MMA
インタビュー

【UFC】ディエゴ・ロペス「キャリア初期の連敗で気付いた」、ジャスティン・ゲイジー「競うことを愛せないと」

2024/11/26 13:11
 2024年11月23日(土)に中国・マカオ のギャラクシーアリーナにて『UFC Fight Night Macao: Yan vs. Figueiredo』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass配信)が開催された。  メインイベントの「UFC世界バンタム級選手権試合」でピョートル・ヤン(ロシア)がデイブソン・フィゲイレード(ブラジル)との5Rのタフファイトを制した夜、プレリミナリーでは、『ROAD TO UFC 2024』の三階級の決勝が行われ、韓国のユ・スヨン、チェ・ドンフン、中国のシー・ミンが優勝。UFCとの契約を獲得した(※フェザー級決勝は延期)。RTU出場までの厳しい戦いを経た上で、RTUでも3試合を勝ち抜き優勝した3選手はいかに戦ったか。 【プレリム】 ▼『ROAD TO UFC 3』バンタム級トーナメント決勝 5分3R(※試合リポート)×バーエゴン・ジェライスー(中国)18勝6敗(UFC0勝1敗)RTU2度目の挑戦 135lbs/61.24kg[判定0-3] ※27-30×2、28-29〇ユ・スヨン(韓国)14勝3敗(UFC1勝0敗)元DEEPバンタム級王座、BLACKCOMBAT同級王者 135.5lbs/61.46kg※スヨンがバンタム級優勝、UFCと契約 (C)Zuffa LLC/UFC ▼『ROAD TO UFC 3』フライ級トーナメント決勝 5分3R(※試合リポート)×キルー・シング・サホタ(英国)12勝3敗(UFC0勝1敗)BMFライト級王者 126lbs/57.15kg[1R 2分36秒 KO]〇チェ・ドンフン(韓国)9勝0敗(UFC1勝0敗)125.5lbs/56.93kg※ドンフンがフライ級優勝。UFCと契約 (C)Zuffa LLC/UFC ▼『ROAD TO UFC 3』女子ストロー級トーナメント決勝 5分3R(※試合リポート)〇シー・ミン(中国)17勝5敗(UFC1勝0敗)115.5lbs/52.39kg[3R 0分46秒 KO]×フォン・シャオツァン(中国)10勝3敗(UFC0勝1敗)115lbs/52.16kg※シー・ミンが女子ストロー級優勝。UFCと契約 (C)Zuffa LLC/UFC 【延期】※『ROAD TO UFC 3』フェザー級トーナメント決勝 5分3Rシエ・ビン(中国)13勝4敗(UFC0勝0敗) RTU2度目の挑戦ズー・カンジエ(中国)20勝4敗(UFC0勝0敗)※カンジエが負傷欠場で試合は延期に  また、同大会でゲストファイターとしてマカオを訪れたディエゴ・ロペスと、ジャスティン・ゲイジーがU-NEXTのインタビューに、どのように強さを得たかを語っている。  ロペスは、19歳からメキシコに移住。2023年5月に直前の代役出場でUFCデビューし、当時無敗ランカーのモフサル・エフロエフに判定負けも打撃、サブミッションで追い込みインパクトを残した。そこから5連勝。2024年9月の前戦ではフェザー級3位のブライアン・オルテガに大差の判定勝ち、試合後にはタイトル挑戦をアピールしている。  今回のインタビューでロペスは、キャリア初期の連勝からの連敗がいまの自身を作ったと語る。 ロペス「一貫していること」 ──『ROAD TO UFC』の意義をどう考えますか。 「すごく大事だなって思ってる。以前はそれぞれの国や地域の団体で頑張ってUFCで戦えるチャンスを模索していたところを、今はこういう『ROAD TO UFC』のようなイベントがあることでアジアから多くの選手が集まって、今やものすごく大きく広がりを持っているし、それから『DWCS』や『TUF』もあったりして、若手の道を拓く取り組みが素晴らしいと思う。