MMA
インタビュー

【RIZIN】久保優太「セコンドに『最後までやらせてほしい』と頼んでいた」「インターバル中に会場がすごい声援をくれて“やってやる”と」「まだ自分は格闘家というものを諦めてない」

2025/01/03 22:01
 2024年12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN DECADE』の第2部『RIZIN.49』で、12戦無敗のラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)と対戦し、2R TKO負けした元K-1&GLORY王者・久保優太(Re-RAISE TOKYO/BRAVE)が2日、病院での検査結果を報告。鼻骨骨折したものの、脳に異常は無かったことを報告した。また、物議を醸したセコンドのタオル投入が無かったことについて、「僕はタップしないので最後までやらせてほしい」と弟の久保賢司にバトンを託していた理由をあらためて明かした。  試合後、病院へ向かった久保は、自身のYouTubeチャンネルで、セコンドのタオル投入が無かったことについて、「僕的には最後まで試合をどうしても……打撃が入ったら逆転するチャンスが少しでもあるわけじゃないですか。それに賭けたいというか、最後の最後まで勝負を投げたくなかったということで、『僕はタップしないので最後までやらせてほしい』と最後の1分1秒まで可能性に賭けるということで、その思いで(セコンドに)お願いしました」と、事前に伝えていたことを明かした。  試合は、左の蹴りを当てて、シェイドゥラエフの組みをさばこうとした久保だが、テイクダウンプレッシャーもかけるシェイドゥラエフは右のオーバーハンドをヒット。久保の左ミドル、ヒザ蹴りを掴んだシェイデュラエフはテイクダウンに成功し、ガードのなかからのパウンド、ヒジも効かせて、1Rの時点で久保の顔面を大きく腫らさせていた。リアネイキドチョークでは、一瞬気が落ちかけている。  2Rに向かうときに笑みを見せた久保。インターバル中にセコンドのゲキと、会場からの大歓声に勇気づけられたという。 「サラちゃんの応援も聞こえたからさ『最後まで諦めんな』って言ったからさ、すごいパワーになったし、僕が(1Rと2Rの)インターバル中に会場がすごい声援をくれた。それにすごい感化された。“やってやる”と思って。頑張ったんですけど……力及ばずで申し訳ないです」と、試合を振り返った。  バトン(タオル)を託された弟は、「僕も途中で(気持ちが)揺らいで……目が死んでなかったじゃないですか。諦めないというテーマがあって、挑戦する意志が強くて、僕もあそこで決意固めて、宮田(和幸)先生の制止を振り切って、“僕はこれは絶対投げません”と言ってああいう結果になりましたけど……ずっとバトンを握りしめていて、でもジムの会長という立場だとダメな判断でした。選手を守るという意味でも、ジムの会員さんだったらもちろん(バトンを)投げてましたけど……」と逡巡があったことを吐露する。  兄は、「俺以外の選手だったら投げていたでしょう? 二人三脚でずっとやって来て、それで負けたら納得しないというのが分かっていて、1分1秒まで、ストップされるまで、自分が力尽きるまで諦めたくない、という思いを分かっていると思ったから、たぶん投げないでいてくれて、ほんとうの意味で完膚なきまでに叩きのめされたから、この試合に関しては悔いが無い」と、パウンドアウトによるTKO負けは本望だったと語った。  挑戦に悔いは無いが、試合内容には悔しさが残っているという。 「ただ、あのとき2R、蹴りに全然力が無くて、もっとパンチで打ち合い行くべきだったのかなとか、いろいろ悔しい気持ちはあるので、負けたけど負けてないというか、まだ自分は格闘家というものを諦めてないなって感じたので、負けてすぐ復活とか言える立場ではないんですけど、これからも観てくれたら嬉しいんで、応援、よろしくお願いします」と前を向いた。 【追記】検査後のSNSで久保は「脳には全く異常なく出血とか見られず。鼻の骨折だけで済みました。あとは症状として首のヘルニア、古傷が結構パウンド、ヒジをかなり受けて悪化したっていうのが今の怪我の現状。あと腰とかは 結構ずっと痛み止めとかを注射しながらごまかしごまかしやってたんで、そこが本当に今回、首と腰が破壊されたって感じだった。とどめ刺されたみたいなとこはあります。症状としては大きな怪我がなかったっていうか、まあ鼻の骨折は僕、怪我だと思ってないんで。古傷は傷めたけど、だからそういう意味では怪我なく終えられたかな」と報告している。  