2025年2月8日(土)東京・後楽園ホール『SHOOT BOXING 2025 act.1』のメインイベントで、ルエル・カタラン(フィリピン)と対戦するSB日本フェザー級王者・山田彪太朗(シーザージム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
変則的な蹴りやパワフルなパンチが武器だというMMAファイターのルエルを相手に、今回こそは超攻撃型スタイルのデストロイドモードは見られるか!?
遂に自分もその位置まで来たか
――2024年は4勝(2KO)と全勝の年でしたが、ご自身にとってはどういう1年でしたか。
「6月に学校給食を作る仕事中にスライサーのような機械に手を巻き込まれ、指が切断しかけるほどの重傷(左示指・中指不全切断で全治1カ月と診断)になり、KNOCK OUTでの龍聖選手とのチャンピオン対決という大事な試合が飛んでしまったこともあったんですけど、結果的に言えば、海外の選手ともやって全勝できたので、いい1年になったのかなと思います」
――今、左手はどういう状態ですか?
「もう傷口も目立たないぐらい綺麗に縫われ、驚異的な回復力で不自由なく使えます」
――想定外な大怪我でしたが、今振り返ると意味のあるものでした?
「正直、仕事中に怪我することを考えたことがなかったので、仕事中も気を抜かず、試合だけでなく、常に格闘家として集中しなきゃいけないなと思いました。ちなみに、僕が怪我したことが全社員に一気に広がって、本社から『機械作業を始める前は声掛けしましょう』というルールができて、僕のせいで社員全員に負担を増やしてしまいました……。これからは安心安全な給食作りをより一層心がけながら頑張って作っていきたいと思います」
――昨年12月の前戦となったカオムーカイ戦では1Rに2度ダウンを奪って秒殺するかと思いましたが、2Rにまさかのダウンを奪われて判定勝ちでした。
「1Rに2回ダウンを取ったことで逆にあそこで行き過ぎない方が顔に攻撃を当てることができて倒せていたと思うんですけど、実際はちょっと力み過ぎちゃって当たっても倒れないパンチで力を出し切ってしまったことで、2Rにはスタミナを消費してしまい、ダウンをもらってしまったりと反省点の残る試合でした」
――実際に対戦したカオムーカイ選手の印象はどうでしたか。
「さすがONEで何勝もしている選手だっただけにめちゃめちゃタフでしたし、パンチも強いいい選手でした。ONEに出ている選手だけに侮れないなと改めて感じましたし、ONEに出ている選手は全員強いというのを再認識しました。どんな相手でも何があるかは分からないので、凄く勉強になった試合でした」
――そういう中で今回メインイベントに選ばれた心境は?
「メインイベンターを過去に務めてきた選手は偉大な選手ばかりなので、遂に自分もその位置まで来たかと単純に嬉しかったです」
――それでは、2023年2月のシリーズ開幕戦で一度、メインイベンターを務めたことがある弟の虎矢太選手(SB日本スーパーバンタム級タイトルマッチで植山征紀に5RKO勝ち)は偉大な選手の一人だと。
「彼は違います(笑)。今でもなぜあの試合がメインだったのか謎ですけど、タイトルマッチで5R最終ラウンドにKO勝ちするというメインイベンターとして相応しい試合を彼はしたので、僕も絶対にその試合に負けないような試合をしなきゃいけないと思っています」
――当時は、先に弟にメインイベントを取られたことでやっぱり悔しさはありましたか?
