キックボクシング
インタビュー

【ONE】今夜、運命の第3戦に挑む野杁正明「失うものはない、挑戦者らしくがむしゃらに勝ちを掴み取る」

2025/01/24 12:01
 2025年1月24日(金)タイ・ルンピニースタジアム『ONE 170』(U-NEXT配信)のフェザー級キックボクシング3分3Rで、シャーキル・タクレティ(イラク)と対戦する野杁正明(TEAM VASILEUS)がONE3戦目を前に公式インタビューに応じた。  野杁はK-1で2階級制覇を達成し、2024年6月に『ONE 167』でONE初参戦を果たしたがシッティチャイに判定3-0で敗れた。12月の2戦目でもリウ・メンヤンにも判定で敗れ連敗中。戦績は49勝(25KO)13敗。今回は186cmの長身(野杁は175cm)でONE1勝1敗のシャーキル・タクレティ (イラク)と対戦する。 期待の声はもう0に近い状態だと思っている ――現在のコンディションはいかがですか? 「前回の試合が終わってから大きな怪我もなくて。すぐ練習も再開していたので、コンディション自体はいいんじゃないかなと思います」 ――今回でONE3戦目ですが、ONE独自の計量システムはいかがですか?ハイドレーションなども含めて慣れましたか? 「難しい部分はあるんですけど、こまめに尿比重を測ったり、これぐらい練習したらこういう尿比重だとかっていうのをこまめにチェックしながら対策しています。最初の頃と比べると慣れた感じはあります」 ――それは検査器具を入手して毎日チェックをしているのですか? 「そうですね。その傾向みたいのはわかりました。やっている中で、食事内容だったり、摂取する塩分だったり、あとは練習も。練習強度が上がると比重の数値が上がったりする感じは測って分かりました。そういった点は最初と比べると分かってきたかなという感じです」 ――その辺りも気にしながら練習するのはなかなか大変ですね。 「でも全選手そうなので。僕だけに限らず気にしている選手は気にしていると思いますし。そういったルールの上で戦うと決めているので、全然苦にはならないです」 ――改めて、対戦相手のタクレティ選手の印象はいかがですか? 「キックボクシングルールで試合している映像を見ていないのでなんともアレなんですけど、印象としては“ザ・ムエタイ・ファイター”といった感じです。長身でリーチを活かした攻撃、パンチ、蹴りを出してきて近づいてきたらアッパーだったり、ヒジを打ったり、首相撲で組んだりっていう感じの選手です。相手も自分の前回の試合(リウ・メンヤン戦)を見ていると思うので、前回みたいな距離を潰して圧をかけてくるスタイルで来るのか、 それとも距離を取って戦ってくるのか分からないですが、どう来てもいいように対策はしっかりと練ってきたので大丈夫かなと思います」 ――タクレティ選手のファイトスタイルは前回のメンヤン選手とは真逆のタイプに見えますが、それでも前戦を参考にメンヤン選手の様な戦いを仕掛けてくる可能性がありそうですか? 「あるかもしれないですね。それは僕が前回あの様な負け方をしてしまったので。自分にくっついた方が相手にとって安全だと思うんですよ、やっぱり。前回みたく1発を当ててダウンを取って、そのままポイントで逃げるという戦い方もできなくはないので。そういう可能性は0ではないと思います」 ――過去の試合映像を見て、その他にもタクレティ選手は飛び込みの左を得意としている印象でしたが、その点は気になりましたか? 「気にならないと言ったら嘘になりますけど、全部気にしています。気にした上で僕が当てて最後はフィニッシュまでいけたらいいなと思っています。ただ、そこまで強く警戒している感じはないです」 ――仮にタクレティ選手が、彼の従来通りの戦い方をしてきた場合、 野杁選手的にはいかがですか? 自分のパフォーマンスを出しやすい試合になると思いますか? 「出しやすいと思います。実際リング上で対峙してみないと、距離感は分からない部分ではあるんですが。前回の様にくっつかれるよりかは僕は戦いやすいです」 ――前回のメンヤン戦からそれほど日は経ってないですが、あの試合の反省というか、修正点などの話し合い、研究・対策は、渡辺トレーナーやteam VASILEUSのメンバーと既に行ったのでしょうか? 「そこをメインにやってきました。僕と対戦が決まる今後の選手は、多分あの試合を対策の参考にすると思いますし、そういう戦い方をしてくる選手も少なからずいると思うので、そうなった時の対処法だったり、前回何がいけなくて、 もっとこうしていたら良かったんじゃないかっていうのをトレーナー陣だったりセコンドの人だったりと話して、こうした方がいいよね、ここをもっと強化した方がいいよね、ここは改善すべき点だよねっていうのを皆で意見を出し合いながら、今回は準備を進めてきました」 ――その修正だったり、改善していくゴールがあるとすれば、現状、どこまでアプローチできたと感じていますか? 「練習と試合はやっぱり別物になるので、練習でどれだけ100パーセントの動きだったり準備ができても、試合で出せなかったら何の意味もない。今回の準備期間、前回の試合が終わって、反省点だったり改善点だったり強化するべき点、 練習だったりパフォーマンスを上げていく上では、100パーセントに近い動きは出してきてるとは思うので、それを今回の試合でどこまで見せられるかが1番のポイントになると思います」 ――今回の試合は野杁選手が前回の悔しい敗戦からどう修正し準備してきたか、ファンは期待して見る内容になりそうですね。 「僕は元々70kgでずっと試合してなくて。