2024年11月8日(日本時間9日)、『UFC Fight Night: Magny vs. Prates』の公式計量が実施され、メインカードのミドル級でUFCデビューする、元ONEミドル&ライトヘビー級王者のライニアー・デ・リダー(オランダ)と、対戦相手でUFC12勝中12フィニッシュ勝利のジェラルド・マーシャート(米国)がともに185ポンド(83.91kg)で計量をパスした。
▼ミドル級 5分3Rジェラルド・マーシャート(米国)37勝17敗(UFC12勝9敗)185lbs/83.91kgライニアー・デ・リダー(オランダ)17勝2敗(UFC0勝0敗)※元ONEミドル&ライトヘビー級王者 185lbs/83.91kg
本誌では、柔道出身の元ONE王者のデ・リダーに話を聞いた。
なお、UFC APEXで開催される大会の模様は、日本時間10日(日)6時(予定)にスタートするプレリム7試合、9時に始まるメインカード5試合を含む全試合が『U-NEXT』『UFC FIGHT PASS』でライブ配信される。なお、リッキー・トゥルシオスが医療的な問題により欠場。ベルナルド・ソパイと対戦する予定だったバンタム級戦は中止となっている。
デ・リダー「僕の柔術の方がよっぽど危険だ」
──ONEからUFC初参戦となるデ・リダー選手です。今回はどこでトレーニングしてきましたか。
「いつもは自分の地元のオランダのコンバットブラザーズでトレーニングしている。ただあちこち飛び回っていて。数カ月マイアミにいてアウンラ・ンサンとトレーニングをしていて、今はラスベガスに着いて、UFC PIでトレーニングを始めて3週間目。色んな選手とトレーニングができるので旅をするのは好きなんだ」
──試合もした盟友ンサンとトレーニングしている姿は拝見しました。今回の対戦相手のジェラルド・マーシャート選手はキルクリフFC所属なので、ンサンとの練習は試合が決まる前のことだったのでしょうか。
「そう、あの時はまだ決まっていなかった。アウンラとトレーニングできたのは良かったよ。彼とは2回戦い、そのあとにもトレーニングしたけど、とても助かった。すごく温かく迎え入れてくれた。本当にいいヤツなんだ。彼と一緒にトレーニングが出来て、ともに高め合える事は光栄だ。試合が終わったらまたもう少しあそこでトレーニングをしたいと思っているんだ」
──ONEで培った戦友との縁ですね。そのONEでは、ハイドレーションテストがあって、実質上、一階級上で戦う体重でした。UFCでミドル級で戦う選択は自然なことだったでしょうか。
「減量については楽しくはないよね。以前、84kgのミドル級に合わせて減量をしてから6年経っている。当初、ONEでは皆フェアな方法できちんと減量をしていたように思う。ただ最後の数年は皆、ハイドレーションテストをクリアするのに、チートをするのが簡単だって事に気付いていたような気がする。なので、今また自分が、皆が平等にフェアに減量をする環境になった事は良かったと思っているよ。食べられないのはつまらないけれど(笑)」
──ONEではMMAの試合が少なくなったり、同じ選手と試合をする事が多くなってきた事が離れる理由のひとつのでもありましたか。
「YES、試合も無いし対戦相手もいないのに、引き止められる期間も長い。なので次に進むタイミングだった。今ここにいれて嬉しいよ。UFCで試合を組んでもらえた事は良かったし、ONEにいた時もたくさん応援はしてもらっていたのでそれは感謝している。もちろん悪い時期もあった。そういうものだよね」
──ONEの後、UAE Warriorsでのライトヘビー級戦はさまざまな意味でテストでしたか。
「UAE Warriorsでの減量は楽だった。いつもライトヘビー級の体重より、1、2kg多いくらいだから。あのとき色々決まったのも結構ギリギリだったし、対戦相手も減量が出来ていないとは聞いていたので、ライトヘビーで試合をするのは理にかなっていたと思うよ」
──そして、オランダではどのようなメンバーで練習していますか。
「ゲガール・ムサシとたくさん練習をしているし、もうすぐBellatorのタイトルに挑戦するステロ・ファン・スティーニス。彼もミドル級だ。本当にいい選手がジムに揃っている。アラン・ヴァンデ・マルク──もうすぐデイナホワイトコンテンダーシリーズでデビュー予定だ」
──石井慧選手ともトレーニングをしたことが?
