10月5日(土)ベルサール渋谷ガーデンで開催される「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」で、工藤諒司が同シリーズに初参戦。チームラカイの新鋭ジェリー・オルシムと日本勢最後の大将格として対戦する。
青森県八戸市出身で小学生の頃からレスリングを始めた工藤は、中学で柔道も経験。高校ではフリースタイルでインターハイ3位となり、国士館大学レスリング部に所属した。卒業後、同大出身の先輩だった安藤達也に連れられてTRIBE TOKYO M.M.Aに出稽古、すぐに入門を決意したという。
2017年7月のアマチュア修斗関東選手権では、決勝で椿飛鳥に勝利し優勝。全日本大会に出場することなくプロ昇格を果たしている。MMA5勝1敗1分。アマチュア時代から怪我に泣かされながらも、「一つひとつの試合を大事に戦い」、連勝で今回の「ONE Warrior Series」出場を決めた。
対戦相手のオルシムはすでに「ONE Warrior Series」4勝。その強さは、春日井たけしや赤尾セイジに一本勝ちしているキム・ミョンギュに判定勝ちという実績で説明ができる。
今回の「ONE Warrior Series」に勝てば本戦出場は決定的。8日後に両国国技館で開催される「ONE:CENTURY 世紀」では、同じチーム・ラカイのホノリオ・バナリオ、ケビン・ベリンゴン、ダニー・キンガッド、リト・アディワンの4選手の試合も控えている。チームとして勢いをつけるためにも、オルシムにとって工藤戦は重要な試合になるだろう。
本戦で組まれてもおかしくない実力者同士の一戦。実直な工藤は連勝した試合に反省点ばかりを口にするが、その工藤が「自分でも強くなっているという実感がある」という言葉には説得力がある。あとは、それを強豪相手に試合で見せるだけだ。
10月5日、「ONE マーシャルアーツ・ファン・フェス」内で行われる「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」は、ベルサール渋谷ガーデンにて、13時から開始予定だ。また、試合の模様は、AbemaTV「格闘チャンネル」にてライブ配信も決定している。
――いよいよONE Warrior Series出場です。まずは率直なお気持ちから。
「けがが続いてしまって半年ぶりの試合になるんですけど、正直に楽しみですね。とてもワクワクしています。いつもの試合よりも気持ちが上がっているというか、楽しみだなという気持ちがすごいあるんです」
――2018年10月に山本健斗デリカット選手に判定で敗れた後、2018年12月に久保村ヨTERU選手に2R KO勝ち、2019年3月に内藤太尊選手にも判定2-0で勝利し、2連勝中です。ただ、試合が半年空いてしまったのは怪我によるものだったのですね。
「そうですね。本当は次の試合が決まっていたんですけど、美木(航)選手の怪我(ライセンス申請に必要な眼底検査を行った際、左網膜裂孔を診断され欠場)もあり、その次の試合も決まっていたんですけど、それは僕の怪我で空いてしまいました」
――半年ぶりの試合が不安より楽しみであると。水抜き無しの計量方法は初となるかと思いますが、TRIBE TOKYO M.M.Aのチームメイトからも情報を得てきた感じですか。
「はい。普段の体重のこともありますし、体力というか体調面でも全然落としやすいんじゃないかなと思います」
――前回の内藤戦では、蹴り足を取って右を当てたり、競った試合内容でしたが、判定でモノにできたというのは大きかったのではないですか。
「自分の試合を過去の試合も振り返ってみると、けっこう接戦が多いんです。それは、危ない面も多いということになるので、弱点になるじゃないですか。だから危なげなく圧倒して勝てるようにするには、と考えたときにいろいろ反省点がありました」
――久保村戦もバックは取られましたけど極めさせず、コーナーに詰めての近距離での打撃戦で勝利しましたね。
「なんか危ないですよね、そこが(苦笑)」
――それでも、相手の打撃をかいくぐってのダブルレッグテイクダウンからフィニッシュに繋げたところに地力を感じます。内藤戦のときも後半に反撃を受けましたが、あれは内藤選手の粘り強さもありますけど……。
「最後、効かされた部分もあったんです、パンチで。それでちょっと動きが悪くなっちゃったなという感じがありました」
――スタミナ面では大丈夫でしたか。
「スタミナの部分もありましたね……。試合後、戻しちゃうような感じだったので、だいぶ、けっこうもう飛ばしすぎちゃったんです。前半で行きすぎちゃったなというのはあって」
――レスリングの強みとともに、たしかに工藤選手の力の入り方が見ている方も疲れるような……。
「その展開でうまく力の出し入れを考えていかないといけないと思っています。そこが課題なんです」
――なるほど。今回の対戦相手のジェリー・オルシムですが、26歳の工藤選手と同年代の24歳で、MMA6勝無敗。Warrior Seriesで4連勝していて、春日井たけし選手や、赤尾セイジ選手に一本勝ちしているキム・ミョンギュに判定勝ちしています。タフな相手だなと感じました。
「そうですね。身長も高いみたいなので、けっこう苦手なんですよね、背が高い選手(苦笑)。でも、気持ちはもう全然負けてはいないので」
――175cmということですが、リーチがあるからでしょうか。厚みのあるミョンギュに対して見劣りしませんでした。あの右ストレートも長いですよね。
「そうですね。対策をちゃんと練っています」
――クリンチからの投げ、捨て身気味でも小外で投げてテイクダウンを取ってきます。そこの際を取りたいところでしょうか。
「けっこう四つで組んだりしても強いなという感じはします。でもそこで負けられないですね」
――工藤選手にとっても強いところだと。Warrior Seriesで4連勝中の相手と初参戦で戦うということをどのようにとらえていますか。
「確かに強い選手ですけど、チャンスですよね。相手も勝ってる選手なので、すごいいいチャンスだなと思っています。ここで結果を残して認めてもらいたいです」
――これまで修斗では5戦中3試合が新宿FACEでの小さ目のリングでした。工藤選手としては詰められるあのリングと、広いケージとどちらが戦いやすいですか。
「僕はFACEは苦手でした。ちょっと狭いなという感じがして。少し滑るかなという感じもあり、広い方が戦いやすいです」
――Warrior Seriesで、これからの目標は?
「やっぱり勝ち続ける、一敗もしないという戦い方ですね」
――しっかり連勝して本戦出場を目指すと。TRIBEからは、先日も佐藤天選手がUFCでアウェーでしっかりといつもの戦いを繰り広げました。若松選手もONEで活躍しています。やはり刺激になりますか。
「もちろんなりますね。佐藤さんはUFCで、佑弥君はONEでの試合を毎回応援し見させてもらっています。仲間の活躍はすごい刺激になるし、自分ももっと上にいかないと、と毎回思います」
――では、最後に応援してくれている人たちに意気込みを。
「修斗で試合をさせてもらって、1試合、1試合大事にやってきたので、こういうチャンスが巡ってきたことをありがたく思っています。前回の試合よりも進化している、自分でも全体的に強くなっているなという実感はあるので、そのへんを見せられればいいなと思っています」
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