そこでONEチャンピオンシップに参戦させていただいて、70kgのフェザー級っていう階級に挑戦しているのですが、そこで1勝もできていない現状で、やっぱり日本のファンの人達から、野杁はやっぱり70kgでは通用しないとか、結構そういう声が多いので、そういった人たちにも、また夢を持ってもらえるように。  実際、期待の声はもう0に近い状態だと僕の中では思っているので、やっぱり勝つだけじゃなくて、内容だったりとか、勝ち方だったりが必要になってくると思うので、今後に向けてそこを意識していきたいと思っています。その上で、もうそんなこと関係なしに、とにかくどんな勝ち方でも、ONEで1勝を取りたい。それが僕の今の目標というか、やるべきことだと思うので、がむしゃらさで、まずは1勝を掴み取りたいと思っています」 [nextpage] 初の2連敗で逆に良い意味で吹っ切れた ――ONEに参戦しキャリア初の連敗をしたということで、かなり気持ちが落ちてしまった時があったと報道されています。そこから現在の様に気持ちを持ち直す上で、支えになった言葉や、周囲の言動などあったら教えてください。 「挙げたら沢山あるのですが、トレーナーの方々の気にかけてくださる優しさだったりとか。結構、今までのチームで孤独だったことがすごく多くて。過去のチームの温かさは全くゼロだった訳ではなかったのですが、ここまで高さを感じるチームに所属したのが初めてで。そのチームからの支えてくれる言葉にまずは救われました。試合後にチャトリさんと話させてもらい激励されたことも大きかったです。ただ、1番はやはり1番近くで見てくれている妻の存在です。妻からも色々言われましたけど、それが僕の中では1番大きかったです」 ――奥様からは日頃からよくそういう言葉をかけて貰えるのですか? 「普段の練習の話は毎日のようにしていますが、アドバイスとかそういうのはたまにくらいで。そういった中でも、妻がやっぱり1番見てくれていますし。少しの変化でも1番に気づいてくれるのがやっぱり妻なので。そういったところでは感謝しかないかなって僕は思っていますね」 ――先程のお話にもありましたが、team VASILEUSのメンバーはいかがですか? 野杁選手の背中を押してくれる存在ですか? 「そうですね。1月11日にジムのオープンパーティーをやらせていただいて。2025年のteam VASILEUSの初戦は僕なので、良い流れを作りたいです。この後にも、試合がある選手が沢山いるので、そういった選手たちにも良い流れと良い内容でバトンタッチしたいので、その想いでパワーもらっています」 ――今の野杁選手の気持ちを察するに、連敗で悔しい歯痒い気持ちだったり、新しいチームを牽引したいという気持ちだったり、支えてくれる周囲への感謝の気持ちだったり、色々な感情が入り混じった心持ちではないかと感じていますが、これまでの格闘技人生で、この様な経験はありましたか? 「初めてですね。前戦はteam VASILEUSの昨年最後の試合が僕だったので、決めないとという気持ちが強くありすぎて。皆、勝ち続けているんですけど、僕だけ勝ててないっていうのをちょっと背負い過ぎたというか、考え過ぎた部分があって。ただ今は、その初の2連敗で逆に良い意味で吹っ切れました。結局はリングに上がるのは僕自身ですし、そこを支えてくれる色々な人はいますけれど、本当に楽しむことが1番だと思いました。  昔ずっと勝ち続けていた時のことを振り返ると、あの時は何も背負わず、本当に純粋に格闘技というものを楽しんで試合してたなと、この期間で改めて思いました。次の試合は、色々なことを多分考えなければいけないんですけど、一旦それは忘れて、試合当日は全力で楽しんでやろうかなって思っています」 ――話を伺っていると、今回の試合後、一皮剥けたというか、本当の意味で“新しい野杁正明”の姿が見れそうですね。 「そうですね。そうなったら1番ベストですし。そうさせるために今回のオファーも受けましたし。こんな短い期間でオファーしてくれたONEチャンピオンシップには本当に感謝しかないです。だからこそ結果と内容で証明したいと思っています」 ――今回のセコンドですが、武尊選手もセコンドに入られるんですか? 「今回は武尊くんは来ないです。3月のロッタン戦に向けてアメリカ合宿に行っているので。ギリギリまで来てくれようとはしてくれていたんですけど、僕が『自分の練習を優先してください』と言いました。なので、渡辺雅和トレーナーとチームメイトの与座優貴がサポートできてくれます」 ――因みに、与座選手とスパーリングなど行っていますか? 「そうですね、やります。与座キックもそうですし、優貴は本当に技が多彩な選手で、殺傷能力がどの技もあるので。僕も意見を聞いたり、優貴からも自分の意見を尋ねてくることもあります。チームメイトですけど、尊敬できる後輩の1人ですね」 ――武尊選手も海外合宿で物理的には別々ですが、気持ちの上ではセコンドについているような感じですね。 「そうですね。ジムの先輩ですし本当に第一線で活躍しているトップファイターの1人ではいるんですけど、自分にとってはプライベートでも、ずっと常に見守ってくれる感じの本当にお兄ちゃん的な存在です」 ――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。 「今回はONE3戦目ですが、本当に失うものは何もないので。チャレンジャーらしく最初からがむしゃらに勝ちを掴み取りに行くので、良い結果、良い内容で終われることを祈って見ていてください。応援よろしくお願いします」
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