「あぁ、練習したよ。彼とはオースティンにいる時に練習をした。体調を崩したと聞いていたけど、今は良くなっているんじゃないかな。本当にいい男だ。彼についてはちょっと面白い話があるんだよ。日本でのクレイジーな話とか(笑)。何しろ、自分も柔道がバックグラウンドだから一緒にトレーニングできた事は嬉しい。慧さんの事は本当に好きだよ。だから早く完全に回復してほしい」
──柔道といえば、ビタリー・ビグダシュ戦で極めた横三角絞めは見事でした。あのとき、相手の足を抱えていたのが印象的でした。
「相手が何をしようとしているかによるんだ。相手の頭が腰のところになければいけなくて。相手が少し下がった場合は、足を抱えて、もしまたいできたら相手の腰を止められるようにね。一本の腕は前腕ではなく上腕を掴まなくてはいけなくて、もう一本は少し遊ばせながら相手の頭が腰より上の位置にあるように調整する。いつも自分が使うテクニックだ。世界中どこのジムに行っても、対戦相手が誰でもトレーニングで皆をサブミットしていたよ。この技を使ってね。皆、この技が来ることを知らなかったから」
──前三角絞めと違って腕が一見、外に出ているから油断しますね。
「そう、だから上腕と足も掴んで固定する。今はみんなに研究されてしまってもう効果的ではないと思うから(笑)。何か別の効果的な技を考えないとな、と思っているよ」
──マーシャート選手はUFC12勝9敗で一本勝ちが11回で12フィニッシュ勝利はミドル級単独1位というグラップラー。柔術黒帯の彼のグラップリングをどう見ていますか。
「とても上手いと思うよ。上がってくる若手たちをどんどんサブミットしているのはすごいよね。最初の2Rは様子を見ながら、3Rにチョークして極めちゃう感じだ。シャープで速くて。色々見てみたけど、自分とはいいグラップリングのショーをお見せできるといいなと思っているよ」
──マーシャート選手よりデリダー選手が勝っているのは?
「自分の方が上手いと思っている。これ、控えめに答えるのが難しい質問だね(笑)。自分のほうが全てにおいて優れていると思っている。ストライキングにおいてもレスリングにおいても。僕の方が速いし、シャープだし、僕の柔術の方がよっぽど危険だ。トップコントロールも自分の方が出来るだろうし、下になっても僕の試合になる。ただ、とても彼は近いところで戦うと思うので、きっちりと戦わなければいけないし、シャープでなければいけない、フィニッシュする為にね」
──近代MMAで下からの寝技はリスクになりうる事が多いですが、どんな点に注意していますか。
「MMAで試合をするときに気を付けなければいけない事がいくつかあるのだけれど、戦うのは対戦相手だけではなく、時間とも戦っている事を忘れてはいけないということ。ラウンドが終わるまであと残り時間がどのくらいあるのかという事を常に気にしなければいけないし、でなければもう一度最初から始めなければいけない。本当に大事なことなんだ。自分は常に時間を見ているし、そのなかで少しでも早くフィニッシュできるように心がけている」
──UFCでの目標は?
「目標はいつもチャンピオンになる事。この数年で少し無駄にしてしまった時間を取り戻すためにもたくさん試合ができるといいなと思っている。皆と戦っていけたら最高だよね」
──最後に日本のファンへメッセージを。
「いつも応援ありがとう。ONEから来たけれど、皆さんに応援を引き続きしてもらえると良いなと思います。ONEにいた時も毎回言っていたと思うんだけど、いつか日本で試合をしたいと思っているんだよね。東京ドームで迎えてくれたら最高だな」