各地域で勝ち上がって見つけてもらうしかなかったところを、今やRTU、DWCS、TUFと、いろんな枠組みがあって若手の有望株が一同に集まって、そこで鎬を削ることが、UFCへの道に繋がってるからね」 ──今回残念ながら日本人選手は決勝に残れませんでした。強さを求め、UFCとの契約を目指す若手にアドバイスをするとしたら? 「一貫していること、それに尽きるかな。起きているプロセスを信頼してほしいってことだよ。というのも、自分的に“準備は整った”と思う時ってしばしばあるけれど、かといってチャンスが来たとしても負けて終わることもある。だから落ち着いて“全ては起きるべきときに起きる”ってことに気持ちを持っているといい。そういう心持ちでとにかく考えて練習を続けること。練習は裏切らないよ」 ──ちなみに、ロペス選手自身はどうやって強くなり今のポジションまで辿りつきましたか。 「ちょっと、その問いへの答えとしてはおかしいかもだけど(キャリア4戦目からの)初めての連敗を味わったことで復活できたんだ。2連敗したことで、気付けたことがある。“何がしたかったか忘れてただけなんだ”って。“自分がやりたかったことなんだから続けるんだ!”っていうこと。自分がやりたかった、やりたいことを追い求めてそれを手に入れていくんだと、その2連敗を喫して“いや自分の人生で、これがやりたかったことだろ”って(再確認した)。それは多くの努力と犠牲の先にこそあると」 ──UFCファイターであることの意味は? 「その2連敗から10年近く経って今ここに自分はいる。すごく大切な意味を持っているんだ。『夢を叶える』ということの体現だから。その夢は自分だけのものじゃない。兄弟の夢であり、父子の夢なんだこの夢を掴むチャンスを得られなかった彼らとそのチャンスを手にした僕とのね。だからすごく大切に思っていて、10年前に地元のマナウスから出て家族の元を離れて、夢を追いかけた。家族に約束したんだ『やり遂げる』と。それがあっての、今だからなんだ」 ──今回はゲストファイターで会場にきていますが、対戦相手が決まっていないときの練習は? 「ルーティンは普通で、常に1日にトレーニングセッションを2回やるようにして、午前中はMMAの練習、夜練は柔術のトレーニングをしている。いつもアクティブな状態っていうのが日々のルーティンかな。それで試合が決まったら、1日のトレーニングセッションにもう1つ追加するようにしている」 ──試合が決まると対策練習も含め3部練習になるということですね。最後に日本のファンにメッセージを。 「日本の皆さん、応援ありがとう。僕の出身地のブラジルのマナウスには日本コミュニティがあって日本から来た人たちとたくさん接してきたんだよ。だから日本のカルチャーへの想いがある。皆さんの応援への感謝の気持ちを伝えるとともにみんなと会える日が来たらいいなって思っています」 [nextpage] ゲイジー「世界中の人にインスピレーションを与えたい」  ジャスティン・ゲイジーは2022年5月にチャールズ・オリベイラのライト級王座に挑戦。ダウンの応酬の末、最後にチョークで逆転負け。その後フィジエフに判定勝ち後、ポイエーとのBMFタイトル戦では1R打撃で押される展開から、2Rに右ストレートからの右ハイでKO勝ち。4月にはマックス・ホロウェイとマット中央での魂の殴り合いで4R、残り1秒でKO負けを喫している。  NCAAディビジョン1でオールアメリカンレスラーでありながら、殴り合いを求めるゲイジーは「戦いは俺たちの最も根源的な本能的なこと」と語った。 ──『ROAD TO UFC』の意義をどう考えますか。 「巨大なプラットフォームで、ワールドワイドなスポーツでアメリカから遠く離れれば離れるほど、より有名でみんなが知ってくれてるって実感するものだ。