「悔しさだけでなく、驚きが大きかったですね。しかも初メインでKOで勝って、メンタルはしっかりしてるなと。さすが俺の弟。俺があそこまで育てたのは彪太朗なんで(笑)。会見で虎矢太は『彪太朗がメインイベントを務めるのはやっと来たか』とか言っていて、本戦のメインイベントは初めてですけど、2021年12月に川上叶選手と大森大会で対戦した時はメインイベントで、2022年11月に名古屋で開催されたヤングシーザーカップでも僕がメインイベントだったので、実は今回メインイベントは3回目なんです」
――自身がメインを任せられることで、毎回メインを張っている海人選手の偉大さも再認識するんじゃないですか。
「そうですね。海人選手の凄さを身に染みて感じています。今回プレッシャーを感じていますし、いつもの試合順より後ろになるので緊張するのかなと。メインイベンターにふさわしくない試合をしたら、二度と任せられないと思うので、海人選手がやってきたように自分もバチッと決めたいと思っています」
――試合に集中するだけでなく、集客のことも考えてしまいそうですよね。
「そうですね。今回、いつもよりお客さんが入ってなかったらショックですし、自分の力でも集客できるように力を入れていきたいと思います」
――日本人対決だったら相手側の応援陣も呼べるのですが、今回は外国人選手が相手ということで集客が難しくなります。
「もちろん日本人選手とはやりたいんですけど、自分はチャンピオンですし相手が見つからないこともあると思うので、どこの国の選手でもぶっ倒して盛り上げるだけです。今回対戦するルエル選手も強敵だと思うので、その見所を発信しつつ、今回をきっかけに山田彪太朗の試合に価値があるような選手になりたいですね」
[nextpage]
今回は山田彪太朗のスタイルを貫きます
――対戦相手の印象はどういうものがありますか。
「映像はまだ届いていませんか、どういう選手なのか、どういう試合になるのか全くイメージが沸きません。ウーシューという散打みたいな競技の出身の選手なので、トリッキーな動きをしてくるイメージがあり、サイドキックやバックキック、バックハンドブローとか回転技をやってくるのかなと。さらにONEで実績を重ねている選手でもあるので侮れないですし、僕以上に修羅場をくぐってきていると思うので強敵として見ています」
――ルエル選手はフィリピンの農家で12人兄弟の1人として育てられ、兄のレネはONE世界タイトル挑戦経験があります。
「そんな兄弟がいるとは思わなかったです(笑)。カタラン兄弟vs山田ツインズの兄弟対決になるので、ますます負けられないですね」
――山田兄弟の強みは何でしょう。
「パワーや一発とかありますけど、一番は真っ直ぐに戦うこと。誰が相手でも戦い方をブレずに、逃げずに戦うというのが魅力だと思います。今回は山田彪太朗のスタイルを貫きます。そのスタイルを貫いて、磨いていけば、誰が相手でも勝てるイメージが湧いているので、自分のスタイルを貫くだけですね」
――今回こそは超攻撃型スタイルのデストロイドモードは見られそうですか?
「前回不発で見せられなかったので、今回は見せられると思います」
――弟の虎矢太選手は、彪太朗選手と2度対戦している川上叶選手との試合になり、どういう展開でどういう勝ち方になると予想していますか。
「川上選手は強敵ですし、誰が相手でも上手く戦うことができる選手で、川上選手が上手くやれば虎矢太のことも圧倒できる、空回りさせることができる選手というのは、自分が身を持って経験しているので、虎矢太は非常に厳しい試合になると思います。僕も2回やって、いろいろ川上選手対策を教えられることは教えていますし、ここで虎矢太の本当の強さが問われると思うので期待しています」
――川上選手は虎矢太選手に勝って、彪太朗選手のタイトル挑戦をアピールしたいとのことでした。
「川上選手とは1勝1敗なので、3度目の戦いをぜひやって自分の強さを証明したいと思いますが、僕的には虎矢太に勝ってほしいので、次にタイトルを争うとしたら虎矢太とやりたいと思います。なので、川上選手がタイトルマッチに辿り着くのはなかなか難しいことかなと」
――今年はどういう一年にしたいですか。
「2025年はSBの強さをより証明していけるように、SB内での戦いはもちろんのこと、他団体のリングにも出ていきたいですし、SBのリングでも他団体の選手と対決していき、全員をぶっ倒していきたいと思います。SBの40周年となる貴重な記念すべき1年に、山田ツインズ侵略の2025年を期待してください。2025年の25にかけまして、“双子”の年にしていきたいと思います!」