で優勝し、2024年6月のカルロス・ヘルナンデス戦でUFCデビュー、判定3-0で勝利した鶴屋は、UFCフライ級最年少の22歳。
当初、2月9日の『UFC 312』豪州大会で地元のスチュワート・ニコルと対戦予定だったが、ニコルが負傷欠場。「相手の怪我で試合なくなりました。僕はいつでも用意はできてます」と、調整を続けていくとし、陣営はフライ級ランカーの欠場があった場合のバックファイターとして出場する準備があることをUFC側に伝えていた。
そんななか、3月8日にジョシュア・ヴァンと対戦予定だった13位のブルーノ・シウバが欠場。当時15位のヴァンの相手として、無敗でランキング外の鶴屋との対戦が決定した。
フライ級では鶴屋に次いで2番目に若い23歳のヴァンは、UFC5勝1敗で、2連続判定勝ちだが、MMA12勝中6つのKO・TKO勝ちを誇るストライカーだ。2連勝中の23歳。ヴァンにとって、自分より若い選手とUFCで戦うのは、1歳下である今回の鶴屋が初。
黒星は、3年前のFury FCでのキャリ3戦目のリアネイキドチョークでの一本負けと、2024年7月のUFCで強豪チャールズ・ジョンソンに3R 右アッパーカットでの逆転KO負けのみ。その後、エドガー・チャイレス、コディ・ダーデンに判定勝ち。チャイレス戦では自らテイクダウンを仕掛けてグラウンドでも戦えることを示した。
また、朝倉海がパントージャに挑戦した12月のラスベガス大会では、当時14位のダーデンを相手に、2R以降を打撃で圧倒している。
マット・シュネルをニンジャチョークで極めているダーデンのテイクダウンからのバック狙いをケージ際で防ぎ、ヒジを落としてダメージを与えると、間合いを詰めてオーソから右カーフ、得意の左ボディ、左の前蹴り・ヒザを腹に効かせて削り勝ちしたヴァン。テイクダウンディフェンスや組み技が試合毎に強化されており、かつて一本負けした姿はそこにはない。
2024年6月に一度、平良達郎との試合が予定されていたヴァンをTHE BLACKBELT JAPANとしては、いかに研究していたか。
サウスポー構えの鶴屋にとっては、ヴァンの近い間合いにさせない距離設定から、いかにアプローチしてグラウンドに持ち込むか。パウンドも強いヴァン相手にボトムは避けてトップから攻めてバックを奪いたいグラウンドとなる。
これまでで最強のストライカーに挑むチャレンジマッチとなる鶴屋は、現在、MMA&元K-1選手の才賀紀左衛門から打撃の指導を受けており、才賀は鶴屋の才能を高く評価している。
UFC史上初の2000年代生まれ同士の対決は期待のマッチアップであるとともに、フライ級15位から先週外れ再び順位を上げたいヴァンと、いち早くランク入りを目指す鶴屋の互いに大事な一戦となる。フライ級の両者の対戦は、プレリミナリーのメインにセットされた。
鶴屋怜のセコンドには、THE BLACKBELT JAPANの鶴屋浩代表と岡田遼、才賀紀左衛門。ヴァンはオクタゴン持ち込みが再開されたミャンマー国旗を背に入場。
1R、サウスポー構えの鶴屋にオーソのヴァン。グローブタッチ。喧嘩四つで前手を触る両者。低いシングルレッグを切るヴァン。すぐに2度目に入る鶴屋は四つに組んで押し込み。差し返して突き放すヴァン。
テイクダウンプレッシャーを見せた鶴屋。ヴァンは構わず圧力をかけて右から左。見えている鶴屋は回ってシングルレッグからケージに押し込み。四つも、差し返すヴァンが落ち着いて体を入れ替え離れる。
右前蹴りで詰めるヴァンの右をかわして組む鶴屋。両差しで押し込むと、場内はブーイング。ケージ背に差し返して突き放すヴァン。右ハイをかわした鶴屋。右を突くヴァン。鶴屋は右前手を合わせに行く。シングルレッグの動きから得意の外無双で引き手を掴んで倒した鶴屋だが、ヴァンはフックガードから左を差して背中を譲らず立ち上がり、右ミドル。
詰めるヴァンは右ハイ! もらった鶴屋だがシングルレッグで尻を着かせて両足を束ねに。金網に上半身を立てているヴァンは左を1発被弾しながらも手を着いて立ち上がり左ヒジを見せてホーン。ヴァンのラウンドに。
2R、中央を取るヴァン。打撃は交換せずシングルレッグの鶴屋は四つでクラッチし、後方にそり投げも最後にヴァンの身体が抜けてスタンドに。なおもシングルレッグの鶴屋は左足を持ち上げ股を潜り、背中を見せて片足立のヴァンのバックを取りたいが、ケージに向かうヴァンは足を抜いて正対し鶴屋を突き放す。