世界中から人が集まっているし、やっぱり『DWCS』にせよ『TUF』にせよ、大きな違いを感じるのは、“誰が一番強いのか”っていうことを世界中から最強の選手をかき集めて見極められるところだよな。そいつらの試合をこういう場で観るまで、ほとんど誰もその選手を知らないっていう。UFCがそうやって世界のみんなに自分のスキルを見せつけられる場を用意していることは素晴らしいと思うよ」 ──今回残念ながら日本人選手は決勝まで残れませんでした。UFCとの契約を目指す若手にアドバイスをするとしたら? 「めっちゃしんどいよな、強いられることが……、つまり、つまりさ、俺の人生なんて孤独で退屈なもんだよ。でもこの2つと付き合ってかなきゃいけないんだ。いろんなことを犠牲にしなきゃならないんだよ、頂点に辿りつくためにはさ。そりゃそうだよね、世界中から最強と言われる人間が集まってきて、自分が持ってるものを奪おうとしてくるんだからさ。みんな言うだろうさ。『不可能だ』『トップになれるのは、100万分の1のひと握りだ』とかさ。でもそうならなくてはいけないから。そういう人間に、誰よりも優れた人間になれるように誰よりも努力しなくちゃいけない。あとは競うってことを愛せないとね。争うこと、奪い合いを愛せて、負けるのは大嫌いであれって感じかな」 ──ちなみに、ゲイジー選手自身はどうやって強くなり、今のポジションまで辿りつきましたか。 「俺は遺伝子に恵まれてて、両親ともに優れた遺伝子を持っててくれて、俺、本当に骨密度が高くて、骨の硬さは親父ゆずり。母ちゃんからはメキシカンのファイティングスピリットを受け継いでる。あとは4歳からレスリングやって、ずーっと同じことやり続けていたから、ハードワークが功を奏した。授かりもの、両親から受け継いだ愛と屈強な骨だ。それがあったうえでのハードワークがものを言ってる」 ──UFCファイターであることの意味は? 「UFCファイターであることってやっぱりデカいんだよ。俺は人助けのために福祉の学校に通ったりもしたが、それで、へんな話、世界中の人にインスピレーションを与えたいっていう。暴力的だって思う人もいるんだろうけど、俺はスポーツだと考えているし、やりたいことっていうのが、そういうインスパイアするっていうことだから、こういう場でずっとそうしたいと思ってた。UFCにいることでそうあれることが良いんだよ。それからやっぱり、家族や故郷を代表していること。そういうことがすごく特別なんだ、自分にとって」 ──今回はゲストファイターで会場にきていますが、試合がない時の練習は? 「試合が決まると12週間、週に6回1日3時間。いまは1日に1回のワークアウト。あとは食事面をヘルシーに保つことを気をつけていて、自分の身体に良くないものは摂らないようにして身体をしっかり休める。休むのは大事。あとは大好きなゴルフをやりつつ、自分の練習仲間の背中を押すことかな。チームメイトたちも試合があるから、そういう感じでいつもみんなといるんだ」 ──日本のファンにメッセージを。 「いいか、戦うことってのはさ、つまりこの競技がなんでこんな素晴らしいかというと、誰もが共感できるからだ。戦うことって俺たちの最も根源的な本能的なことだろ? ありがたいことに人類は時間をかけて戦わずに生きる術を知ったわけだけど、俺の試合を見ろよ。オマエらのケダモノの本性を呼び覚ましてやるよ、オマエらが欲してるようなものをさ」 ──今、戦うという本能的な醍醐味を語っていましが、1競技として他のスポーツと比べてMMAの魅力とは? 「UFCを他のフットボールやら野球やらサッカーと比べると後発だから、まだまだ競技でいえば新参者だけど、すごいクレイジーな勢いで急成長を遂げてきてるから、いつか……いつになるかは分からないけど、サッカーすら超えて世界で最もポピュラーなスポーツになるさ」
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