MMA
インタビュー

【RIZIN】無敗シェイドゥラエフと対戦する久保優太「地道にやってきた練習、反復してやってきた技術が生きてくる」

2024/12/30 13:12
 2024年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN DECADE』に出場する選手の個別インタビューが29日(日)、都内にて行われた。  第9試合のフェザー級戦で、MMA12勝無敗のラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)と対戦する元K-1&GLORY王者の久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)が個別インタビューに出席。  MMAで太田忍戦の敗戦以降、奥田啓介、木下カラテ、安保瑠輝也、高橋遼伍、斎藤裕を相手に5連勝中の久保は「いまはシェイドゥラエフ戦が決まった時点の自信の無さではないです」ときっぱりと語った。 半分の確率をいかにして最初に持って来れるかは、自分もかなり練習してきた ──試合前のいまの心境を。 「毎回試合前に思うのですけど、また試合が来てしまったか、そういう心境です。やだなというか。毎回そうなんですけど。毎回そうって言うか、逆に試合がやだなとか、緊張感を持っている試合のときの方がいいパフォーマンスができるので、逆にいつも通りという心境ではあります」 ──決まったときにご自身の勝利のパーセンテージが低く、大会当日までに勝利に持っていくと言っていましたが、いまはいかがですか。 「いつも毎回100はないですね、勝負ごとなので自信はないですけど、当初試合が決まったときは個人的には5パーセントくらい。10回やったら9.5回負ける、1回も勝てないというくらいの感じだったけど、現時点では五分五分くらいまでは持ってきた。10回やったら5回勝てる、そのうちのそれを最初に1回引くだけ。言うはやすしなのですが、そう思っています」 ──対戦相手のシェイドゥラエフ選手の印象は? 「本当にまあ、黙っていても無敗のままUFCに行ってそのまま活躍しちゃうんじゃないか、皆さんもそういう評価されている方も多いと思うけど、僕もそう思っています。僕と出会ってしまったから、1敗してからぜひUFCに行ってもらいたいなと(笑)」 ──想定する試合展開は? 「自分はもうやることは決まっているというか、間違ってまちがっても自分の寝技がたまたま極まっちゃうことはまずない、寝技にまぐれはないから。8歳から立ち技格闘技をやってきたから、まだ30年にはなっていないけど、29年やってきた経験があるので、そこですよね。自分が勝っている部分で勝つ。それさえできればMMAで自分は誰にも負けないと思っているので、自分のやることはひとつかなと」 ──シェイドラエフの一番警戒する点は? 「やっぱりこう、みなさん、本当にMMAにおいては何でもあるわじゃないですか、打倒極。これは通じないと分かるはずなので、絶対グラウンドに持ち込もうとする必然的な動きが、そこですよね。自分が逆にそこを、相手にとってはそこが勝っているところだから、そこにいかせないつもりです」 ──寝技のシェイドゥラエフと、立ち技の久保選手の戦いになると。 「めちゃくちゃ分かりやすい構図。立ってたら僕の勝ち、寝たら向こうの勝ち」 ──MMAファイターとしてのゴールをどこに設定していますか。 「これは目標の部分? 戦い方の部分ではなくベルトとかの具体的な目標? 具体的な目標はMMAチャレンジした当初から公言しているようにRIZINフェザー級でチャンピオンになる、その夢、目標があと数歩くらいで近くなる。それが具体的な目標という部分にはありますね」 ──平本選手には興味なくあくまでベルトだと。そのこだわりは? 「単純に年齢的な部分。僕は37歳になって、20代の頃ってたくさん試合して、いくら回り道しようがいいと思うけど、今回シェイドラエフとやりたい、やらせてもらいたいと言ったきっかけは、この選手に勝てば最短でベルトを狙えるから。間違いなく、フェザー級の挑戦者決定戦だろ、みたいな立ち位置の試合になると思うので、自分からぜひやりたいと。自分の勝率が低いと当初から思っていたけど、勝率を上げることをやってきたので、決まった時点の自信の無さではないです」 ──ファイターとしての目標は? 「ベルトという具体的な目標でないものでいうと、立ち技で世界一を獲った経験もあり、ナンバーワンだと思う。