左は空振りの鶴屋、右ジャブを突くが、構わず圧力をかけるヴァンにダブルレッグから右手を掴んで一本背負い! 背中を着かせた鶴屋は自身の腿を掴んで袈裟固めから左のパウンド。さらにVクロス狙いも首抜き立つヴァン。その際でバックを狙う鶴屋だが、ヴァンは足を組ませず立ち上がり。
ヴァンの圧力に鶴屋はシングルレッグも切るヴァン。右で詰めるが、まだかわしている鶴屋は右関節蹴り。シングルレッグからケージに押し込むもヴァンは突き放す。ワンツーを突き、ヴァンの左をスウェイでかわす鶴屋。
歩いて追うヴァンは右をヒット! シングルレッグからケージ押し込むが、離れ際にバックフィストの鶴屋だが軸がブレるように。打ち合いから右を被弾。再びのバックフィストをかわしたヴァンが詰めて右も、右にかわした鶴屋。ホーン。このラウンドでテイクダウンしパウンドした鶴屋だがニアフィニッシュはならず、ヴァンのラウンドか。
3R、打撃を交換せずすぐにシングルレッグ、切られてもダブルレッグも、顔を剥がしたヴァンが前に。
なおもシングルレッグの鶴屋を潰したヴァンが鉄槌。離れる鶴屋。追うヴァンはダブルレッグも両足を広げて後方に飛ばすヴァンはスプロール。離れる鶴屋は力を使っている。追うヴァンの右前蹴りがローブローに。音が鳴る。中断。
ブーイングのなか、再開した鶴屋。シングルレッグからケージに押し込み、ダブルレッグも尻はつかないヴァン。右足をかける鶴屋を剥がして立ったヴァンが前に。
ワンツーの左の鶴屋。詰めるヴァンに左回りの鶴屋。右を打って右回り。さらに左もかわすヴァンはジャブから追う。鶴屋のバックフィストもかわし、「跳びヒザ」の声にも高く飛べず。
ワンツーの左を突く鶴屋。圧力をかけるヴァンは再び右前蹴りがローブローと股間を押さえるが、スローで腹部と判断され、すぐに再開。左から右のヴァン。鶴屋の左は空を斬る。ヴァンが左を当てて鶴屋に片手を着かせ、右前蹴りを腹に突いてホーン。
判定は3-0(30-27×3)のフルマークでヴァンが勝利、UFC3連勝をマーク。鶴屋のテイクダウンの85%を切る進化を見せた。鶴屋はキャリア初黒星、連勝が10でストップ。元ランカーの壁に跳ね返される形に。課題は明確な鶴屋、まだ22歳でMMAキャリアの次のステージに向かうべく、オクタゴンのなかで研鑽を積んで行く。
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▼ミドル級 5分3R〇ブルンノ・フェヘイラ(ブラジル)13勝2敗(UFC4勝2敗)[2R 4分27秒 腕十字]×アルメン・ペトロシアン(アルメニア)9勝5敗(UFC3勝4敗)
1R、サウスポー構えのフェヘイラに、長身オーソのペトロシアンが詰めてスイッチも見せる。左ローのペトロシアン。フェヘイラも右ロー。ペトロシアンは左ロー。
フェヘイラは右から左の飛び込み! 被弾したペトロシアンだがインローがローブローに。中断で回復させるフェヘイラだが、再開後、再び左ローがローブローに。ペトロシアンに「減点1」。
再開。左オーバーハンド、関節蹴りで前に出るフェヘイラ。シングルレッグは切るペトロシアンは左フックもフェヘイラが右オーバハンド。インロー、左ミドルのペトロシアン。右ミドルから右を突くが、フェヘイラが詰めてシングルレッグから両差しでボディロックテイクダウン、すぐに立つペトロシアンを後方に倒すが、ここもすぐ立つペトロシアンは、ヒザ蹴り、前蹴りでフェヘイラは金網に詰まる。減点もあり9-9のイーブンか。
2R、右ハイ、左ローと対角線攻撃のペトロシアンに右関節蹴りで詰めるフェヘイラ。サウスポー構えにペトロシアンは左右ステップで左ハイ。ブロッキングのフェヘイラにワンツーで押し返す。ニータップのフェイントのフェヘイラは右オーバハンドで詰めも、空を斬る。
さらに右から左は届かせたフェヘイラはシングルレッグも切るペトロシアンは右ハイ。ブロッキングのフェヘイラはダブルレッグも、尻を着いて立つペトロシアンは右ジャブ! フェヘイラはワンツーで追う。フェヘイラの左ボディがローブローと主張し、中断のペトロシアンだが微妙なヒット。