試合直後の会見での一問一答全文も合わせて下記に紹介したい。 [nextpage] 久保優太「懐に入りこませてしまった」、サラ「褒めてないよ、負けたから。でも格闘家の本来の目標は叶えていたと思う」 ──試合後の率直な感想を。 久保 まあまず、あそこでミドル打ってヒザ蹴り行ってしまって、距離が近くなってしまったので、(シェイドゥラエフに)簡単に懐に入りこませてしまったのでしっかり距離を取れなかったことが、早い時間で自分が効かせるまえにテイクダウンされてしまったので、ちょっと、なかなかプラン通りに行かなかったというか、本当に完膚なきまでにやられてしまったという感じですね。 ──シェイドラエフ選手と実際に戦ってみて、試合前とイメージの違うところがありましたら教えてください。 久保 本当に強いってことは、想像はしていたので、想像通り強かったのですけど、うーん。そうですね……、なんだろうなあ。いや、でもMMAにおいて、パウンドとかよりサイドを取られたりハーフのところからのあのヒジがめちゃくちゃ効きましたね。ヒジがかなり効いて。だから最後まで自分は諦めたくなくて。結構レフェリーも『動かないとストップする』というのも聞いていたので『なんとか動かなきゃ』と、バックチョークとか、1Rから(腕)十字取られそうになっていたので、そういう局面も何とか凌がないと、止めめられないようになんとか動かないとと。  最後まで自分の打撃を当てる逆転のチャンスを見出すまで、最後の最後まで試合を投げないっていう、何て言うんだろうね、もっと早く止めろとかセコンド早くタオル(バトン)投入しろと言われているけど、弟にコーナーストップのバトンを託して、『僕は腕折れても失神しても試合最後まで投げないから』ということをお願いしてバトンを弟に託したので。まあ……そうですね、最終的に、レフェリーストップという形で負けてしまって、力尽きてしまったというところでしょうか。 ──今は考えられないかもしれませんが、今後どうしていきたいか、どういう目標を持って練習するかなど教えていただけますか。 久保 うーん、まあ、そうですね……、まあ本当に僕はやっぱこのRIZINフェザー級でチャンピオンになるという目標のために頑張ってきたし、横にいるサラちゃんにカッコイイところを見せるために毎日頑張って、37歳になって夢追い人で最後まで試合投げないつもりで頑張ってきたけど。どうしたらいいかなサラちゃん、僕はどうするべきなのかな? サラ えーっ……、えー、でも、わかんないけど、夢を見るって大事だし、“夢追い人”やってたじゃん。それでみんなも夢見てるから、今回執念みたいなやつを、みんな感じたと思うし。すごい良かったと思う。褒めてないよ、負けたから。 久保 ハハハ サラ 褒めてない、Yogibo乗れてないし椅子硬いから嫌だけど、でも執念感じたから感動したよ! 久保 そう言ってもらったらもう今は、ちょっと、今から病院直行するんですけど。 サラ まあとりあえず治して、怪我。で、(歌い出す)「負けられないから、終わらないから、僕は最後まで立つよ」って。 久保 何それ? 何の歌詞? サラ 私の。 久保 あ、入場の? 何て言ったの? サラ(再び歌う) 久保 歌詞聞こえないんですよ、歌とBGMが一緒に聞こえないからちょっとわからない。終われない? サラ 終われないってこと! 久保 そこは聞こえた。今後のことは、全然まだそうですね、わからないというか。とりあえず今は顔が痛いというか。ヒジが、グラウンド状態のヒジは危ないですね、めちゃくちゃ勉強になりました。なかなか立ち技において、思い切りヒジをガンって……、あれ打たれたところから後頭部をマットに倒れるから余計効く。勉強になりましたね。 ──2Rの試合開始早々、久保選手はニヤっと笑っていました。覚えていますか? 久保 そうですね、セコンドの指示で「とにかくよく耐え切った」と。「1Rとりあえずよく凌いだ、ハイキックで逆転狙え」という指示だったので「よっしゃ、絶対やってやる」と思ったけど、ダメージで体がついていかなかったですね、体力を相手に削られてしまって、気持ちしか僕は出すことができなくて、そういう点でも相手に上回られてしまったので、そこは悔しいですね。 ──過去にこれだけダメージ負った試合はこれが初めてですか? 久保 たしかに、そうですね……、あの、やっぱり本当に、うーん。なまじちょっと頑張りすぎちゃったっていうか。それで、何とか対応、対応と、セコンドのBRAVEの宮田(和幸)先生がいて、バックチョーク2回来られても凌いだから、そこでパウンド決められたりとか。そうですね、だからそういう、ちょっと頑張って、何とかディフェンスしようと頑張っちゃったから、こういう余計ひどい結果になっちゃったかも。