その立ち技を使ってMMAで勝つ。格闘技大好きだから、かつてのミルコ(クロコップ)は、MMAの何でもありのフィールドで活躍したように、立ち技バックボーンの僕が何でもありのMMAで勝っていく、そこにロマンを感じて僕はやっています。僕が目指すはそこ。立ち技競技者がいかにしてMMAで勝つか、そういうところを見せたいと思っているので」 ──当初はMMAで相当心が折れたと。立ち技チャンピオンで、MMAでぐちゃぐちゃにされても続け、いろいろあったなかで、それを支えたのは? 「煽ってますか? サラちゃんって言えという圧を感じました(笑)。サラちゃんの回し者ですか? 真面目な話を言うと、立ち技世界一だったという自負、プライドがあるなかで挑戦して最初アマチュア選手に極められてやられちゃう。めちゃめちゃ凹んじゃうわけです。大変だなというか、チャンピオンだったところから落ちるからプライド傷つけられるめちゃめちゃ辛い。それに例の事件(対シバター戦)があって、名前も落ちて、そこから何も失うものはないじゃないけど、自分を護るものはなくなったと思っているので、あとは自ずと自分の好きな格闘技を表現していく、MMAでどう自分の立ち技競技を表現するかに重きを置いて日々練習していた感じでした」 ──あの試合があって開き直った? 「いまだに失うものはない。僕の人生、サラちゃんだけいればいいので、例のあの事件でドン底になっても、そこでMMAで負けたとしても何も失うものはない、地の底に落ちているので、サラちゃんいてくれればいいかと思っています」 ──フェザー級では、同じ大会のメインで鈴木千裕選手とクレベル・コイケ選手がタイトルマッチを戦います。勝てば勝者との試合も見えてきます。 「まあ、どっちと戦うにしても、すごい厳しい戦いになると思っています。絶対、楽な道はないと思ってて、ただ相性的には自分がプランが浮かぶのは鈴木千裕選手の方がストライカーっていう部分においては、相性がいいというか、自分が勝つことを計算したら勝率が上がる、上がりやすい計算をしていますけど、本当にどっち勝つか、当日は自分の試合のことしか考えていないので、どっちが勝っても関係ないじゃないですけど、まず自分が勝たないとそこのステージには上がれないと思っているので、そこの切符を手にするためにも、今回何が何でも勝ちにいきたいです」 ──ファイターとしての残り時間の計算は? 「いやあ難しいな。なんだろう、本当に格闘技が好きと言うか、練習して、技を研究して自分が強くなるのもそうだけど、技を分析したり開発したり格闘技に触れている時間が、後輩や弟子に教えている時間もそうだけど、そういうのが好きなので、自分の終わりを気にしたことはないんです。振り返ると37歳なのかなって。30歳後半になると40代になったら引退するというのはあるけど、科学的になって怪我しても回復したり、MMAに来たからかもしれないけどめっちゃ怪我は多いので」 ──フィジカルの衰えは感じてない? 「めちゃめちゃ感じています、筋肉痛が2日後とかにくるので(苦笑)。20代前半とかの試合見てもらうとめちゃめちゃガンガン蹴ったりパンチ打ったり、ガンガン行くタイプで。20代後半から、1Rダウン獲って、逆転KO負けの試合が何回かあったので、その経験を踏まえてディフェンシブな戦い方になって、1、2R取ったら3R流してポイントアウトしようみたいな戦略に切り替えて。20代にバリバリ回復するような身体とは違うなって。30代に入ってから、37と30代前半でガクっと来る肉体の衰えはまだ感じていないです」 ──サラさんと格闘技どっちが好きですか。 「うわーーやめてくれーー! それアレですよね。『私と仕事どっちが大事』とネットでよく揉めてるの見ますよね。サラちゃんそういうタイプではないけど、迷うなあ、めちゃくちゃ難しい。サラちゃんがあって格闘技があるし、格闘技あってのサラちゃん。サラちゃんは『努力してる久保ちゃんが素敵だ』と言ってくれる。K-1やGLORYでチャンピオンになってもMMAでチャンピオンになろうと貪欲になっている、意欲的なところが自分には無いから人として尊敬していると言われるので、そこは連動しています。家族は大事。ベースは家族。それでこそ仕事は頑張れます」 ──試合に向けて対戦相手の分析を重ねる久保選手ですが、過去の動画データなどは十分に確認することはできたでしょうか。 「シェイドゥラエフが海外でやっている試合もしっかり見れたのでそこはちゃんと頭に入っています」 ──RIZINでの戦い方と比べて違いはありましたか。 「RIZINで戦っているときの方が、どっちかというと、しっかりと打撃が上手くなっているというか。海外の試合では、ただ単に無闇に突っ込んでいってがっつり組み付いていっている試合が多かったけど、RIZINの試合ではアーチュレッタ戦もそうですが、まずしっかり打撃の攻防をしてとか見られたので、冷静さというかキャリアを積んでいくうちに、パワー、フィジカルだけじゃなくて技術的にもスキルアップ、パワーアップしていると思いました」 ──五分五分と言っていましたが、向こうがもっと進化していたら? 「僕、成長率がすごいんですよ……。いや自分で言ったらいけない。謙遜しないといけない。サラちゃんにゲンコツされちゃう。なんちゃって。そこはすごく自信があって、向こうはもちろん強くなっているけど、それ以上に僕は強くなっているので、明後日勝負できると思います」 ──入場もみんなを楽しませてくれる演出に? 「そうですね、サラちゃんが歌ってくれるそうです」 [nextpage] タックルされてヒジをマットに着いている状態とかは、まだ寝かされているわけではない ──シェイドラエフ選手がテイクダウンのために組んで、久保選手がコーナーを使ったとしても、シェイドラエフ選手には武田光司選手を引っこ抜く力がある。それを背中を着かずに立ち上がってスタンドに戻す「我慢の展開」も想定していますか。 「そうですね、本当にいろんな局面、自分が不利になる局面の練習を結構してきたので、自分でも楽しみです。練習通りにできるといいなと。これまで練習通りにしてしまうという、ハードルは上がってしまいましたが、やってきた練習が出たらいいと思います」 ──理想としては斎藤裕戦のようにほぼ全てのテイクダウンを切って、スタンドで久保選手のペースにすることでしょうか。 「理想は開始5秒くらいでバーンて一撃決めちゃうことかな」 ──そういうタイプでしたか? 「どうだろうな(笑)。蹴りでもパンチでも当たれば効く、当たれば倒せるので……太田忍のとき、開始数秒で当たったけど太田選手が復活してテイクダウンされたんだ……ちょっとダメだった。安易にいかずにしっかりじっくり時間を使って仕留めるというところは自分も学んできたので、当日楽しみにしていただけたらと思います」 ──寝技にまぐれはないと。打撃にまぐれは? 「ラッキーパンチは大いにある。ただし技術、角度やスピード、打ち方、ポジショニング、立ち位置で、限りなく可能性を減らせる。ラッキーパンチをいかに減らすか、が立ち技においての技術だと思っています」 ──そこにはかなり自信がありますよね。 「ナン10年も研究してきたので、弟とずっと一緒にやってきたこと。そこでその技術で負けない自信を持っている」 ──「寝たら死ぬ」とカード発表時に言っていました。寝かされて立つ自信は? 「どうなんですかね? 背中着かされたらもうやられると思います(苦笑)」 ──残り1分なら我慢できるとか? 「でもない。冷静に考えてあの武田選手が片手でバックチョークで敗れる。僕が背中着けられたら負ける。でも背中着けられてからがテイクダウンなので。タックルされてヒジをマットに着いている状態とかは、まだ寝かされているわけではないので、当日頑張りたいです」 ──MMA打撃を成長させるうえで意識していることは? 「まず距離感、オープンフィンガーグローブと通常のボクシンググローブの違いです。テイクダウンがあることによって使える・使えないもの、有効なもの──それをずっとやってきましたね」 ──「10回のうち5回勝てる」その最初を引くうえで必要なことは? 「神頼み。神様、仏様、サラ様。そこですね、本当。お願いします! っていう感じ」 ──サラさんの応援があり、勝利が近づくと。 「そうですよね。不純な動機かもしれないけど人間は何か欲がないと原動力にならないと思っているので、そこはすごく大きくて、だからこそ試合に勝ちたい。目標。ただまあ、本当に10回に5回、2回に1回、半分の確率をいかにして最初に持って来れるかは、自分もかなり練習してきたので、用意した必殺技が決まればすぐ終わりますけど、なかなか戦いって相手もめちゃめちゃ練習してきて勝つつもりなので、なかなか分からないので、地道に自分がやってきた練習、反復してやってきた技術が生きてくるんじゃないでしょうか」
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