再開。低いダブルレッグで飛び込み横にテイクダウンするフェヘイラはペトロシアンのスクランブルにバックテイク。正対際に三角で固めて腕十字を極めた。フェヘイラは2024年10月のアブス・マゴメドフ戦の一本負けから再起。ペトロシアンは3連敗に。
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▼ウェルター級 5分3R〇アレックス・モロノ(米国)25勝11敗(UFC14勝8敗)[1R 4分16秒 TKO]×カルロス・レアル(ブラジル)21勝7敗(UFC0勝2敗)
1R、サウスポーのレアルが詰めて右から左、左ボディ、ヒジ。右の大振りはモロノ。ケージに詰まると左右を被弾。シングルレッグも切られると、自らガードも付き合わないレアル。
立ち上がりを詰めるレアルは首相撲ヒザ。さらに連打。ときおり大きな右を振るモロノだが、しっかり見切るレアルは左を上下を散らしワンツーから右アッパーを当ててラッシュ。防戦一方のモロノを見ていたレフェリーだが、間に入った。レアルはファフレディノフ戦の判定負けから再起。モレノは3連敗に。
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▼フェザー級 5分3R〇マイロン・サントス(ブラジル)15勝1敗(UFC2勝0敗)[判定2-1] ※30-27, 29-28, 28-29×フランシス・マーシャル(米国)8勝3敗(UFC2勝3敗)
1R、ともにオーソドックス構え。ワンツーから右のマーシャル。右カーフ、低いパンチにバランスを崩したサントス。マーシャルはシングルレッグも切るサントス。
右カーフを当てるサントス。今度はマーシャルがバランスを崩す。ジャブのダブルから右を突くマーシャルにサントスは右カーフを当てていく。
マーシャルも右カーフを当てるとサントスは右オーバハンド。左に回って避けたマーシャルはニータップ狙いも切るサントスに右カーフ、さらに右から左でダウンを奪うと、組んできたサントスを切って鉄槌。立ち上がったサントスにバッククリンチからパンチでホーン。序盤の劣勢をマーシャルが取り返した。
2R、距離を取り、左ジャブ&右カーフのサントス。マーシャルは鼻血。左の相打ち、サントスの左ローに右を合わせたマーシャル。サントスは左前蹴り。マーシャルはワンツーの出入り。
左ジャブを当てるサントス。その入りに抜群のタイミングでダブルレッグテイクダウンのマーシャルはサントスの立ち上がりのバックに。背後から小外で崩して左足をかける。金網際で正対して離れたサントス。右を振ると右ハイをかすめる。マーシャルのラウンドに。
3R、前に出るサントスに右ストレートを合わせるマーシャル。ワンツーを突いて角度をつけて回る。サントスは左ミドルもまだ遠い。右ヒザを上げて近づくがマーシャルはサークリング、入って左右をまとめて出る。詰めるサントスにマーシャルは左ジャブ、右カーフ。サントスは手数を上げて右フック。ラウンドは接戦だがマーシャルは逃げ切り態勢に。この打ち終わりにマーシャルはダブルレッグテイクダウン! 背中を着いたサントスにインサイドから鉄槌でホーン。サントスが打撃で取り返すも最後にテイクダウンも受けている。
判定は2-1に割れ、30-27マーシャル、29-28サントス、29-28サントスで24歳のサントスが勝利。2024年TUFフェザー級ウィナーのサントスは、場内からブーイングもあるなか「2、3Rは自分が取った。相手の打撃は効いてなかった」と語った。26歳、ATTのマーシャルはUFC2勝3敗に。
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【中止】▼バンタム級 5分3Rクリス・グティエレス(米国)21勝6敗(UFC9勝3敗)ジョン・カスタネーダ(米国)21勝7敗(UFC4勝3敗) ※カスタネードが体調不良で欠場、試合中止に
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▼ライトヘビー級 5分3R〇オジー・ディアス(米国)10勝3敗(UFC1勝1敗)[判定3-0] ※29-28×3×ジョーデン・サントス(ブラジル)10勝2敗(UFC0勝1敗)
カーフを効かせたサントスだが、「最初の攻防で片側の目が見えなくなった」というディアスが2、3Rを打撃で盛り返し、判定勝ち。ディアスは再起。