僕は人生懸けて頑張っているつもりなので、とにかく最後まで試合を投げたくなかったし、最後の1分1秒まで諦めたくなかった。応援してくれるファンのためにも試合投げたくない、そういうところを見せたいという思いがあるので。ただやっぱ、力及ばなかったっていう結果です。 ──いろんな試合の選択があったなかで、本当の強敵シェイドラエフと戦って、ダメージもあります。こういうチャレンジをしたことに後悔はないですか? やれて良かったと思っていますか。 久保 そうですね、やっぱり本当に自分の人生「挑戦」っていうテーマだし、僕はこれでも自分達とサラちゃんとかで全国無料で参加できる子供教室をやったりしてその子たちに、夢とか希望の大切さを日頃から説いているのですよ。自分自身で、子供たちにそういうことを伝えているから自分自身もそういう夢を持って挑戦することが人生のテーマなので、全くそこに対して後悔はないですし、今回自分の力が及ばなかったっていうところが残念ではあるんですけど後悔はないです、挑戦させてもらって点については。 ──顔の傷が多数ありますが、脳のダメージを感じましたか? 久保 めちゃくちゃ控室入ってもめっちゃ吐いて。最初吐いて「うわあ」と思って。結構、かなり、今も意識朦朧とはしているんですけど。そうですね、やっぱ本当にあのパウンドのサイドポジション、ハーフガードからのヒジですね、あれはめちゃめちゃ想像以上に効くというか。効いたなあっていう。だからまあ客観的に、そういう技術あるのを映像で見ますけど、やっぱり見るよりやられるほうが、実際効いたというか勉強になったので、今後そういうふうに自分が指導したりするときは、こういう経験を元に伝えられたらと非常に勉強になりました ──顔以外、体のダメージはいかがですか? 久保 体は、鼻とかは多分折れているだろうということで、そうですね……、顔くらい。あ、体(胴体を指して)、(全体ではなく)こちら(胴体)の体ですか? 体は特にないですね、ピンピンしているというか。もっとだから……(サラに胸のあたりを触られ)……え? サラ 心は折れてないって言ってました! 久保 ハハハ サラ 体は折れてるけど心は折れてない、でしょ? 久保 うまい。でも勝てなかったことよりも、なんかその、今までやっぱりこうやって5連勝させてもらって、今回挑戦する、本当にこれで勝てればもしかしたらタイトル挑戦できるかもしれないという位置づけまで来れて、そうするとやっぱり自分の目標実現に近づくじゃないですか。そこから後退してしまったので、自分の37歳という年齢を考えたなかで、今は本当に「うわー」って落ち込みますね。  ただやっぱり先ほどのご質問ではないですけど、この挑戦を、回り道で受けていたとしたらもっと、自分の年齢的なピーク持って来れなくて、もしかしたら後悔していたかもしれないし、タイミングとしてはベストな挑戦だった。ただ、結果を出すことができなかったという、そういう思いですね。 ──サラさん、傷だらけの久保選手はかっこいいですか? サラ かっこいいとかかっこよくないとか、そういう言葉で表せないですけど。初めて格闘技っていうのを見て感動したというか、ちょっと涙が出そうになったっていうか。何でかっていうと死に際まで行っていたんですよ。あの世の、三途の川が見える一歩手前まで。 久保 途中なんども意識途切れたけど……。 サラ 河、見えた。 久保 「うわ、ヤバい!」っていう感じから、くらくら? 「うわヤバい、保たなきゃ」っていう。 サラ やっぱ、人間ってそこまで自分の人生でなにかの夢に向かって死ぬ直前まで何かを挑戦することって今みんなできていないと思うんですよ、私もできないし。だから見ながら勇気をもらったというか、こんな軽い言葉じゃ表わせないくらい、みんなにもインスピレーション的なものは伝わったと思うから、格闘家の本来の目標は叶えていたと思う。褒めてないよ、負けたから。だけどすごいみんなに夢を与えた試合だったと、私は……。 ──これまで勝ってきた試合よりもですか? サラ 全然、全然。勝ってきたのは、トン、トン、トン、ポン!みたいな。「あ、勝った!」「あ、勝った!へー」。心はそんなに動いてなかったけど、今回は「うわぁ」と。感動した。 久保 それを聞くと、頑張った甲斐が。心が救われます。 サラ みんなも感動したんだなって。 ──ゆっくり休んで、サラさんも労ってあげてください。 サラ 私はあしたから旅行行ってくるけど 久保 え? マジ? サラ 頑張って治して! 久保 (苦笑)
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント